異世界金策 一攫千金!〜初心者冒険者必見?転移おっさんの怪しい儲け話Readme.exe〜 作:raixip
その役目は、封印鉱の確認や管理設備の異常通知など。
さらに、未払賃金とは別に、特別報酬が予定されていたことも判明する。
報酬は、原簿中枢の管理権限の一部。
しかも、記録上の本人識別はキュ太郎と一致した。
しかし、どんな権限が戻るのかはまだ分からない。
ゼロは再認証を止め、内容の確認を求める。
「キュ太郎が、副責任者?」
僕は、もう一度帳簿を見た。
【最終作業の副責任者:キュ太郎】
間違いない。
僕の胸ポケットにいる黒い毛玉と、同じ名前だ。
「キュ?」
キュ太郎は、何も分かっていないように鳴いた。
「……お前、百二十年前からいたの?」
「キュ!」
「いや、返事されても困るんだが」
おっさんが頭を抱えた。
「とにかく、ガレスさんの家に残っている記録を調べよう」
僕たちは、橋の近くにあるガレスさんの小屋へ向かった。
「百二十年前の記録か」
ガレスさんは腕を組んだ。
「古い帳簿なら、先祖から受け継いだ箱に入ってる。ただ、何が書いてあるかは知らねぇぞ」
そう言って、床下から木箱を引っ張り出した。
ふたを開けると。
古い紙束が、ぎっしり詰まっていた。
「うわぁ……」
マクダフが顔をしかめる。
「旦那ぁ。これ、全部読むんですか?」
「うん」
「俺、急に目が痛くなってきました」
「まだ何も読んでないよ?」
「予防です」
「便利な体だな、おい」
おっさんが笑った。
僕たちは手分けして、古い記録を調べ始めた。
そして。
一冊の帳簿から、古びた紙が落ちた。
「何だろう?」
拾い上げると、そこには小さな絵が描かれていた。
黒くて丸い体。
ふわふわした毛。
短い手足。
そして、頭の上には小さな三本の線。
「……キュ太郎?」
僕は胸ポケットを見る。
紙を見る。
もう一度、キュ太郎を見る。
そっくりだった。
「キュ!」
キュ太郎が紙に飛び乗った。
すると。
紙の端に描かれた印が、淡く光った。
「えっ?」
ゼロが飛んできた。
「ちょっと見せろ!」
紙をひったくる。
「……間違いねぇ」
「何が?」
「第零坑道の副責任者を示す管理印だ」
おっさんが眉をひそめた。
「じゃあ、キュ太郎は本当に百二十年前の作業に関係していたのか?」
「記録上はな」
ゼロは紙を裏返した。
そこには、短い説明があった。
【副責任者の役割】
・封印鉱の状態確認
・管理設備への異常通知
・作業責任者への警告
・原簿中枢の緊急保全
僕は驚いた。
「キュ太郎、そんなことができるの?」
「キュ?」
キュ太郎は、紙の上で転がった。
「……全然、仕事をしているようには見えないな」
おっさんが言った。
「そこは同感だ」
ゼロまで頷いた。
ひどい。
でも。
僕は、少しだけうれしくなった。
キュ太郎が昔から鉱山を守っていたのなら。
きっと、何か大切な役目があるのだろう。
そのとき。
ガレスさんが別の帳簿を開いた。
「おい。こっちにも何か書いてあるぞ」
僕たちは集まった。
【第零坑道・特別報酬記録】
【対象:副責任者】
【報酬:管理権限の一部】
【支給条件:最終作業の完了】
「……管理権限?」
僕が聞く。
ゼロは、急に黙り込んだ。
リゼさんが記録を読み直す。
「通常の賃金とは別に、特別な権限が与えられる契約ですね」
「それって、お金じゃないの?」
「はい。設備や記録に関する権限のようです」
マクダフが首をかしげた。
「つまり、キュ太郎は給料のほかに、特別な報酬をもらえるはずだったんですな」
「そういうことになる」
ゼロは紙を見つめている。
僕は、キュ太郎を持ち上げた。
「キュ太郎。これ、もらってないの?」
「キュ!」
キュ太郎は僕の手から飛び降りた。
そして。
帳簿の上に乗ると、前足で報酬記録を押した。
ポン。
紙が光った。
【副責任者を確認】
【本人識別:照合中】
「ええっ!?」
僕たちは一斉に後ずさった。
表示が続く。
【識別結果:一致】
【管理権限の一部を再認証しますか?】
ゼロが叫んだ。
「待て! まだ認証するな!」
「どうして!?」
僕が聞く。
ゼロは真剣な顔で答えた。
「何の権限が戻るのか、確認できてねぇ!」
リゼさんも頷く。
「内容を確認せずに承認するのは危険です」
「……」
僕はキュ太郎を見た。
キュ太郎は。
いつものように。
「キュ」
と鳴いた。
管理権限の一部。
それが何を意味するのか。
まだ分からない。
でも。
百二十年前の仕事は、賃金の未払いだけでは終わらなかったらしい。
僕たちが紙を片づけようとした、そのとき。
帳簿の最後のページに、新しい文字が浮かんだ。
【副責任者の報酬は、本人へ直接付与する】
【付与先:原簿中枢】
【現在の管理者候補:ジョン】
「……え?」
僕は自分を指差した。
「どうして僕なの!?」
ゼロが、ものすごく嫌そうな顔をした。
「お前が暫定管理者だからだよ」
「でも、報酬はキュ太郎のものなんでしょ?」
「そうだ」
「じゃあ、キュ太郎に渡せばいいんじゃない?」
「……」
ゼロは黙った。
おっさんが笑う。
「また、当たり前のことを言ったな」
僕はキュ太郎を抱き上げた。
「じゃあ、報酬はキュ太郎に渡そう」
その瞬間。
原簿中枢から、低い音が響いた。
ゴン。
そして。
【権限移譲の準備を開始】
という文字が浮かび上がった。
ゼロは頭を抱えた。
「……百二十年前の未払いを片づけたら、もっと面倒なものが起きそうだな」
僕はキュ太郎を見た。
キュ太郎は。
何事もなかったように、僕の胸ポケットへ戻っていった。
「キュ!」
……本当に、分かっているのだろうか。
【あとがき:現在のステータス】
【スキル】
■武器系
刀剣スキル 20
盾スキル 3
戦闘技術スキル 13
■生産系
料理スキル 13
■その他
鑑定スキル 0.3
【所持金】
141G(銀行預け金:250G(銅貨2枚、半銅貨5枚))
ジョン
「キュ太郎、昔は立派な仕事をしていたんだね」
おっさん
「今も何かしてるのかもしれないぞ」
マクダフ
「旦那ぁ。俺にも特別報酬はありませんかね?」
ゼロ
「まず自分の仕事を終わらせろ」
マクダフ
「……はい」
【所持アイテム】
・???のスクロール×6
・採掘計画書
・旧マーカット鉱山の古地図
・マーカット鉱山 最終採掘記録
・謎の紫色の鉱石
・謎の金属片(鑑定不能)
・採掘した紫色の鉱石×2
・新しく発見した謎の金属片
・「採掘は順調です。予定通り、地上へ出ます」と書かれた紙
・新M資金・マーカット鉱山復興応援券×1
・第零坑道採掘許可証0007
・第零坑道採掘管理記録
・第零坑道・旧採掘権証券×1
・マーカット鉱山・採掘権原簿(管理箱)
・ガレスのツルハシ(借用中)
・第七坑道作業責任者のツルハシ
・中古の斧(30Gで購入)
・新しい帳簿×5
・余り紙
・ロープ
・水筒
・奴隷のマクダフの野郎
・武器破損した剣
・???の指輪(バンステ金策で入手)
・ゴブリン(テイム)
・ケムトレイル群(立場:保護対象、詳細不明)
・キュ太郎
・原簿管理妖精「ゼロ」
・旧労務台帳(確認中)
・第零坑道・最終作業記録(未完了)
・ガレス家の古い帳簿(調査中)
・副責任者の特別報酬記録
【投資・契約】
・中立共栄大金庫投資案件(ポーシャ支店)
元本:金貨10枚
状態:運用中
想定利回り:2倍〜5倍(説明ベース)
詳細:非公開/高リスク
・旧契約6,420件が未確認
・未払賃金:金貨三枚
・受取人:ガレス家
・支払条件:第零坑道の最終作業完了後
・副責任者:キュ太郎
・特別報酬:原簿中枢の管理権限の一部
・最終作業は未完了
【M資金】
・小口M資金券が継続流通
・商人間の決済や商品購入に使用
・現金交換、転売、投資対象化
・第三者による派生券も存在
・マクダフ発行「赤字安心券」
・「採掘利益参加証」
・「旧債務連動券」
・マーカット鉱山関連券の取引市場
・M資金指数
・旧契約整理を巡る権利売買が継続
【所有者選定】
第一段階:経済的貢献度
→ジョンがトップ
第二段階:実地運用試験
→ジョンが暫定首位
第三段階:所有責任審査
→最終判定終了
現在の立場:
✅ジョンはマーカット鉱山の暫定管理者
✅旧契約の確認と整理を進行中
✅最終作業の完了にはガレス家とゼロの確認が必要
✅副責任者の特別報酬が未付与
【本日の収支】
141G(変動なし)銀行預け金250G(変動なし)
※ジョン個人の所持金に変動はありません。
【今回の進展】
✅ガレス家に残る古い帳簿を調査
✅キュ太郎にそっくりな存在が百二十年前の記録に描かれていた
✅キュ太郎が第零坑道の副責任者だった可能性が高まる
✅副責任者には賃金とは別に特別報酬が予定されていた
✅報酬は原簿中枢の管理権限の一部
✅キュ太郎本人の識別が一致
✅管理権限の再認証が始まりそうになる
ジョンの一言
ジョン
「キュ太郎に報酬を渡すだけなのに、どうしてこんなに大変なの?」
ゼロ
「権限の中身が分からねぇからだ!」
おっさん「まずは内容を確認してからだな」
マクダフ
「旦那ぁ。俺の報酬も確認してくだせぇ」
ジョン
「マクダフはまず働いてね」
次回。
第171話 キュ太郎の特別報酬
百二十年前から保留されていた報酬が、ついに再認証されるのか。
そして原簿中枢がジョンに示したのは、予想外の管理権限だった――。