異世界金策 一攫千金!〜初心者冒険者必見?転移おっさんの怪しい儲け話Readme.exe〜 作:raixip
そのルールが。
原簿管理妖精ゼロによって。
ようやく分かりやすく説明された。
所有者になるためには。
ただ金を持っているだけでは駄目。
鉱山に利益をもたらすこと。
資源を無駄にしないこと。
継続して運営すること。
さらに。
町や周辺地域への経済効果も重要だった。
そこで。
ジョンたちが気づかなかった事実が判明。
M資金によって。
紙屋。
荷馬車組合。
商人ギルド。
鍛冶屋。
宿屋。
町人。
多くの人間の取引が増えていた。
その経済効果まで。
所有者選定の評価に入ったのだ。
結果。
ジョンは。
自分では何も考えていないのに。
現在の選定候補の中で。
まさかのトップ。
貴族たちは。
資金力では圧倒的。
しかし。
「町全体を動かした」という点では。
ジョンの方が大きな実績を積んでいた。
そして。
ゼロ自身も。
この結果に少し驚いている。
ジョンは。
なぜ自分が評価されたのか。
まだ理解していない。
ただ。
一つだけ分かった。
M資金は。
すでに。
ジョン一人の金策ではない。
町全体を巻き込んだ。
「仕組み」になってしまっている。
そして。
その仕組みが。
今度は。
マーカット鉱山の所有者を決めるところまで。
到達してしまった。
「所有者選定第一戦?」
僕は。
箱の上に座るゼロを見た。
「戦うの?」
「違ぇよ。」
ゼロは。
小さな腕を組む。
「剣で殴り合ったら、鉱山どころかお前ら全員が壊れるだろ。」
「なるほど。」
「納得するな!」
おっさんが吹き出す。
「で。」
「何をする?」
ゼロは箱を指差した。
「この原簿はな。」
「鉱山を誰に任せるかを決める。」
「だから。」
「金だけ持ってる奴が勝つわけじゃねぇ。」
貴族が口を挟む。
「では条件を提示しろ。」
「偉そうだな。」
ゼロが即答する。
「お前。」
「俺に命令するな。」
貴族の眉が動く。
マクダフが小声で言った。
「旦那ぁ。」
「この妖精。」
「貴族にも容赦ないですぜ。」
「うん。」
「ちょっと安心した。」
「安心すんな!」
ゼロが空中へ浮かぶ。
すると。
箱の上に小さな光が集まった。
今度は文字ではない。
簡単な絵が浮かび始める。
「おお。」
僕は思わず近づいた。
ゼロが説明する。
「第一。」
「鉱山に利益を出せ。」
紫鉱石。
貨幣。
人。
道具。
その横に数字。
「要するに。」
「掘っただけじゃ駄目だ。」
「ちゃんと売って。」
「鉱山に金を戻せってことだ。」
僕は頷く。
「じゃあ。」
「僕が二個掘った。」
「売ればいい?」
「そう。」
「簡単じゃん。」
ゼロが鼻で笑った。
「二個で所有者になれるなら。」
「俺は百年前に誰でも王様にしてる。」
「……。」
それは無理そうだ。
「第二。」
光景が変わる。
採掘された鉱石。
壊れた坑道。
山積みの廃石。
「資源を無駄にするな。」
「掘り散らかして終わりは駄目。」
「鉱石をどう使うか。」
「設備をどうするか。」
「働く奴らをどう守るか。」
ゼロは。
指を振った。
「鉱山は。」
「穴を掘れば金が湧く財布じゃねぇ。」
「掘る場所と。」
「使う金を。」
「ちゃんと考えろ。」
僕は採掘計画書を見る。
「僕。」
「結構書いてるよ。」
ゼロが覗き込む。
「……。」
「弁当?」
「うん。」
「水筒?」
「うん。」
「休憩所?」
「うん。」
ゼロが頭を抱えた。
「お前。」
「そこからなのかよ。」
おっさんが笑う。
「でもジョンらしい。」
「第三。」
今度は。
人が何人も描かれる。
採掘。
荷車。
鍛冶屋。
商人。
宿屋。
「鉱山を継続して運営できること。」
「一週間だけ掘って。」
「全部売って。」
「終わり。」
それじゃ駄目だ。
「町に仕事が生まれる。」
「鉱石が流れる。」
「道具が売れる。」
「飯が売れる。」
「そうやって。」
「鉱山全体が続く必要がある。」
僕は。
町を思い出す。
紙屋。
荷馬車。
鍛冶屋。
商人。
「……。」
「これ。」
「M資金と同じだ。」
ゼロが僕を見る。
「どこがだ?」
「僕が鉱山を掘ろうとしたら。」
「町のみんなの仕事まで増えた。」
「それって。」
「鉱山が動いたら。」
「もっと増えるよね?」
ゼロが少し黙る。
「……まあ。」
「理屈ではそうだ。」
おっさんが呟く。
「そこは妙に正しいな。」
貴族が手を上げる。
「ならば。」
「私が有利だ。」
「人もいる。」
「資金もある。」
「設備もすぐに用意できる。」
「確かに。」
ゼロは頷いた。
だが。
「問題がある。」
「何だ?」
ゼロは。
貴族の後ろを指差した。
「お前。」
「まだ鉱山持ってねぇだろ。」
「……。」
「だから。」
「今までの実績を出せ。」
貴族が。
書類を取り出す。
「商会経営。」
「鉱山への投資。」
「工場の運営。」
「雇用実績。」
次々に並ぶ。
ゼロが見る。
「ふむ。」
「かなりやってるな。」
貴族は笑う。
「当然だ。」
「なら。」
ゼロが僕を見る。
「ジョン。」
「うん。」
「お前は?」
「……。」
僕は。
採掘計画書を見る。
「斧を買った。」
「一個三十G。」
「橋を直した。」
「紫鉱石を二個掘った。」
「……。」
ゼロが。
ものすごく渋い顔をした。
「弱ぇ。」
マクダフが吹き出す。
「旦那ぁ!」
「実績が小さすぎますぜ!」
「マクダフ。」
「はい?」
「お前は?」
「……。」
「俺は。」
「裏M資金を。」
「作りました。」
ゼロが。
即答する。
「論外。」
「ひどい!」
おっさんが腹を抱えて笑う。
ところが。
箱に。
新しい文字が浮かんだ。
今度はゼロの説明だ。
『ただし、過去の実績だけでなく、現在の貢献も評価する』
「現在?」
僕が聞く。
ゼロは頷く。
「そう。」
「今、鉱山のために何をしてるか。」
「それも見る。」
「じゃあ。」
僕は。
橋を見る。
「橋を直した。」
「うん。」
「道具を買った。」
「うん。」
「鉱山の記録を見つけた。」
「うん。」
「紫鉱石を採掘した。」
ゼロが。
指を折る。
「……。」
「一応。」
「ゼロではねぇな。」
「本当?」
「だが。」
「まだまだだ。」
僕は。
少し笑った。
「じゃあ。」
「これから頑張ればいいんだね。」
「そういうことだ。」
その時。
石室の入口から声がする。
「ならば。」
別の商人が入ってきた。
「こちらも実績を提出しましょう。」
「誰?」
僕が聞く。
商人は頭を下げる。
「紙屋。」
「荷馬車組合。」
「鍛冶屋。」
「宿屋。」
「商人ギルド。」
次々と。
書類を出していく。
「M資金によって。」
「我々の取引量は増加しました。」
「雇用も増えています。」
「設備投資も行いました。」
僕は驚いた。
「みんな。」
「こんなに頑張ってたの?」
ゼロが。
書類を見る。
「……。」
「こっちの方が。」
「よっぽど鉱山経済に貢献してやがる。」
おっさんが笑う。
「ジョン。」
「お前。」
「何もしてないとは言えなくなってきたぞ。」
「でも。」
僕は。
少し考える。
「みんなが儲かるなら。」
「それも鉱山のためじゃない?」
ゼロは。
しばらく僕を見る。
「……。」
そして。
小さく笑った。
「そういうことだ。」
「だから。」
「この選定は。」
「一人だけを選ぶ仕組みじゃねぇ。」
「え?」
ゼロが。
箱を叩く。
「最後に決めるのは。」
「鉱山だけじゃない。」
「関わった人間全員の貢献だ。」
僕は目を丸くした。
「じゃあ。」
「町のみんなも?」
「条件を満たせばな。」
「じゃあ。」
「みんなで鉱山を持てる?」
ゼロは。
ニヤリと笑った。
「可能性はある。」
おっさんが。
目を見開く。
「共有所有……。」
貴族の顔から。
初めて余裕が消えた。
「そんな制度が。」
ゼロが。
楽しそうに言う。
「あるんだよ。」
「昔からな。」
「そして。」
小さな指を。
貴族へ向ける。
「お前みたいに。」
「一人で全部持っていこうとする奴は。」
「だいたい嫌われる。」
「……。」
マクダフが。
こっそり笑った。
「ざまぁですぜ。」
「お前も同類だ。」
「……はい。」
その時。
箱が。
また震えた。
ゼロの顔が。
急に険しくなる。
「……待て。」
「どうした?」
「選定対象が。」
「一人じゃねぇ。」
「え?」
ゼロが。
箱を見る。
「鉱山の周囲だけじゃない。」
「M資金の流通。」
「過去の採掘権。」
「現在の採掘実績。」
「全部。」
「計測対象になってやがる。」
僕は。
目を丸くする。
「それって。」
「M資金も関係あるの?」
ゼロは。
嫌そうに答えた。
「ああ。」
「お前が勝手に作った紙が。」
「この鉱山の評価に入り始めてる。」
「……。」
僕は。
M資金券を一枚見る。
「じゃあ。」
「これも。」
「僕の鉱山になるための材料?」
ゼロが。
頭を抱える。
「簡単に言うな。」
「でも。」
「かなり重要だ。」
その瞬間。
箱の奥から。
大量の数字が浮かんだ。
貴族。
商人。
町。
採掘者。
銀行。
そして。
ジョン
その横に。
小さな数字が表示される。
「……。」
ゼロが。
それを見て。
初めて驚いた。
「なんだ。」
「この数字は。」
おっさんが聞く。
「どうした?」
ゼロが。
ゆっくり僕を見る。
「ジョン。」
「何?」
「お前。」
「知らない間に。」
「とんでもない点数。」
稼いでるぞ。
僕は。
きょとんとした。
「点数?」
ゼロが。
苦笑する。
「所有者選定。」
「第一段階。」
「まさかの。」
「お前がトップだ。」
「……え?」
石室の全員が。
固まった。
【あとがき:現在のステータス】
【スキル】
■武器系
刀剣スキル 20
盾スキル 3
戦闘技術スキル 13
■生産系
料理スキル 13
■その他
鑑定スキル 0.3
【所持金】
141G(銀行預け金:250G(銅貨2枚、半銅貨5枚))
ジョン
「今日もお金を使わなかった!」
おっさん
「増えてもいない。」
ジョン
「でも。」
「所有者選定の点数が一番高いって!」
マクダフ
「旦那ぁ。」
「俺はまだ納得してませんぜ。」
【所持アイテム】
・???のスクロール 6枚
・採掘計画書
・旧マーカット鉱山の古地図
・マーカット鉱山 最終採掘記録
・謎の紫色の鉱石
・謎の金属片(鑑定不能)
・採掘した紫色の鉱石 2個
・新しく発見した謎の金属片(鑑定不能)
・『採掘は順調です。予定通り、地上へ出ます』と書かれた紙
・新M資金・マーカット鉱山復興応援券 1枚
・第零坑道採掘許可証0007
・第零坑道採掘管理記録
・第零坑道・旧採掘権証券 1枚
・マーカット鉱山・採掘権原簿(管理箱)
・ガレスのツルハシ(借用中)
・第七坑道作業責任者のツルハシ
・中古の斧(30Gで購入)
・新しい帳簿 5冊
・余り紙
・ロープ
・水筒
・奴隷のマクダフの野郎
・武器破損した剣
・???の指輪(バンステ金策で入手)
・ゴブリン(テイム)
・ケムトレイル群
立場:保護対象
詳細:不明
・キュ太郎
・原簿管理妖精「ゼロ」
状態:魔力回復中
性格:口が悪い
役割:所有者選定・契約・実況
【投資・契約】
・中立共栄大金庫投資案件(ポーシャ支店)
元本:金貨10枚
状態:運用中
想定利回り:2倍〜5倍(説明ベース)
詳細:非公開/高リスク
ジョン
「所有者になったら。」
「投資もちゃんと確認したいな。」
おっさん
「まだ所有者になってない。」
銀行
「別途、手数料が発生いたします。」
ゼロ
「お前は黙ってろ。」
【M資金】
M資金券は。
引き続きジョンの手を離れて流通中。
現在では。
・商人の決済
・商品の交換
・現金との交換
・転売
・投資
・信用の証明
などに利用されている。
さらに。
「マーカット鉱山復興記念券」
「M資金将来採掘利益券」
「新M資金・マーカット鉱山復興応援券」
など。
ジョンが発行していない券も流通。
今回。
M資金の流通そのものが。
マーカット鉱山の所有者選定に影響していることが判明。
ジョン本人は何も意識していないが。
M資金によって。
紙屋。
鍛冶屋。
荷馬車組合。
商人ギルド。
宿屋。
町人。
多くの人間に仕事と取引が生まれたことが。
「鉱山周辺への経済効果」として評価されている。
【本日の収支】
なし
※紫色の鉱石はまだ売却していません。
※ジョン個人の所持金に変動はありません。
【今回の進展】
✅ 所有者選定の具体的な条件が判明
✅ 利益・資源利用・継続運営が重要と判明
✅ 過去の実績だけでなく現在の貢献も評価対象と判明
✅ 紙屋・鍛冶屋・荷馬車組合・商人ギルドなどの貢献も評価対象
✅ M資金の流通による地域経済への影響が評価されることが判明
✅ ジョンの所有者選定ポイントが急上昇
✅ ジョンが現在の選定対象者の中でトップになった
✅ ゼロが所有者選定の実況役として本格的に機能し始める
✅ 貴族側の優位が崩れ始める
ジョンの一言
ジョン
「僕が一番?」
「なんで?」
おっさん
「お前が作ったM資金で。」
「町全体が動いたからだろうな。」
マクダフ
「旦那ぁ。」
「何も考えずにやったことが。」
「一番評価されてますぜ。」
ゼロ
「それが一番ムカつくんだよ!」
次回、ジョンがなぜトップなのか、ゼロが具体的な「評価点」を公開。ところが、その点数を上回るため、貴族側がとんでもない金策を始める――。