異世界金策 一攫千金!〜初心者冒険者必見?転移おっさんの怪しい儲け話Readme.exe〜 作:raixip
第七坑道で採掘停止を求めたジョンたちは、異常の原因を調べ始めた。
壁の中に見つかったのは、過去の記録に存在しない封印鉱の反応。
ゼロは、封印の仕組みが何かを補修しようとしている可能性を指摘する。
しかし、原因はまだ分からない。
そこでジョンは、安全が確認できるまで該当区域の採掘を止めることを決めた。
ところが。
第零坑道へ続く連絡通路でも、同じような異常反応が見つかる。
第七坑道だけの問題ではなかった。
百二十年前から未完了のまま残されている最終作業。
その理由が、少しずつ明らかになろうとしている。
「採掘を再開していただきたい!」
第七坑道の入口で、貴族側の責任者が叫んでいた。
「すでに作業員を雇い、道具も用意しているのです! 停止が長引けば、それだけ損失が増えます!」
僕は困った。
確かに、作業を止めればお金が入らない。
働く人たちの給料も必要だ。
でも。
「まだ危険があるかもしれないんだよ」
僕が言うと、責任者は不満そうな顔をした。
「危険の確認は、こちらの専門家に任せればいい!」
「その確認が終わってないんだよ」
おっさんが横から説明する。
「設備の異常が出ている以上、原因が分かるまでは再開できない」
「しかし、採掘を止めたままでは利益が――」
「利益の話は後だ」
ゼロがぴしゃりと言った。
「人が怪我したら、治療費も補償も必要になる。坑道が崩れたら修理費まで増える。急いで掘った結果、全部失うことだってあるんだぞ」
責任者は口を閉じた。
僕は少し安心した。
ゼロの説明は分かりやすい。
いつもこうならいいのに。
「……分かりました。ただし、原因の調査は急いでください」
責任者は渋々引き下がった。
こうして。
第七坑道の調査が始まった。
◇
「異常があったのは、この辺りだ」
ゼロが壁を指した。
僕たちは、キュ太郎と一緒に問題の場所を調べていた。
壁には、紫色の光がわずかに残っている。
さっきまでは、もっと強く光っていたらしい。
「キュ!」
キュ太郎が壁に近づいた。
そして。
ぽす。
前足で壁を叩いた。
「何かあるの?」
「キュ、キュ!」
キュ太郎は、少し右へ移動する。
また叩いた。
ぽす。
今度は、壁の奥から小さな音が返ってきた。
コン。
「……空洞か?」
おっさんが耳を近づける。
ゼロが首を振った。
「空洞だけじゃねぇな」
「どういうこと?」
ゼロは管理箱を開いた。
【第七坑道・地下構造記録】
【異常位置:確認中】
【封印鉱反応:検出】
【過去の登録:なし】
「登録がない?」
僕は表示を見た。
前に発見した封印鉱は、古い記録に場所が残っていた。
だから、元の場所へ戻せた。
でも。
今回は違う。
「昔の記録にない場所ってこと?」
「そうだ」
ゼロが頷いた。
「この位置で封印鉱が検出された記録は、残ってねぇ」
リゼさんが帳簿を開いた。
「位置情報の記録漏れは?」
「可能性はある。だが、ほかの記録とも照合しねぇと断定できない」
僕は壁を見た。
「じゃあ、少し掘って確認する?」
「駄目だ」
ゼロが即答した。
「まだ危険の原因が分かってねぇ」
「……はい」
「返事が早いな」
おっさんが笑った。
「さっきまで掘りたがってたのに」
「だって、止める理由が分かったら、次に何をすればいいか考えられるでしょ?」
「その考え方はいいな」
ゼロは、管理箱の表示を切り替えた。
【封印鉱反応:位置照合】
【既存記録:不一致】
【封印維持状況:調査必要】
しばらくすると。
もう一つの表示が現れた。
【新規反応を検出】
「新規?」
僕は目を丸くした。
壁の一部が、淡く光り始めた。
紫色ではない。
ほとんど透明な、薄い銀色。
まるで。
石の中に、細い光の筋が走っているようだった。
「……こんな鉱石、見たことないぞ」
おっさんが呟いた。
ゼロも黙っている。
「ゼロ?」
「待て」
ゼロは壁に近づいた。
そして、光の筋をじっと見つめた。
「これは……」
「何?」
「普通の封印鉱じゃねぇ」
僕は息を呑んだ。
「じゃあ、何なの?」
ゼロはすぐには答えなかった。
代わりに、管理箱へ向かって指を動かした。
古い記録が、次々と表示される。
【封印鉱・通常型】
【封印鉱・再配置型】
【封印鉱・補修反応型】
そして。
最後の項目。
【未登録反応】
【名称:不明】
【発生時期:不明】
【原簿登録:なし】
「名前もないんだ……」
僕が呟いた。
「記録がねぇからな」
ゼロは険しい顔をした。
「ただ、可能性はある」
「何の?」
「封印の仕組みが、何かを補修しようとしているのかもしれねぇ」
おっさんが顔を上げた。
「つまり、封印に問題が起きたから、新しい鉱物のようなものができたってことか?」
「まだ断定はできねぇ。だが、調べる価値はある」
リゼさんが慎重に言った。
「でしたら、この場所は立入制限を続け、記録を取りながら観察するべきです」
「うん。僕もそう思う」
僕は頷いた。
「原因が分かるまで、ここは掘らない」
管理箱が光った。
【暫定管理者ジョン】
【安全方針を記録】
【第七坑道・該当区域の採掘停止を継続】
【調査責任者:ゼロ】
【安全確認補助:キュ太郎】
「よし」
ゼロが言った。
「これで勝手に掘ることはできねぇ」
「よかった」
僕は胸を撫で下ろした。
これなら、原因を調べる時間ができる。
ところが。
入口から、慌てた足音が響いた。
「管理者!」
貴族側の作業員だった。
「大変です! 採掘を停止した直後から、別の坑道でも同じような光が見つかりました!」
「……何?」
ゼロが振り返る。
「どこだ?」
「第零坑道へ続く、古い連絡通路です!」
その瞬間。
管理箱に、新しい警告が浮かんだ。
【封印鉱反応】
【第二地点:検出】
【第三地点:検出】
【連動状況:確認中】
僕は、光の筋を見つめた。
一か所だけの異常ではなかった。
封印の仕組みそのものに。
何かが起きているのかもしれない。
「ゼロ……」
「ああ」
ゼロの声が低くなった。
「こいつは、第七坑道だけの問題じゃねぇ」
キュ太郎が、僕の肩の上で鳴いた。
「キュ……」
そして。
三つ目の地点を示す文字の下に。
見覚えのある数字が浮かんだ。
【第零坑道・最下層】
僕たちは、誰も喋らなかった。
百二十年前の最終作業が終わっていない理由。
その答えが。
少しずつ、見え始めていた。
【あとがき:現在のステータス】
【スキル】
■武器系
刀剣スキル 20
盾スキル 3
戦闘技術スキル 13
■生産系
料理スキル 13
■その他
鑑定スキル 0.3
【所持金】
141G(銀行預け金:250G(銅貨2枚、半銅貨5枚))
ジョン
「一か所を調べたら、別の場所にも異常が見つかったよ」
おっさん
「原因はまだ分からない。まずは安全確認だな」
マクダフ
「旦那ぁ、採掘を止める場所が増えたら、仕事も増えますぜ」
ゼロ
「お前は何でも商売に結びつけるな!」
【所持アイテム】
・???のスクロール×6
・採掘計画書
・旧マーカット鉱山の古地図
・マーカット鉱山 最終採掘記録
・謎の紫色の鉱石
・謎の金属片(鑑定不能)
・採掘した紫色の鉱石×2
・新しく発見した謎の金属片
・「採掘は順調です。予定通り、地上へ出ます」と書かれた紙
・新M資金・マーカット鉱山復興応援券×1
・第零坑道採掘許可証0007
・第零坑道採掘管理記録
・第零坑道・旧採掘権証券×1
・マーカット鉱山・採掘権原簿(管理箱)
・ガレスのツルハシ(借用中)
・第七坑道作業責任者のツルハシ
・中古の斧(30Gで購入)
・新しい帳簿×5
・余り紙
・ロープ
・水筒
・奴隷のマクダフの野郎
・武器破損した剣
・???の指輪(バンステ金策で入手)
・ゴブリン(テイム)
・ケムトレイル群(立場:保護対象、詳細不明)
・キュ太郎(緊急保全管理権を取得)
・原簿管理妖精「ゼロ」
・旧労務台帳(確認中)
・第零坑道・最終作業記録(未完了)
・ガレス家の古い帳簿(調査中)
・副責任者の特別報酬記録
【投資・契約】
・中立共栄大金庫投資案件(ポーシャ支店)
元本:金貨10枚
状態:運用中
想定利回り:2倍〜5倍(説明ベース)
詳細:非公開/高リスク
・旧契約6,420件が未確認
・未払賃金:金貨三枚
・受取人:ガレス家
・支払条件:第零坑道の最終作業完了後
・最終作業の副責任者:キュ太郎
・第七坑道で未登録の封印鉱反応を確認
・第零坑道へ続く連絡通路でも異常反応を検出
【M資金】
・小口M資金券が継続流通
・商人間の決済や商品購入に使用
・現金交換、転売、投資対象化
・第三者による派生券も存在
・マクダフ発行「赤字安心券」
・「採掘利益参加証」
・「旧債務連動券」
・マーカット鉱山関連券の取引市場
・M資金指数
・封印区域の調査を優先するため、該当区域の採掘停止が継続
【所有者選定】
第一段階:経済的貢献度
→ジョンがトップ
第二段階:実地運用試験
→ジョンが暫定首位
第三段階:所有責任審査
→最終判定終了
現在の立場:
✅ジョンはマーカット鉱山の暫定管理者
✅キュ太郎が緊急保全管理権を保有
✅第七坑道の異常区域は採掘停止中
✅複数地点で封印鉱の異常反応を検出
✅ゼロとキュ太郎が安全確認を担当
【本日の収支】
141G(変動なし)銀行預け金250G(変動なし)
※ジョン個人の所持金に変動はありません。
【今回の進展】
✅第七坑道の採掘停止が継続
✅壁の中に未登録の封印鉱反応を発見
✅新しい反応は通常の封印鉱と異なる可能性が判明
✅封印の仕組みが自動的に補修している可能性が浮上
✅第零坑道へ続く連絡通路でも異常反応を確認
✅異常が一か所だけの問題ではないと判明
✅調査が完了するまで採掘を再開しない方針を確認
ジョンの一言
ジョン
「原因が分かるまで掘らない。これでいいんだよね?」
ゼロ
「今はな」
おっさん
「複数の場所で反応してる理由を調べよう」
マクダフ
「旦那ぁ、今度こそ本当に採掘が遠のいてません?」
ジョン
「……僕も、そう思う」
次回。
第173話 封印は何を守っている?
複数の場所で見つかった異常反応。
ゼロは古い記録を調べ、キュ太郎は地下の音に耳を澄ます。
そして、原簿中枢に表示されたのは――封印対象の名前が記録されていないという、奇妙な事実だった。