異世界金策 一攫千金!〜初心者冒険者必見?転移おっさんの怪しい儲け話Readme.exe〜 作:raixip
「旦那ぁ!」
朝早く。
宿の廊下をドタドタと走る音がした。
勢いよく扉が開く。
「旦那ぁ! 大変です!」
「うわっ!」
僕は飛び起きた。
「マクダフ?」
「戻ってきたの?」
息を切らせたマクダフが床へ座り込む。
「死ぬかと思いましたぜ……。」
「何があったの?」
「裏社会って怖ぇ!」
「今さら?」
おっさんが呆れた顔をする。
「自分から行ったんだろ。」
「勉強のためですって!」
「金儲けの間違いだ。」
「……はい。」
素直だった。
朝食を食べながら話を聞く。
「それで?」
「何があったの?」
マクダフはパンを頬張りながら答えた。
「親分に聞いたんです。」
『M資金って儲かるんですか?』
って。
「うん。」
「そしたら。」
マクダフは親分の真似をする。
『儲かるぞ。』
「やっぱり!」
『だがな。』
「?」
『発行する奴より、仲介する奴の方が儲かる。』
僕は首をかしげた。
「仲介?」
「意味分かりませんぜ。」
マクダフも首をかしげる。
「だから聞いたんです。」
『なんでです?』
『発行する奴は信用を作る。』
『仲介する奴は手数料を取る。』
『一番疲れるのは前者だ。』
『一番儲かるのは後者だ。』
「……。」
部屋が静かになった。
おっさんだけが苦笑する。
「親分、分かってるじゃないか。」
「旦那ぁ。」
「俺、全然分かりません。」
「僕も。」
「だろうな。」
昼。
僕は広場で券を書いていた。
「百G券一枚。」
「ありがとうございます!」
「千G券二枚。」
「はい!」
商人ギルドの受付も忙しそうだ。
そこへ。
マクダフが耳打ちしてくる。
「旦那ぁ。」
「なに?」
「俺にも仕事ください。」
「仕事?」
「俺もM資金を売ります!」
「え?」
「営業です!」
営業?
「でも。」
「商人ギルドがやってるよ?」
「じゃあ。」
マクダフは胸を張る。
「俺は裏営業!」
「裏?」
「紹介料だけ貰います!」
おっさんが即答した。
「却下。」
「なんで!」
「話がややこしくなる。」
「ちぇっ。」
マクダフは肩を落とす。
しかし。
その目はまだ諦めていなかった。
その頃。
裏路地。
「親分。」
「来たか。」
マクダフは小走りで駆け寄る。
「旦那は断りました。」
「そうか。」
親分は笑う。
「なら、お前は紹介だけしろ。」
「紹介?」
「欲しい奴を連れて来い。」
「売るのは?」
「商人ギルド。」
「保管は?」
「銀行。」
「俺は?」
「紹介。」
マクダフは目を丸くする。
「それで儲かるんですか?」
「紹介料一%。」
「一%!」
親分は指を一本立てる。
「働くのは他人。」
「責任も他人。」
「俺たちは紹介だけ。」
部下たちが一斉に拍手した。
「親分!」
「さすが!」
マクダフも感動する。
「天才だ!」
親分は照れくさそうに頭をかいた。
「昔、銀行員に教わった。」
「え。」
部屋が静まり返る。
部下が小声で言う。
「親分……また余計なことを。」
「しまった。」
親分は口を押さえた。
マクダフだけが満面の笑みだった。
「よーし!
俺も紹介して儲けるぞ!」
部下たちは顔を見合わせる。
「……。」
「利用されるな。」
「利用される。」
全員の意見が一致した。
夕方。
僕は今日集まった出資を帳簿へ書いていた。
「順調だね。」
「そうだな。」
おっさんが頷く。
「少しずつだが増えてる。」
「あともう少し!」
僕は笑う。
その横で。
マクダフは町の外を見ていた。
「紹介料……。」
「一%……。」
「ふふふ。」
嫌な笑い方だった。
おっさんはその背中を見て、小さくため息をつく。
「……あいつ。」
「また余計なことを始めるぞ。」
僕は笑って答えた。
「大丈夫だよ。」
「マクダフだもん。」
その言葉が。
数日後、大騒動の始まりになるとは。
まだ誰も知らなかった。
【あとがき:現在のステータス】
【スキル】
■武器系
刀剣スキル 20
盾スキル 3
戦闘技術スキル 13
■生産系
料理スキル 13
■その他
鑑定スキル 0.3
【所持金】
171G(銀行預け金:250G(銅貨2枚、半銅貨5枚))
ジョン
「今日も財布は軽い!」
おっさん
「軽いのは財布だけにしてほしい。」
【所持アイテム】
???のスクロール 6枚
奴隷のマクダフの野郎(紹介業を始めようとしている)
武器破損した剣
???の指輪(バンステ金策で入手)
ゴブリン(テイム)
ケムトレイル群(保護対象)
キュ太郎
(マクダフをじっと見つめて「きゅー」と鳴いた。)
【投資・契約】
・中立共栄大金庫投資案件(ポーシャ支店)
元本:金貨10枚
状態:運用中
想定利回り:2倍〜5倍(説明ベース)
ジョン
「紹介料って何だろう?」
銀行
「それも立派な商売です。」
ジョン
「商売って奥が深いなぁ。」
【M資金の現在】
目的
鉱山採掘資金
利用地域
ポーシャ町
隣町へ流通中
新しい動き
紹介業を狙う者が現れ始める
現在の用途
ジョン
「採掘!」
商人
「決済!」
銀行
「保管!」
両替屋
「手数料!」
旅商人
「運搬!」
マクダフ
「紹介料!」
おっさん
「掘る奴だけ増えないな……。」
※ジョン個人の所持金に変動はありません。
ジョンの一言
ジョン
「みんなで協力すると、できることが増えるね!」
おっさん
「協力と便乗は、紙一枚違いなんだよ。」