異世界金策 一攫千金!〜初心者冒険者必見?転移おっさんの怪しい儲け話Readme.exe〜 作:raixip
額面十Gの券がいくらで売買されるか。
それを集計する「M資金指数」までマクダフが作り出す。
さらに、紫色鉱石が新たに発見されたことで関連券の価格が上昇。
鉱山そのものの採掘量より。
「これからどうなるか」
という期待が先に値段を動かし始めていた。
ところが。
地下から復活した旧管理通信が。
所有者候補へ新たな質問を突きつける。
【マーカット鉱山の旧債務を引き継ぐ意思はあるか】
利益だけではない。
過去に作られた借金や権利まで。
新しい所有者に引き継がれる可能性が出てきた。
そして。
その質問に答えようとした瞬間。
地下から、もう一度。
ゴン。
と音が響いた。
「市場を作る?」
僕は聞き返した。
商人たちが集まっている。
机。
帳簿。
札。
そして。
大量の紙。
「そうです!」
一番前にいた商人が胸を張った。
「マーカット鉱山関連券の取引所を作ります!」
「取引所?」
「はい!」
その商人は一枚の大きな紙を広げた。
【マーカット鉱山関連証券取引所】
「名前まで決まってる……」
おっさんが呆れる。
「お前、許可したのか?」
「してないよ」
「だよな」
ゼロが紙を奪い取った。
「馬鹿野郎」
「な、なんですか!」
「何で勝手に取引所を作ってんだ」
「需要があるからです!」
ゼロが黙った。
「……」
「……」
「それはそうなんだよな」
おっさんが小さく呟く。
「需要があるから市場ができる」
僕には。
少しだけ分かってきた。
「つまり、みんなが券を売りたいから、買いたい人と繋ぐ場所を作るんだ」
「その通り!」
商人は嬉しそうに頷く。
「十Gの券を五十Gで売りたい人と」
「うん」
「五十Gでも買いたい人を繋ぎます!」
「……それって」
僕は券を見る。
「鉱山の値段を決めてるの?」
「その通りです!」
ゼロが頭を抱えた。
「採掘もしてねぇ鉱山の値段を、市場で決め始めやがった」
「でも」
僕は聞いてみた。
「どうやって値段を決めるの?」
商人が胸を張る。
「買いたい人が増えれば上がります!」
「うん」
「売りたい人が増えれば下がります!」
「うん」
「簡単でしょう?」
「分かりやすいね」
おっさんが横から言った。
「でもジョン」
「なに?」
「値段が上がったからって、鉱山そのものが儲かったわけじゃないぞ」
「……」
僕は券を見る。
確かに。
十Gの紙が百Gになっても。
鉱山から鉱石が増えるわけじゃない。
「じゃあ、この値段って何?」
「期待だ」
おっさんが答える。
「この先どうなると思うかを、お金で表してる」
「期待に値段がつくの?」
「つくことがある」
ゼロが笑った。
「そして期待だけで値段が上がると、馬鹿みたいなことが始まる」
「もう始まってますぜ」
マクダフが言った。
全員が振り向く。
「何をした?」
「別に何も」
マクダフは手を広げる。
「ただ」
一枚の紙を出した。
【M資金指数】
「……」
「……」
「何それ?」
僕が聞く。
「マーカット鉱山関連券の平均価格です」
マクダフが得意げに言った。
「赤字安心券、復興応援券、採掘利益参加証、それから古い採掘権証券」
「全部?」
「全部です」
「平均にして何が分かるの?」
「市場全体が上がってるか下がってるか分かります」
おっさんが眉を上げる。
「お前……」
「はい?」
「指数まで作ったのか」
「商売になると思いまして」
ゼロがマクダフを見る。
「お前、余計な才能だけはあるな」
「褒められました?」
「褒めてねぇ」
すると。
商人の一人が声を上げた。
「M資金指数、現在――」
みんなが振り返る。
「上昇しています!」
「どれくらい?」
「昨日より二割!」
「二割!?」
僕が驚く。
「でも、何で?」
商人は答えた。
「貴族が五百枚の金貨を投入したからです!」
「それだけ?」
「それだけじゃありません」
別の商人が言う。
「地下採掘者が再び見つかった」
「マーカット鉱山には封印区域がある」
「古い採掘権が残っている」
「そしてジョンさんが所有者選定で首位にいる」
「……」
僕は驚いた。
「僕まで値段に入ってるの?」
「当然です!」
商人たちが一斉に答える。
おっさんが笑いそうになる。
「お前、とうとう人間そのものが金融指標になってきたな」
「どういう意味?」
ゼロが箱を確認する。
【関連価格形成要因】
・採掘見込み
・資金投入
・旧権利証券
・封印区域
・所有者選定
・経済波及
・ジョン
「最後だけ名前なんだが」
ゼロが呟いた。
僕は嫌な感じがした。
「僕が何かすると、値段が変わるの?」
「そういうことだな」
おっさんが答える。
「だから勝手な発言は――」
「じゃあ!」
僕は言った。
「今日から毎日、何をするか発表したほうがいい?」
商人たちの目が輝いた。
「ぜひ!」
「明日の採掘計画は!?」
「所有者選定の方針は!?」
「封印区域について何か情報は!?」
「……」
僕は後ずさった。
「なんでみんなそんなに聞くの?」
ゼロが遠い目をする。
「お前が値段になってるからだよ」
その瞬間。
商人が叫んだ。
「速報!」
全員が振り返る。
「何?」
「第七坑道で、新たな紫色鉱石が発見されたそうです!」
「え?」
僕は思わず前へ出た。
「また?」
「はい!」
「誰が掘ったの?」
「貴族側の採掘班です!」
その瞬間。
【M資金指数】
数字が跳ね上がった。
「うわっ」
「上がった!」
「さらに取引注文!」
「買いが増えてる!」
市場が一気に騒がしくなる。
「すごい……」
僕が呟く。
でも。
ゼロだけは。
笑っていなかった。
「おかしい」
「何が?」
「紫鉱石の発見だけじゃねぇ」
ゼロは箱を見つめる。
そこには。
【地下反応】
という文字。
「さっきからずっと出てる」
ゴン。
地下から。
小さな音がした。
ゴン。
また。
「……採掘音?」
僕が聞く。
ゼロが首を振った。
「違う」
「何が違うの?」
「今の音は」
ゼロが耳を澄ます。
ゴン。
三回。
ゴン。
二回。
ゴン。
三回。
「……規則的だ」
おっさんが気づく。
「まさか」
僕は壁を見る。
すると。
キュ太郎が。
壁に向かって鳴いた。
「キュ」
地下から。
返事が来る。
「キュ」
僕は固まった。
「……誰かいる」
ゼロが小さく答える。
「いや」
また音。
今度は。
文字が浮かんだ。
【第零坑道・旧管理通信】
【応答要求】
僕は目を見開いた。
「通信?」
「昔の管理装置だ」
ゼロが答える。
「まだ生きてやがったのか」
箱の文字が続く。
【現在の所有者候補を確認】
【回答を求む】
僕は思った。
もしかしたら。
この鉱山には。
まだ誰かがいる。
それも。
ずっと昔から。
「僕、答えていい?」
ゼロが止めようとする。
「待て」
「どうして?」
「これは所有者選定の問題じゃねぇ」
箱の文字が変わった。
【質問】
【現在の所有者候補は、マーカット鉱山の旧債務を引き継ぐ意思があるか】
僕は固まった。
「……」
おっさんも。
マクダフも。
商人たちも。
黙った。
ゼロが。
小さく笑った。
「第三段階。
本当に始まったな」
【あとがき:現在のステータス】
【スキル】
■武器系
刀剣スキル 20
盾スキル 3
戦闘技術スキル 13
■生産系
料理スキル 13
■その他
鑑定スキル 0.3
【所持金】
141G(銀行預け金:250G(銅貨2枚、半銅貨5枚))
ジョン
「僕が値段になるって、どういうこと?」
おっさん
「お前の発言で市場が動くってことだ」
マクダフ
「旦那ぁ、ついに有名人ですぜ」
ジョン
「嫌だよ」
ゼロ
「俺も嫌だ」
【所持アイテム】
・???のスクロール×6
・採掘計画書
・旧マーカット鉱山の古地図
・マーカット鉱山 最終採掘記録
・謎の紫色の鉱石
・謎の金属片(鑑定不能)
・採掘した紫色の鉱石×2
・新しく発見した謎の金属片
・「採掘は順調です。予定通り、地上へ出ます」と書かれた紙
・新M資金・マーカット鉱山復興応援券×1
・第零坑道採掘許可証0007
・第零坑道採掘管理記録
・第零坑道・旧採掘権証券×1
・マーカット鉱山・採掘権原簿(管理箱)
・ガレスのツルハシ(借用中)
・第七坑道作業責任者のツルハシ
・中古の斧(30Gで購入)
・新しい帳簿×5
・余り紙
・ロープ
・水筒
・奴隷のマクダフの野郎
・武器破損した剣
・???の指輪(バンステ金策で入手)
・ゴブリン(テイム)
・ケムトレイル群(立場:保護対象、詳細不明)
・キュ太郎
・原簿管理妖精「ゼロ」
【投資・契約】
・中立共栄大金庫投資案件(ポーシャ支店)
元本:金貨10枚
状態:運用中
想定利回り:2倍〜5倍(説明ベース)
詳細:非公開/高リスク
【M資金】
・小口M資金券が継続流通
・商人間の決済に使用
・商品購入に使用
・現金交換
・転売
・投資対象化
・信用の証明として流通
・第三者による派生券も発生
・マクダフ発行「赤字安心券」
・「採掘利益参加証」など新たな派生券が発生
・マーカット鉱山関連券の取引市場が発生
・マクダフが独自に「M資金指数」を作成
・紫色鉱石発見により指数が急上昇
【所有者選定】
第一段階:経済的貢献度
→ジョンがトップ
第二段階:実地運用試験
→ジョン暫定首位
第三段階:所有責任審査
→継続中
今回の審査対象:
✅第三者発行券への対応
✅市場混乱への対応
✅情報公開
✅旧権利・旧債務への対応
新たな問題:
・第零坑道の旧管理通信が復活
・所有者候補へ旧債務の引き継ぎ意思を確認する表示が出現
・旧債務の存在が濃厚になる
【本日の収支】
141G(変動なし)
銀行預け金250G(変動なし)
※ジョン個人の所持金に変動はありません。
【今回の進展】
✅マーカット鉱山関連券の取引市場が形成される
✅「M資金指数」が登場
✅ジョン本人の動向まで価格形成要因として扱われ始める
✅紫色鉱石の新規発見で関連価格が急上昇
✅第零坑道の旧管理通信が復活
✅所有者候補に旧債務を引き継ぐ意思があるか問われる
ジョンの一言
ジョン
「旧債務って……いくら?」
ゼロ
「それをこれから調べる」
おっさん
「嫌な予感しかしないな」
マクダフ「旦那ぁ、借金も金策の一種ですぜ」
ジョン
「その考え方、やめて」
次回。
「旧債務、いくらある?」
そして判明する。
マーカット鉱山が、長い年月をかけて積み上げてきた「とんでもない借金」の正体――。