異世界金策 一攫千金!〜初心者冒険者必見?転移おっさんの怪しい儲け話Readme.exe〜   作:raixip

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所有者候補に与えられた。

「旧契約を整理する権利」

その意味が判明した。

マーカット鉱山には。

6,421件もの古い契約が残っていた。

その中には。

権利者が存在しない。

請求権が失効している。

すでに役割を終えている。

そんな契約も存在する。

それらは記録を消すのではなく。

終了理由を残した上で。

正式に効力を終了させられる。

ジョンは。

最初の一件を整理した。

その結果。

関連する債務と権利が正式に終了。

さらに。

所有者選定の評価まで上昇した。

だが。

情報はすぐに市場へ流れる。

「終わった権利なら安く買って整理すればいい」

そんな新しい金策を考える人間が現れ始めた。

鉱山を掘らなくても。

借金を返さなくても。

今度は。

「古い権利そのもの」が商売道具になろうとしている。


第163話 借金を消していい?

「借金を消していい?」

 

僕が聞いた。

 

第零坑道の奥。

 

原簿中枢に浮かんだ文字は。

 

【旧契約を整理する権利】

 

その下には。

 

【契約の有効性を再確認できます】

 

とある。

 

「……整理って」

 

僕は聞いた。

 

「どうやるの?」

 

ゼロが腕を組む。

 

「まず確認だ」

 

「うん」

 

「その契約が、今も生きてるか」

 

「どうやって?」

 

「契約者がいるか」

 

「うん」

 

「請求する権利が残ってるか」

 

「うん」

 

「契約そのものが、まだ条件を満たしているか」

 

僕は少し考えた。

 

「じゃあ」

 

「なんだ?」

 

「誰もいない契約は?」

 

ゼロが。

 

ニヤッとした。

 

「消せる場合がある」

 

「本当に?」

 

リゼさんがすぐに補足する。

 

「正確には、契約上の条件を満たしている場合に限ります」

 

「うん」

 

「勝手に消すわけではありません」

 

「そっか」

 

僕は安心した。

 

「じゃあ、全部調べればいいんだね」

 

おっさんが笑う。

 

「お前、また気軽に言うなぁ」

 

「だって」

 

僕は原簿を見る。

 

契約。

 

借金。

 

権利。

 

これまで見てきたものは。

 

全部。

 

ずっと昔のものだ。

 

「誰が持ってるか、分からない権利もあるんでしょ?」

 

「ある」

 

「何百年も前の人だったら?」

 

「死んでるだろうな」

 

マクダフが言う。

 

「じゃあ無効ですぜ」

 

「お前は雑すぎる」

 

ゼロが怒鳴った。

 

「相続人がいるかもしれねぇだろ!」

 

「なるほど」

 

僕は頷く。

 

「じゃあ探さないと」

 

「そうだ」

 

リゼさんが帳簿を開く。

 

「そして」

 

「まだ問題があります」

 

「何?」

 

「権利者本人が見つからなくても、権利が他へ譲渡されている場合があります」

 

「……」

 

「さらに、その譲渡契約自体が残っています」

 

僕は頭を抱えた。

 

「契約が多すぎる」

 

ゼロが笑った。

 

「だから百年分なんだよ」

 

すると。

 

原簿中枢に。

 

大量の文字が一気に表示された。

 

【旧契約:6,421件】

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

僕は。

 

画面を見つめた。

 

「六千……」

 

マクダフが数える。

 

「四百……」

 

おっさんが最後を読む。

 

「二十一」

 

「そんなにあるの?」

 

ゼロが平然と答える。

 

「昔の鉱山ってのは、細かい契約が山ほどある」

 

「これ、全部調べるの?」

 

「そうなるな」

 

「何日?」

 

「さあな」

 

リゼさんが答えた。

 

「人手があれば」

 

「何人くらい?」

 

「最低でも数十人」

 

マクダフが胸を張った。

 

「旦那ぁ!」

 

「なに?」

 

「俺、契約整理なら得意ですぜ!」

 

「嘘だろ」

 

「本当です」

 

「どこが?」

 

「自分に都合の悪い契約は見なかったことにします」

 

「それ整理じゃないよ」

 

おっさんが吹き出した。

 

そのとき。

 

ゼロが。

 

ある一枚を表示した。

 

【整理候補】

 

【第0001契約】

 

【契約者:調査組合】

 

【状態:組織解散】

 

【権利承継:記録なし】

 

【請求:なし】

 

【最終更新:91年前】

 

僕は驚いた。

 

「これ、消せる?」

 

ゼロが頷く。

 

「条件を確認すればな」

 

「じゃあ」

 

僕は言った。

 

「やってみよう」

 

箱が光る。

 

【契約整理を実施しますか?】

 

【はい】

 

【いいえ】

 

僕は。

 

【はい】

 

を押した。

 

カチッ。

 

古い文字が消える。

 

【契約終了】

 

【関連債務:消滅】

 

【関連権利:消滅】

 

僕は目を丸くした。

 

「本当に消えた」

 

「いや」

 

ゼロが言う。

 

「正確には、存在していた契約を『終了済み』に整理した」

 

「違うの?」

 

「帳簿から消すんじゃねぇ」

 

「うん」

 

「記録として残した上で」

 

ゼロが指を差す。

 

【終了理由:権利者不存在・請求権失効】

 

「こうする」

 

「なるほど」

 

おっさんが頷く。

 

「記録を消すんじゃなくて、もう効力がないことを確定するんだな」

 

「そういうこと」

 

リゼさんも頷いた。

 

「これは重要です」

 

「どうして?」

 

「後から誰かが」

 

リゼさんは淡々と言った。

 

「『その契約はまだ生きている』と主張した場合」

 

「うん」

 

「終了記録が証拠になります」

 

「……」

 

僕は思った。

 

やっぱり。

 

お金を払うだけが解決じゃない。

 

何が本当に有効なのか。

 

それを整理することも。

 

鉱山を守ることになる。

 

【契約整理:1件】

 

【旧債務:削減】

 

【旧権利:整理】

 

【所有責任評価】

 

【+50】

 

「また増えた」

 

僕が驚く。

 

ゼロが笑う。

 

「そりゃそうだ」

 

「借金を減らしたから?」

 

「それだけじゃねぇ」

 

「じゃあ?」

 

「権利者が分からないままの契約を放置しなかった」

 

ゼロは。

 

珍しく真面目だった。

 

「それが所有者の仕事だ」

 

僕は。

 

少しだけ。

 

所有者という言葉の意味が分かった気がした。

 

そのとき。

 

外が騒がしくなった。

 

「何?」

 

僕たちは入口を見る。

 

誰かが走ってくる。

 

「大変だ!」

 

商人だった。

 

息を切らしている。

 

「何が?」

 

「契約整理の情報が市場に流れました!」

 

「……」

 

「古い契約が消せるなら!」

 

商人が叫ぶ。

 

「価値のない権利をまとめて買い取って、整理すれば利益になる!」

 

マクダフが目を輝かせた。

 

「旦那ぁ!」

 

「なに?」

 

「新しい金策ですぜ!」

 

ゼロが。

 

すぐに頭を抱えた。

 

「……やっぱり始まったか」

 

僕は。

 

嫌な予感しかしなかった。

 

六千四百二十一件。

 

その中には。

 

もう誰にも必要とされていない権利が。

 

大量に眠っている。

 

そして。

 

それを狙う人たちが。

 

もう動き始めていた。




【あとがき:現在のステータス】

【スキル】
■武器系
刀剣スキル 20
盾スキル 3
戦闘技術スキル 13

■生産系
料理スキル 13

■その他
鑑定スキル 0.3

【所持金】
141G(銀行預け金:250G(銅貨2枚、半銅貨5枚))

ジョン
「契約って、終わってるものもあるんだね」
おっさん
「百年単位なら、そりゃ出てくるだろうな」
マクダフ
「旦那ぁ、終わってる権利を安く買うのはどうでしょう?」
ゼロ
「お前は本当に隙がねぇな」

【所持アイテム】
・???のスクロール×6
・採掘計画書
・旧マーカット鉱山の古地図
・マーカット鉱山 最終採掘記録
・謎の紫色の鉱石
・謎の金属片(鑑定不能)
・採掘した紫色の鉱石×2
・新しく発見した謎の金属片
・「採掘は順調です。予定通り、地上へ出ます」と書かれた紙
・新M資金・マーカット鉱山復興応援券×1
・第零坑道採掘許可証0007
・第零坑道採掘管理記録
・第零坑道・旧採掘権証券×1
・マーカット鉱山・採掘権原簿(管理箱)
・ガレスのツルハシ(借用中)
・第七坑道作業責任者のツルハシ
・中古の斧(30Gで購入)
・新しい帳簿×5
・余り紙
・ロープ
・水筒
・奴隷のマクダフの野郎
・武器破損した剣
・???の指輪(バンステ金策で入手)
・ゴブリン(テイム)
・ケムトレイル群(立場:保護対象、詳細不明)
・キュ太郎
・原簿管理妖精「ゼロ」

【投資・契約】
・中立共栄大金庫投資案件(ポーシャ支店)
 元本:金貨10枚
 状態:運用中
 想定利回り:2倍〜5倍(説明ベース)
 詳細:非公開/高リスク

新判明:
・旧契約総数:6,421件
・一部契約は権利者不存在・請求権失効により整理可能
・整理後も契約記録自体は保存される
・契約終了により関連債務・権利を正式に終了処理できる場合がある
・契約整理そのものが所有者評価対象となる

【M資金】
・小口M資金券が継続流通
・商人間の決済に使用
・商品購入に使用
・現金交換
・転売
・投資対象化
・信用の証明として流通
・第三者による派生券も発生
・マクダフ発行「赤字安心券」
・「採掘利益参加証」
・「旧債務連動券」
・マーカット鉱山関連券の取引市場
・M資金指数
・旧契約整理可能という情報が市場へ流出
・終了予定権利を対象とした新たな取引が発生する可能性

【所有者選定】
第一段階:経済的貢献度
→ジョンがトップ

第二段階:実地運用試験
→ジョン暫定首位

第三段階:所有責任審査
→継続中

今回の評価:
✅旧契約の有効性確認
✅失効契約の正式整理
✅関連債務の削減
✅記録保存による将来の紛争防止

【追加評価】
+50

【本日の収支】
141G(変動なし)銀行預け金250G(変動なし)

※ジョン個人の所持金に変動はありません。

【今回の進展】
✅旧契約6,421件の存在を確認
✅その中に権利者不存在・請求権失効の契約が存在
✅第0001契約を正式に終了処理
✅関連する旧債務と権利を整理
✅契約記録を残したまま効力だけを終了できる仕組みを確認
✅所有者責任として「契約整理」が重要であることが判明
✅整理可能な権利を狙った新たな金策が市場で始まりそうになる


ジョンの一言
ジョン
「借金を返すんじゃなくて、終わってるものをちゃんと終わらせるんだね」
ゼロ
「そういうことだ」
おっさん
「ただし、誰かが勝手に『終わった』ことにするのは駄目だぞ」
マクダフ
「旦那ぁ、じゃあ俺が終わったことに――」
ジョン
「駄目」


次回。
「終わった権利を買いませんか?」
市場に現れる。
謎の権利買取業者。
そしてジョンの目の前に。
大量の「もう価値がないはずの採掘権証券」が持ち込まれる。
しかし。
その中に一枚だけ。
絶対に終了してはいけない権利が混ざっていた――。
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