異世界金策 一攫千金!〜初心者冒険者必見?転移おっさんの怪しい儲け話Readme.exe〜   作:raixip

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第124話 橋の番人

夕暮れ。

 

崩れた石橋の前。

 

僕は慎重に近付いた。

 

石が何枚も落ちている。

 

真ん中は大きく沈み、下には冷たい川が流れていた。

 

「これは……。」

 

「渡れないね。」

 

マクダフが石を一つ投げる。

 

カラン。

 

コロン。

 

石は橋の途中から川へ落ちた。

 

「旦那ぁ。」

 

「俺でも無理ですぜ。」

 

おっさんは橋脚を見上げる。

 

「完全には壊れてない。」

 

「だが、一人ずつでも危ないな。」

 

僕はため息をついた。

 

「橋を直さないと。」

 

採掘計画書を開く。

 

『橋の修理方法を探す。』

 

そう書き足した。

 

その時だった。

 

「そこで何をしている。」

 

後ろから低い声がした。

 

振り返る。

 

杖を持った老人だった。

 

背は曲がっている。

 

髭は真っ白。

 

それでも目だけは鋭い。

 

「旅人です。」

 

僕は頭を下げた。

 

「マーカット鉱山を見に来ました。」

 

老人は僕の顔をじっと見る。

 

「……そうか。」

 

「また来たか。」

 

「え?」

 

「また?」

 

老人は橋へ視線を向けた。

 

「昔も。」

 

「何人も来た。」

 

「宝を探す者。」

 

「一攫千金を夢見る者。」

 

「皆、途中で帰った。」

 

僕は首を振る。

 

「僕は宝じゃありません。」

 

「鉱山を掘りたいんです。」

 

老人は少しだけ驚いた顔をした。

 

「掘る?」

 

「はい。」

 

「みんなで。」

 

しばらく沈黙が続く。

 

やがて老人は小さく笑った。

 

「……変わった若者だ。」

 

老人は橋のそばに建つ小屋を指さした。

 

「茶でも飲め。」

 

「橋の話をしてやる。」

 

小屋の中。

 

古びた机。

 

煤けたランタン。

 

壁には何本もの古いツルハシが掛けられていた。

 

僕は思わず立ち止まる。

 

「すごい。」

 

老人は湯飲みにお茶を注ぐ。

 

「わしはガレス。」

 

「閉山してからも。」

 

「ここを見ている。」

 

「管理人ですか?」

 

「そんなものだ。」

 

ガレスは静かに語り始めた。

 

「マーカット鉱山は百年以上掘られた。」

 

「銀。」

 

「鉄。」

 

「少しの魔石。」

 

「町は栄えた。」

 

「でも。」

 

「ある日。」

 

「大きな崩落が起きた。」

 

「それで終わった。」

 

僕は地図を見る。

 

「一番奥ですね。」

 

ガレスは頷いた。

 

「誰も入れなくなった。」

 

「だから閉山した。」

 

「でも。」

 

僕は気になって聞く。

 

「全部掘ったわけじゃないんですよね。」

 

ガレスは少し黙る。

 

そして静かに答えた。

 

「……そうだ。」

 

「掘れなかった。」

 

その一言で。

 

部屋の空気が少し変わった。

 

「なら!」

 

僕は身を乗り出した。

 

「橋を直せば!」

 

「また掘れるかもしれません!」

 

ガレスは笑わなかった。

 

「橋だけじゃない。」

 

「坑道も崩れている。」

 

「空気も悪い。」

 

「道具も足りん。」

 

「簡単な話ではない。」

 

「……。」

 

僕は少し肩を落とす。

 

おっさんが口を開く。

 

「つまり。」

 

「金が掛かる。」

 

ガレスは頷いた。

 

「かなりな。」

 

マクダフが小声で言う。

 

「旦那ぁ。」

 

「今の財布じゃ。」

 

僕も苦笑いした。

 

「うん。」

 

「ツルハシも買えてないし。」

 

ガレスはその言葉を聞き、壁に掛かった一本の古いツルハシを見つめた。

 

「……。」

 

何かを考えているようだった。

 

一方。

 

ポーシャの町。

 

鍛冶屋。

 

「また売れた!」

 

「今日は七本目!」

 

弟子が叫ぶ。

 

親方は頭をかく。

 

「変だな。」

 

「ジョン本人は一本も買ってないのに。」

 

店の外では。

 

商人がツルハシを大量に荷車へ積み込んでいた。

 

「王都へ急げ!」

 

「品切れになるぞ!」

 

ツルハシまで。

 

投機の対象になり始めていた。

 

夜。

 

橋の番小屋。

 

ガレスはランタンを消す前に、小さくつぶやいた。

 

「……あの目だ。」

 

「昔の親方と同じ目をしている。」

 

窓の外では。

 

ジョンが崩れた橋を見つめ続けていた。

 

壊れた橋の向こうにあるのは、ただの鉱山ではない。

 

夢を諦めた者たちが引き返した場所。

 

そして。

 

ジョンだけが「みんなで掘る」という約束を、まだ信じている場所だった。

 

ガレスは静かに壁のツルハシへ目を向ける。

 

「あれを渡す時が……来るかもしれんな。」

 

古びたツルハシは、長い年月を経ても鈍く光っていた。




【あとがき:現在のステータス】

【スキル】
■武器系
刀剣スキル 20
盾スキル 3
戦闘技術スキル 13

■生産系
料理スキル 13

■その他
鑑定スキル 0.3

【所持金】
171G(銀行預け金:250G(銅貨2枚、半銅貨5枚))
財布の中では、ツルハシ一つ買うにも届かない。

ジョン
「やっぱり地道に貯めないと。」
おっさん
「夢はある。金はない。」

【所持アイテム】
???のスクロール 6枚
採掘計画書(「橋の修理方法を探す」を追記)
旧マーカット鉱山の古地図
新しい帳簿 5冊
余り紙
ロープ
水筒
弁当(残り少し)
奴隷のマクダフの野郎
(橋より財布を心配している)
武器破損した剣
???の指輪(バンステ金策で入手)
ゴブリン(テイム)
ケムトレイル群(保護対象)
キュ太郎
(ガレスの古いツルハシをじっと見つめていた)

【投資・契約】
中立共栄大金庫投資案件(ポーシャ支店)
元本:金貨10枚
状態:運用中

ジョン
「橋を直すお金も増えないかな。」
銀行
「契約内容をご確認ください。」
おっさん
「期待だけは無料だ。」

【本日の収支】
なし

ジョン
「今日は話を聞いただけ!」
マクダフ
「情報は増えましたが、財布は軽いままですぜ。」

【M資金速報】
今回の出来事
✅ 崩れた橋は徒歩でも危険と判明
✅ マーカット鉱山の管理人・ガレス登場
✅ 最奥部は「掘り尽くした」のではなく「崩落で掘れなかった」ことが明らかに
✅ ツルハシまで投機対象になり始める
⬜ 橋の修理方法
⬜ ガレスの古いツルハシ
⬜ マーカット鉱山内部への初潜入

※ジョン個人の所持金に変動はありません。
ジョンの一言

ジョン
「まだ終わってない鉱山なんだ!」
おっさん
「終わったと思い込んだ人間が多かっただけかもしれんな。」
マクダフ
「旦那ぁ……あの古いツルハシ、何だか物語の匂いがしますぜ。」
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