異世界金策 一攫千金!〜初心者冒険者必見?転移おっさんの怪しい儲け話Readme.exe〜 作:raixip
彼らが求めているのは。
鉱山そのものではない。
採掘権。
利益配分権。
担保権。
それらを大量に集め。
鉱山の運営条件を制限すること。
採掘を止めれば。
供給が減り。
将来利益への期待が高まる。
その仕組みによって。
鉱山を掘らなくても利益を得られる可能性がある。
対するジョンは。
「みんなで掘るための鉱山なのに、紙だけ持った人が全部決めるのは変」
と考える。
そして。
未発生の利益を先に売りすぎない。
将来価値を現在の利益に変換しすぎない。
そんな方針を示したことで。
所有者選定の評価は大きく上昇した。
しかし。
セドリック商会も。
正式な所有者候補として登録された。
所有者選定。
ついに最終判定へ。
鉱山を動かしたいジョン。
鉱山を止めることで価値を守ろうとするセドリック。
最後に問われるのは。
「どちらが正しいか」ではない。
「どちらに鉱山を任せるべきか」
だった。
「鉱山を止める?」
僕は聞き返した。
セドリック商会が。
マーカット鉱山の権利を買い集めている理由。
それが。
鉱山を動かすためじゃなく。
止めるためだという。
「どうして?」
僕が聞く。
セドリックは笑った。
「簡単です」
一枚の証券を持ち上げる。
「採掘を止めれば、鉱石の供給が減る」
「うん」
「供給が減れば」
別の証券を重ねる。
「将来の採掘利益への期待が高まる」
「……」
おっさんが嫌そうな顔をした。
「まさか」
「はい」
セドリックは頷く。
「採掘しないことで、権利の価格を維持するのです」
僕は。
坑道を見る。
「でも」
「はい?」
「鉱山って」
僕はツルハシを握った。
「掘るためのものじゃないの?」
「本来はな」
おっさんが言う。
セドリックは笑った。
「しかし市場では違います」
「市場?」
「鉱山が動かなくても」
古い証券を並べる。
「採掘権」
「利益配分権」
「担保権」
「将来利益」
「それらが売買できるなら」
最後の一枚を置く。
「鉱山が止まっているほうが都合のいい人間もいます」
僕は。
ぞっとした。
「じゃあ」
「はい」
「採掘する人が困っても?」
「市場価値が維持されるなら」
セドリックは淡々と答えた。
「私は構いません」
「……」
マクダフが小さく呟いた。
「こいつ、怖ぇですぜ」
ゼロが笑った。
「やっと気づいたか」
箱が光る。
【第三段階・所有責任審査】
【問題】
【権利者が鉱山運営を妨害する場合】
【所有者はどう対応するか】
僕は。
セドリックを見る。
「じゃあ」
僕は聞いた。
「あなたが権利を全部集めたら」
「はい」
「鉱山を止められる?」
「正確には」
セドリックが答える。
「法的に可能な範囲で、採掘条件を制限できます」
「条件?」
「安全基準」
「うん」
「利益配分」
「うん」
「設備維持」
「うん」
「債務返済」
「……」
「どれか一つでも満たされなければ、採掘を止めるよう要求できます」
おっさんが鼻で笑う。
「なるほどな」
「何?」
「全部正論に聞こえる」
おっさんはセドリックを見る。
「でも、全部重ねれば鉱山を止められる」
「その通りです」
僕は困った。
「それって」
「はい?」
「働いてる人はどうなるの?」
セドリックは答えない。
代わりに。
箱の文字が浮かぶ。
【労働者保護】
【周辺経済】
【地域運営】
【採掘継続性】
僕は。
その文字を見た。
「止めることも所有者の責任なの?」
ゼロが頷いた。
「そうだ」
「でも」
僕は言う。
「必要だから止めるのと」
「うん」
「お金を儲けるために止めるのは違うよね?」
一瞬。
空気が止まった。
セドリックの顔から。
少しだけ笑みが消えた。
ゼロがニヤリと笑う。
「また出たな」
箱が光る。
【目的による評価】
【資源保全のための停止】
【評価:高】
【市場価格維持を目的とした停止】
【評価:低】
【労働者を犠牲にした停止】
【評価:不適】
「点が入った?」
僕が聞く。
【+600】
「……」
マクダフが目を丸くする。
「旦那ぁ」
「なに?」
「止める話で、旦那が一番点数取ってますぜ」
「僕、まだ何もしてないよ?」
おっさんが笑う。
「考え方を答えただけで評価されるくらい、お前の方向性が明確ってことだ」
セドリックが静かに言った。
「では質問しましょう」
「何?」
「私たちが保有する権利を」
セドリックは証券の束を見る。
「あなたが買い戻すとしたら?」
僕は固まった。
「買い戻す?」
「はい」
「いくら?」
セドリックは。
さらりと言った。
「金貨一万枚」
「一万!?」
マクダフが叫んだ。
「旦那ぁ! 俺なら売ります!」
「僕、一万枚持ってないよ!」
「だから融資を――」
「黙れ」
ゼロとおっさんの声が重なった。
セドリックが笑う。
「もちろん。
現金でなくても構いません」
「じゃあ?」
「鉱山の将来利益」
「……」
「M資金」
「……」
「採掘権」
「……」
「利益配分契約」
僕は。
頭が痛くなった。
「結局」
僕は言った。
「また未来のお金で買うんだ」
セドリックは。
答えなかった。
ゼロが。
静かに言った。
「そうだ」
「……」
「だからこそ」
ゼロは僕を見る。
「ジョン」
「なに?」
「お前が止めるべきなのは」
一拍。
「採掘じゃねぇ」
箱に。
新しい文字が浮かぶ。
【所有者候補に求められる最終判断】
【将来価値を現在の利益へ変換するか】
僕は。
画面を見る。
昔の鉱山も。
今のM資金も。
みんな同じだった。
まだない利益を。
今のお金に変える。
それで。
仕組みが大きくなりすぎる。
「……僕」
僕は答えた。
「未来のお金を、先に使いすぎないようにする」
ゼロが笑った。
おっさんも。
「それがいい」
リゼさんは。
静かに帳簿へ書き込んだ。
【所有者候補・最終方針】
【未発生利益の過度な前倒しを行わない】
箱が光る。
【評価:非常に高い】
そして。
最後に。
【所有者選定・最終判定】
という文字が浮かんだ。
「え?」
僕は固まる。
ついに。
最終段階だった。
だが。
その下に。
もう一行。
【対抗候補:セドリック商会】
「……え?」
セドリックが笑う。
「ようやくですね」
僕は。
思った。
所有者選定。
最後の相手は。
鉱山を掘りたい僕と。
鉱山を止めたい商人。
まるで。
最初から決まっていたみたいだった。
【あとがき:現在のステータス】
【スキル】
■武器系
刀剣スキル 20
盾スキル 3
戦闘技術スキル 13
■生産系
料理スキル 13
■その他
鑑定スキル 0.3
【所持金】
141G(銀行預け金:250G(銅貨2枚、半銅貨5枚))
ジョン
「鉱山を止める人もいるんだ……」
おっさん
「利益が同じなら、そういう考え方もある」
マクダフ
「旦那ぁ、俺は掘るほうがいいです」
ゼロ
「お前は掘る前に黙れ」
【所持アイテム】
・???のスクロール×6
・採掘計画書
・旧マーカット鉱山の古地図
・マーカット鉱山 最終採掘記録
・謎の紫色の鉱石
・謎の金属片(鑑定不能)
・採掘した紫色の鉱石×2
・新しく発見した謎の金属片
・「採掘は順調です。予定通り、地上へ出ます」と書かれた紙
・新M資金・マーカット鉱山復興応援券×1
・第零坑道採掘許可証0007
・第零坑道採掘管理記録
・第零坑道・旧採掘権証券×1
・マーカット鉱山・採掘権原簿(管理箱)
・ガレスのツルハシ(借用中)
・第七坑道作業責任者のツルハシ
・中古の斧(30Gで購入)
・新しい帳簿×5
・余り紙
・ロープ
・水筒
・奴隷のマクダフの野郎
・武器破損した剣
・???の指輪(バンステ金策で入手)
・ゴブリン(テイム)
・ケムトレイル群(立場:保護対象、詳細不明)
・キュ太郎
・原簿管理妖精「ゼロ」
【投資・契約】
・中立共栄大金庫投資案件(ポーシャ支店)
元本:金貨10枚
状態:運用中
想定利回り:2倍〜5倍(説明ベース)
詳細:非公開/高リスク
新判明:
・セドリック商会は権利集中によって鉱山運営を制限できる立場を狙っている
・権利をまとめることで、採掘条件や利益配分を交渉できる可能性
・セドリック商会は権利買戻し価格として金貨1万枚を提示
・現金以外に将来利益、M資金、採掘権などによる支払いも提示
・所有者候補の対抗馬として「セドリック商会」が正式に表示される
【M資金】
・小口M資金券が継続流通
・商人間の決済に使用
・商品購入に使用
・現金交換
・転売
・投資対象化
・信用の証明として流通
・第三者による派生券も発生
・マクダフ発行「赤字安心券」
・「採掘利益参加証」
・「旧債務連動券」
・マーカット鉱山関連券の取引市場
・M資金指数
・セドリック商会による関連権利の大量買い付け開始
・将来利益を使った権利買戻し提案が発生
【所有者選定】
第一段階:経済的貢献度
→ジョンがトップ
第二段階:実地運用試験
→ジョン暫定首位
第三段階:所有責任審査
→最終判定へ
今回の評価:
✅市場価格維持を目的とした採掘停止に否定的
✅労働者・地域経済を重視
✅未発生利益の過度な前倒しに反対
✅将来価値を現在の利益へ変換しすぎない方針
追加評価:
【+600】
【本日の収支】
141G(変動なし)
銀行預け金250G(変動なし)
※ジョン個人の所持金に変動はありません。
【今回の進展】
✅セドリック商会が鉱山を止めることにも価値があると判明
✅権利集中によって採掘条件を制限できる可能性が判明
✅ジョンが「未来のお金を先に使いすぎない」方針を示す
✅所有者選定の評価が大きく上昇
✅セドリック商会が正式な対抗候補として登録される
✅所有者選定が最終判定段階へ移行
ジョンの一言
ジョン
「最後は、鉱山を掘りたい人と止めたい人の勝負なの?」
ゼロ
「たぶんな」
おっさん
「どっちが所有者に向いてるかを見る試験だ」
マクダフ
「旦那ぁ、俺は掘るほうに一票です」
ジョン
「僕も」
次回。
「所有者、最終判定」
そして。
ゼロが提示した最後の試験は。
採掘でも。
金でも。
契約でもなかった。
――「この鉱山を、誰のために存在させるのか」
だった。