異世界金策 一攫千金!〜初心者冒険者必見?転移おっさんの怪しい儲け話Readme.exe〜 作:raixip
「ドン!」
壁の向こうから。
大きな音が響いた。
僕は思わず一歩下がる。
「今の。」
「かなり近いな。」
おっさんが答える。
マクダフは。
僕の後ろに隠れている。
「旦那ぁ。」
「何?」
「俺。」
「前に出るのは反対ですぜ。」
「どうして?」
「怖いからです。」
「正直だね。」
「命は大事ですから。」
おっさんが呆れた顔をする。
「お前の場合。」
「金のためなら命を忘れるだろ。」
「それとこれとは別ですぜ。」
キュ太郎が。
僕の懐から顔を出す。
「きゅ……。」
いつもの鳴き声より。
小さい。
僕は頭を撫でる。
「大丈夫だよ。」
「きゅ。」
でも。
キュ太郎は。
壁を見たままだ。
僕は少し不安になった。
「おっさん。」
「何だ?」
「キュ太郎が怖がってる。」
「……。」
おっさんは答えない。
ただ。
壁を見ている。
「なら。」
「なおさら慎重にするぞ。」
「うん。」
僕たちは。
少し離れて様子を見ることにした。
しばらく。
何も起きない。
「……。」
「……。」
静かだ。
すると。
「カン。」
一回。
「カン。」
二回。
「カン。」
三回。
また。
掘削音が聞こえた。
しかし。
今回は違う。
音が。
こちらへ向かっていない。
横へ進んでいる。
「方向が変わった?」
僕が言う。
ガレスさんが耳を澄ます。
「そう聞こえる。」
「何を掘ってるんだろう?」
「分からない。」
まただ。
この鉱山は。
分からないことばかりだ。
僕は。
壁に近づく。
「ジョン。」
おっさんが止める。
「近づきすぎるな。」
「分かった。」
僕は少し離れた場所から。
壁を見る。
すると。
小さな穴が開いていることに気づいた。
「ここ。」
「何だ?」
「穴がある。」
直径は。
指一本分くらい。
僕が覗き込もうとすると。
おっさんが止める。
「待て。」
「何?」
「向こうから見られてるかもしれない。」
「……。」
僕は。
穴から顔を離した。
確かに。
そうかもしれない。
その時。
穴の向こうで。
何かが動いた。
「!」
僕は飛び退いた。
「何かいた!」
マクダフが叫ぶ。
「来ましたか!?」
「まだ来てない!」
「じゃあ俺は帰ります!」
「落ち着け!」
穴の向こう。
暗闇。
何も見えない。
僕は。
少し離れて見る。
すると。
小さな影が。
ゆっくり動いた。
「誰かいますか?」
僕が声をかける。
返事はない。
もう一度。
「誰かいるなら。」
「話をしませんか?」
沈黙。
そして。
穴の向こうから。
「……誰だ。」
声がした。
僕たちは。
全員固まった。
「しゃべった。」
マクダフが小声で言う。
「人間?」
おっさんが聞く。
僕は。
穴へ向かって答える。
「僕はジョン。」
「冒険者です。」
「ここで鉱山を掘っています。」
少し間があった。
「……ジョン?」
「はい。」
「M資金のジョンか?」
「え?」
僕は。
目を丸くした。
「なんで知ってるの?」
おっさんが。
僕を見る。
「そこだ。」
「何が?」
「地下にいる奴が。」
「M資金を知ってる。」
僕は考える。
「……有名になったのかな?」
おっさんが額を押さえる。
「そこじゃない。」
穴の向こうから。
また声がする。
「鉱山を掘っているのか?」
「うん。」
「何のために?」
「鉱石を売って。」
「みんなで儲けるため。」
沈黙。
「……。」
「どうしたの?」
「変な奴だな。」
「よく言われる。」
マクダフが頷く。
「確かに。」
「お前は黙ってろ。」
僕は聞いた。
「あなたたちは何人いるの?」
「……。」
「何を掘ってるの?」
「……。」
「地上へ出るって書いてあったけど。」
「……。」
今度は。
長い沈黙。
そして。
「我々は。」
「ここから出なければならない。」
「どうして?」
「時間がない。」
僕は眉をひそめた。
「何か危険なの?」
「違う。」
「では?」
「地上へ出ないと。」
「間に合わない。」
「何に?」
返事はなかった。
その代わり。
「カン。」
「カン。」
「カン。」
音が響く。
僕は思わず。
「手伝おうか?」
と言った。
おっさんが。
「おい。」
と止める。
でも。
穴の向こうから。
「……手伝う?」
初めて。
声に反応があった。
「うん。」
僕は答える。
「僕たちも採掘してるから。」
「一緒に掘れば早いよ。」
「……。」
「どうかな?」
しばらくして。
穴の向こうから。
小さな声。
「それなら。」
「頼みがある。」
「何?」
「我々が地上へ出る前に。」
「そのM資金を。」
「少し分けてほしい。」
僕は首をかしげる。
「M資金?」
「そうだ。」
「採掘資金なんだから。」
「使っていいよ。」
おっさんが叫んだ。
「ジョン!」
「何?」
「簡単に渡すな!」
「でも採掘するんだよ?」
「そういう問題じゃない!」
その直後。
穴の向こうから。
「違う。」
声がした。
「我々が欲しいのは。」
「採掘資金ではない。」
「え?」
「地上へ出た時に使える。」
「信用だ。」
僕は。
意味が分からなかった。
おっさんだけが。
表情を変えた。
「……信用。」
「そうだ。」
「この世界では。」
「紙に書かれた数字より。」
「その紙を誰が保証するかが重要だ。」
「……。」
僕は。
M資金券を思い出した。
百G。
千G。
五千G。
いろんな人が勝手に使っている。
「それなら。」
僕は言った。
「僕が保証すればいい?」
おっさんが。
ものすごい勢いで振り向いた。
「ジョン。」
「それだけはやめろ。」
「でも。」
「絶対にやめろ。」
その瞬間。
穴の向こうから。
笑い声が聞こえた。
「……やはり。」
「地上の人間は。」
「簡単に信用を与える。」
僕は。
少し嫌な感じがした。
「あなたたち。」
「僕を利用するつもり?」
沈黙。
そして。
「そうかもしれない。」
正直だった。
僕は。
逆に困った。
「正直だね。」
おっさんが呟く。
「そこだけは評価していい。」
すると。
突然。
「ゴゴゴゴ……。」
坑道全体が揺れた。
壁の亀裂が広がる。
「危ない!」
僕たちは下がる。
そして。
壁の一部が。
崩れた。
ドサッ。
砂煙が舞う。
その向こう。
小さな空間が現れた。
そこには。
ツルハシを持った人間が。
三人。
いや。
四人。
立っていた。
全員。
泥だらけ。
そして。
その中央にいた男が。
僕を見る。
「……やっと会えたな。」
「ジョン。」
僕は。
思わず聞いた。
「僕のこと。」
「どうして知ってるの?」
男は。
ゆっくり笑った。
「お前のM資金は。」
「地下にも届いている。」
僕は。
言葉を失った。
そして。
男の後ろにあるものを見て。
さらに驚いた。
そこには。
大量のM資金券が。
山のように積まれていた。
「……それ。」
「どうしてそんなに?」
男は答えた。
「買った。」
「誰から?」
「地上の商人からだ。」
おっさんが。
低い声で言った。
「もう。」
「地下にまで流れてるのか……。」
僕は。
ただ。
大量の紙を見つめるしかなかった。
【あとがき:現在のステータス】
【スキル】
■武器系
刀剣スキル 20
盾スキル 3
戦闘技術スキル 13
■生産系
料理スキル 13
■その他
鑑定スキル 0.3
【所持金】
141G(銀行預け金:250G(銅貨2枚、半銅貨5枚))
ジョン
「今日もお金を使わなかった!」
おっさん
「増えてもいない。」
ジョン
「でも地下の人たちに会えた!」
マクダフ
「旦那ぁ。」
「俺は会わなくてもよかったですぜ。」
【所持アイテム】
・???のスクロール 6枚
・採掘計画書
・旧マーカット鉱山の古地図
・マーカット鉱山 最終採掘記録
・謎の紫色の鉱石
・謎の金属片(鑑定不能)
・採掘した紫色の鉱石 2個
・新しく発見した謎の金属片(鑑定不能)
・『採掘は順調です。予定通り、地上へ出ます』と書かれた紙
・ガレスのツルハシ(借用中)
・第七坑道作業責任者のツルハシ
・中古の斧(30Gで購入)
・新しい帳簿 5冊
・余り紙
・ロープ
・水筒
・奴隷のマクダフの野郎
・武器破損した剣
・???の指輪(バンステ金策で入手)
・ゴブリン(テイム)
・ケムトレイル群
立場:保護対象
詳細:不明
・キュ太郎
(地下の人間を見ても、まだ警戒中)
【投資・契約】
・中立共栄大金庫投資案件(ポーシャ支店)
元本:金貨10枚
状態:運用中
想定利回り:2倍〜5倍(説明ベース)
詳細:非公開/高リスク
ジョン
「鉱山がもっと儲かれば。」
「投資も増えるかな?」
おっさん
「今は地下の連中の方が問題だ。」
銀行
「別途、手数料が発生いたします。」
おっさん
「今それを言うか。」
【M資金】
M資金券は引き続きジョンの手を離れて流通中。
・商人の決済
・商品の購入
・現金との交換
・転売
・投資
などに利用されている。
さらに。
「マーカット鉱山復興記念券」
などの派生券も登場。
そして今回。
なんとM資金券が。
地下で採掘を行っている人間たちの手にまで渡っていた。
ジョンが知らないところで。
M資金券は。
地上から地下へ。
地下から地上へ。
すでに単なる採掘資金ではなく。
「信用そのもの」
として扱われ始めている。
ジョン
「僕の紙が地下まで行ってた。」
おっさん
「笑ってる場合じゃない。」
【本日の収支】
なし
採掘による収入なし。
ジョン個人の所持金に変動はありません。
【今回の進展】
✅ 地下の採掘者と接触
✅ 地下には複数の採掘者が存在
✅ 地下の採掘者はM資金を知っている
✅ 地下の採掘者が「信用」を求めていることが判明
✅ 地下の採掘者が地上へ出ようとしている
✅ M資金券が地下にまで流通していることが判明
✅ 地下の採掘者が大量のM資金券を保有
✅ キュ太郎が地下の存在を警戒
✅ マーカット鉱山の問題がさらに大きくなる
ジョンの一言
ジョン
「地下にもM資金があるなら。」
「みんなで採掘できるかもしれない!」
おっさん
「そこから離れろ。」
マクダフ
「旦那ぁ。」
「俺はもう何が何だか分かりませんぜ。」
次回、地下採掘者たちがついに地上へ出る。その時、M資金券を持った彼らが町へ何をもたらすのか――。