異世界金策 一攫千金!〜初心者冒険者必見?転移おっさんの怪しい儲け話Readme.exe〜 作:raixip
「カン。」
「カン。」
「カン。」
第七坑道の奥。
あの音は。
まだ続いている。
僕たちは、紫色の鉱脈を前にして立っていた。
壁一面。
紫色。
ランタンの光を反射して。
キラキラしている。
「すごい……。」
僕は思わず近づいた。
「こんなにあるんだ。」
マクダフも目を輝かせる。
「旦那ぁ。」
「これ全部売れたら……。」
「うん。」
僕は頷いた。
「みんなで儲けられる。」
おっさんがすぐに言う。
「その前に。」
「価値を調べろ。」
「あ。」
そうだった。
僕は紫色の鉱石を一つ拾う。
「鑑定。」
【鑑定】
……。
何も表示されない。
「やっぱり駄目だ。」
おっさんが腕を組む。
「鑑定不能。」
「珍しいな。」
「うん。」
僕は鉱石を見る。
「でも。」
「鉱石なんだから。」
「誰か知ってる人に見せればいい。」
「それが問題だ。」
おっさんが奥を見る。
「これだけ大量にあるんだ。」
「情報が漏れたら。」
「一気に人が集まるぞ。」
僕は首をかしげる。
「それなら。」
「みんなで掘ればいいんじゃない?」
「そういうところだよ。」
おっさんがため息をついた。
ガレスさんが壁を調べる。
「この鉱脈。」
「かなり古い。」
「じゃあ。」
「ずっと残ってた?」
「ああ。」
「採掘されていない。」
僕はツルハシを見る。
「じゃあ。」
僕は一歩下がった。
「少しだけ。」
「掘ってみてもいい?」
バルドさんが僕を見る。
「……一度だけなら。」
「本当に?」
「ただし。」
「奥へは行くな。」
僕は頷いた。
「分かった。」
ツルハシを構える。
狙うのは。
小さな紫色の鉱石。
「えいっ!」
ガンッ!
硬い。
もう一度。
ガンッ!
鉱石の周りにヒビが入った。
「もう少し!」
ガンッ!
パキッ。
紫色の鉱石が。
ぽろり。
落ちた。
僕は両手で受け止める。
「取れた!」
「やった!」
マクダフが拍手する。
「採掘成功ですぜ!」
おっさんも苦笑する。
「まあ。」
「一個だけならな。」
僕は鉱石を眺めた。
「これ。」
「いくらだろう?」
その瞬間。
鉱山の奥から。
「ドン!」
地面が揺れた。
僕は鉱石を落としそうになった。
「また?」
ガレスさんが叫ぶ。
「採掘を止めろ!」
「え?」
「今すぐだ!」
僕たちは動きを止める。
静寂。
そして。
「カン。」
「カン。」
「カン。」
音が響く。
今度は。
さらに近い。
バルドさんが青ざめる。
「昔も。」
「これだった。」
「採掘すると。」
「音が近づいてくる。」
僕は握っていた鉱石を見る。
「この石を掘ったから?」
「分からん。」
またそれだ。
でも。
今回は笑えなかった。
「じゃあ。」
「掘らない方がいい?」
バルドさんは答えない。
おっさんが僕の肩を掴む。
「今日はここまでだ。」
「でも。」
「鉱脈がある。」
「分かってる。」
「なら。」
「明日、安全な方法を考える。」
僕は頷いた。
「うん。」
僕たちは作業場へ戻った。
僕は採掘した鉱石を布に包む。
たった一個。
それでも。
僕にとっては大きな一歩だった。
「これを売れば。」
「鉱山の修理費にできるかもしれない。」
ガレスさんが言う。
「その石。」
「売る前に専門家に見せた方がいい。」
「そうだね。」
僕は頷く。
すると。
マクダフが小声で言った。
「旦那ぁ。」
「何?」
「その石。」
「俺が持って帰りましょうか?」
「どうして?」
「大事な物ですから。」
おっさんが即座に口を挟む。
「やめろ。」
「まだ何も言ってませんぜ。」
「顔に書いてある。」
マクダフは笑った。
「そんなことないですぜ。」
「……。」
「本当に。」
「……。」
「ちょっとだけ鑑定してみようかなと思っただけで。」
おっさんが睨む。
「誰に売る気だ。」
マクダフは黙った。
「……。」
「……。」
「旦那ぁ。」
「何?」
「俺の顔に何か付いてます?」
「悪巧みって書いてある。」
「そんな!」
その夜。
僕たちは作業場で休んだ。
僕は帳簿を開く。
今日採掘した鉱石。
一個。
採掘量。
一個。
収入。
まだゼロ。
「まだ売ってないから。」
僕は書き込む。
その横に。
『紫鉱石 一個』
と記録した。
「少しずつ。」
「採掘していけばいい。」
みんなで。
安全に。
そう思っていた。
その頃。
僕たちの知らない町では。
一枚のM資金券が。
商人の手から。
別の商人へ渡っていた。
「これで商品代を払う。」
「M資金券か。」
「今は普通だろ?」
そして。
別の店では。
M資金券を銀貨に交換する人間がいる。
さらに別の場所では。
「マーカット鉱山で新しい鉱脈が見つかったらしい。」
「本当か?」
「なら。」
「M資金券を買っておけ。」
そんな会話まで始まっていた。
僕は。
何も知らない。
僕が掘った紫鉱石は。
まだ一個。
だけど。
その一個をきっかけに。
町の誰かが。
勝手に未来の値段を決め始めていた。
そして翌朝。
僕が起きると。
マクダフがいなかった。
「……あれ?」
おっさんが机を見る。
そこには。
一枚の紙が置かれていた。
『ちょっと用事に行ってきます。』
その下に。
小さく。
『裏M資金について』
と書かれている。
おっさんの顔が引きつった。
「……あいつ。」
僕は首をかしげる。
「裏M資金?」
「知らない。」
「何だろう?」
おっさんは紙を握りつぶした。
「ろくでもないことを始めたな。」
その頃。
マクダフは。
町の裏通りを歩いていた。
「へへへ。」
「旦那には内緒ですぜ。」
その手には。
僕のM資金とは別に作った。
『裏M資金・特別引換券』
が数枚。
そして。
その先には。
マクダフが想像しているより。
ずっと怖い連中が待っていた。
「よう。」
「マクダフさん。」
「いい紙を作りましたねぇ。」
マクダフは笑った。
「そうでしょう?」
だが。
その男は。
さらに笑った。
「これ。」
「あなたから買い取りますよ。」
マクダフの顔が輝く。
「本当ですか?」
「ええ。」
「ただし。」
男は紙を裏返した。
「買い取る条件があります。」
マクダフの笑顔が。
少しだけ消えた。
「……条件?」
そして。
その条件を見た瞬間。
マクダフは。
「……旦那ぁ。」
と。
遠く離れた僕を思い出した。
【あとがき:現在のステータス】
【スキル】
■武器系
刀剣スキル 20
盾スキル 3
戦闘技術スキル 13
■生産系
料理スキル 13
■その他
鑑定スキル 0.3
【所持金】
141G(銀行預け金:250G(銅貨2枚、半銅貨5枚))
ジョン
「今日はお金を使わなかった!」
おっさん
「増えてもいない。」
ジョン
「でも鉱石を一個掘った!」
マクダフ
「旦那ぁ、それ売ってませんぜ。」
【所持アイテム】
・???のスクロール 6枚
・採掘計画書
・旧マーカット鉱山の古地図
・マーカット鉱山 最終採掘記録
・謎の紫色の鉱石
・謎の金属片(鑑定不能)
・採掘した紫色の鉱石 1個
・ガレスのツルハシ(借用中)
・第七坑道作業責任者のツルハシ
・中古の斧(30Gで購入)
・新しい帳簿 5冊
・余り紙
・ロープ
・水筒
・奴隷のマクダフの野郎
・武器破損した剣
・???の指輪(バンステ金策で入手)
・ゴブリン(テイム)
・ケムトレイル群
立場:保護対象
詳細:不明
・キュ太郎
(紫鉱石を見ても特に反応なし)
【投資・契約】
・中立共栄大金庫投資案件(ポーシャ支店)
元本:金貨10枚
状態:運用中
想定利回り:2倍〜5倍(説明ベース)
詳細:非公開/高リスク
ジョン
「鉱石も見つかったし。」
「投資も期待できるかも。」
おっさん
「その二つは別問題だ。」
銀行
「別途、手数料が発生いたします。」
おっさん
「やっぱりな。」
【M資金】
M資金券は引き続きジョンの手を離れて流通中。
現在では。
・商人の決済
・商品との交換
・現金との交換
・転売
・投資
などに利用されている。
さらに。
「マーカット鉱山復興記念券」
まで登場。
そして今回。
マーカット鉱山に新たな紫色の鉱脈が存在することが判明。
その情報が。
ジョンの知らないところで広まり始めている。
M資金券を。
「将来値上がりするかもしれない紙」
として買う者まで現れ始めた。
ジョン
「採掘するための券なんだけどな。」
おっさん
「もう誰も採掘の話をしてない。」
【本日の収支】
なし
紫色の鉱石を一個採掘。
まだ売却していないため、ジョン個人の所持金に変動はありません。
ジョン
「一個目!」
おっさん
「一個目だな。」
マクダフ
「売れば金になるかもしれませんぜ。」
【今回の進展】
✅ 紫色の鉱脈から初めて採掘
✅ 紫色の鉱石を1個入手
✅ 採掘すると坑道の振動が発生
✅ 採掘音がさらに近づく
✅ 紫色の鉱石の価値はまだ不明
✅ M資金券が投資対象として扱われ始める
✅ マーカット鉱山の情報が町へ流れ始める
✅ マクダフが勝手に「裏M資金・特別引換券」を作る
✅ マクダフが裏社会へ接触
✅ マクダフが何かの条件を提示される
ジョンの一言
ジョン
「紫色の鉱石が売れたら、採掘道具をもっと揃えられる!」
おっさん
「その前に安全を考えろ。」
マクダフ
「旦那ぁ。」
「俺、ちょっと町まで行ってきますぜ。」
ジョン
「何しに?」
マクダフ
「……。」
「ちょっとした金策ですぜ。」
おっさん
「絶対ろくなことじゃない。」
次回。
マクダフの「裏M資金」が、ついに裏社会の手に渡る。
そして。
その条件とは――。