異世界金策 一攫千金!〜初心者冒険者必見?転移おっさんの怪しい儲け話Readme.exe〜 作:raixip
それは、利益を得るだけではなく、損失や事故などの責任まで引き受けられるかを確認する審査だった。
そこへ現れたのは、地下採掘者として以前出会ったバルド。
彼が持っていたのは、マーカット鉱山の旧採掘権証券。
鉱山には過去から続く権利が残り、現在もその保有者がいる可能性が判明した。
さらに。
現在流通しているM資金と、古い採掘権の間に何らかの関係がある可能性まで浮上。
ジョンは所有者になった場合の方針として、
「働いた人がちゃんとお金をもらえる鉱山」
を掲げる。
だが所有者選定は、理念だけでは終わらない。
最初の質問は。
「鉱山が赤字になった場合、どうする?」
金を稼ぐ話だったはずが。
ついにジョンは。
「赤字の責任」という問題に向き合うことになる。
「所有者の責任?」
僕が聞き返す。
ゼロは頷いた。
「そうだ」
箱の表面に、新しい文字が浮かんだ。
【所有者選定・第三段階】
【所有責任審査】
「責任って?」
「簡単だ」
ゼロが指を一本立てる。
「儲かったときだけ所有者面する奴はいらねぇ」
二本目。
「事故が起きたとき」
三本目。
「赤字になったとき」
そして。
「誰が尻拭いするか」
「……」
僕は黙った。
おっさんが腕を組む。
「つまり、鉱山の利益だけじゃなくて、損失も引き受けられるかを見るのか」
「その通りだ」
ゼロが笑う。
「鉱山ってのは、掘れば金が出る魔法の箱じゃねぇ」
「魔法の箱は、そこにあるけどな」
マクダフが管理箱を見る。
「うるせぇ」
ゼロが即答した。
「俺を仲間に入れるな」
僕は箱を見る。
今まで考えていなかった。
鉱山が儲かれば、利益になる。
でも。
崩れたら?
誰かが怪我したら?
道具が壊れたら?
採れなかったら?
「それも僕が払うの?」
「所有者になればな」
「でも、僕、お金ないよ?」
「だから審査なんだよ」
ゼロがため息をつく。
「金がねぇなら、別の責任の取り方を考えろ」
「別の?」
そのときだった。
入口のほうから。
ざわざわと人の声が聞こえた。
誰かが歩いてくる。
先頭にいたのは。
見覚えのない老人だった。
古びた鉱山服。
杖。
胸には。
錆びた金属製の札。
「……誰?」
僕が聞く。
老人は僕を見ると。
少し驚いた顔をした。
「お前がジョンか」
「うん」
老人は持っていた古い紙を広げた。
「なら、これを見せる」
そこには。
見覚えのある文字が並んでいた。
【マーカット鉱山・旧採掘権証券】
僕は思わず近づく。
「それ……」
ゼロが飛んできた。
「待て」
老人はゼロを見る。
「まだいたのか」
「……お前」
ゼロの顔が固まった。
老人が笑う。
「久しぶりだな。原簿管理妖精」
「嫌な奴が来たな」
「知り合い?」
僕が聞く。
ゼロは答えない。
老人が代わりに名乗った。
「私はバルド」
僕は目を見開いた。
「え?」
「以前、地下から出てきた男がいただろう」
「バルドさん?」
「そのバルドだ」
地下で会った採掘者のバルドと同じ名前。
僕は混乱した。
「でも、あの人は――」
「俺だ」
老人が笑う。
「長く地下にいたせいで、顔がえらく老けただけだ」
「そんなことある?」
おっさんが思わず突っ込んだ。
バルドは気にしていない。
「問題はそこではない」
古い証券を僕の前に置く。
「これは、マーカット鉱山の旧所有権を証明するものだ」
僕は証券を見る。
「じゃあ、バルドさんが所有者?」
「違う」
「え?」
老人は首を振った。
「この証券は、所有権そのものじゃない」
「じゃあ何?」
ゼロが横から説明する。
「昔の採掘権を細かく分けた権利書だ」
「M資金みたいな?」
「そうだ」
ゼロが苦い顔をする。
「ただし、こいつはもっと古い」
バルドが続ける。
「当時、鉱山は大量の借金を抱えていた」
「借金?」
「採掘設備を作るためだ」
「へぇ」
「鉱石が出れば返せる」
「うん」
「ところが」
バルドが言葉を切る。
「鉱石が出る場所より、維持費のほうが大きくなった」
おっさんが頷いた。
「なるほどな」
「そして権利が細かく売られた」
ゼロが説明する。
「採掘できる権利を金に換えて、さらに設備を維持する」
「でも、それって……」
「そうだ」
ゼロが言う。
「鉱石が取れなきゃ、権利だけが増えていく」
僕は嫌なものを感じた。
M資金と似ている。
本物の鉱山。
本物の採掘権。
そして。
その将来の利益を先にお金に変える。
「じゃあ、この鉱山」
僕が聞く。
「昔からお金を集めてたの?」
「そういうことになる」
バルドが答える。
ゼロがため息をついた。
「だから第三段階だ」
箱の文字が変わった。
【所有責任審査】
【確認事項】
・事故時の補償
・設備維持費
・労働者への支払い
・採掘停止時の対応
・既存権利者への対応
・将来債務
「将来債務?」
僕が読む。
「まだ借金があるの?」
「問題はそこだ」
おっさんが古い証券を見る。
「これがまだ有効なら」
バルドが頷く。
「この鉱山には、過去に発行された権利が残っている」
「何枚?」
僕が聞く。
バルドは。
少し嫌そうに答えた。
「……知らない」
「え?」
「地下に行った連中が持っている」
僕は振り返る。
坑道。
そこには。
前に出会った採掘者たちがいた。
彼らが持っていたM資金。
そして古い証券。
「まさか」
ゼロが呟く。
「M資金の一部が、昔の権利証券と交換されてる?」
バルドは答えなかった。
その代わり。
遠くから。
男の怒鳴り声が聞こえた。
「この券を持ってるなら、鉱山が再開したときに利益が受け取れるんだろうな!」
「俺もだ!」
「俺は十枚あるぞ!」
僕は固まった。
声が。
どんどん増えていく。
どうやら。
坑道の外にも。
M資金の券を持った人たちが集まっているらしい。
おっさんが頭を抱える。
「……始まったな」
「何が?」
「権利の取り合いだ」
ゼロが箱から飛び出す。
「最悪だ」
「どうして?」
ゼロは僕を見る。
「第三段階ってのはな」
少し間を置いて。
「利益を誰に渡すかまで決める試験なんだよ」
僕は。
自分の財布を見る。
141G。
銀行250G。
「……僕、そんなに払えないよ」
ゼロがニヤリと笑った。
「だから聞いてる」
「何を?」
「お前が所有者になったとして」
箱の文字が大きくなる。
【質問】
【ジョンは、誰のために鉱山を運営するのか?】
僕は考えた。
貴族でもない。
大金持ちでもない。
鉱山のことも。
まだ全部は分からない。
でも。
一つだけ。
「みんなが働けるなら」
僕は答えた。
「ちゃんと働いた人が、お金をもらえる鉱山にしたい」
静寂。
マクダフが目を丸くする。
おっさんが笑う。
ゼロは。
少しだけ黙って。
「……そういう答えを出す奴だから、最初から点数が高かったんだよ」
箱が光った。
【所有責任審査】
【仮回答を確認】
【追加質問を開始します】
僕は嫌な予感がした。
「追加質問?」
ゼロが笑う。
「ここからが本番だ」
【質問1】
【鉱山が赤字になった場合、どうする?】
僕は思った。
……これ。
金策の話だったはずなのに。
だんだん経営の授業みたいになってきた。
【あとがき:現在のステータス】
【スキル】
■武器系
刀剣スキル 20
盾スキル 3
戦闘技術スキル 13
■生産系
料理スキル 13
■その他
鑑定スキル 0.3
【所持金】
141G(銀行預け金:250G(銅貨2枚、半銅貨5枚))
ジョン
「僕、借金とか苦手だよ」
おっさん
「誰でも好きじゃねぇよ」
マクダフ
「旦那ぁ、借金が嫌なら金を借りなければいいんですぜ」
ゼロ
「こいつ、それができた試しがねぇけどな」
マクダフ
「ゼロさん、余計なことを言わねぇでくだせぇ」
【所持アイテム】
・???のスクロール×6
・採掘計画書
・旧マーカット鉱山の古地図
・マーカット鉱山 最終採掘記録
・謎の紫色の鉱石
・謎の金属片(鑑定不能)
・採掘した紫色の鉱石×2
・新しく発見した謎の金属片
・「採掘は順調です。予定通り、地上へ出ます」と書かれた紙
・新M資金・マーカット鉱山復興応援券×1
・第零坑道採掘許可証0007
・第零坑道採掘管理記録
・第零坑道・旧採掘権証券×1
・マーカット鉱山・採掘権原簿(管理箱)
・ガレスのツルハシ(借用中)
・第七坑道作業責任者のツルハシ
・中古の斧(30Gで購入)
・新しい帳簿×5
・余り紙
・ロープ
・水筒
・奴隷のマクダフの野郎
・武器破損した剣
・???の指輪(バンステ金策で入手)
・ゴブリン(テイム)
・ケムトレイル群(立場:保護対象、詳細不明)
・キュ太郎
・原簿管理妖精「ゼロ」
【投資・契約】
・中立共栄大金庫投資案件(ポーシャ支店)
元本:金貨10枚
状態:運用中
想定利回り:2倍〜5倍(説明ベース)
詳細:非公開/高リスク
【M資金】
・小口M資金券が継続流通
・商人間の決済に使用
・商品購入に使用
・現金交換
・転売
・投資対象化
・信用の証明として流通
・第三者による派生券も発生
・ジョン本人の手元から離れたM資金が独自に動いている
・一部では旧採掘権証券との関連も疑われる
【所有者選定】
第一段階:経済的貢献度
→ジョンがトップ
第二段階:実地運用試験
→ジョン暫定首位
第三段階:所有責任審査
→開始
確認対象:
✅事故時の補償
✅設備維持費
✅労働者への支払い
✅採掘停止時の対応
✅既存権利者への対応
✅将来債務
新たな事実:
・マーカット鉱山には過去の採掘権証券が存在
・旧権利証券の保有者が現在も存在する可能性あり
・M資金と旧採掘権が結び付いている可能性が浮上
【本日の収支】
141G(変動なし)
銀行預け金250G(変動なし)
※ジョン個人の所持金に変動はありません。
【今回の進展】
✅所有者選定・第三段階が開始
✅「所有者の責任」が審査対象と判明
✅旧採掘権証券を持つ人物、バルドが登場
✅マーカット鉱山には過去の権利証券が多数存在する可能性が判明
✅M資金と旧採掘権の関係が浮上
✅ジョンが「働いた人へ利益を分配する鉱山」を目指すと答える
✅所有者審査の最初の質問「赤字になった場合どうする?」が提示される
ジョンの一言
ジョン
「赤字になったら……掘ればいいんじゃない?」
ゼロ
「それで解決するなら、誰も倒産してねぇよ」
おっさん
「まず考え方からだな」
マクダフ
「旦那ぁ。金策って奥が深いですなぁ」
次回。
「赤字になったらどうする?」
そしてマクダフが、誰にも相談せず、とんでもない金策を始める――。