異世界金策 一攫千金!〜初心者冒険者必見?転移おっさんの怪しい儲け話Readme.exe〜 作:raixip
危険を知らせ、必要な作業を一時停止し、異常の記録を残す。
その権限が付与された直後、第七坑道で異常が発生。
封印鉱が動いていることが確認されたため、ジョンたちは採掘を一時停止した。
鉱石を掘れば、利益が増えるかもしれない。
しかし、安全を失えば、鉱山そのものを動かせなくなる。
ジョンは、危険があるなら止めるという判断を選んだ。
これにより、第零坑道の管理記録には新たな対応が残された。
ただし、第七坑道で何が起きたのかは、まだ分からない。
「特別報酬を再認証しますか?」
原簿中枢に、文字が浮かんでいた。
僕の胸ポケットには、キュ太郎。
その前には、ゼロ。
そして、なぜか全員が真剣な顔をしている。
「ゼロ。何がもらえるの?」
「管理権限の一部だ」
「お金じゃないの?」
「違う」
「鉱石でもない?」
「違う」
「じゃあ、キュ太郎は何をもらうの?」
「だから、今から確認するんだろうが!」
ゼロが怒鳴った。
おっさんが苦笑する。
「ジョン。報酬の中身が分からないまま受け取るなよ」
「うん。契約書を確認するんだね」
リゼさんが帳簿を開いた。
「では、報酬の内容を表示します」
原簿中枢が光る。
【副責任者・特別報酬】
【付与対象:キュ太郎】
【権限名:緊急保全管理権】
「緊急保全?」
僕が読み上げると、ゼロが説明を始めた。
「簡単に言えば、鉱山で危険が起きたとき、被害が広がらないようにする権限だ」
「何ができるの?」
「三つある」
ゼロが指を立てた。
「一つ目。封印鉱や地下設備に異常があったら、警告を出す」
一本目。
「二つ目。危険な採掘が行われている場合、該当する作業を一時停止させる」
二本目。
「三つ目。何が起きたのか、原簿中枢に記録を残す」
三本目。
僕は頷いた。
「つまり、危なくなったら教えてくれて、危ない作業を止めてくれるんだね」
「そういうことだ」
「すごいじゃない!」
僕はキュ太郎を持ち上げた。
「キュ太郎、昔は大事な仕事をしてたんだね!」
「キュ!」
キュ太郎は元気よく鳴いた。
マクダフが目を輝かせる。
「旦那ぁ!」
「なに?」
「これ、すごい権限ですぜ!」
「そうなの?」
「危険な採掘を止められるなら、作業員の安全も守れます。設備の損失も減らせる。鉱山経営には欠かせません!」
珍しく、まともな意見だった。
ゼロも頷く。
「そこは正しい」
「でしょう?」
「ただし、お前が同じ権限を欲しがると話は別だ」
「なぜです!?」
「絶対に金策に悪用するからだ!」
「信用がねぇ!」
おっさんが笑った。
しかし。
リゼさんは、まだ契約書を確認していた。
「一つ、気になる点があります」
「何?」
「この権限は、原簿中枢に登録された安全基準に従って作動します」
「うん」
「つまり、キュ太郎が気に入らない相手を自由に追い出せるわけではありません」
ゼロが補足する。
「危険が確認された場合に限って、一時停止できる。勝手に鉱山の所有者になったり、他人の財産を取り上げたりはできねぇ」
僕は安心した。
「よかった。キュ太郎が鉱山の王様になるわけじゃないんだね」
「キュ?」
キュ太郎は首を傾げた。
「いや、お前が王様になりたいなら、それはそれで困るんだが……」
ゼロが額を押さえた。
そのとき。
原簿中枢に、新しい文字が浮かんだ。
【権限付与の条件】
【副責任者本人による受領確認】
【管理責任者ゼロによる承認】
【暫定管理者ジョンによる記録確認】
「三人とも必要なの?」
僕が聞く。
「そうだ」
ゼロが答えた。
「キュ太郎が報酬を受け取り、俺が権限の内容を確認し、お前が管理記録に残す」
「分かった!」
僕は記録確認の欄に手を置いた。
でも。
そこで止まった。
「……あれ?」
「どうした?」
「キュ太郎は、どうやって受け取りを確認するの?」
全員がキュ太郎を見た。
キュ太郎は。
「キュ」
と鳴いた。
沈黙。
マクダフが恐る恐る手を上げた。
「旦那ぁ。今の返事でいいんじゃありません?」
ゼロが即座に怒鳴った。
「契約を鳴き声で済ませるな!」
「じゃあ、どうすればいいんです?」
「本人識別に使われた管理印があるだろうが!」
ゼロが指を差す。
原簿中枢に、先ほどの古い印が表示された。
黒くて丸い姿に、三本の線。
昔の記録に描かれていた、キュ太郎の印だ。
すると。
キュ太郎が、原簿中枢へ近づいた。
ぽん。
小さな前足で、印に触れた。
直後。
パァッ!
淡い光が広がった。
【本人確認:完了】
【特別報酬:付与】
【緊急保全管理権:有効】
「おおっ!」
僕は思わず声を上げた。
「キュ太郎、受け取れたよ!」
「キュ!」
キュ太郎は僕の肩へ飛び乗った。
そして。
僕の髪を、ぽすぽすと叩き始めた。
「何?」
「キュ、キュ!」
「喜んでるのかな?」
おっさんが笑う。
「たぶんな」
ゼロは原簿中枢を確認した。
「……よし。権限は正常に付与された」
「これで百二十年前の仕事も終わり?」
僕が聞くと。
ゼロは首を横に振った。
「まだだ」
「ええっ?」
「特別報酬は受け取った。だが、最終作業そのものは終わってねぇ」
リゼさんが帳簿を確認する。
「ガレス家の作業責任者による最終確認と、ゼロさんによる設備点検が残っています」
「じゃあ、あと少しなんだね」
「確認が順調に進めばな」
その瞬間。
原簿中枢から、警告音が鳴った。
ピピピッ。
【第七坑道】
【採掘区域の安全基準超過】
【作業の一時停止を推奨】
僕たちは顔を見合わせた。
「第七坑道?」
おっさんが入口のほうを振り返る。
「貴族側の作業班が掘ってる場所だな」
ゼロが表示を確認した。
「設備の振動が基準を超えてやがる……」
その直後。
キュ太郎が、僕の肩から飛び降りた。
「キュッ!」
原簿中枢が光る。
【緊急保全管理権を検知】
【第七坑道・該当作業の一時停止を実行しますか?】
僕は息を呑んだ。
「キュ太郎が止めるの?」
ゼロが頷く。
「いや。異常を検知しただけだ。実際に止めるには、危険の確認が必要だ」
リゼさんが帳簿を閉じた。
「急ぎましょう。まずは現場を確認します」
僕たちは、第七坑道へ走った。
そこでは、貴族側の作業員たちが採掘を続けていた。
「作業を止めて!」
僕が叫ぶ。
責任者が振り返った。
「何を言っている! こちらは順調だ!」
「地下設備に異常が出てるんだ!」
「採掘量も増えている。止める理由はない!」
その瞬間。
ゴンッ!
壁の奥から、鈍い音がした。
作業員たちの足元が揺れる。
ゼロが叫んだ。
「全員、ツルハシを置け!」
責任者は、それでも首を振った。
「あと少し掘れば、さらに鉱石が出るんだ!」
僕は、その言葉を聞いて思った。
まだ掘りたい人がいる。
でも。
危険があるなら、止めなければならない。
僕はキュ太郎を見る。
「キュ太郎。危ないの?」
「キュッ!」
キュ太郎が壁を指した。
その部分だけ。
紫色に光っていた。
ゼロの顔が変わる。
「……封印鉱が動いてる」
僕は叫んだ。
「みんな、下がって!」
次の瞬間。
原簿中枢から、警告が響いた。
【危険度:上昇】
【緊急保全管理権】
【作業停止の条件を確認】
【一時停止を実行しますか?】
僕は表示を見た。
採掘を続ければ、鉱石が増えるかもしれない。
でも。
何かが壊れたら、取り返しがつかない。
「止めよう!」
僕は承認した。
カチッ。
坑道の壁が淡く光った。
採掘区域の設備が停止し、作業員たちの手元に警告が表示される。
【安全確認が完了するまで、該当区域の採掘を停止します】
責任者が叫んだ。
「何をした!?」
僕は答えた。
「安全を確認するまで、掘らないんだ!」
そのとき。
地下から響いていた音が。
ぴたりと止まった。
【第七坑道】
【危険区域の一時停止:完了】
【原簿記録:保存】
そして。
最後に、新しい文字が浮かんだ。
【緊急保全管理権・初回作動】
【管理者候補ジョン:安全対応を確認】
ゼロが、ゆっくり僕を見た。
「……お前」
「なに?」
「鉱山を掘る前に、鉱山を止めやがったな」
「だって、危なかったんでしょ?」
ゼロは少し黙って。
やがて、笑った。
「……まあ、それでいい」
僕はキュ太郎を抱き上げた。
「ありがとう、キュ太郎」
「キュ!」
これで、鉱山の仕事が一つ進んだ。
ただし。
貴族側の責任者は、まだ納得していない。
そして僕たちは。
なぜ第七坑道だけに異常が出たのか。
その原因を調べなければならなくなった。
【あとがき:現在のステータス】
【スキル】
■武器系
刀剣スキル 20
盾スキル 3
戦闘技術スキル 13
■生産系
料理スキル 13
■その他
鑑定スキル 0.3
【所持金】
141G(銀行預け金:250G(銅貨2枚、半銅貨5枚))
ジョン
「キュ太郎、すごい仕事をしたね!」
おっさん
「危険を知らせて、被害が出る前に止められた。大事な仕事だな」
マクダフ
「旦那ぁ、俺にも緊急保全管理権を!」
ゼロ
「お前に渡したら、金策に失敗した瞬間に全取引を止めるだろうが!」
マクダフ
「……否定できませんな」
【所持アイテム】
・???のスクロール×6
・採掘計画書
・旧マーカット鉱山の古地図
・マーカット鉱山 最終採掘記録
・謎の紫色の鉱石
・謎の金属片(鑑定不能)
・採掘した紫色の鉱石×2
・新しく発見した謎の金属片
・「採掘は順調です。予定通り、地上へ出ます」と書かれた紙
・新M資金・マーカット鉱山復興応援券×1
・第零坑道採掘許可証0007
・第零坑道採掘管理記録
・第零坑道・旧採掘権証券×1
・マーカット鉱山・採掘権原簿(管理箱)
・ガレスのツルハシ(借用中)
・第七坑道作業責任者のツルハシ
・中古の斧(30Gで購入)
・新しい帳簿×5
・余り紙
・ロープ
・水筒
・奴隷のマクダフの野郎
・武器破損した剣
・???の指輪(バンステ金策で入手)
・ゴブリン(テイム)
・ケムトレイル群(立場:保護対象、詳細不明)
・キュ太郎(緊急保全管理権を取得)
・原簿管理妖精「ゼロ」
・旧労務台帳(確認中)
・第零坑道・最終作業記録(未完了)
・ガレス家の古い帳簿(調査中)
・副責任者の特別報酬記録
【投資・契約】
・中立共栄大金庫投資案件(ポーシャ支店)
元本:金貨10枚
状態:運用中
想定利回り:2倍〜5倍(説明ベース)
詳細:非公開/高リスク
・旧契約6,420件が未確認
・未払賃金:金貨三枚
・受取人:ガレス家
・支払条件:第零坑道の最終作業完了後
・副責任者:キュ太郎
・特別報酬:緊急保全管理権
・最終作業は未完了
【M資金】
・小口M資金券が継続流通
・商人間の決済や商品購入に使用
・現金交換、転売、投資対象化
・第三者による派生券も存在
・マクダフ発行「赤字安心券」
・「採掘利益参加証」
・「旧債務連動券」
・マーカット鉱山関連券の取引市場
・M資金指数
・旧契約整理を巡る権利売買が継続
【所有者選定】
第一段階:経済的貢献度
→ジョンがトップ
第二段階:実地運用試験
→ジョンが暫定首位
第三段階:所有責任審査
→最終判定終了
現在の立場:
✅ジョンはマーカット鉱山の暫定管理者
✅キュ太郎に緊急保全管理権が付与された
✅第七坑道で異常を検知
✅危険区域の採掘を一時停止
✅原簿中枢への記録保存を確認
【本日の収支】
141G(変動なし)銀行預け金250G(変動なし)
※ジョン個人の所持金に変動はありません。
【今回の進展】
✅キュ太郎の特別報酬の内容が判明
✅緊急保全管理権が正常に付与された
✅危険の警告、作業の一時停止、記録保存が可能と判明
✅第七坑道で地下設備の異常を検知
✅封印鉱の異常を確認し、採掘を一時停止
✅原簿中枢に対応記録が保存された
✅第七坑道の異常原因を調べる必要が発生
ジョンの一言
ジョン
「危ないときは、掘るより止めることが大事なんだね」
ゼロ「今回は正解だ」
おっさん
「原因が分かるまでは、再開しないほうがいいな」
マクダフ
「旦那ぁ、俺の金策も安全確認してから始めます」
ゼロ
「最初からそうしろ!」
次回。
第172話 第七坑道、採掘停止の理由
採掘を止められた貴族側の責任者は、再開を要求する。
一方、ゼロたちは異常の原因を調べ始める。
そして、壁の奥から見つかったのは――百二十年前の記録には存在しない、新しい封印鉱だった。