異世界金策 一攫千金!〜初心者冒険者必見?転移おっさんの怪しい儲け話Readme.exe〜 作:raixip
朝。
鳥の声で目が覚めた。
番小屋の窓から朝日が差し込んでいる。
「よく眠れたか。」
ガレスさんがお茶を入れていた。
「はい!」
「ありがとうございます。」
僕は頭を下げた。
「今日は橋を調べます。」
ガレスさんは静かに頷く。
「その前に。」
「一つ頼みがある。」
「頼み?」
「森へ薪を取りに行ってくれ。」
「薪?」
思わず聞き返した。
「はい。」
「橋じゃなくて?」
「橋は逃げん。」
「薪は今日いる。」
僕は笑った。
「分かりました!」
「行ってきます!」
マクダフが小声で言う。
「旦那ぁ。」
「試されてますぜ。」
「そうかな?」
「たぶん。」
おっさんは苦笑した。
「まあ。」
「薪くらい拾ってこい。」
森。
カゴを持って歩く。
乾いた枝を一本。
また一本。
「これくらいかな。」
キュ太郎が落ち葉の上を転がる。
「きゅ。」
「遊んでるね。」
その時だった。
ガサッ。
茂みが揺れる。
飛び出してきたのは。
小さな角ウサギだった。
「わぁ。」
「かわいい。」
角ウサギは僕たちを見ると、一目散に逃げていった。
マクダフが残念そうに肩を落とす。
「昼飯が……。」
「ダメだよ。」
「かわいそうだから。」
「旦那ぁは甘いですぜ。」
昼。
番小屋へ戻る。
「持ってきました!」
薪を積み上げる。
ガレスさんは一本ずつ確かめた。
「乾いている。」
「これならよく燃える。」
そう言うと。
初めて少し笑った。
「ありがとう。」
「いえ!」
「簡単でした。」
「簡単なことを。」
「ちゃんとやれる者は少ない。」
僕は意味が分からず首をかしげる。
昼食。
四人でスープを飲む。
ガレスさんが静かに聞いた。
「ジョン。」
「もし鉱山から何も出なかったら。」
「どうする。」
僕は少し考えた。
「また掘ります。」
「出るまで?」
「うん。」
「みんなで考えて。」
「別の場所も探します。」
「M資金を返せと言われたら。」
「説明します。」
「最初から。」
「採掘資金だって言ってました。」
ガレスさんは黙った。
おっさんだけが笑う。
「こいつは。」
「最初から変わらん。」
その頃。
ポーシャ。
商人ギルド。
「ジョン君。」
「まだ帰りませんね。」
受付係が心配そうに言う。
ギルド長は報告書を閉じた。
「現地調査です。」
「時間は掛かるでしょう。」
そこへ一人の商人が飛び込んできた。
「大変だ!」
「どうしました?」
「王都の商会が!」
「『マーカット鉱山復興記念券』を作るらしい!」
部屋が静まり返る。
「……は?」
「まだ。」
「復興してませんよね?」
「してない。」
「橋も渡ってない。」
「でも。」
「記念券だけ先に売るそうです。」
ギルド長は頭を抱えた。
「また始まった……。」
銀行でも同じ報告が届く。
支店長は深いため息をつく。
「今度は記念券か。」
部下が頷く。
「発行元は王都の民間商会です。」
「ジョンとは無関係です。」
「もちろん。」
「本人は知りません。」
支店長は窓の外を見る。
「発行者だけ。」
「一番情報が遅い。」
夕方。
番小屋。
ガレスさんは壁から一本の古びたツルハシを外した。
ジョンへ渡す。
……のではなく。
机の上へ置いた。
「持ってみろ。」
僕は両手で持ち上げる。
「重い。」
見た目よりずっと重かった。
柄は何度も握られた跡がある。
鉄は何度も研がれている。
「長く使われたんですね。」
「四十年だ。」
「すごい。」
「これは。」
「マーカット鉱山で最後まで使われたツルハシだ。」
僕は思わず息をのむ。
「そんな大事な物。」
「僕は買えません。」
ガレスさんは笑った。
「売るとは言っとらん。」
「え?」
「貸すとも。」
「まだ言っとらん。」
僕は首をかしげた。
「じゃあ?」
ガレスさんは静かに立ち上がる。
「明日。」
「橋を見に行く。」
「その時。」
「お前が本当に掘る人間か。」
「最後の答えを出そう。」
ランタンの灯が揺れる。
古びたツルハシの影が。
壁いっぱいに大きく伸びた。
ジョンはまだ知らない。
その一本が。
マーカット鉱山最後の採掘責任者から受け継がれた、唯一の仕事道具だったことを。
【あとがき:現在のステータス】
【スキル】
■武器系
刀剣スキル 20
盾スキル 3
戦闘技術スキル 13
■生産系
料理スキル 13
■その他
鑑定スキル 0.3
【所持金】
171G(銀行預け金:250G(銅貨2枚、半銅貨5枚))
ジョン
「薪拾いも大事な仕事だった!」
おっさん
「仕事は地味な方が信用される。」
【所持アイテム】
???のスクロール 6枚
採掘計画書
旧マーカット鉱山の古地図
新しい帳簿 5冊
余り紙
ロープ
水筒
弁当(食べ切った)
奴隷のマクダフの野郎
(角ウサギを食べ損ねた)
武器破損した剣
???の指輪(バンステ金策で入手)
ゴブリン(テイム)
ケムトレイル群(保護対象)
キュ太郎
(薪の山の上がお気に入り)
ガレスの古いツルハシ(借用前・閲覧のみ)
【投資・契約】
中立共栄大金庫投資案件(ポーシャ支店)
元本:金貨10枚
状態:運用中
ジョン
「帰ったら確認しよう!」
銀行
「契約は継続しております。」
おっさん
「返事も継続中だ。」
【本日の収支】
なし
ジョン
「今日は薪集め!」
マクダフ
「木は拾えましたが、金貨は拾えませんでしたぜ。」
【M資金速報】
今回の出来事
✅ ガレスがジョンを試す
✅ ジョンは変わらず「みんなで掘る」と答える
✅ 王都の商会が勝手に「マーカット鉱山復興記念券」を企画
✅ ガレスが最後のツルハシを見せる
⬜ 橋の現地調査
⬜ ツルハシを託されるか
⬜ マーカット鉱山初潜入
※ジョン個人の所持金に変動はありません。
ジョンの一言
ジョン
「明日は橋をちゃんと見よう!」
おっさん
「ようやく鉱山の入口まで来たな。」
マクダフ
「旦那ぁ、帰る頃には町で『橋完成記念券』まで売られてそうですぜ……。」