異世界金策 一攫千金!〜初心者冒険者必見?転移おっさんの怪しい儲け話Readme.exe〜   作:raixip

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第104話 信用という商品

朝。

 

宿を出ると、町の様子が少し変わっていた。

 

「おはようございます!」

 

「ジョン君!」

 

「昨日はありがとう!」

 

みんな笑顔で手を振ってくれる。

 

「人気者だな。」

 

おっさんが肩をすくめる。

 

「みんな鉱山を楽しみにしてるんだね。」

 

「……そう思ってるのはジョンだけかもしれん。」

 

また変なことを言う。

 

そんなことあるわけない。

 

だって。

 

みんなM資金へ参加してくれてるんだから。

 

当然、鉱山を掘りたいはずだ。

 

「ジョン様。」

 

振り返ると、立派な服を着た男性が頭を下げた。

 

胸には商人ギルドの銀色の徽章。

 

「ギルド長がお待ちしております。」

 

「僕?」

 

「はい。」

 

商人ギルド。

 

昨日とは違う部屋だった。

 

応接室。

 

大きな机。

 

壁には王国の地図。

 

町と町を結ぶ街道まで描かれている。

 

ギルド長が立ち上がった。

 

「お待ちしておりました。」

 

「こんにちは。」

 

「まずは、お礼を。」

 

「え?」

 

「M資金のおかげで商売が変わりました。」

 

僕は照れくさくなった。

 

「まだ鉱山も掘ってないのに。」

 

ギルド長は一瞬だけ笑顔を止めた。

 

「……ええ。」

 

「ですから今日はお願いがあります。」

 

紙を一枚差し出された。

 

そこには。

 

M資金販売協力契約書(案)

 

「販売?」

 

「はい。」

 

「商人ギルドを窓口にしていただきたいのです。」

 

「窓口?」

 

「今はジョン君が一枚一枚書いていますね。」

 

「はい。」

 

「大変でしょう?」

 

「すごく。」

 

手がまだ痛い。

 

ギルド長は頷く。

 

「そこで。」

 

「商人ギルドが受付を代行します。」

 

「代行?」

 

「参加したい方から申し込みを受けます。」

 

「はい。」

 

「集まったお金をまとめてジョン君へ渡します。」

 

「おぉ!」

 

それは助かる。

 

「僕が書く枚数も減る?」

 

「減ります。」

 

「いいですね!」

 

おっさんが咳払いをした。

 

「契約書は読め。」

 

「あ。」

 

忘れてた。

 

前に痛い目を見た。

 

僕は契約書を開く。

 

……文字が多い。

 

「うっ。」

 

目が泳ぐ。

 

「おっさん。」

 

「全部読め。」

 

「長い。」

 

「だから読む。」

 

仕方なく読み始める。

 

第一条。

 

商人ギルドは販売を代行する。

 

第二条。

 

発行権はジョンにある。

 

第三条。

 

販売手数料……

 

「あ。」

 

手数料だ。

 

「何%ですか?」

 

ギルド長は笑顔で答えた。

 

「三%です。」

 

「三%……。」

 

「販売員のお給料や管理費がございますので。」

 

おっさんが腕を組む。

 

「良心的だな。」

 

「そうなの?」

 

「銀行よりは。」

 

なるほど。

 

「じゃあお願いします!」

 

「最後まで読め。」

 

「……はい。」

 

その頃。

 

中立共栄大金庫。

 

「支店長。」

 

「何だ。」

 

「商人ギルドが動きました。」

 

「予想通りだ。」

 

部下が報告書を置く。

 

「M資金販売窓口になります。」

 

「そうか。」

 

支店長は静かに紅茶を飲む。

 

「販売は商人。」

 

「保管は銀行。」

 

「両替は町の両替屋。」

 

「役割分担が始まりました。」

 

部下が驚く。

 

「止めないのですか?」

 

支店長は首を振る。

 

「止まらん。」

 

「なら。」

 

報告書を閉じる。

 

「銀行は銀行の仕事をする。」

 

「仕事とは?」

 

支店長は笑った。

 

「信用を預かることだ。」

 

昼。

 

広場。

 

商人ギルドが仮設受付を作っていた。

 

「M資金はこちらへ!」

 

「申し込みはこちら!」

 

町人が列を作る。

 

僕は机で券を書いている。

 

「百G券一枚。」

 

「千G券二枚。」

 

「五千G券一枚。」

 

以前よりずっと楽だ。

 

「ジョン君。」

 

受付の商人が袋を差し出す。

 

「本日分です。」

 

「え?」

 

中には出資金。

 

「こんなに!」

 

「今日の申込金です。」

 

僕は目を輝かせた。

 

「採掘が近づいた!」

 

商人たちは顔を見合わせる。

 

誰も否定しない。

 

でも。

 

誰も。

 

「採掘」の話はしなかった。

 

その頃。

 

パン屋。

 

「おじさん。」

 

「何だい?」

 

「今日からギルドでも買えるんだって。」

 

「便利になったな。」

 

「もうジョン君のところまで行かなくていい。」

 

「助かる。」

 

町は。

 

少しずつ。

 

ジョンがいなくても回り始めていた。

 

夕方。

 

宿への帰り道。

 

僕は袋を抱えて歩いていた。

 

「今日はたくさん集まったね。」

 

「ああ。」

 

「これならすぐ金貨二十八枚になるかな?」

 

おっさんは少し考えた。

 

「ジョン。」

 

「なに?」

 

「町にはな。」

 

「うん。」

 

「金を集める才能がある奴はいる。」

 

「うん。」

 

「だが。」

 

空を見上げる。

 

「集めた金を、ちゃんと目的どおり使う奴は少ない。」

 

僕は首をかしげた。

 

「僕は掘るよ?」

 

「知ってる。」

 

おっさんは少し笑った。

 

「だから心配なんだ。」

 

その言葉の意味を。

 

僕はまだ知らなかった。




【あとがき:現在のステータス】

【スキル】
■武器系
刀剣スキル 20
盾スキル 3
戦闘技術スキル 13

■生産系
料理スキル 13

■その他
鑑定スキル 0.3

【所持金】
171G(銀行預け金:250G(銅貨2枚、半銅貨5枚))
財布は今日も変わらず。

ジョン
「M資金は増えたのに……。」
おっさん
「お前の財布じゃないからな。」

【所持アイテム】
・???のスクロール 6枚
・奴隷のマクダフの野郎(裏社会で修行中)
・武器破損した剣
・???の指輪(バンステ金策で入手)
・ゴブリン(テイム)
・ケムトレイル群
 立場:保護対象
 詳細:不明
・キュ太郎
(今日は商人ギルドの受付をじっと見ていた。)

【投資・契約】
・中立共栄大金庫投資案件(ポーシャ支店)
元本:金貨10枚
状態:運用中
想定利回り:2倍〜5倍(説明ベース)
詳細:非公開/高リスク

ジョン
「契約書はちゃんと読んだ!」
おっさん
「少しは成長したな。」

【M資金の現在】
目的:鉱山採掘資金
発行券種
・100G券
・500G券
・1,000G券
・5,000G券

参加窓口
・ジョン
・商人ギルド(NEW)

利用地域
・ポーシャ町

現在の用途

ジョン
「採掘資金!」
町人
「夢への出資!」
商人
「取引!」
銀行
「保管!」
ジョン
「みんな同じ気持ちだね!」
おっさん
「……本当にそうなら良かったんだが。」

【本日の収支】
収入
M資金出資(管理資金) 増加
支出
なし

※ジョン個人の所持金に変動はありません。

ジョンの一言
「みんなで掘る日が、少しずつ近づいてきた!」
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