異世界金策 一攫千金!〜初心者冒険者必見?転移おっさんの怪しい儲け話Readme.exe〜 作:raixip
貴族側は大量の資金を投入し、専門家を多数雇用。
対するジョンたちは、ほとんど資金を持たない。
しかし試験で重要なのは、投入金額ではない。
鉱山をどれだけ継続的に動かせるか。
人を働かせ。
道具を使い。
鉱石を運び。
利益を生み。
明日も採掘できる状態を残す。
そんな「仕組み」そのものが評価される。
そしてジョンは、自らツルハシを握ることになった。
ところが。
誰もいないはずの坑道から。
謎の採掘音が近づいてくる。
「では、実地運用試験を開始する」
ゼロがそう言った瞬間。
坑道の入口に、一本の板が立った。
【マーカット鉱山・所有者選定試験】
【試験内容】
・鉱山を稼働させること
・採掘資源を無駄にしないこと
・働く者へ適切に利益を分配すること
・継続して運用可能な仕組みを作ること
その下に、さらに小さな文字。
【期間:七日間】
「七日?」
僕は首をかしげた。
「短くない?」
「短いからこそ面白ぇんだよ」
ゼロが笑った。
「一年計画を出して、実際には何もしねぇ馬鹿が多いからな」
貴族側の代表が顔をしかめる。
「我々には五百枚の金貨がある!」
従者たちが一斉に動いた。
馬車から大量の資材が降ろされていく。
木材。
鉄材。
食料。
道具。
テント。
そして大量の金貨が入った箱まで運び出された。
「うわ……」
思わず声が出た。
「本当に持ってきたんだ」
おっさんが苦笑する。
「そりゃ五百枚もあるなら使うだろ」
「でも、どうやって採掘するの?」
僕が聞くと。
貴族側の現場責任者が答えた。
「専門の採掘業者を雇う」
「何人?」
「三十名」
「採掘した鉱石は?」
「精錬業者へ送る」
「運ぶのは?」
「運送業者だ」
「売るのは?」
「商会へ」
僕は頷いた。
「すごいね」
おっさんが横から言った。
「ジョン」
「なに?」
「お前はもう少し疑え」
「なんで?」
おっさんは答えなかった。
一方。
僕たちの前には。
何もなかった。
あるのは。
借り物のツルハシ。
中古の斧。
ロープ。
水筒。
そして。
三十Gで買った帳簿。
「……」
マクダフが黙り込む。
「旦那ぁ」
「なに?」
「向こう、金貨五百枚ですぜ」
「うん」
「こっち、三十Gです」
「うん」
「勝てます?」
僕は考えた。
「採掘すればいいんじゃない?」
マクダフが頭を抱えた。
「その発想だけで勝負するの、旦那ぁくらいですよ……」
ゼロが笑った。
「それでいい」
「え?」
「お前らは金を競う必要がない」
ゼロが箱から飛び出した。
「この試験で見るのは、七日後にどれだけ鉱山が動いているかだ」
そして。
空中に数字が浮かぶ。
【採掘量】
【稼働人数】
【周辺雇用】
【利益】
【継続可能性】
【資源損失】
「最後の数字、嫌だな」
僕が言う。
「当然だろ」
ゼロがニヤニヤする。
「鉱山で一番怖ぇのは、掘れないことじゃねぇ」
「?」
「掘りすぎて、明日掘れなくなることだ」
僕は鉱山の奥を見る。
確かに。
掘れば掘るほど儲かる。
そんな気がしていた。
でも。
全部掘ってしまえば。
終わりだ。
「じゃあ、少しずつ掘るの?」
「それだけじゃねぇ」
ゼロは指を二本立てた。
「人間も壊れる」
「え?」
「七日間、寝ずに掘らせたらどうなる?」
マクダフが即答した。
「死にますな」
「道具も壊れる」
「それもありますな」
「運ぶ奴も必要だ」
「いますな」
「食料もいる」
「宿も必要ですぜ」
僕は気づいた。
採掘って。
鉱山だけの話じゃない。
人が動く。
道具が動く。
お金も動く。
「……M資金と同じだ」
僕が呟く。
おっさんが頷いた。
「やっと分かってきたな」
そのとき。
貴族側から歓声が上がった。
「第一採掘班、準備完了!」
大勢の作業員が坑道へ入っていく。
僕たちも後ろからついていく。
すると。
ゼロが突然、僕の肩を叩いた。
「ジョン」
「なに?」
「お前の試験には、もう一つ条件がある」
「聞いてないよ」
「今決めた」
「ええっ!?」
ゼロは笑った。
「所有者になるなら――」
一拍。
「自分で掘ってみろ」
「僕が?」
「そうだ」
おっさんが笑った。
「まあ、お前の場合。人に任せるより自分でやったほうが早いかもな」
僕はツルハシを握った。
「じゃあ、やってみる」
その瞬間。
坑道の奥から。
ゴン。
という音が響いた。
ゴン。
もう一度。
ゴン。
僕たちは顔を見合わせる。
「誰か掘ってる?」
マクダフが首を傾げる。
ゼロの顔から笑みが消えた。
「……いや」
「え?」
「今、誰も入ってねぇ坑道だ」
ゴン。
また音がした。
しかも。
少しずつ。
こちらへ近づいている。
【あとがき:現在のステータス】
【スキル】
■武器系
刀剣スキル 20
盾スキル 3
戦闘技術スキル 13
■生産系
料理スキル 13
■その他
鑑定スキル 0.3
【所持金】
141G(銀行預け金:250G(銅貨2枚、半銅貨5枚))
ジョン
「自分で掘るんだ」
おっさん
「初心に戻ったな」
マクダフ
「旦那ぁ、もうちょっと金持ちっぽい試験を期待してましたぜ」
ゼロ
「金持ちっぽい奴は、もう向こうで金貨を積んでるだろ」
マクダフ
「それもそうですな」
【所持アイテム】
・???のスクロール×6
・採掘計画書
・旧マーカット鉱山の古地図
・マーカット鉱山 最終採掘記録
・謎の紫色の鉱石
・謎の金属片(鑑定不能)
・採掘した紫色の鉱石×2
・新しく発見した謎の金属片
・「採掘は順調です。予定通り、地上へ出ます」と書かれた紙
・新M資金・マーカット鉱山復興応援券×1
・第零坑道採掘許可証0007
・第零坑道採掘管理記録
・第零坑道・旧採掘権証券×1
・マーカット鉱山・採掘権原簿(管理箱)
・ガレスのツルハシ(借用中)
・第七坑道作業責任者のツルハシ
・中古の斧(30Gで購入)
・新しい帳簿×5
・余り紙
・ロープ
・水筒
・奴隷のマクダフの野郎
・武器破損した剣
・???の指輪(バンステ金策で入手)
・ゴブリン(テイム)
・ケムトレイル群(立場:保護対象、詳細不明)
・キュ太郎
・原簿管理妖精「ゼロ」
【投資・契約】
・中立共栄大金庫投資案件(ポーシャ支店)
元本:金貨10枚
状態:運用中
想定利回り:2倍〜5倍(説明ベース)
詳細:非公開/高リスク
【M資金】
・小口M資金券が継続流通
・商人間の決済に使用
・商品購入に使用
・現金交換
・転売
・投資対象化
・信用の証明として流通
・第三者による派生券も発生
・ジョン本人の手元から離れたM資金が独自に動いている
【所有者選定】
第一段階:経済的貢献度
→ジョンがトップ
第二段階:実地運用試験
→七日間の鉱山運営
評価項目:
✅採掘量
✅稼働人数
✅周辺雇用
✅利益
✅継続可能性
✅資源損失
追加条件:
✅候補者本人も採掘に参加する
【本日の収支】
141G(変動なし)
銀行預け金250G(変動なし)
※ジョン個人の所持金に変動はありません。
【今回の進展】
✅所有者選定・第二段階が開始
✅貴族側が金貨500枚を投入
✅金額だけでは評価されないことが判明
✅鉱山の採掘だけでなく、人・道具・輸送・食料なども重要と判明
✅ジョン自身が実地採掘に参加することになる
✅誰も入っていない坑道から謎の採掘音が聞こえ始める
ジョンの一言
ジョン
「誰か先に掘ってるのかな?」
ゼロ
「だから誰も入ってねぇって言ってんだろ」
おっさん
「つまり……」
マクダフ
「また何か出ますなぁ」
次回。
「地下から来る採掘者?」
所有者選定どころか、マーカット鉱山そのものの秘密が動き始める。