異世界金策 一攫千金!〜初心者冒険者必見?転移おっさんの怪しい儲け話Readme.exe〜 作:raixip
「……条件?」
マクダフは目の前の男を見た。
男は笑っている。
いや。
笑っているというより。
楽しんでいる。
「そうです。」
「この券を買い取る条件ですよ。」
マクダフは手元の紙を見る。
【裏M資金・特別引換券】
自分で作った。
自分だけが儲かるつもりだった。
「いくらで買ってくれるんです?」
「一枚、五十G。」
「五十G!」
マクダフの目が輝いた。
一枚作るのに。
ほとんど金はかかっていない。
「それなら!」
「全部売りますぜ!」
「もちろん。」
男は笑った。
「条件を飲んでくれれば。」
「どんな条件です?」
男は紙を一枚差し出した。
そこには。
細かい文字がびっしり書かれている。
マクダフは読む。
三行目で止まった。
五行目で眉をひそめる。
十行目で。
「……。」
無言になった。
「どうしました?」
「これ。」
「俺が損する場合もあるんですか?」
男は笑った。
「商売ですから。」
「……。」
マクダフは紙を見つめる。
そして。
「旦那ぁ……。」
小さく呟いた。
その頃。
僕は鉱山にいた。
「もう一回だけ。」
ツルハシを構える。
ガレスさんが止める。
「ジョン。」
「何?」
「昨日の振動を忘れたか。」
「覚えてるよ。」
「なら。」
「慎重にやれ。」
「うん。」
僕は紫色の鉱脈を見る。
一個だけ。
少しだけ。
ガンッ。
音が響く。
ガンッ。
ヒビが入る。
ガンッ。
紫色の鉱石が落ちた。
「取れた!」
二個目。
僕は嬉しくなる。
「これで二個。」
おっさんが言う。
「採掘量としては少ないな。」
「でも。」
「最初はこんなものでしょ。」
僕は鉱石を帳簿に記録する。
紫鉱石 二個
その時。
「ドン。」
地面が揺れた。
僕はツルハシを止めた。
「……まただ。」
ガレスさんが顔を上げる。
「昨日より大きい。」
バルドさんが壁に手を当てる。
「……近づいている。」
「何が?」
「音の主だ。」
その瞬間。
坑道の奥から。
「カン。」
「カン。」
「カン。」
採掘音が響いた。
一回。
二回。
三回。
そして。
ピタッ。
止まった。
「……。」
静かだ。
誰も喋らない。
僕は耳を澄ます。
何も聞こえない。
「行ってみる?」
おっさんが僕を見る。
「やめろ。」
「でも。」
「昨日より近いんだ。」
「だからだ。」
僕は少し考える。
確かに。
何がいるのか分からない。
無理に進む必要はない。
「じゃあ。」
「今日はここまで?」
「それがいい。」
僕は頷いた。
だが。
バルドさんが突然。
「待て。」
と言った。
「何?」
バルドさんは。
僕たちが採掘した場所を見る。
「鉱石が。」
「どうしたの?」
「増えている。」
「え?」
僕たちは壁を見る。
さっきまで。
紫色の鉱石は二つ。
今は。
三つ。
いや。
四つ。
「……。」
僕は目を疑った。
「さっき。」
「こんなにあった?」
ガレスさんが首を振る。
「なかった。」
おっさんが近づく。
「つまり。」
「採掘した場所から。」
「新しい鉱石が出てきた?」
バルドさんが答える。
「そう見える。」
僕は驚いた。
「じゃあ。」
「掘れば掘るほど増える?」
おっさんが即座に言う。
「まだ決めつけるな。」
僕は壁を見つめる。
これは。
ものすごい金策になるかもしれない。
でも。
同時に。
ものすごく危険な気もする。
その夜。
僕は帳簿に新しい項目を書いた。
紫鉱石
採掘数。
二個。
残存確認。
多数。
増加現象。
不明。
「分からないことだらけだ。」
僕が呟く。
おっさんが横から見る。
「この世界。」
「分からないことを金にしようとする奴が多すぎる。」
「そうかな?」
「お前も含めてな。」
「僕は採掘するだけだよ。」
「それが一番怖いんだ。」
一方。
町。
マクダフは。
まだ裏路地にいた。
「……この条件。」
「どうします?」
男が聞く。
マクダフは悩む。
一枚五十G。
十枚なら五百G。
百枚なら五千G。
これは。
かなり儲かる。
しかし。
条件を見る。
裏M資金の交換に関する責任は発行者が負う。
「……。」
マクダフは冷や汗をかいた。
「俺が発行者。」
「そうですね。」
「つまり。」
「何かあったら?」
男は笑顔のまま答えた。
「あなたが責任を取ります。」
「……。」
マクダフは。
紙をそっと机に置いた。
「やめます。」
「そうですか。」
「はい。」
「残念ですね。」
男はあっさり言った。
そして。
別の紙を取り出す。
「では。」
「こちらはいかがです?」
マクダフが見る。
そこには。
『裏M資金・代理販売契約』
と書いてあった。
「代理?」
「あなたは発行者ではありません。」
「では?」
「販売するだけ。」
マクダフの目が輝いた。
「責任は?」
「契約上。」
「我々が負います。」
「本当に?」
「ええ。」
マクダフは笑った。
「それなら。」
「やりますぜ!」
男も笑った。
「ありがとうございます。」
こうして。
マクダフは。
自分が一番安全な立場になったと思った。
だが。
契約書の最後には。
小さな文字で。
『販売者は販売数量に応じた保証金を支払うものとする』
と書かれていた。
マクダフは。
まだ気づいていない。
翌朝。
僕が目を覚ますと。
鉱山の入口に。
見知らぬ商人が立っていた。
「ジョンさんですね?」
「はい。」
「マーカット鉱山の採掘責任者だとか。」
「え?」
「少し。」
商人は笑った。
「お話をしたいのですが。」
僕は首をかしげる。
「何の話ですか?」
商人は。
一枚の紙を取り出した。
「M資金についてです。」
僕は固まった。
「……M資金?」
僕が鉱山にいる間にも。
僕の知らないところで。
話はどんどん進んでいた。
そして。
その商人が次に口にした言葉は。
僕が予想もしないものだった。
「マーカット鉱山の採掘権。」
「買わせていただけませんか?」
僕は。
思わずツルハシを握り直した。
【あとがき:現在のステータス】
【スキル】
■武器系
刀剣スキル 20
盾スキル 3
戦闘技術スキル 13
■生産系
料理スキル 13
■その他
鑑定スキル 0.3
【所持金】
141G(銀行預け金:250G(銅貨2枚、半銅貨5枚))
ジョン
「今日もお金を使わなかった!」
おっさん
「増えてもいない。」
ジョン
「でも紫鉱石が二個になった!」
マクダフ
「旦那ぁ、まだ売ってませんぜ。」
【所持アイテム】
・???のスクロール 6枚
・採掘計画書
・旧マーカット鉱山の古地図
・マーカット鉱山 最終採掘記録
・謎の紫色の鉱石
・謎の金属片(鑑定不能)
・採掘した紫色の鉱石 2個
・ガレスのツルハシ(借用中)
・第七坑道作業責任者のツルハシ
・中古の斧(30Gで購入)
・新しい帳簿 5冊
・余り紙
・ロープ
・水筒
・奴隷のマクダフの野郎
・武器破損した剣
・???の指輪(バンステ金策で入手)
・ゴブリン(テイム)
・ケムトレイル群
立場:保護対象
詳細:不明
・キュ太郎
(今日も何も知らない顔をしている)
【投資・契約】
・中立共栄大金庫投資案件(ポーシャ支店)
元本:金貨10枚
状態:運用中
想定利回り:2倍〜5倍(説明ベース)
詳細:非公開/高リスク
ジョン
「鉱山の価値が上がれば。」
「投資も増えるかな?」
おっさん
「だから別問題だ。」
銀行
「別途、手数料が発生いたします。」
おっさん
「知ってる。」
【M資金】
M資金券は引き続きジョンの手を離れて流通中。
現在では。
商人の決済。
商品の購入。
現金との交換。
転売。
投資。
さらに。
「マーカット鉱山復興記念券」
まで流通。
そして今回。
マーカット鉱山に紫色の鉱脈が存在するという情報が、外部へ流れ始めた。
その結果。
M資金券を。
「将来の採掘利益に関係する紙」
として見る者まで現れ始めている。
ジョン
「僕はまだ何も配当するとか言ってないけど。」
おっさん
「言ってないから問題なんだ。」
【本日の収支】
なし
紫色の鉱石を追加で1個採掘。
ジョン個人の所持金に変動はありません。
ジョン
「少しずつ増えてる!」
マクダフ
「鉱石は増えてますが、金は増えてませんぜ。」
【今回の進展】
✅ 紫色の鉱石を追加で1個採掘
✅ 採掘後に鉱脈が増えているような現象を確認
✅ 第七坑道の採掘音がさらに接近
✅ マクダフが勝手に「裏M資金」を売り込む
✅ マクダフが代理販売契約を結ぶ
✅ 契約には保証金が必要と判明
✅ M資金関連の情報がさらに外部へ流出
✅ 商人がマーカット鉱山の採掘権購入を持ちかけてくる
ジョンの一言
ジョン
「採掘権?」
「僕はまだ売るなんて言ってないよ?」
おっさん
「そこが問題だ。」
マクダフ
「旦那ぁ……。」
「俺も似たような話を聞いた気がしますぜ。」
おっさん
「お前は何をしてる。」
マクダフ
「……。」
「ちょっとした金策ですぜ。」
次回、マーカット鉱山の採掘権を巡って商人が提示した金額とは。そして、ジョンが知らないところでM資金の価値がまた動き始める。