異世界金策 一攫千金!〜初心者冒険者必見?転移おっさんの怪しい儲け話Readme.exe〜   作:raixip

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第12話 アンチェインダストトラッシュと壊れた剣 バシャァンバシャァンとガンッガンッな修行 その2

二日目も朝から僕は河畔にいる。

今日は一人で歩いてきた。

今日もポリュフェモス大岩に、青銅の剣を振り上げて叩きつける。

二日目にして、青銅の剣はすでに刃こぼれがたくさんあり、もう「青銅の剣」と言うよりは「青銅の棒」に近い状態だ。

こんなものでも「刀剣武器」としてみなされているようで、刀剣スキルは上がっている。

 

――ガキィン! キィン! キィン! ガンッ! ガンッ! ガキィン!

――キィン! キィン! ガキィン! ガンッ! ガキィン! ガキィン!

 

よし…… 入るぞ、入るぞ…… やっぱりよもつ川の水は冷たい

 

――バシャァン! ゴボッ…… バシャァン! ザシュッ! ゴボッ… バシャァン!

――バシャァン! バシャァン! ゴボッ…… ザシュッ! ザシュッ! ゴボッ……

 

もう僕はこのスキル上げになれたものだ。

昨日はあれから夕方までこれをやっていた。

今まで僕が狩ることができる魔物をただ狩るだけでは、刀剣スキルをなかなか上げられなかった僕も、昨日はすぐに刀剣スキルを上げることができたのだ。

それがおもしろくて、ずっとやっていた。

ほかの人から見たら、この頭のおかしな作業をやっている僕を「変人」と見られているに違いない。

だから、おっさんはこんな町から離れた「河畔」まで僕を連れてきたのだろう。

 

初心者冒険者の僕でも、狩ることができる魔物でスキル上げをやるより、こっちのほうがスキルの上りが断然早い。

こんなに上がっていいのだろうかと思ってしまうくらいだ。

 

――キィン! キィン! ガキィン! キィン! キィン! ガンッ! ガンッ!

――ガキィン! ガンッ! キィン! キィン! キィン! ガンッ! ガキィン!

 

よし…… 次はよもつ川に入って水面を打ち付ける作業だ

 

――ザシュッ! ゴボッ……バシャァン! ゴボッ…… ザシュッ! ゴボッ……

――ザシュッ! ゴボッ…… バシャァン! バシャァン! ゴボッ…… ゴボッ……

 

よもつ川から出て、ポリュフェモス大岩へ向かう。

よもつ川から出たばかりだと、足の感覚があまりない。

 

――キィン! キィン! ガキィン! キィン! キィン! ガンッ! ガンッ!

――ガキィン! ガンッ! キィン! キィン! キィン! ガンッ! ガキィン!

 

青銅の剣がボロボロになってきた。

二日でこんな武器が破損状態になるほど壊れることは、僕は聞いたことがない。

もしそんなことがあるとすれば、ご飯も食べず眠りもせずにずっと魔物を休まず狩り続けた冒険者かなにかだろう。

すごい冒険者だ。きっと「剣聖」と呼ばれる物語にでてくる人たちだろう。

 

よもつ川へ膝上あたりまで入ってみた。とても冷たい。

少し上まで入っただけで、思うように体が動かせず、自分より少し大きな青銅の剣を振り下ろして水面に叩きつけるのが難しい。

 

 

――ザシュッ! ゴボッ…… ゴボッ…… ゴボッ…… ザシュッ! ゴボッ……

――ザシュッ! ゴボッ…… バシャァン! ゴボッ…… ゴボッ…… ゴボッ……

 

あまり無理をしすぎるのはよくないのかもしれないと思ってきた。

こんな過酷なスキル上げでは体が持ちそうにもない。

おっさんも誰も見ている人はいない。

僕は少しポリュフェモス大岩の近くで木の根本に座りこんだ。

僕はここ数日かなり頑張ったと思う。スキルも上げたし、銀貨も持てたし、見ることもできた。

 

そろそろスキル上げに戻るか……

僕が重いこしを挙げてポリュフェモス大岩の前にきて続ける。このおかしな作業を

 

――キィン! キィン! ガキィン! キィン! キィン! ガンッ! ガンッ!

 

「おいっ! うるさいぞ!」

 

――ガキィン! ガンッ! キィン! キィン! キィン! ガンッ! ガキィン!

 

「おい! 聞こえないのか! 昨日からお前は何をやってるんだ! ガンガンキンキンうっさいぞ!」

 

「よし…… もう一度今日はよもつ川で水面に剣を叩きつけたら帰ろう……」

 

――ザシュッ! ゴボッ…… バシャァン! ゴボッ…… ザシュッ! ゴボッ……

 

「大岩を叩いてたと思ったら今度は水面に棒を打ち付けて何をしてるんだお前は……」

 

――ザシュッ! ゴボッ…… バシャァン! バシャァン! ゴボッ…… ゴボッ……

 

「ここはいつから頭のおかしなキチガイの来るところになったんだ…… もうこの国は終わりが近いな」

 

よし…… 今日はこのくらいでいいだろう。

振り向くと、知らない僕と同じくらいの身長の人、いや僕より小さかった。

僕はすごくすごく驚いた。

 

「うわあああああああああ!」

 

「まっ…… まてまて! ワシは魔物でも霊体でもない! そのボロボロの棒で何ができるってんだ!」

 

驚いた僕は、もうこれで魔物を狩るのは難しいと思われる「青銅の剣」だったものを、むちゃくちゃに振り回していた。

 

「か…… 会話ができる…… 人なの……?」

 

「ワシのどこが人じゃないんだ……確かにワシはお前と違ってヒューマンじゃないがな。立派に生きとるわ!」

 

僕より背の低いお年寄りのような顔をしたものに僕は驚いたが、どうやら僕と同じ人だったようだ。

 

「お前は昨日から一体ここで何をしてるんじゃ…… ガンガンキンキンうるさくてかなわん! 昨日だけかと思ったら今日も朝早くから来て、そこの大岩に棒を叩きつけてると思ったら今度は川に入って水面に棒を叩きつけておる。それを早朝から夕方まで…… 気でも狂ってるのかとワシャ心配しとったぞ!」

 

やはり周りの人からみたら、僕は頭のおかしい人に見られたらしい。

僕の考えは間違っていなかったのだとおもってほっとした。

たしかに、そうだ。

でも、この小さいおっさんに僕がやっていることを教えてもいいのだろうか。

言ったところで信じてくれるとはあまり思えないが。

 

「いや…… その気晴らしにちょっと。町からここまでくればだ誰の邪魔にもならないかなと思って…… じいさんはヒューマンじゃないってことは何なの……?」

 

大岩に剣を振り上げ叩きつけ、水面に叩きつけて刀剣スキルを上げていることは言わないことにした。

これ以上心配されても困る。

 

「ワシはドワーフのブロックルじゃ…… 聞いたことないか? ドワーフのブロックルが作る武器は最高じゃと…… あのブロックルじゃ…… 今はもう武器を打ってはないがな……」

 

ドワーフと言う種族と僕は初めて会った。

物語なんかでは知っている種族だったが、こんな場所で会うとは思わなかった。

物語の中の人物が僕の目の前にいることに、僕はとても「高ぶった」気分だ。

 

「ど…… ドワーフってあの物語の中の……? 初めて会ったよ。ブルロックなんて名前は聞いたこともなかったけど」

 

「まぁこんな小国の小さな町の外れで会うとは思わんからな。大体ドワーフは王国か帝国かどこか大きな都市で鍛冶師をやっとる。名のあるやつはな。それでその…… 手に持ってる棒はなんだ…… 昨日からそれを振り回しとるんじゃろ? 気になっておったわ、ワシに見せてみろ……!」

 

ドワーフのブロックルさんが僕の手にしている青銅の剣だった棒を手に取った。

いったい何の棒で、ずっと大岩や水面に叩きつけていたのか気になったようだ。

 

「酷い有り様じゃ…… これは青銅の棒…… いや、剣だったものか。一体何を考え、こんな扱い方をしたんじゃ…… こんなもの打ち直すより、新しい剣を買ったほうが早い」

 

「ブルロックさんってドワーフなんですよね……? 直せないんですかこの棒を剣に。」

 

僕の物語で知っているドワーフとは違っていた。

このドワーフはこの青銅の棒を剣に戻すことはできないらしい。

 

「なめるな! ワシならできる…… こんなもの朝飯前じゃ…… だが今は無理じゃ。ワシにはやることがあるんじゃ…… こんな小国まで来たのは訳があるんじゃ。

その棒は今は直せんが、ドワーフがこんな青銅の棒さえ直せなかったとなると沽券にかかわる。これを貸してやる。今度会ったときに、それと交換に直したこの青銅の棒を剣にして渡してやる」

 

そう言って、ブルロックさんは僕に剣を渡してくれた。

僕が使っていた青銅の剣より良いものなのかどうか、僕にはわからない。

 

「これは青銅の剣よりもいいものなの……? まだ僕は大岩を叩いたりしないといけないんだけど……!」

 

「馬鹿野郎! そんなもんに剣を叩きつけるな! そこら辺の棒切れで叩いとれ!! この剣はお前には早いくらいの代物じゃ……!」

 

どうやら青銅の剣よりは良いもののようだ。

そんな良い剣を大岩に叩きつけたり、水面に叩きつけたりするのは僕もためらってしまう。

でも、そこらへんにある棒切れではだめなのだ。

僕は刀剣スキルを上げなくはならないからだ。

そんな良いものをドワーフのブルロックさんから貸してもらったため、何かお礼をしたかったが、僕は何も持っていなかった。

お金もないし、蛇肉を渡してもしょうがない。喜ばれないだろう。

 

「ブルロックさん、剣を貸してくれてありがとう! 何も代わりにお礼にあげることはできないけど……そうだ、僕がこの剣を使うのにふさわしいことを証明するよ。少し下がって見てて!」

 

ブルロックさんを少し下がらせて辺りをみてから、僕は披露して見せる。

人に見せるのは初めてだ。使ってみるのも初めてな、技書で覚えた僕の必殺技だ。

 

「アンチェインダストトラッシュ!!!!!」

 

技テクニックが発動する。

僕の持っている剣が光りだし

――キィィィィィィィィィィィィン… パァン!

という音をたててから、ブルロックさんから貸してもらった剣が「武器破損状態」となった。

 

「おお~…… よくその剣を使いこなして…… 馬鹿野郎! なんて技テクを使ったんだ! 武器が壊れてしまったではないか!!」

 

「こ…… こんなつもりは…… 初めて使った技テクニックなんですが、こんなことになるとは…… 剣を壊してしまいごめんなさい。」

 

ブルロックさんに僕はあやまるしかなかった。

「アンチェインダストトラッシュ」がこんな技テクニックだとは僕は知らなかった。

自分の武器でこの技テクニックを使用しなくてよかったと僕は心底思った。

 

「ったく…… しょうがないガキだな。その剣は戒めに持ってろ。二度とその技テクを使わないようにな!ワシはもう帰る…… ここにいたらワシまで大岩や水面にお前を叩きつけそうになる……じゃが、約束のこの青銅の棒は、次に会った時までにちゃんと剣にしておいてやる。お前が振り回しても壊れんくらいの…… いや、それ以上の剣にな……」

 

次にどこでブルロックさんと会うか約束などしたりはしなかった。

次に会うことはないかもしれない。

僕はこのドワーフのブルロックさんは、怖くて苦手だ。

あと、この技書を僕に売ったあのおっちゃんを、僕は見つけ次第殺さなくてはならない。




【あとがき:現在のステータス】

【スキル】
■武器系
刀剣スキル 6
盾スキル 3
戦闘技術スキル 2

■生産系
料理スキル 13

■その他
鑑定スキル 0.3

【所持金】
19,515g

【所持アイテム】
・蛇肉(大量)
・???のスクロール 6枚
・奴隷のマクダフ
・武器破損した剣
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