異世界金策 一攫千金!〜初心者冒険者必見?転移おっさんの怪しい儲け話Readme.exe〜 作:raixip
第零坑道で。
ジョンたちは。
元採掘者のガレスと再会した。
ガレスは。
マーカット鉱山の過去を知る人物だった。
かつて。
この鉱山では。
紫色の鉱石が大量に採掘されていた。
しかし。
当時は価値が分からず。
一部は保管されたものの。
その後。
マーカット鉱業共同社によって。
大量の鉱石が持ち出された。
会社は倒産。
鉱石の行方も分からなくなった。
そして。
過去のマーカット鉱山には。
採掘権や鉱石の持分を証券化する仕組みも存在していた。
これは。
現在ジョンが流通させているM資金とは別物だが。
「将来の価値を紙にする」
という点では。
似た仕組みだった。
そして。
その古い権利を巡って。
現在も動いている者たちがいる。
ジョンたちは。
ついに。
マーカット鉱山の採掘権原簿を発見した。
しかし。
原簿が入った箱には。
不可解な仕掛けがあった。
キュ太郎が箱を叩くと。
中から。
カン、カン、カン。
という音が返ってきた。
さらに。
箱には。
『所有者を選定します』
という文字が浮かび上がった。
マーカット鉱山の所有者は。
人間が決めるのではなく。
この原簿自身が。
決めようとしているのか。
そして。
箱の中から聞こえる。
「カン、カン、カン」
の正体とは。
「権利書?」
僕は。
目の前の男を見る。
煤で顔が真っ黒になった男。
胸には。
古い鉱山章。
「そうだ。」
男は答えた。
「鉱石ではない。」
「俺が探しているのは権利書だ。」
「なんで?」
僕が聞く。
男は。
少しだけ笑った。
「この鉱山では。」
「鉱石そのものより。」
「採掘する権利の方が価値があるからだ。」
「なるほど。」
僕は。
床一面にある紫色の鉱石を見る。
確かに。
これだけあるなら。
誰だって欲しくなる。
おっさんが。
男の顔をじっと見る。
「お前。」
「何者だ?」
「元採掘者だ。」
「名前は?」
「ガレス。」
「ガレス?」
僕は。
驚いた。
その名前には。
覚えがある。
「じゃあ。」
僕は。
荷物を見る。
そこには。
借りているツルハシ。
ガレスのツルハシ。
「これ。」
僕は。
ツルハシを持ち上げる。
「あなたの?」
ガレスが。
目を丸くした。
「……まだ使っていたのか。」
「うん。」
「そうか。」
ガレスは。
少し嬉しそうに笑った。
「なら。」
「そのツルハシも喜んでいるだろう。」
マクダフが。
横から口を挟む。
「旦那ぁ。」
「ツルハシが喜ぶんですかい?」
「気持ちの問題だ。」
「なるほど。」
おっさんが。
呆れた顔をする。
「お前ら。」
「話を進めろ。」
ガレスは。
古い紙を取り出した。
「これを見てくれ。」
僕は。
受け取る。
古い。
かなり古い紙だ。
そこには。
採掘権について書かれている。
「採掘権証書?」
「そうだ。」
「昔のものだ。」
おっさんが。
横から覗き込む。
「……かなり古いな。」
「マーカット鉱山がまだ正式に閉鎖される前のものだ。」
僕は。
紙を読む。
でも。
難しい言葉が多い。
「おっさん。」
「読んで。」
「俺は異世界人だから。」
「こういう古文書は得意だと思うなよ。」
「異世界人なのに?」
「異世界人だからって。」
「古代文字が読めるわけじゃない。」
マクダフが。
小声で言う。
「旦那ぁ。」
「おっさんは便利な異世界人じゃないんですかい?」
「お前。」
「俺を何だと思ってる。」
ガレスが。
説明を続ける。
「昔。」
「この鉱山では。」
「紫色の鉱石が大量に採掘された。」
「今と同じ?」
「そうだ。」
「でも。」
「当時は価値が分からなかった。」
「じゃあ。」
「捨ててたの?」
「一部はな。」
「だが。」
「全部ではない。」
ガレスは。
古い地図を広げる。
「この第零坑道。」
「ここに。」
「採掘した鉱石を保管する場所があった。」
「保管してたの?」
「将来。」
「価値が分かる日が来るかもしれない。」
「そう考えた者がいた。」
僕は。
少し感心した。
「先を考えてたんだ。」
「そうだ。」
おっさんが。
腕を組む。
「だが。」
「問題はその後だな。」
ガレスが。
頷く。
「保管されていた鉱石は。」
「いつの間にか。」
「大量に持ち出された。」
「誰が?」
「マーカット鉱業共同社。」
「その会社は?」
「倒産した。」
「じゃあ。」
「鉱石は?」
「行方不明だ。」
「……。」
僕は。
紫色の鉱石を見る。
「この鉱山。」
「昔から大変だったんだね。」
おっさんが。
苦笑する。
「お前。」
「妙に他人事だな。」
「だって。」
僕は。
この世界で生まれ育った。
マーカット鉱山の話も。
最近知ったばかりだ。
僕にとっては。
目の前で起きていることの方が重要だった。
「今。」
「ここに鉱石があるなら。」
「掘ればいいんじゃない?」
ガレスが。
苦笑した。
「そう簡単ではない。」
「どうして?」
「採掘する権利が問題だからだ。」
「採掘権?」
「そうだ。」
ガレスは。
一枚の古い証券を取り出した。
「これが。」
「昔の採掘権証券だ。」
僕は。
それを見る。
「……。」
どこか。
今のM資金券に似ている。
数字。
持分。
権利。
そして。
将来の利益についての記述。
おっさんも。
眉をひそめる。
「確かに。」
「M資金の原型みたいに見えるな。」
「でも。」
僕が言う。
「これは僕が作ったM資金とは別だよね?」
「当然だ。」
おっさんが答える。
「お前がこの世界で始めたM資金と。」
「昔から存在していた証券は別物だ。」
「そっか。」
少し安心した。
ガレスは。
さらに一枚の紙を取り出した。
「だが。」
「ここからが重要だ。」
「何?」
「この証券には。」
「ある権利が付いている。」
「どんな?」
ガレスが。
紙の裏を見せる。
そこには。
小さな文字があった。
『採掘権を有する者は、第零坑道に保管された鉱石について、その持分を有する』
「つまり。」
僕が言う。
「採掘権を持っている人は。」
「ここにある鉱石の権利も持ってる?」
「そういうことだ。」
おっさんが。
難しい顔をする。
「だから。」
「古い証券を探している奴がいるのか。」
「はい。」
ガレスが。
頷く。
「この鉱山の権利を。」
「まとめて手に入れようとしている者がいる。」
「誰?」
僕が聞く。
ガレスは。
坑道の入口を見る。
「……さっきから。」
「追ってきている。」
「え?」
その瞬間。
外から。
足音が聞こえた。
「来たぞ!」
「こっちだ!」
「原簿を探せ!」
マクダフが。
青ざめる。
「旦那ぁ。」
「やっぱり追ってきてますぜ。」
おっさんが。
小声で言う。
「ジョン。」
「どうする?」
僕は。
考える。
でも。
その前に。
キュ太郎が。
僕の肩から飛び降りた。
「きゅ!」
「キュ太郎?」
キュ太郎は。
石室の奥へ走る。
そして。
さっきの箱の前で止まった。
僕たちも。
そちらを見る。
そこには。
頑丈な箱がある。
箱には。
こう書かれている。
『マーカット鉱山・採掘権原簿』
「原簿?」
僕は。
近づく。
「これが?」
ガレスが。
驚く。
「そんな場所に……。」
「知ってたんじゃないの?」
「いや。」
「俺も知らなかった。」
おっさんが。
箱を見る。
「待て。」
「何?」
「横に文字がある。」
僕も見る。
小さな文字。
『原簿を開いた者は、現在の所有権を承認したものとする。』
「……。」
僕は。
手を止めた。
「開けたら。」
「所有者が決まるの?」
「そういう意味に見えるな。」
おっさんが。
慎重に答える。
「だが。」
「この文章だけじゃ。」
「誰の所有権を承認するのか分からない。」
「じゃあ。」
「罠?」
「可能性はある。」
僕は。
箱を見る。
「でも。」
「ここに置いておいたら。」
「誰かに取られるよね?」
「それはそうだ。」
「じゃあ。」
僕は。
箱を持ち上げる。
「おい!」
おっさんが。
驚く。
「ジョン!」
「何?」
「開けるなと言ったんだ!」
「開けてないよ。」
「そういう問題じゃない!」
マクダフが。
感心したように言う。
「旦那ぁ。」
「相変わらず大胆ですな。」
「だって。」
「持って行った方が安全じゃない?」
「……。」
おっさんが。
黙る。
「理屈だけなら。」
「間違ってはいない。」
その時。
石室の入口に。
人影が現れた。
「そこまでだ。」
僕は。
振り返る。
昨日。
僕たちの前に現れた。
あの貴族だった。
その後ろには。
数人の男たち。
「その箱を渡してもらおう。」
僕は。
箱を抱えたまま。
聞く。
「どうして?」
貴族は。
笑った。
「それは。」
「この鉱山の正当な所有権を証明するためだ。」
「あなたが所有者なの?」
「そうなる予定だ。」
「予定?」
僕は。
首をかしげる。
「まだ所有者じゃないの?」
貴族の笑顔が。
少しだけ固まった。
「……君は。」
「余計なことを聞くな。」
おっさんが。
僕の前に立つ。
「つまり。」
「こいつもまだ所有者じゃない。」
「その通りだ。」
ガレスが。
呟く。
「なら。」
「やはり原簿が必要になる。」
貴族が。
一歩前へ出る。
「ジョン。」
「その箱を渡せ。」
「嫌だ。」
即答した。
「なぜだ?」
「だって。」
僕は。
箱を見る。
「これ。」
「マーカット鉱山のものなんでしょ?」
「そうだ。」
「じゃあ。」
「誰のものか決まってないなら。」
「勝手に渡せないよ。」
おっさんが。
一瞬。
僕を見る。
「……。」
「どうしたの?」
「いや。」
「お前も。」
「少しは成長したなと思ってな。」
「何それ?」
マクダフが。
笑う。
「旦那ぁ。」
「今のは褒め言葉ですぜ。」
貴族の表情が。
変わった。
「ならば。」
「力ずくで。」
男たちが。
前へ出る。
僕は。
箱を置く。
ツルハシを握る。
おっさんも。
構える。
ガレスも。
古いツルハシを手に取った。
マクダフは。
一歩後ろへ下がる。
「旦那ぁ。」
「俺は交渉担当ってことで。」
「逃げる気だろ。」
「交渉とは。」
「安全な場所からするもんですぜ。」
「お前な……。」
その時。
キュ太郎が。
突然。
箱の上へ飛び乗った。
「きゅ!」
そして。
箱を。
前足で叩いた。
カン。
カン。
カン。
すると。
箱の中から。
同じ音が返ってきた。
「……?」
僕たちは。
顔を見合わせる。
おっさんが。
呟く。
「中に。」
「何かいる?」
「箱の中に?」
僕が。
耳を近づける。
すると。
確かに。
微かな音が聞こえた。
カン。
カン。
カン。
まるで。
箱の中から。
誰かが。
合図を送っているようだった。
そして。
箱の蓋に。
新しい文字が浮かび上がる。
『所有者を選定します』
「……。」
僕は。
思わず。
箱から手を離した。
どうやら。
この原簿。
ただの帳簿では。
なさそうだった。
【あとがき:現在のステータス】
【スキル】
■武器系
刀剣スキル 20
盾スキル 3
戦闘技術スキル 13
■生産系
料理スキル 13
■その他
鑑定スキル 0.3
【所持金】
141G(銀行預け金:250G(銅貨2枚、半銅貨5枚))
ジョン
「今日もお金を使わなかった!」
おっさん
「増えてもいない。」
ジョン
「でも。」
「採掘権原簿を見つけた!」
マクダフ
「旦那ぁ。」
「それ。」
「普通の帳簿じゃありませんぜ。」
【所持アイテム】
・???のスクロール 6枚
・採掘計画書
・旧マーカット鉱山の古地図
・マーカット鉱山 最終採掘記録
・謎の紫色の鉱石
・謎の金属片(鑑定不能)
・採掘した紫色の鉱石 2個
・新しく発見した謎の金属片(鑑定不能)
・『採掘は順調です。予定通り、地上へ出ます』と書かれた紙
・新M資金・マーカット鉱山復興応援券 1枚
・第零坑道採掘許可証0007
・第零坑道採掘管理記録
・第零坑道・旧採掘権証券 1枚
・マーカット鉱山・採掘権原簿(箱ごと確保)
・ガレスのツルハシ(借用中)
・第七坑道作業責任者のツルハシ
・中古の斧(30Gで購入)
・新しい帳簿 5冊
・余り紙
・ロープ
・水筒
・奴隷のマクダフの野郎
・武器破損した剣
・???の指輪(バンステ金策で入手)
・ゴブリン(テイム)
・ケムトレイル群
立場:保護対象
詳細:不明
・キュ太郎
【投資・契約】
・中立共栄大金庫投資案件(ポーシャ支店)
元本:金貨10枚
状態:運用中
想定利回り:2倍〜5倍(説明ベース)
詳細:非公開/高リスク
【M資金】
M資金券は。
現在もジョンの手を離れて流通中。
商人の決済。
商品の交換。
現金との交換。
転売。
投資。
信用の証明。
など。
さまざまな用途に使われている。
さらに。
「マーカット鉱山復興記念券」
「M資金将来採掘利益券」
「新M資金・マーカット鉱山復興応援券」
など。
ジョンが直接発行していない券も。
大量に出回っている。
今回。
現在のM資金とは別に。
昔のマーカット鉱山で。
将来の採掘権や鉱石の持分を証券化した仕組みが存在していたことが判明。
ただし。
これはジョンが作ったM資金とは別物。
古い証券は。
あくまで過去の採掘権に関するもの。
【本日の収支】
なし
ジョン個人の所持金に変動はありません。
【今回の進展】
✅ 第零坑道管理者ガレスから過去の事情を聞く
✅ ガレスが「ガレスのツルハシ」の元所有者だと判明
✅ マーカット鉱山で過去に紫色の鉱石が大量採掘されていたことが判明
✅ 過去の鉱石の大部分が持ち出され、現在は行方不明
✅ 古い採掘権証券の存在を確認
✅ 古い証券と紫色の鉱石の権利が関係していることが判明
✅ マーカット鉱山の採掘権原簿を発見
✅ キュ太郎が原簿の隠し部屋を発見
✅ 原簿の箱を確保
✅ 原簿を狙う貴族たちが到着
✅ 箱から謎の音が聞こえる
✅ 箱に「所有者を選定します」という文字が浮かび上がる
ジョンの一言
ジョン
「所有者を選ぶって。」
「誰が選ぶの?」
おっさん
「さあな。」
マクダフ
「旦那ぁ。」
「俺は人間に選んでもらう方が安心ですぜ。」
ガレス
「……。」
「俺も同感だ。」
おっさん
「珍しく全員一致したな。」
次回、採掘権原簿が「所有者選定」を開始。ところが、選定条件として提示されたのは――「マーカット鉱山を最も儲けさせた者」だった。