異世界金策 一攫千金!〜初心者冒険者必見?転移おっさんの怪しい儲け話Readme.exe〜   作:raixip

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マーカット鉱山関連の古い権利を買い集める商人。

セドリック商会が登場した。

彼らが欲しいのは。

鉱山そのものではない。

鉱山に対する権利。

契約の優先順位。

そして。

誰が誰に何を請求できるのかを決める力。

その価値を知っているからこそ。

第十二採掘区の特殊証券に。

金貨二千枚という巨額の価格を提示した。

さらにセドリックは。

一枚の証券だけでは満足しない。

マーカット鉱山に関係する権利を。

片っ端から買い始めた。

一人が大量の権利を持てば。

鉱山そのものを動かさなくても。

交渉に大きな影響力を持てる可能性がある。

それに対して。

ジョンは。

「みんなで掘るための鉱山なのに、紙だけ持った人が全部決めるのは変」

と考える。

単純な言葉だった。

しかし。

所有者選定は。

それを高く評価した。

一方で。

市場では。

セドリック商会による買い集めが始まる。

権利を売りたい者。

高く買ってほしい者。

将来価値を期待する者。

そして。

それを利用しようとする者。

マーカット鉱山の周囲に。

新たな争いが生まれ始めた。


第165話 金貨千枚の正体

「金貨千枚の正体」

 

その数字が。

 

僕の頭から離れなかった。

 

金貨千枚。

 

僕の所持金は。

 

141G。

 

比べると。

 

あまりにも遠い。

 

「どうして一枚の証券に、そんな値段をつけるの?」

 

僕が聞くと。

 

さっき金貨千枚を提示した男が。

 

ゆっくり歩いてきた。

 

「理由は簡単です」

 

男は笑った。

 

「その証券が、鉱山そのものを買うための証券ではないからです」

 

「じゃあ何を買うの?」

 

「権利です」

 

「どんな?」

 

「契約の参加権です」

 

「……」

 

よく分からなかった。

 

ゼロが嫌そうに顔をしかめる。

 

「やっぱり来やがったか」

 

「知ってるの?」

 

僕が聞く。

 

「直接は知らねぇ」

 

ゼロは男を見る。

 

「だが、目的は分かる」

 

男が帽子を取った。

 

「私はセドリック商会の代表、セドリックと申します」

 

「商会?」

 

「古い契約や権利を専門に扱っています」

 

マクダフが目を輝かせる。

 

「旦那ぁ」

 

「なに?」

 

「同業者ですぜ」

 

「何の?」

 

「金策の」

 

「だからその分類やめて」

 

セドリックは苦笑した。

 

「私は金策というより、権利整理を商売にしております」

 

リゼさんが口を開く。

 

「では、なぜ第十二採掘区の証券を?」

 

「この証券に」

 

セドリックは指を添える。

 

「原始契約の担保権が付いているからです」

 

「それが金貨千枚の理由?」

 

「その通りです」

 

僕には。

 

まだ分からない。

 

「でも」

 

僕は言った。

 

「この鉱山、借金がいっぱいなんだよね?」

 

「はい」

 

「じゃあ、そんな権利を持ってても損しない?」

 

セドリックが笑った。

 

「そこです」

 

「え?」

 

「普通の人は、鉱山の利益だけを見る」

 

彼は証券を指差した。

 

「私は違います」

 

「何を見るの?」

 

「誰に、何の権利があり」

 

「うん」

 

「誰に、何の債務があり」

 

「うん」

 

「どの契約が優先されるのか」

 

「……」

 

「そこを見ます」

 

おっさんが呟く。

 

「権利関係を握れば、鉱山そのものより強いってことか」

 

セドリックは笑った。

 

「ご理解が早い」

 

「じゃあ」

 

僕は聞く。

 

「この証券を持ってると、何ができるの?」

 

「原始契約に基づく請求順位の確認」

 

「請求順位?」

 

「はい」

 

セドリックは一枚の紙を出した。

 

【原始契約・担保権優先順位】

 

「契約って」

 

僕が読む。

 

「順番があるの?」

 

「あります」

 

リゼさんが説明する。

 

「同じ資産に複数の権利が付いている場合、どの権利を先に扱うか決まっていることがあります」

 

「じゃあ」

 

僕は理解する。

 

「この証券を持ってると」

 

「昔の契約について、他の人より先に権利を主張できる場合があります」

 

「……」

 

僕は。

 

少し怖くなった。

 

「それって」

 

「はい?」

 

「鉱山を掘るより、契約を持ってるほうがお金になるの?」

 

セドリックは。

 

少しだけ笑った。

 

「人によっては」

 

ゼロが吐き捨てる。

 

「それが昔の鉱山を腐らせた原因だ」

 

「どういうこと?」

 

「みんな鉱山を掘ることより」

 

ゼロは証券を見る。

 

「権利を持つことに価値を見出した」

 

僕は。

 

黙った。

 

採掘権。

 

利益配分権。

 

担保権。

 

債権。

 

そしてM資金。

 

鉱山を動かすための仕組みだったものが。

 

いつの間にか。

 

仕組みそのものを売り買いするためのものになっている。

 

「じゃあ」

 

僕はセドリックを見る。

 

「あなたは、この鉱山を掘りたいわけじゃないんだ」

 

男は。

 

少しだけ黙った。

 

そして。

 

「はい」

 

「……」

 

「私が欲しいのは」

 

セドリックは。

 

第十二採掘区の証券を見た。

 

「鉱山に対する権利の整理権です」

 

「整理権?」

 

「誰が何を持っているのか」

 

一枚。

 

二枚。

 

古い証券を並べていく。

 

「誰が何を請求できるのか」

 

さらに。

 

三枚。

 

「どの契約が優先されるのか」

 

四枚。

 

「それを確定できれば」

 

最後に。

 

原始契約・担保権付属証券。

 

「この鉱山を巡る交渉を、全てこちらから始められる」

 

おっさんが低く言う。

 

「なるほどな」

 

「何?」

 

「九万枚の鉱山価値そのものを狙ってるんじゃない」

 

おっさんがセドリックを見る。

 

「価値を決めるルールを握ろうとしてる」

 

セドリックは。

 

何も否定しなかった。

 

僕は。

 

少し怖くなった。

 

だって。

 

「それって」

 

僕は聞いた。

 

「鉱山の所有者より強くならない?」

 

一瞬。

 

誰も喋らなかった。

 

ゼロが。

 

小さく笑った。

 

「そういうことだ」

 

箱が光る。

 

【権利集中の危険性】

 

【評価対象】

 

【契約権利の過度な集中】

 

【所有者候補への質問】

 

【第三者による権利集中を認めるか?】

 

僕は。

 

画面を見た。

 

「……これも試験?」

 

「そうだ」

 

ゼロが頷く。

 

「所有者になった後」

 

「うん」

 

「誰か一人が鉱山の権利を全部買い集めようとしたら」

 

「うん」

 

「どうする?」

 

僕は考えた。

 

権利を買うこと自体は悪いことじゃない。

 

でも。

 

一人に集まりすぎたら。

 

働く人たちや。

 

町や。

 

本当の採掘者たちが。

 

何も決められなくなるかもしれない。

 

「……制限する」

 

セドリックの顔が少し変わった。

 

「ほう」

 

「どういう制限です?」

 

僕は考える。

 

「一人で全部持てないようにするとか」

 

「理由は?」

 

「だって」

 

僕は鉱山を見る。

 

「みんなで掘るための鉱山なのに」

 

「……」

 

「誰か一人が、紙だけ持って全部決めるのは変だから」

 

おっさんが。

 

小さく笑った。

 

「ジョンらしいな」

 

ゼロも笑った。

 

「また点数入るぞ」

 

箱に文字。

 

【権利集中防止】

 

【地域・労働者・継続運営への配慮】

 

【+400】

 

「また?」

 

僕は驚く。

 

その瞬間。

 

セドリックが口を開いた。

 

「では」

 

「?」

 

「金貨千枚の提案を変更しましょう」

 

「え?」

 

「金貨二千枚」

 

「……え?」

 

マクダフがひっくり返りそうになる。

 

「倍!?」

 

僕も驚いた。

 

「そんなに出すの?」

 

「はい」

 

セドリックは真顔だった。

 

「それほど、その証券には価値があります」

 

ゼロが睨む。

 

「ジョン」

 

「なに?」

 

「絶対に売るなよ」

 

「僕のものじゃないよ」

 

「そうだった」

 

おっさんが笑う。

 

ところが。

 

セドリックは。

 

僕ではなく。

 

商人たちを見た。

 

「皆さん」

 

「?」

 

「私が欲しいのは、その一枚だけではありません」

 

嫌な予感がした。

 

セドリックは。

 

大量の空白の証券を取り出した。

 

「マーカット鉱山関連権利」

 

「買い集めます」

 

「……」

 

そして。

 

市場が。

 

一斉に動いた。

 

「俺の券も売る!」

 

「こっちは五枚ある!」

 

「旧採掘権なら十枚!」

 

「M資金も買いますか!?」

 

セドリックが笑う。

 

「もちろんです」

 

僕は思った。

 

鉱山が始まる前に。

 

また。

 

別の金策が始まってしまった。

 

しかも今度は。

 

「買う」ことそのものが。

 

市場を動かしている。

 

そして。

 

その中心には。

 

僕の知らないところで。

 

一人の商人が。

 

鉱山の権利を集め始めていた。




【あとがき:現在のステータス】

【スキル】
■武器系
刀剣スキル 20
盾スキル 3
戦闘技術スキル 13

■生産系
料理スキル 13

■その他
鑑定スキル 0.3

【所持金】
141G(銀行預け金:250G(銅貨2枚、半銅貨5枚))

ジョン
「権利を集めるだけで、鉱山を持ったことになるの?」
おっさん
「場合によっては、それに近い力を持つ」
マクダフ
「旦那ぁ、じゃあ俺も集めましょう!」
ゼロ
「お前は金貨一枚も持ってねぇだろ」
マクダフ
「……」

【所持アイテム】
・???のスクロール×6
・採掘計画書
・旧マーカット鉱山の古地図
・マーカット鉱山 最終採掘記録
・謎の紫色の鉱石
・謎の金属片(鑑定不能)
・採掘した紫色の鉱石×2
・新しく発見した謎の金属片
・「採掘は順調です。予定通り、地上へ出ます」と書かれた紙
・新M資金・マーカット鉱山復興応援券×1
・第零坑道採掘許可証0007
・第零坑道採掘管理記録
・第零坑道・旧採掘権証券×1
・マーカット鉱山・採掘権原簿(管理箱)
・ガレスのツルハシ(借用中)
・第七坑道作業責任者のツルハシ
・中古の斧(30Gで購入)
・新しい帳簿×5
・余り紙
・ロープ
・水筒
・奴隷のマクダフの野郎
・武器破損した剣
・???の指輪(バンステ金策で入手)
・ゴブリン(テイム)
・ケムトレイル群(立場:保護対象、詳細不明)
・キュ太郎
・原簿管理妖精「ゼロ」

【投資・契約】
・中立共栄大金庫投資案件(ポーシャ支店)
 元本:金貨10枚
 状態:運用中
 想定利回り:2倍〜5倍(説明ベース)
 詳細:非公開/高リスク

新判明:
・セドリック商会が古い権利・契約を専門に買い集めている
・契約上の優先順位を利用した権利整理を目的としている
・第十二採掘区関連の特殊証券に金貨千枚を提示
・さらに金貨二千枚まで提示額を増額
・単一の権利だけでなく、マーカット鉱山関連権利全体を買い集め始める

【M資金】
・小口M資金券が継続流通
・商人間の決済に使用
・商品購入に使用
・現金交換
・転売
・投資対象化
・信用の証明として流通
・第三者による派生券も発生
・マクダフ発行「赤字安心券」
・「採掘利益参加証」
・「旧債務連動券」
・マーカット鉱山関連券の取引市場
・M資金指数
・古い権利の買い集めが新たな市場を形成
・権利集中による市場影響が発生

【所有者選定】
第一段階:経済的貢献度
→ジョンがトップ

第二段階:実地運用試験
→ジョン暫定首位

第三段階:所有責任審査
→継続中

今回の評価:
✅第三者による権利集中への対応
✅地域・労働者・継続運営を考慮した権利分散方針
✅権利そのものではなく、実際の鉱山運営を重視する姿勢

【追加評価】
+400

【本日の収支】
141G(変動なし)銀行預け金250G(変動なし)

※ジョン個人の所持金に変動はありません。

【今回の進展】
✅古い権利を専門に扱うセドリック商会が登場
✅第十二採掘区関連証券の価値が急上昇
✅金貨二千枚の買い取り提案が出される
✅契約上の優先順位を握ることが大きな力になると判明
✅ジョンが権利集中に反対する方針を示す
✅所有者選定で+400点
✅セドリック商会がマーカット鉱山関連権利の大量買い付けを開始


ジョンの一言
ジョン
「鉱山を掘る人より、紙を買う人のほうが増えてない?」
ゼロ
「だから昔と同じになってきてんだよ」
おっさん
「今回はその再発を止められるかどうかだな」
マクダフ
「旦那ぁ、紙って儲かりますなぁ」
ジョン
「もう紙を見ると不安になるよ」



次回。
「権利を全部買ったら、鉱山を動かせる?」
セドリック商会が集めている権利の目的が。
ついに明らかになる。
そして。
その目的は。
鉱山を所有することではなかった。
――鉱山を「止める」ことだった。
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