異世界金策 一攫千金!〜初心者冒険者必見?転移おっさんの怪しい儲け話Readme.exe〜   作:raixip

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第131話 第七坑道の音

「カン。」

 

また聞こえた。

 

僕たちは鉱山の入口で固まっていた。

 

「カン。」

 

「……近づいてる。」

 

マクダフが僕の服を掴む。

 

「旦那ぁ。」

 

「俺たち、帰った方がよくないですか?」

 

「まだ何もしてないよ。」

 

「だから今なら何も失わずに帰れますぜ。」

 

おっさんがため息をつく。

 

「マクダフ。」

 

「はい。」

 

「お前が一番、金を失いたくないだけだろ。」

 

「当然です。」

 

即答だった。

 

僕は坑道の奥を見る。

 

暗い。

 

明かりをつけても。

 

数メートル先までしか見えない。

 

「ガレスさん。」

 

「どうする?」

 

ガレスさんは古いツルハシを見つめていた。

 

「第七坑道へ行く。」

 

「やっぱり?」

 

「ああ。」

 

「ただし。」

 

「一人では行かん。」

 

僕は頷いた。

 

「みんなで行こう。」

 

ガレスさんが少し笑う。

 

「そうだ。」

 

僕たちはランタンを準備した。

 

ロープを腰に結ぶ。

 

先頭はガレスさん。

 

その後ろに僕。

 

おっさん。

 

最後にマクダフ。

 

キュ太郎は僕の懐。

 

「準備完了。」

 

「行くぞ。」

 

一歩。

 

坑道へ入る。

 

空気が変わった。

 

外より冷たい。

 

湿っている。

 

壁には古い木材が並んでいた。

 

何十年も前の支柱だ。

 

「まだ崩れてない。」

 

僕が感心する。

 

「昔の職人は凄いね。」

 

おっさんが壁を見る。

 

「いや。」

 

「崩れてない方が不思議だ。」

 

「何で?」

 

「これだけ古いのに。」

 

「普通ならもっと傷んでる。」

 

ガレスさんも頷いた。

 

「わしもそう思う。」

 

少し進む。

 

分かれ道があった。

 

左。

 

右。

 

地図を見る。

 

「第七坑道は右。」

 

ガレスさんが指差す。

 

「昔は左も使っていた。」

 

「何のため?」

 

「採掘した鉱石を運ぶ道だ。」

 

僕は左の道を見る。

 

「じゃあ。」

 

「こっちはもう使わない?」

 

「そうだ。」

 

その瞬間。

 

「カン。」

 

左から音がした。

 

僕たちは全員、左を見る。

 

「……。」

 

マクダフが震える。

 

「旦那ぁ。」

 

「今のは。」

 

「左からですぜ。」

 

僕は地図を見る。

 

「でも。」

 

「左は使ってないんだよね?」

 

ガレスさんは答えない。

 

「……そのはずだ。」

 

「そのはず?」

 

「昔は。」

 

「そうだった。」

 

おっさんが眉をひそめる。

 

「嫌な言い方だな。」

 

僕は左の道へ一歩近づく。

 

ガレスさんが止めた。

 

「第七坑道を先に確認する。」

 

「分かった。」

 

僕たちは右へ進んだ。

 

すると。

 

壁に文字があった。

 

古い。

 

けれど読める。

 

『採掘量ではなく、安全を優先せよ』

 

僕は立ち止まった。

 

「これ。」

 

「親方の言葉だ。」

 

ガレスさんが答える。

 

「最後まで貼られていた。」

 

僕はその文字を見ながら。

 

借りたツルハシを握り直した。

 

さらに進む。

 

「カン。」

 

今度は前方。

 

「カン。」

 

近い。

 

「カン。」

 

さらに近い。

 

僕は少し緊張した。

 

そして。

 

角を曲がった。

 

そこには。

 

小さな空間があった。

 

古い作業場だ。

 

木箱。

 

壊れたランタン。

 

壁に掛けられた道具。

 

そして中央に。

 

一人の男がいた。

 

「……。」

 

誰も動かない。

 

男は。

 

ツルハシを持っていた。

 

背中を向けている。

 

「人?」

 

僕が呟く。

 

マクダフが僕の後ろに隠れる。

 

「生きてますかね?」

 

「分からない。」

 

おっさんが小声で答える。

 

僕は一歩近づいた。

 

「こんにちは。」

 

男は動かない。

 

「僕たち。」

 

「鉱山を再開しようと思って来ました。」

 

「……。」

 

反応なし。

 

「マーカット鉱山を。」

 

その瞬間。

 

男の手が動いた。

 

カン。

 

ツルハシが壁に当たる。

 

僕は驚いた。

 

「掘ってる。」

 

カン。

 

カン。

 

一定の間隔。

 

まるで。

 

何かを探しているようだった。

 

「何を掘ってるんですか?」

 

男がゆっくり振り返る。

 

僕は息をのんだ。

 

そこにいたのは。

 

老人だった。

 

顔は泥だらけ。

 

服は古い。

 

けれど。

 

ちゃんと生きている。

 

「……誰だ。」

 

低い声。

 

マクダフが僕の後ろから顔を出す。

 

「人間だ。」

 

「本物ですぜ。」

 

おっさんが呆れる。

 

「見れば分かる。」

 

老人は僕の持っているツルハシを見る。

 

そして。

 

目を見開いた。

 

「それを。」

 

「どこで手に入れた。」

 

僕は答える。

 

「ガレスさんから借りました。」

 

「……ガレス?」

 

老人の表情が変わった。

 

「まだ生きているのか。」

 

ガレスさんが前へ出る。

 

「お前は。」

 

老人が目を細める。

 

「……ガレス。」

 

二人はしばらく見つめ合った。

 

そして。

 

ガレスさんが震える声で言った。

 

「お前。」

 

「死んだと思っていた。」

 

老人は苦笑した。

 

「わしも。」

 

「外ではそうなっていると思っていた。」

 

「どういうこと?」

 

僕には話が分からない。

 

老人は壁際に座った。

 

「わしは。」

 

「最後の採掘隊の一人だ。」

 

「えっ。」

 

ガレスさんが頷く。

 

「名前は?」

 

「バルド。」

 

「バルド……。」

 

ガレスさんが目を閉じる。

 

「お前は。」

 

「崩落の日に行方不明になった。」

 

「そうだ。」

 

バルドさんは壁を見る。

 

「崩落で出口が塞がった。」

 

「だが。」

 

「別の古い坑道につながっていた。」

 

「そこから奥へ抜けた。」

 

僕は驚いた。

 

「じゃあ。」

 

「ずっとここに?」

 

「ああ。」

 

「なぜ帰らなかったんですか?」

 

バルドさんは。

 

少しだけ笑った。

 

「帰れなかった。」

 

「それと。」

 

「ここを離れられなかった。」

 

僕は首をかしげる。

 

「どうして?」

 

バルドさんは。

 

壁の奥を指差した。

 

「まだ。」

 

「鉱石がある。」

 

僕の目が輝く。

 

「本当に?」

 

おっさんが頭を抱える。

 

「そこだけ食いつくな。」

 

バルドさんは笑った。

 

「若いな。」

 

そして。

 

壁に埋まった紫色の鉱石を指差す。

 

「だが。」

 

「問題は鉱石じゃない。」

 

「じゃあ何が?」

 

バルドさんは。

 

坑道のさらに奥を見る。

 

「この山の中には。」

 

「掘ってはいけない場所がある。」

 

その瞬間。

 

キュ太郎が僕の懐から飛び出した。

 

「きゅ。」

 

黒い毛玉が。

 

坑道の奥へ転がっていく。

 

「キュ太郎!」

 

追いかけようとした僕の足元で。

 

地面が。

 

ドン。

 

と揺れた。

 

バルドさんの顔から笑みが消える。

 

「……始まった。」

 

「何が?」

 

バルドさんは答えなかった。

 

奥から。

 

今までとは違う音が響く。

 

カン。

 

カン。

 

カン。

 

そして。

 

その音に混じって。

 

何か巨大なものを引きずるような音が。

 

ズ……。

 

ズ……。

 

と。

 

こちらへ近づいてきた。

 

僕はツルハシを握った。

 

マーカット鉱山の奥で。

 

何かが動いている。




【あとがき:現在のステータス】

【スキル】
■武器系
刀剣スキル 20
盾スキル 3
戦闘技術スキル 13

■生産系
料理スキル 13

■その他
鑑定スキル 0.3

【所持金】
141G(銀行預け金:250G(銅貨2枚、半銅貨5枚))

ジョン
「今日は鉱山に入った!」
おっさん
「金は一円も増えてない。」
マクダフ
「むしろ命の危険が増えましたぜ。」

【所持アイテム】
・???のスクロール 6枚
・採掘計画書
・旧マーカット鉱山の古地図
・マーカット鉱山 最終採掘記録
・謎の紫色の鉱石
・ガレスのツルハシ(借用中)
・第七坑道作業責任者のツルハシ
・中古の斧(30Gで購入)
・新しい帳簿 5冊
・余り紙
・ロープ
・水筒
・奴隷のマクダフの野郎
・武器破損した剣
・???の指輪(バンステ金策で入手)
・ゴブリン(テイム)
・ケムトレイル群
 立場:保護対象
 詳細:不明
・キュ太郎
(勝手に坑道の奥へ進行中)

【投資・契約】
・中立共栄大金庫投資案件(ポーシャ支店)
 元本:金貨10枚
 状態:運用中
 想定利回り:2倍〜5倍(説明ベース)
 詳細:非公開/高リスク

ジョン
「鉱山に来たし、投資もそろそろ確認したい。」
銀行
「運用中でございます。」
おっさん
「便利な言葉だな。」

【M資金】
M資金券は引き続きジョンの手を離れて流通中。

現在では、
・商人同士の決済
・商品の購入
・現金との交換
・転売
・将来の値上がりを期待した保有

などに利用されている。

さらに。
ジョンが知らないところで、M資金券を元にした別の商品まで作られ始めている。

ジョン
「僕、何も作ってないよ?」
おっさん
「市場はお前を待ってない。」
マクダフ
「旦那ぁ。」
「俺もそろそろ一枚くらい勝手に――」
おっさん
「やめろ。」

【本日の収支】
なし

橋を渡り、マーカット鉱山へ到着。
さらに第七坑道へ進入。

そして。
生存していた元採掘隊員バルドと遭遇。

ジョン
「人がいた!」
マクダフ
「幽霊じゃなくて良かったですぜ。」
おっさん
「問題は、あの音だ。」

【今回の進展】
✅ マーカット鉱山へ進入
✅ 第七坑道へ到着
✅ 過去の採掘隊員バルドと遭遇
✅ バルドは崩落事故から生存していた
✅ 第七坑道には大量の紫色の鉱石が存在
✅ バルドが「掘ってはいけない場所」の存在を語る
✅ 坑道奥から新たな異音が発生
✅ キュ太郎が単独で奥へ進行

※ジョン個人の所持金に変動はありません。
ジョンの一言

ジョン
「バルドさんがいるなら、昔の鉱山のことを全部聞けそう!」
おっさん
「その前に、あの奥から来てる音をどうにかしろ。」
マクダフ
「旦那ぁ……俺は昔話より出口の場所を教えてほしいですぜ。」
ジョン
「大丈夫。」
「みんなで帰るんだから。」
マクダフ
「その言葉、今はちょっと怖いですぜ……。」

次回、バルドが語る「掘ってはいけない場所」の正体。そして第七坑道の奥で、何かが動き始める。
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