異世界金策 一攫千金!〜初心者冒険者必見?転移おっさんの怪しい儲け話Readme.exe〜   作:raixip

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マクダフが勝手に発行した「赤字安心券」。

その券を買った人たちが、ジョンのもとへ押し寄せる。

しかしジョンは発行者でも保証人でもない。

そこで問題になったのは、券そのものよりも、

「誰が何を約束しているのか」

という契約の明確さだった。

額面十Gの券が五十Gで売買される。

さらに新しい採掘利益参加証まで登場する。

まだ鉱山が十分に採掘されていないにもかかわらず。

鉱山の将来を材料にした取引だけが増えていく。

ゼロは、それを所有責任審査の重要な一部として扱う。

鉱山を所有するとは。

ただ鉱石を掘ることではない。

その名前のもとで生まれる約束まで。

どこまで整理できるか。

そして地下では。

再び何かが掘られている。


第154話 赤字安心券、誰が責任を取る?

「旦那ぁ!」

 

マクダフが慌てて走ってきた。

 

「大変です!」

 

「何が?」

 

「赤字安心券を買った人たちが、こっちに来てます!」

 

僕たちは坑道の入口へ向かった。

 

そこには。

 

人、人、人。

 

商人。

 

冒険者。

 

鉱夫。

 

近所の人までいる。

 

みんな紙を持っていた。

 

その紙には。

 

【マーカット鉱山・赤字安心券】

 

大きく書かれている。

 

「ジョンさん!」

 

一人の商人が叫んだ。

 

「この券、鉱山が赤字になったら十Gで買い戻してくれるんですよね!?」

 

「え?」

 

僕は固まった。

 

「いや、それは――」

 

「俺は三十枚買った!」

 

「私は五十枚です!」

 

「俺は百枚!」

 

「……」

 

百枚。

 

マクダフを見る。

 

マクダフは目を逸らした。

 

「旦那ぁ……」

 

「マクダフ」

 

「はい」

 

「どうして僕が買い戻すことになってるの?」

 

「えーっと……」

 

「答えて」

 

「雰囲気です」

 

「雰囲気?」

 

「鉱山の名前が書いてありますから」

 

おっさんが頭を抱えた。

 

「最悪の理屈だな」

 

ゼロが券を一枚拾う。

 

裏返す。

 

小さな文字が書いてあった。

 

【鉱山復興後の収益状況に応じて発行者が対応】

 

「……」

 

ゼロが無言になる。

 

「これ、具体的な保証内容が書いてねぇぞ」

 

「え?」

 

「買い戻し価格も、期限も、支払い条件もない」

 

マクダフが笑った。

 

「細かいことはこれから決めればいいかと」

 

ゼロが即座に殴った。

 

「決めてから売れ!」

 

「痛ぇ!」

 

人だかりがざわつく。

 

「じゃあ、この券は無価値なのか?」

 

「詐欺なのか?」

 

「金を返してくれ!」

 

「ちょっと待って!」

 

僕が叫んだ。

 

みんなが止まる。

 

僕は何を言えばいいのか分からなかった。

 

だって。

 

僕は発行していない。

 

保証もしていない。

 

でも。

 

この券を買った人たちは。

 

僕の鉱山を信じている。

 

「僕は、この券を作ってない」

 

僕は正直に言った。

 

「買い戻す約束もしてない」

 

「……」

 

「だから、僕が買い戻すことも約束できない」

 

ざわざわ。

 

人々の顔が変わった。

 

「じゃあ、俺たちは損するのか?」

 

「そんな……」

 

「話が違う!」

 

マクダフが青くなる。

 

「旦那ぁ……」

 

おっさんが小さく言った。

 

「ここだな」

 

「何が?」

 

「第三段階」

 

ゼロも頷いた。

 

「そういうことだ」

 

箱が光った。

 

【所有責任審査】

 

【追加問題】

 

【第三者による無許可権利商品の混乱が発生】

 

【候補者の対応を評価します】

 

「僕の対応?」

 

ゼロが言う。

 

「そうだ」

 

「でも、僕が作ったんじゃないよ」

 

「だからだ」

 

箱の文字が変わる。

 

【責任者でない問題に対し、どのように対処するか】

 

僕は券を見る。

 

売った人。

 

買った人。

 

みんな困っている。

 

僕のお金は141G。

 

これ全部を買い戻すなんて無理だ。

 

「……買い戻しはできない」

 

僕が言う。

 

人々がざわめく。

 

「でも」

 

僕は続けた。

 

「本物か偽物か、分からないまま売買するのも駄目だと思う」

 

ゼロが笑った。

 

「続けろ」

 

「だから」

 

僕は紙を一枚取った。

 

「この券が何を約束しているのか、全部書けばいい」

 

「全部?」

 

「誰が作ったのか」

 

「うん」

 

「誰が払うのか」

 

「うん」

 

「いつまでなのか」

 

「うん」

 

「いくらなのか」

 

僕はマクダフを見る。

 

「そして」

 

「はい」

 

「払えない場合はどうなるのか」

 

「……」

 

マクダフが黙った。

 

「それも書く」

 

おっさんが笑った。

 

「なるほどな」

 

「何が?」

 

「契約を分かる形にする」

 

ゼロが箱に文字を刻む。

 

【透明性評価】

 

【+200】

 

「また増えた」

 

僕は驚く。

 

「責任を取るって、自分のお金を出すことだけじゃねぇ」

 

ゼロが言った。

 

「何を約束してるのか、分かるようにすることも責任だ」

 

人々の間から声が上がった。

 

「それなら読みたい!」

 

「俺の券も説明してくれ!」

 

「この券、俺が買った値段と書いてある額が違うぞ!」

 

「え?」

 

僕は一枚受け取る。

 

【額面十G】

 

その下に。

 

誰かの手書き。

 

【購入価格五十G】

 

「……」

 

おっさんが嫌な顔をする。

 

「額面以上で売買されてるのか」

 

「うん」

 

ゼロが続ける。

 

「こいつらは十Gの券を五十Gで買ってる」

 

「じゃあ、十Gしか保証しないなら」

 

「四十Gは、買った奴の期待分だな」

 

僕は少し考えた。

 

「それって……」

 

「なんだ?」

 

「鉱山が儲かる前に、鉱山が儲かるかもしれないって気持ちで売買してるんだ」

 

おっさんが頷く。

 

「そういうことだ」

 

僕は券を見る。

 

十Gの紙が。

 

五十Gになっている。

 

その差は。

 

鉱山でまだ一個も増えていない。

 

「……採掘より先に、お金だけ増えてる」

 

ゼロが笑った。

 

「ようやく気づいたか」

 

マクダフが恐る恐る手を上げる。

 

「旦那ぁ」

 

「なに?」

 

「この券、今なら一枚百Gで――」

 

「もういい!」

 

僕は止めた。

 

その瞬間。

 

遠くから。

 

別の声がした。

 

「ならばこちらを!」

 

商人の一人が、新しい紙を掲げる。

 

【マーカット鉱山・採掘利益参加証】

 

「……」

 

「赤字安心券より、こっちのほうが安全です!」

 

別の商人が叫ぶ。

 

「いや、こちらの券のほうが高利回りだ!」

 

さらに別の紙。

 

【新・M資金特別採掘権】

 

僕は頭を抱えた。

 

「また増えた……」

 

ゼロが遠い目をする。

 

「終わったな」

 

「何が?」

 

「お前の鉱山」

 

おっさんが苦笑する。

 

「いや」

 

少し間を置いて。

 

「始まったのかもしれないけどな」

 

僕には。

 

その違いが分からなかった。

 

ただ。

 

地下では。

 

また。

 

ゴン。

 

と。

 

ツルハシの音がした。




【あとがき:現在のステータス】

【スキル】
■武器系
刀剣スキル 20
盾スキル 3
戦闘技術スキル 13

■生産系
料理スキル 13

■その他
鑑定スキル 0.3

【所持金】
141G(銀行預け金:250G(銅貨2枚、半銅貨5枚))

ジョン
「僕のお金じゃないから、買い戻せないよ」
おっさん
「それでいい」
マクダフ
「旦那ぁ……」
ジョン
「なに?」
マクダフ
「俺、怒られてばっかりです」
ゼロ
「当然だ」

【所持アイテム】
・???のスクロール×6
・採掘計画書
・旧マーカット鉱山の古地図
・マーカット鉱山 最終採掘記録
・謎の紫色の鉱石
・謎の金属片(鑑定不能)
・採掘した紫色の鉱石×2
・新しく発見した謎の金属片
・「採掘は順調です。予定通り、地上へ出ます」と書かれた紙
・新M資金・マーカット鉱山復興応援券×1
・第零坑道採掘許可証0007
・第零坑道採掘管理記録
・第零坑道・旧採掘権証券×1
・マーカット鉱山・採掘権原簿(管理箱)
・ガレスのツルハシ(借用中)
・第七坑道作業責任者のツルハシ
・中古の斧(30Gで購入)
・新しい帳簿×5
・余り紙
・ロープ
・水筒
・奴隷のマクダフの野郎
・武器破損した剣
・???の指輪(バンステ金策で入手)
・ゴブリン(テイム)
・ケムトレイル群(立場:保護対象、詳細不明)
・キュ太郎
・原簿管理妖精「ゼロ」

【投資・契約】
・中立共栄大金庫投資案件(ポーシャ支店)
 元本:金貨10枚
 状態:運用中
 想定利回り:2倍〜5倍(説明ベース)
 詳細:非公開/高リスク

【M資金】
・小口M資金券が継続流通
・商人間の決済に使用
・商品購入に使用
・現金交換
・転売
・投資対象化
・信用の証明として流通
・第三者による派生券も発生
・ジョン本人の手元から離れたM資金が独自に動いている
・旧採掘権証券との関係も疑われている
・マクダフ発行の「赤字安心券」が流通
・赤字安心券は額面10Gでも50Gなどで売買されている例を確認
・新たな「採掘利益参加証」なども出現

【所有者選定】
第一段階:経済的貢献度
→ジョンがトップ

第二段階:実地運用試験
→ジョン暫定首位

第三段階:所有責任審査
→継続中

今回の評価:
✅第三者が発行した権利商品の混乱への対応
✅契約内容を明確化する方針
✅責任の所在を明示する方針
✅無許可商品の保証を安易に引き受けない

【本日の収支】
141G(変動なし)
銀行預け金250G(変動なし)

※ジョン個人の所持金に変動はありません。

【今回の進展】
✅赤字安心券の購入者が鉱山へ押し寄せる
✅ジョンが券の発行・保証をしていないことを明示
✅契約内容を明確化する必要性が判明
✅額面と実際の売買価格に大きな差があることが判明
✅鉱山がまだ本格採掘されていないのに、関連券だけが増加
✅新たな派生商品「採掘利益参加証」などが登場
✅所有者選定の審査対象が金融的混乱への対応にも広がる

ジョンの一言
ジョン
「鉱山を掘る前に、説明する仕事が増えてきた」
ゼロ
「鉱山経営ってのは、そういう仕事もあるんだよ」
おっさん
「たぶんな」
マクダフ
「旦那ぁ、次の券も作りましょうか?」
ジョン
「作らない!」


次回。
「新M資金、勝手に上場?」
マーカット鉱山を巡る券が増えすぎて。
ついに商人たちが、価格を決めるための「市場」を作り始める――。
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