異世界金策 一攫千金!〜初心者冒険者必見?転移おっさんの怪しい儲け話Readme.exe〜   作:raixip

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マーカット鉱山に残る旧債務。

その暫定額は。

金貨八千四百枚。

ただし、これは古い記録を元にした暫定額であり、その全額が現在も有効な債務なのかはまだ分からない。

問題は。

古い契約。

採掘権の譲渡。

債権者の変更。

そして債務の消滅や更新。

一つずつ確認する必要があることだった。

しかし。

債務が存在するという情報だけで。

市場では新たな「旧債務連動券」が作られ。

関連券の価格はさらに動き始める。

そして。

債権者一覧に現れた。

【中立共栄大金庫】

さらに。

【回収担当:ポーシャ支店】

ジョンが現在運用している投資案件。

その銀行が。

マーカット鉱山の古い債務を管理している可能性が出てきた。

鉱山。

M資金。

旧採掘権。

銀行。

すべてが一本の線で繋がり始める。

その直後。

地下から三回の音。

まるで。

「まだあるぞ」

と知らせるように。



第156話 旧債務、いくらある?

「旧債務って……いくら?」

 

僕が聞いた。

 

第零坑道の管理通信。

 

古い箱。

 

そして。

 

【旧債務を引き継ぐ意思があるか】

 

なんだか。

 

嫌な予感しかしない。

 

ゼロは腕を組んだ。

 

「正確な額は、まだ出せねぇ」

 

「まだ?」

 

「古い記録が一部欠けてる」

 

「じゃあ、どうするの?」

 

「残ってる記録を読む」

 

箱が光った。

 

【旧債務・計算開始】

 

カタカタカタ。

 

古い文字が次々に浮かんでいく。

 

【採掘設備建設費】

 

【坑道維持費】

 

【輸送路整備費】

 

【労働者未払金】

 

【設備損壊補償費】

 

【旧採掘権配当】

 

僕は順番に読む。

 

「いろいろあるね」

 

「企業ってのは、そんなもんだ」

 

おっさんが言った。

 

「でも」

 

僕は一番下を見る。

 

【未精算項目】

 

「まだある」

 

ゼロが嫌そうな顔をした。

 

「見たくねぇな」

 

そして。

 

最後の項目が表示された。

 

【遅延損害】

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

僕たちは黙った。

 

マクダフだけが。

 

「旦那ぁ」

 

「なに?」

 

「遅延損害って、何年分です?」

 

ゼロが答える。

 

「記録上」

 

一拍。

 

「百二十七年分」

 

「百二十七年!?」

 

マクダフが叫んだ。

 

僕も驚いた。

 

「そんなに?」

 

「マーカット鉱山は、一度止まったあと長期間再開されてねぇからな」

 

おっさんが頭を抱える。

 

「つまり、その間ずっと借金が増えたってことか?」

 

「単純計算ならな」

 

ゼロが言う。

 

「ただし、途中で権利が売られたり、債権者が変わったり、契約が更新されたりしてる」

 

「……」

 

僕は嫌な数字を想像した。

 

「いくら?」

 

箱が。

 

しばらく点滅した。

 

そして。

 

【暫定旧債務総額】

 

【金貨 8,400枚】

 

「……」

 

マクダフが固まる。

 

「……八千」

 

おっさんも黙る。

 

「四百……」

 

僕は計算した。

 

金貨五百枚でも大変そうだったのに。

 

その十六倍以上。

 

「そんなにお金があるの?」

 

僕が聞くと。

 

ゼロが鼻で笑った。

 

「ねぇから借金なんだろ」

 

「そっか」

 

「いや、納得すんな」

 

おっさんが突っ込む。

 

僕は帳簿を開いた。

 

八千四百枚。

 

でも。

 

「本当に払わなきゃいけないの?」

 

ゼロが少し黙った。

 

「そこだ」

 

「え?」

 

「この額が、そのまま全部現在の債務として有効かは分からねぇ」

 

箱に新しい文字が浮かぶ。

 

【旧契約:確認必要】

 

【権利譲渡:確認必要】

 

【債権消滅:確認必要】

 

【契約更新:確認必要】

 

「つまり」

 

おっさんが整理する。

 

「昔の借金が八千四百枚という記録はある」

 

「うん」

 

「でも、それが今も有効かは一件ずつ確認しないと分からない」

 

「そういうこと」

 

ゼロが頷く。

 

「契約ってのは、書いてある金額だけ見ても意味がねぇ」

 

僕は少し安心した。

 

「じゃあ、まだ八千四百枚払うって決まったわけじゃないんだ」

 

「そうだ」

 

すると。

 

マクダフが手を上げた。

 

「では旦那ぁ」

 

「なに?」

 

「借金八千四百枚は、とりあえず宣伝に使えますな」

 

「なんで?」

 

「『八千四百枚分の価値が眠る鉱山!』」

 

「……」

 

「『復活すれば巨大利益!』」

 

「……」

 

「『旧債務を整理できれば大逆転!』」

 

ゼロが飛んだ。

 

「お前は本当に反省しねぇな!」

 

バシッ!

 

「痛ぇ!」

 

すると。

 

外が騒がしくなった。

 

「八千四百枚だって!?」

 

「本当か!」

 

「だったら鉱山には、それ以上の価値があるはずだ!」

 

「券を買え!」

 

僕たちは顔を見合わせた。

 

「……聞こえた?」

 

「聞こえた」

 

おっさんが嫌そうに言った。

 

「さっきの情報、もう外に漏れてるぞ」

 

ゼロが頭を抱える。

 

「誰が喋った?」

 

全員がマクダフを見る。

 

「俺じゃありませんぜ!」

 

「本当か?」

 

「俺ならもう紙を作ってます!」

 

「そこを威張るな!」

 

僕は外を見る。

 

さっきまで十G。

 

五十G。

 

百G。

 

そんな価格だった券が。

 

今度は。

 

「三百G!」

 

「いや、五百Gで買う!」

 

「千Gでも欲しい!」

 

どんどん値段が上がっている。

 

「……どうして?」

 

僕には理解できなかった。

 

「借金が増えたのに、券の値段が上がるの?」

 

おっさんが苦笑した。

 

「市場は数字だけで動くんじゃない」

 

「どういうこと?」

 

「『八千四百枚の借金がある』じゃなくて」

 

一拍。

 

「『八千四百枚もの金が必要になるほど、昔は大規模な事業だった』と受け取る人間もいるんだ」

 

「……」

 

「借金そのものより、その裏にある『期待』を買ってる」

 

ゼロが頷いた。

 

「情報が一個出るだけで、人によって意味が変わる」

 

僕は券を見る。

 

確かに。

 

同じ八千四百枚でも。

 

「借金がすごい」

 

と思う人もいれば。

 

「それだけ大きな鉱山だった」

 

と思う人もいる。

 

「面白いね」

 

「面白くねぇよ」

 

ゼロが即答した。

 

「これ、悪化すると『借金が多いほど価値がある』とかいう、わけの分からねぇ市場になるぞ」

 

「もうなってますぜ」

 

マクダフが言った。

 

「何?」

 

「ほら」

 

彼が紙を差し出す。

 

そこには。

 

【マーカット鉱山・旧債務連動券】

 

と書かれていた。

 

「また作ったの?」

 

「俺じゃありません」

 

「……」

 

「今回は別の商人です」

 

おっさんが頭を抱えた。

 

「人が増えてる……」

 

「旦那ぁ」

 

マクダフが真面目な顔になる。

 

「俺、負けられません」

 

「何と?」

 

「金策です」

 

「その勝負、しなくていいよ」

 

そのときだった。

 

箱が再び光った。

 

【重要】

 

【旧債務確認のため、債権者一覧を表示します】

 

「債権者?」

 

僕が画面を見る。

 

名前が。

 

一つ。

 

二つ。

 

三つ。

 

どんどん増えていく。

 

商会。

 

鍛冶組合。

 

運送組合。

 

個人。

 

旧貴族家。

 

そして。

 

最後のほうに。

 

見覚えのない名前。

 

【中立共栄大金庫】

 

僕は思わず声を出した。

 

「……え?」

 

おっさんが振り返る。

 

「どうした?」

 

「これ」

 

僕は指差す。

 

【中立共栄大金庫】

 

「銀行じゃん」

 

ゼロが黙った。

 

「……そうだ」

 

「この銀行」

 

僕はさらに見る。

 

【旧マーカット鉱山債権】

 

【管理記録:継続中】

 

「継続中?」

 

おっさんの顔が険しくなる。

 

「まさか」

 

箱に最後の文字が浮かぶ。

 

【現行管理対象】

 

【中立共栄大金庫】

 

【第七支店群】

 

【回収担当:ポーシャ支店】

 

「……」

 

僕は。

 

自分がポーシャ支店に預けている投資案件を思い出した。

 

金貨十枚。

 

運用中。

 

「おっさん」

 

「なんだ?」

 

「僕の銀行」

 

「うん」

 

「この鉱山の借金を、今も管理してるの?」

 

ゼロが小さく答えた。

 

「どうやらな」

 

僕は固まった。

 

鉱山。

 

M資金。

 

旧採掘権。

 

そして。

 

中立共栄大金庫。

 

全部が。

 

一本の線で繋がり始めていた。

 

すると。

 

箱に。

 

新しい表示。

 

【所有者選定・第三段階】

 

【追加質問】

 

【現行債権者との契約関係を、候補者は理解しているか】

 

僕は。

 

ゆっくり手を上げた。

 

「……分からない」

 

ゼロが笑う。

 

「正直でよろしい」

 

「でも」

 

僕は箱を見る。

 

「分からないなら、調べればいいんだよね?」

 

「そうだ」

 

ゼロが頷く。

 

「そしてたぶん」

 

おっさんが言った。

 

「調べたら、もっと面倒なことが出てくるぞ」

 

ゴン。

 

地下から。

 

また一回。

 

ゴン。

 

今度は二回。

 

そして。

 

ゴン。

 

三回。

 

何かが。

 

合図している。




【あとがき:現在のステータス】

【スキル】
■武器系
刀剣スキル 20
盾スキル 3
戦闘技術スキル 13

■生産系
料理スキル 13

■その他
鑑定スキル 0.3

【所持金】
141G(銀行預け金:250G(銅貨2枚、半銅貨5枚))

ジョン
「借金、八千四百枚……」
おっさん
「暫定額だけどな」
マクダフ
「旦那ぁ、これを金策に――」
ジョン
「もうやめて」
ゼロ
「こいつには言っても無駄だ」

【所持アイテム】
・???のスクロール×6
・採掘計画書
・旧マーカット鉱山の古地図
・マーカット鉱山 最終採掘記録
・謎の紫色の鉱石
・謎の金属片(鑑定不能)
・採掘した紫色の鉱石×2
・新しく発見した謎の金属片
・「採掘は順調です。予定通り、地上へ出ます」と書かれた紙
・新M資金・マーカット鉱山復興応援券×1
・第零坑道採掘許可証0007
・第零坑道採掘管理記録
・第零坑道・旧採掘権証券×1
・マーカット鉱山・採掘権原簿(管理箱)
・ガレスのツルハシ(借用中)
・第七坑道作業責任者のツルハシ
・中古の斧(30Gで購入)
・新しい帳簿×5
・余り紙
・ロープ
・水筒
・奴隷のマクダフの野郎
・武器破損した剣
・???の指輪(バンステ金策で入手)
・ゴブリン(テイム)
・ケムトレイル群(立場:保護対象、詳細不明)
・キュ太郎
・原簿管理妖精「ゼロ」

【投資・契約】
・中立共栄大金庫投資案件(ポーシャ支店)
 元本:金貨10枚
 状態:運用中
 想定利回り:2倍〜5倍(説明ベース)
 詳細:非公開/高リスク

新判明:
・中立共栄大金庫が旧マーカット鉱山債権者一覧に存在
・旧債務の一部が現在も管理対象となっている可能性あり
・回収担当としてポーシャ支店の名前が記録されている

【M資金】
・小口M資金券が継続流通
・商人間の決済に使用
・商品購入に使用
・現金交換
・転売
・投資対象化
・信用の証明として流通
・第三者による派生券も発生
・マクダフ発行「赤字安心券」
・「採掘利益参加証」
・「旧債務連動券」
・マーカット鉱山関連券の取引市場
・M資金指数
・旧債務発表後、関連券の価格がさらに上昇

【所有者選定】
第一段階:経済的貢献度
→ジョンがトップ

第二段階:実地運用試験
→ジョン暫定首位

第三段階:所有責任審査
→継続中

今回確認:
✅旧債務の暫定総額:金貨8400枚
✅旧債務の有効性は未確認
✅旧採掘権・旧契約の精査が必要
✅現行債権者に中立共栄大金庫が含まれる
✅回収担当としてポーシャ支店の記録あり

【本日の収支】
141G(変動なし)
銀行預け金250G(変動なし)

※ジョン個人の所持金に変動はありません。

【今回の進展】
✅マーカット鉱山の旧債務が暫定8400Gではなく「金貨8400枚」と判明
✅ただし全額が現行債務として有効かは未確認
✅旧契約・権利譲渡・債権消滅などの調査が必要
✅旧債務の情報をきっかけに関連券の価格がさらに上昇
✅「旧債務連動券」が新たに登場
✅中立共栄大金庫が現行債権者一覧に存在
✅ポーシャ支店が回収担当として記録されている
✅所有者選定と銀行契約が繋がり始める

ジョンの一言
ジョン
「僕の投資してる銀行と、鉱山の借金が繋がってるの?」
ゼロ
「どうやらな」
おっさん
「世間は狭いな」
マクダフ
「旦那ぁ、銀行も鉱山も金策ですぜ」
ジョン
「その言葉で全部まとめないで」


次回。
「ポーシャ支店、鉱山債権回収に来る?」
ついに中立共栄大金庫側の担当者が登場。
そしてジョンは。
自分が知らないところで結ばれていた、百年以上前の「奇妙な金融契約」の存在を知ることになる。
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