異世界金策 一攫千金!〜初心者冒険者必見?転移おっさんの怪しい儲け話Readme.exe〜 作:raixip
一方、ジョンは「掘らない採掘」を思いつく。
坑道の点検や設備維持、輸送、労働環境なども鉱山運営の一部。
そして採掘された鉱石の中から、封印維持に使われていた「封印鉱」を発見する。
ジョンはそれを元の場所へ戻しただけだった。
ところが。
地下構造が安定し、資源保全の評価が大きく上昇。
さらにその評価には継続効果まで存在した。
採掘量を競う貴族側と。
鉱山そのものを守るジョン。
所有者選定の評価基準は、少しずつジョン向きに変化していく。
しかし。
ゼロが告げた。
所有者選定は、まだ終わらない。
第三段階が残っている。
「掘らない採掘?」
僕が言うと。
おっさんが黙った。
マクダフも黙った。
ゼロだけが。
「……お前、たまに変なところで頭が回るな」
と言った。
「だって」
僕は坑道を見る。
「掘ったら封印が壊れるんだよね?」
「そうだ」
「でも、鉱山を動かさないと所有者になれない」
「そうだ」
「じゃあ、掘らないで鉱山を動かせばいいんじゃない?」
「……」
おっさんが腕を組む。
「理屈としては間違ってない」
「ですなぁ」
マクダフも頷く。
「ただ」
おっさんが続けた。
「問題は、何をすれば鉱山を動かしたことになるかだ」
僕は考えた。
採掘。
運搬。
精錬。
販売。
普通ならそうなる。
でも。
「採掘しなくても、仕事はあるよ」
「例えば?」
「坑道の点検」
「ほう」
「道具の修理」
「なるほど」
「橋とか道の修理」
「そうだな」
「作業員に食事を作る人も必要」
マクダフが反応した。
「旦那ぁ」
「なに?」
「俺の出番ですな」
「料理できたっけ?」
「できません」
「じゃあ駄目じゃない?」
「旦那ぁ……」
おっさんが笑った。
「まあ、それでも仕事は仕事だ」
ゼロが宙に指を走らせる。
【実地運用試験・再評価】
すると項目が増えた。
【設備維持】
【安全管理】
【労働環境】
【輸送網】
【周辺商業】
【資源保全】
「増えた?」
僕が聞く。
「お前の発想で評価項目が広がった」
ゼロが答える。
「所有者選定は固定された試験じゃねぇ。鉱山の状態に応じて見る場所が変わる」
「じゃあ……」
僕は少し安心した。
「掘らなくてもいいんだ」
「正確には」
ゼロが指を一本立てる。
「今は、掘らないほうがいい」
その言葉を聞いた瞬間。
坑道の外から怒鳴り声がした。
「まだ掘れ!」
貴族側だ。
「少し振動した程度だ!」
「採掘量を確保しろ!」
「七日間しかないんだぞ!」
ドン!
ドン!
ドン!
またツルハシの音。
そして。
地面が小さく揺れた。
ゼロの顔が引きつる。
「……あいつら」
「止めないと」
僕は走り出した。
「ジョン!」
おっさんも追いかける。
マクダフも。
「旦那ぁ! 待ってくだせぇ!」
坑道の入口では。
作業員たちが必死に掘っていた。
その横には。
採れた鉱石を積んだ箱。
「見てくれ!」
貴族側の責任者が嬉しそうに言った。
「第一採掘区だけでこれだけ採れた!」
確かに。
すごい量だった。
「この調子なら七日で相当な利益になる!」
僕は箱を見た。
その瞬間。
キュ太郎が僕の胸ポケットから飛び出した。
「キュ」
そして。
鉱石の箱へ近づく。
「キュ……」
「どうしたの?」
キュ太郎が。
一個の鉱石を前足で押した。
カラン。
地面に落ちる。
その鉱石だけ。
色が違っていた。
紫色。
僕が前に拾ったものと同じだ。
「これ……」
ゼロが飛んできた。
「触るな!」
遅かった。
僕はもう拾っていた。
「え?」
手のひらの中で。
紫色の鉱石が。
小さく光る。
その瞬間。
地面の下から。
ドン。
巨大な音がした。
作業員たちが止まる。
「今のは……?」
ゼロが鉱石を見る。
「やっぱり混じってやがった」
「何が?」
「封印鉱」
「封印鉱?」
おっさんが聞く。
「第零坑道の封印を維持するために使われてた鉱石だ」
僕は驚いた。
「じゃあ、これを掘り出しちゃったってこと?」
「そうだ」
「まずい?」
「かなりな」
マクダフが青ざめる。
「旦那ぁ……」
「うん」
僕は鉱石を見る。
「なら、返せばいいんじゃない?」
「……は?」
ゼロが固まった。
僕は鉱石を地面に置く。
そして。
元の場所に戻そうとする。
「ちょっと待て」
ゼロが止める。
「そんな簡単な話じゃ――」
僕が鉱石を地面に戻した瞬間。
パァッ。
紫色の光が広がった。
坑道の壁が淡く輝く。
揺れていた地面が。
止まった。
「……」
「……」
「……」
誰も喋らない。
箱に文字が浮かぶ。
【封印鉱・再配置を確認】
【地下構造安定】
【資源保全評価】
【+300】
「三百!?」
マクダフが叫んだ。
ゼロも目を丸くする。
「お前……」
「なに?」
「普通、所有者選定ってのはだな」
ゼロが頭を抱える。
「鉱山の問題を解決してポイントを稼ぐ試験じゃねぇんだよ」
おっさんが笑う。
「でも結果として稼いだな」
僕は箱を見る。
貴族側の数字は。
【採掘量+500】
僕たちは。
【資源保全+300】
「採掘したほうが高いじゃん」
僕が言うと。
ゼロが首を振った。
「違う」
「え?」
「向こうは今の点数だ」
ゼロが箱を指す。
「お前の三百は――」
数字の下に。
新しい文字が浮かんだ。
【継続効果:あり】
【累積評価:継続中】
「……」
おっさんが笑いを堪え始める。
「ジョン」
「なに?」
「お前、また何かやったな」
「僕、置いただけだけど」
マクダフが肩を震わせる。
「旦那ぁ……」
貴族側の責任者が叫んだ。
「何をした!」
僕は答えた。
「掘らないで、戻した」
「それだけ?」
「うん」
その場が静かになった。
そして。
ゼロがニヤリと笑う。
「実地運用試験――」
「第一の採点結果が出たな」
僕は少し期待した。
「僕、勝った?」
ゼロは答えなかった。
代わりに。
箱の表示が切り替わる。
【所有者候補ジョン】
【第一段階:首位】
【第二段階:暫定首位】
そして最後に。
【第三段階:未実施】
「……第三段階?」
ゼロが笑う。
「まだ終わってねぇぞ」
【あとがき:現在のステータス】
【スキル】
■武器系
刀剣スキル 20
盾スキル 3
戦闘技術スキル 13
■生産系
料理スキル 13
■その他
鑑定スキル 0.3
【所持金】
141G(銀行預け金:250G(銅貨2枚、半銅貨5枚))
ジョン
「掘らなくても点数が入った」
おっさん
「お前の場合、採掘以外のほうが向いてるんじゃないか?」
マクダフ
「旦那ぁ、もう鉱山じゃなくて鉱山経営者ですな」
ゼロ
「まだ所有者じゃねぇけどな」
【所持アイテム】
・???のスクロール×6
・採掘計画書
・旧マーカット鉱山の古地図
・マーカット鉱山 最終採掘記録
・謎の紫色の鉱石
・謎の金属片(鑑定不能)
・採掘した紫色の鉱石×2
・新しく発見した謎の金属片
・「採掘は順調です。予定通り、地上へ出ます」と書かれた紙
・新M資金・マーカット鉱山復興応援券×1
・第零坑道採掘許可証0007
・第零坑道採掘管理記録
・第零坑道・旧採掘権証券×1
・マーカット鉱山・採掘権原簿(管理箱)
・ガレスのツルハシ(借用中)
・第七坑道作業責任者のツルハシ
・中古の斧(30Gで購入)
・新しい帳簿×5
・余り紙
・ロープ
・水筒
・奴隷のマクダフの野郎
・武器破損した剣
・???の指輪(バンステ金策で入手)
・ゴブリン(テイム)
・ケムトレイル群(立場:保護対象、詳細不明)
・キュ太郎
・原簿管理妖精「ゼロ」
【投資・契約】
・中立共栄大金庫投資案件(ポーシャ支店)
元本:金貨10枚
状態:運用中
想定利回り:2倍〜5倍(説明ベース)
詳細:非公開/高リスク
【M資金】
・小口M資金券が継続流通
・商人間の決済に使用
・商品購入に使用
・現金交換
・転売
・投資対象化
・信用の証明として流通
・第三者による派生券も発生
・ジョン本人の手元から離れたM資金が独自に動いている
【所有者選定】
第一段階:経済的貢献度
→ジョンがトップ
第二段階:実地運用試験
→暫定ジョン首位
新たな評価:
✅資源保全
✅継続効果
✅地下構造の安定
【封印鉱】
採掘した紫色の鉱石の一部に封印維持用の「封印鉱」が混在。
再配置により地下構造が安定。
【本日の収支】
141G(変動なし)
銀行預け金250G(変動なし)
※ジョン個人の所持金に変動はありません。
【今回の進展】
✅貴族側の大規模採掘が継続
✅採掘された鉱石の中に封印鉱が混じっていた
✅ジョンが封印鉱を元の場所へ戻す
✅地下構造が安定
✅資源保全評価で+300点
✅ジョンが第二段階でも暫定首位になる
✅所有者選定には第三段階が存在することが判明
ジョンの一言
ジョン
「第三段階って何?」
ゼロ
「それは次だ」
おっさん
「また面倒なことになりそうだな」
マクダフ
「旦那ぁ、第三段階まで行ったら、もう普通の所有権争いじゃありませんぜ」
次回。
「所有者の責任」
所有者になるために必要なのは、掘る力でも金でもない。
そしてジョンの前に、マーカット鉱山の「本当の所有者候補」が現れる――。