異世界金策 一攫千金!〜初心者冒険者必見?転移おっさんの怪しい儲け話Readme.exe〜 作:raixip
彼らが狙うのは。
契約が終了した古い権利。
価値がないように見える権利を安く買い。
まだ有効な可能性があれば大きな利益を得る。
そんな新しい金策だった。
しかし。
第十二採掘区の証券を調べたところ。
終了理由が記録されていないことが判明。
さらに原簿中枢の再確認によって。
契約終了そのものが未確定であることまで分かった。
つまり。
「終わった権利」ではなかった可能性がある。
そして。
その証券の契約番号は。
0000。
原始契約と同じだった。
さらに。
単なる採掘権ではなく。
原始契約に付属する担保権証券である可能性が浮上。
価値を判断できないまま。
市場では価格だけが跳ね上がる。
銀貨三枚。
金貨五十枚。
百枚。
二百枚。
そして。
ついには。
金貨千枚。
マーカット鉱山の過去を巡る金策は。
とうとう。
最初の契約そのものを売買する段階へ突入した。
「終わった権利を買いませんか?」
第零坑道から戻ると。
僕たちの前には。
知らない商人が三人並んでいた。
机の上には。
古びた紙。
金属板。
そして大量の採掘権証券。
「……何これ?」
僕が聞く。
中央の商人が笑った。
「古い採掘権です」
「古い?」
「はい」
「もう終わってるものもあります」
「じゃあ、いらないんじゃない?」
商人が一瞬。
黙った。
おっさんが吹き出す。
「ジョン、それを商売にしてる奴の前で言うな」
「でも終わってるんでしょ?」
「そこが商売なんだよ」
商人は慌てて説明を始めた。
「権利が終了しているからこそ安いんです!」
「安い?」
「ええ!」
一枚を取り出す。
「通常なら金貨十枚相当の証券を!」
「いくら?」
「たった一枚、銀貨三枚!」
マクダフが食いついた。
「安い!」
ゼロが飛んできた。
「食いつくな!」
「でもゼロさん。十Gが三枚ですぜ」
「お前は値札しか見てねぇだろ」
僕は証券を見る。
古い文字。
【第十二採掘区・採掘権】
その下に。
【契約終了】
「本当に終わってる」
僕が言う。
「そうでしょう!」
商人は胸を張る。
「ですから、将来何かの手続きがあっても、もう請求されません!」
「それなら安心だね」
リゼさんが。
じっと証券を見ていた。
「……」
「どうしたの?」
「この証券」
彼女は一枚を裏返す。
「終了理由が書かれていません」
商人の顔が固まった。
「え?」
「契約終了の記録はあります」
「はい!」
「しかし、終了理由が空欄です」
「……」
ゼロが飛びつく。
「ちょっと見せろ!」
証券を受け取る。
「こいつは……」
おっさんが聞く。
「何だ?」
ゼロは裏面を見る。
「第十二採掘区は、確かに終了処理されてる」
「じゃあ問題ない?」
「いや」
ゼロが首を振った。
「終了の理由がねぇ」
「理由がない?」
「そうだ」
「それって変なの?」
リゼさんが答える。
「非常に変です」
「どうして?」
「通常は」
彼女が淡々と説明する。
「権利者が請求権を放棄した」
「うん」
「契約期間が満了した」
「うん」
「債務と相殺した」
「うん」
「そういった終了理由を記録します」
「でも」
僕が証券を見る。
「空欄なんだ」
「はい」
ゼロが嫌な顔をする。
「つまり」
「うん」
「終わったことだけは分かる」
「うん」
「なぜ終わったかは分からねぇ」
「……」
マクダフが小声で言った。
「それ、怖くないです?」
「怖ぇよ」
ゼロが即答した。
商人が慌てて手を挙げる。
「ですが!」
「何だ?」
「原簿には終了と記録されているんです!」
「そうだな」
「なら無効でしょう!」
リゼさんが首を振る。
「それを確認する必要があります」
「なぜ?」
「終了処理そのものが、正式なものか調べる必要があります」
僕は頭を抱えた。
「また調べるの……?」
おっさんが笑う。
「所有者って大変だろ?」
「うん」
そのとき。
商人の後ろから。
別の男が出てきた。
「その権利」
男は言った。
「私が買います」
「え?」
商人たちが振り返る。
男は。
きれいな服を着ていた。
貴族っぽい。
「その第十二採掘区の権利」
男は金貨の袋を置く。
「金貨五十枚で」
「五十!?」
僕は驚いた。
さっき銀貨三枚だったのに。
「なぜ急にそんな値段に?」
男は笑った。
「簡単です」
その証券を指差す。
「終了理由が不明だからです」
「……?」
おっさんの顔が変わる。
「まさか」
男は続けた。
「終了理由が不明ということは」
一拍。
「終了していない可能性もある」
その瞬間。
商人たちがざわめいた。
「つまり……」
「もし有効なら」
「古い採掘権が復活する?」
男は頷いた。
「確認できれば」
「第十二採掘区の採掘権が、現在でも有効かもしれない」
僕は証券を見る。
銀貨三枚。
それが。
五十枚になった。
たった。
「終わっている」
という記録一つで。
値段が変わった。
ゼロが小さく笑う。
「また始まったな」
「何が?」
「情報の差を金にする商売だ」
マクダフが小声で言う。
「旦那ぁ」
「なに?」
「これ、買っておいて」
「なんで?」
「有効だったら大儲けですぜ」
ゼロが即座に睨む。
「お前は本当に懲りねぇな」
「でも」
僕は証券を見る。
「本当に有効なら」
「うん?」
「買った人が得するんだよね?」
「理屈ではな」
「じゃあ、調べればいいんじゃない?」
リゼさんが頷いた。
「その通りです」
彼女は原簿中枢を起動させた。
【第十二採掘区】
【契約終了記録】
【終了理由:検索中】
「……」
文字が。
しばらく点滅する。
やがて。
【終了処理:保留】
「え?」
僕が声を出した。
ゼロが目を見開く。
「なんだと?」
【第十二採掘区】
【契約状態:終了未確定】
【現行権利:存在の可能性】
商人たちが一斉に騒ぎ始めた。
「有効かもしれない!」
「なら五十枚でも安い!」
「百枚出す!」
「いや、二百!」
値段が。
また上がっていく。
僕は呆然とする。
「……終わってなかったの?」
ゼロが苦笑した。
「どうやらな」
「じゃあ、この証券」
「そうだ」
「本当に価値があるかもしれない」
「かもしれねぇ」
「……」
僕は証券を見た。
でも。
何かがおかしい。
「ゼロ」
「なんだ?」
「これ」
僕は証券の端を指した。
小さな数字。
【0000】
ゼロの顔から。
笑みが消えた。
「……それをどこで見つけた」
「この証券に書いてあるよ」
リゼさんも覗き込む。
「契約番号0000?」
おっさんが息を呑む。
「原始契約と同じだ」
ゼロは。
しばらく黙っていた。
「こいつは第十二採掘区の権利じゃねぇ」
「え?」
ゼロが証券を取り上げる。
「これ」
一枚を裏返す。
新しい文字が浮かんだ。
【原始契約・担保権付属証券】
「……」
「つまり」
ゼロが言った。
「第十二採掘区を持ってる証券じゃねぇ」
一拍。
「原始契約そのものに付属する権利だ」
僕は。
理解するまで少し時間がかかった。
でも。
分かった。
この証券を買うと。
鉱山の一部ではなく。
最初の契約に関係する権利そのものを買うことになる。
そして。
それが有効なら。
百年以上前の契約に。
今さら参加することになる。
僕は証券を見つめた。
「……これ、かなり危ないんじゃない?」
ゼロが。
初めて褒めるように笑った。
「ようやく分かってきたな」
その瞬間。
市場の外から。
大声が響いた。
「その証券、金貨千枚で買う!」
全員が振り返った。
そして。
僕たちは知る。
この証券を。
本当に欲しがっている人間が。
もう近くまで来ていることを。
【あとがき:現在のステータス】
【スキル】
■武器系
刀剣スキル 20
盾スキル 3
戦闘技術スキル 13
■生産系
料理スキル 13
■その他
鑑定スキル 0.3
【所持金】
141G(銀行預け金:250G(銅貨2枚、半銅貨5枚))
ジョン
「終わった権利なのに、値段が上がった」
おっさん
「終わった理由が分からないからな」
マクダフ
「旦那ぁ、俺も買います」
ゼロ
「お前は金がねぇだろ」
マクダフ
「それが問題なんですぜ」
【所持アイテム】
・???のスクロール×6
・採掘計画書
・旧マーカット鉱山の古地図
・マーカット鉱山 最終採掘記録
・謎の紫色の鉱石
・謎の金属片(鑑定不能)
・採掘した紫色の鉱石×2
・新しく発見した謎の金属片
・「採掘は順調です。予定通り、地上へ出ます」と書かれた紙
・新M資金・マーカット鉱山復興応援券×1
・第零坑道採掘許可証0007
・第零坑道採掘管理記録
・第零坑道・旧採掘権証券×1
・マーカット鉱山・採掘権原簿(管理箱)
・ガレスのツルハシ(借用中)
・第七坑道作業責任者のツルハシ
・中古の斧(30Gで購入)
・新しい帳簿×5
・余り紙
・ロープ
・水筒
・奴隷のマクダフの野郎
・武器破損した剣
・???の指輪(バンステ金策で入手)
・ゴブリン(テイム)
・ケムトレイル群(立場:保護対象、詳細不明)
・キュ太郎
・原簿管理妖精「ゼロ」
【投資・契約】
・中立共栄大金庫投資案件(ポーシャ支店)
元本:金貨10枚
状態:運用中
想定利回り:2倍〜5倍(説明ベース)
詳細:非公開/高リスク
新判明:
・終了理由不明の旧採掘権が存在
・第十二採掘区の終了処理が未確定
・契約番号0000が付属した特殊証券を確認
・原始契約・担保権付属証券である可能性
・古い証券の市場価値が急騰
【M資金】
・小口M資金券が継続流通
・商人間の決済に使用
・商品購入に使用
・現金交換
・転売
・投資対象化
・信用の証明として流通
・第三者による派生券も発生
・マクダフ発行「赤字安心券」
・「採掘利益参加証」
・「旧債務連動券」
・マーカット鉱山関連券の取引市場
・M資金指数
・旧契約整理を巡る新たな権利売買が発生
・原始契約に関連する証券まで市場に登場
【所有者選定】
第一段階:経済的貢献度
→ジョンがトップ
第二段階:実地運用試験
→ジョン暫定首位
第三段階:所有責任審査
→継続中
今回の確認:
✅終了契約の確認
✅終了理由の確認
✅未確定権利の扱い
✅原始契約関連証券の確認
【本日の収支】
141G(変動なし)銀行預け金250G(変動なし)
※ジョン個人の所持金に変動はありません。
【今回の進展】
✅古い採掘権証券の買取業者が登場
✅終了済みのはずの第十二採掘区の権利に問題が発生
✅終了理由が記録されていない契約が存在
✅第十二採掘区の契約終了が未確定と判明
✅契約番号0000の特殊証券が発見される
✅原始契約・担保権付属証券である可能性が浮上
✅関連証券の価格が一気に上昇
✅金貨千枚での買い取り希望者まで現れる
ジョンの一言
ジョン
「終わったと思ってたものが、実は終わってないって一番困るね」
ゼロ
「だから契約は確認しろって言ってんだ」
おっさん
「そして市場は確認する前に値段を付ける」
マクダフ
「旦那ぁ、そこに金策の隙間が――」
ジョン
「ないよ!」
次回。
「金貨千枚の正体」
なぜ、その証券一枚に。
金貨千枚もの価値を付ける人間がいるのか。
その理由を追ううち。
ジョンたちは。
「原始契約を買い集めている謎の人物」
と接触することになる。
そして。
その人物が探しているのは。
鉱山ではなかった。