異世界金策 一攫千金!〜初心者冒険者必見?転移おっさんの怪しい儲け話Readme.exe〜   作:raixip

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所有者選定の最後の質問は。

「この鉱山を、誰のために存在させるのか?」

だった。

セドリック商会は、正当な権利を持つ者を守るため、権利を整理して採掘を制限する方針を示した。

一方、ジョンは。

権利者との約束を守りながら、働く人の給料や設備維持費を確保し、実際の収入に合わせて鉱山を運営する方針を示した。

その結果。

ジョンが第一候補に選ばれた。

ただし、所有権が確定したわけではない。

ジョンは暫定管理者として、旧契約の整理と鉱山の運営を任されることになった。

これでようやく、鉱山を再開するための道が開けた。

しかし。

残っている旧契約は、まだ6,420件。

採掘を始める前に、まずは過去の約束を整理しなければならない。

そして。

その契約の中には、記録に残っているだけでは分からないものもある。


第167話 この鉱山は誰のため?

「この鉱山を、誰のために存在させるのか」

 

ゼロが言った。

 

所有者選定、最後の質問。

 

僕の前には、セドリック商会の代表が立っている。

 

彼は鉱山の権利を集めている。

 

鉱山を止めることで、権利の価値を守ろうとしている。

 

一方、僕は。

 

鉱山を動かしたい。

 

みんなで働いて、みんなでお金を稼ぎたい。

 

「先に答えましょう」

 

セドリックが一歩前へ出た。

 

「鉱山は、正当な権利を持つ者のために存在すべきです」

 

彼は古い証券を取り出した。

 

「過去にお金を出した者がいる。契約を結んだ者がいる。利益を受け取る約束をした者がいる」

 

「うん」

 

「それを無視して採掘を始めれば、また同じ問題が起きます」

 

僕は黙って聞いた。

 

セドリックの言っていることは、間違っていない。

 

約束したお金を払わない。

 

権利を勝手に無効にする。

 

それでは困る人がいる。

 

「だから私は、まず権利を整理し、採掘を制限するべきだと考えます」

 

セドリックは自信たっぷりに言った。

 

「鉱山を守るためです」

 

ゼロが僕を見る。

 

「お前はどうだ?」

 

僕は少し考えた。

 

「僕も、約束は守ったほうがいいと思う」

 

セドリックが頷く。

 

「ならば、私の考えに賛成ということですね」

 

「でも」

 

僕は続けた。

 

「約束したお金を払うために、働く人がいなくなったらどうするの?」

 

セドリックの笑顔が止まった。

 

「……どういう意味ですか?」

 

「鉱山を動かさなかったら、お金は増えないよね?」

 

「権利の価値は維持できます」

 

「でも、働く人のお給料は?」

 

「……」

 

「道具が壊れたら?」

 

「……」

 

「食べ物を運ぶ人や、道を直す人は?」

 

セドリックは答えなかった。

 

僕は鉱山の入口を見た。

 

そこには、採掘者たちがいる。

 

彼らは鉱山を動かそうとしている。

 

でも、権利の話ばかり続いて、まだ本格的な採掘もできていない。

 

「僕はね」

 

僕は言った。

 

「権利を持っている人も、働いている人も、どちらも大事だと思う」

 

ゼロが黙って聞いている。

 

「だから、まず誰が何を持っているのか調べる」

 

「うん」

 

おっさんが頷いた。

 

「本当に有効な契約なら、ちゃんと守る」

 

僕は続けた。

 

「でも、まだ掘っていない鉱石のお金まで、先に約束するのはやめる」

 

「……」

 

「実際に鉱石が売れて、お金が入ってきたら」

 

僕は指を折った。

 

「まず働いた人にお給料を払う」

 

一本目。

 

「次に、道具や坑道を直すためのお金を残す」

 

二本目。

 

「そのあと、契約で決まっている支払いをする」

 

三本目。

 

「それでも残ったお金があれば、みんなで相談して使い道を決める」

 

僕は顔を上げた。

 

「そういう鉱山にしたい」

 

静かになった。

 

マクダフが小声で言った。

 

「旦那ぁ……」

 

「なに?」

 

「珍しく、まともな経営計画ですぜ」

 

「いつもまともだよ!」

 

おっさんが笑った。

 

「いや、今回はかなり分かりやすい」

 

リゼさんも帳簿に書き込んでいる。

 

「収入が入る前に、支払いを約束しすぎない。運営費を確保し、契約上の義務を守る。現実的な方針です」

 

セドリックは腕を組んだ。

 

「しかし、それでは利益が出るまで時間がかかる」

 

「うん」

 

「大きな利益を得る機会を逃すかもしれません」

 

「そうかもしれない」

 

僕は頷いた。

 

「でも、利益が出るか分からないのに、出ることにしてお金を使ったら困るよ」

 

セドリックは。

 

何も言わなかった。

 

そのとき。

 

原簿中枢が光った。

 

【所有者選定・最終審査】

 

【候補者:ジョン】

 

【運営方針:確認】

 

文字が次々に浮かぶ。

 

【既存契約の確認】

 

【労働者への支払い】

 

【設備維持費の確保】

 

【未発生利益の過度な前倒しを禁止】

 

【安全性の確保】

 

そして。

 

最後の一文。

 

【鉱山の継続運営を優先する】

 

「……」

 

箱の中から。

 

ゼロの声が響いた。

 

「最終判定を開始する」

 

僕は息を止めた。

 

数秒後。

 

結果が表示された。

 

【第一候補:ジョン】

 

【第二候補:セドリック商会】

 

「やった!」

 

僕は思わず声を上げた。

 

マクダフが飛び跳ねる。

 

「旦那ぁ! 勝ちましたぜ!」

 

おっさんは笑っていた。

 

「よくやったな」

 

でも。

 

ゼロはまだ真面目な顔をしていた。

 

「喜ぶのは早ぇぞ」

 

「え?」

 

表示が切り替わる。

 

【選定結果】

 

【ジョンをマーカット鉱山・暫定管理者に認定】

 

【所有権の最終確定には、既存権利者および関係者の確認を要する】

 

「暫定管理者?」

 

僕は首をかしげた。

 

「所有者じゃないの?」

 

ゼロが説明する。

 

「まずは、お前に鉱山を管理させる」

 

「うん」

 

「実際に運営できるか確認する」

 

「うん」

 

「そのうえで、まだ有効な権利や契約を整理する」

 

「じゃあ……」

 

僕は笑った。

 

「これから、やっと鉱山を動かせるんだね!」

 

ゼロは頷いた。

 

「そういうことだ」

 

僕はツルハシを握った。

 

ようやく。

 

採掘が始まる。

 

そう思った。

 

しかし。

 

原簿中枢に、最後の表示が現れた。

 

【管理者就任に伴う引き継ぎ事項】

 

【未確認の旧契約:6,420件】

 

「……」

 

僕は数字を見つめた。

 

「ゼロ」

 

「なんだ?」

 

「これ、全部調べるの?」

 

「そうだ」

 

「何日くらい?」

 

ゼロは少し考えた。

 

「人手によるな」

 

おっさんが笑う。

 

「つまり、明日から人手を集めるところからか」

 

マクダフが帳簿を抱えた。

 

「旦那ぁ! 人手を集める商売なら任せてくだせぇ!」

 

「何をする気?」

 

「紹介料を――」

 

「取らないでね」

 

「……はい」

 

僕は坑道を見た。

 

所有者になるための最終審査は終わった。

 

でも。

 

本当の仕事は、これからだった。

 

そして僕は、まだ知らなかった。

 

この鉱山には。

 

採掘者のほかにも。

 

ずっと前から、僕を待っていた人たちがいることを。




【あとがき:現在のステータス】

【スキル】
■武器系
刀剣スキル 20
盾スキル 3
戦闘技術スキル 13

■生産系
料理スキル 13

■その他
鑑定スキル 0.3

【所持金】
141G(銀行預け金:250G(銅貨2枚、半銅貨5枚))

ジョン
「やっと鉱山を動かせるよ!」
おっさん
「まずは帳簿の整理だな」
マクダフ
「旦那ぁ、採掘より先に事務仕事ですぜ」
ゼロ
「六千件以上あるからな」
ジョン
「……やっぱり先に掘っちゃ駄目?」
ゼロ
「駄目だ!」

【所持アイテム】
・???のスクロール×6
・採掘計画書
・旧マーカット鉱山の古地図
・マーカット鉱山 最終採掘記録
・謎の紫色の鉱石
・謎の金属片(鑑定不能)
・採掘した紫色の鉱石×2
・新しく発見した謎の金属片
・「採掘は順調です。予定通り、地上へ出ます」と書かれた紙
・新M資金・マーカット鉱山復興応援券×1
・第零坑道採掘許可証0007
・第零坑道採掘管理記録
・第零坑道・旧採掘権証券×1
・マーカット鉱山・採掘権原簿(管理箱)
・ガレスのツルハシ(借用中)
・第七坑道作業責任者のツルハシ
・中古の斧(30Gで購入)
・新しい帳簿×5
・余り紙
・ロープ
・水筒
・奴隷のマクダフの野郎
・武器破損した剣
・???の指輪(バンステ金策で入手)
・ゴブリン(テイム)
・ケムトレイル群(立場:保護対象、詳細不明)
・キュ太郎
・原簿管理妖精「ゼロ」

【投資・契約】
・中立共栄大金庫投資案件(ポーシャ支店)
 元本:金貨10枚
 状態:運用中
 想定利回り:2倍〜5倍(説明ベース)
 詳細:非公開/高リスク

・マーカット鉱山の旧契約:6,421件
・一部契約は終了処理済み
・残りの旧契約は有効性を確認する必要あり
・原始契約、旧債務、旧採掘権証券について調査継続
・所有者選定の最終候補:ジョン、セドリック商会

【M資金】
・小口M資金券が継続流通
・商人間の決済や商品購入に使用
・現金交換、転売、投資対象化
・第三者による派生券も発生
・マクダフ発行「赤字安心券」
・「採掘利益参加証」
・「旧債務連動券」
・マーカット鉱山関連券の取引市場
・M資金指数
・鉱山の暫定管理者決定を受け、関連券の動向に注意が必要

【所有者選定】
第一段階:経済的貢献度
→ジョンがトップ

第二段階:実地運用試験
→ジョンが暫定首位

第三段階:所有責任審査
→最終判定終了

【選定結果】
✅ジョンをマーカット鉱山の暫定管理者に認定
✅セドリック商会は第二候補
✅既存権利者と関係者の確認が必要
✅旧契約6,420件の確認が残っている

【本日の収支】
141G(変動なし)銀行預け金250G(変動なし)

※ジョン個人の所持金に変動はありません。

【今回の進展】
✅所有者選定の最終審査が終了
✅ジョンが暫定管理者に認定される
✅セドリック商会は第二候補となる
✅正当な契約を守りながら、鉱山の継続運営を目指す方針が評価される
✅未発生利益を過度に先取りしない方針を確認
✅所有権の最終確定には、既存権利者などの確認が必要と判明
✅旧契約の確認と整理が新たな課題になる

ジョンの一言
ジョン
「暫定管理者になったからには、みんなで採掘できる鉱山にしたい!」
ゼロ
「まず帳簿だ」
おっさん
「それが終わったら設備点検だな」
マクダフ
「旦那ぁ、俺は商人との交渉を――」
ジョン
「勝手に券を作らないでね」
マクダフ
「……はい」


次回。
「暫定管理者、初仕事!」
ジョンが最初に取りかかるのは、鉱石の採掘ではなく、古い帳簿の整理。
ところが。
最初の帳簿を開いた瞬間。
そこには、現在もマーカット鉱山で働いている人物の名前が記されていた――。
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