異世界金策 一攫千金!〜初心者冒険者必見?転移おっさんの怪しい儲け話Readme.exe〜 作:raixip
最後の同意者だったキュ太郎は、無事に契約へ同意。
ところが、その裏側から百二十年前のガレス家による保証署名が見つかった。
管理箱の妖精ゼロは、ガレス家の現当主へ自動的に連絡を開始し、回答期限は七日以内だと告げる。
さらに、保証人が見つからない場合は代行者を選ぶ仕組みがあり、なぜかジョンが候補になる可能性まで浮上した。
「ガレス家から返事はまだ?」
僕は管理箱を覗き込んだ。
「まだだ。連絡を送ったばかりだぞ」
ゼロが腕を組んでいる。
「七日以内に返事をすればいいんだよね?」
「そうだ」
「じゃあ、七日間待てばいいんだ」
「簡単に言うな!」
ゼロの声が坑道に響いた。
おっさんは古い保証契約を眺めている。
「問題は、ガレス家がこの契約を知っているかどうかだな」
「知らなかったら?」
「知らないまま百二十年経過した可能性もある」
マクダフが帳簿を抱えて近づいてきた。
「旦那ぁ。百二十年も忘れていた契約なら、今さら払わなくてもいいんじゃないですかね?」
「契約は忘れたら消えるものじゃない」
「では、あっしが借りた金も?」
「お前の場合は、忘れたふりをしているだけだろ」
「いやですなぁ。記憶力には自信がありやすぜ」
「借金の返済日だけ忘れる記憶力か」
僕は二人の会話を聞きながら、管理箱を見た。
すると突然、箱の上に文字が浮かび上がった。
『ガレス家より返信あり』
「おお!」
全員が箱に注目した。
続いて、文章が表示される。
『本件について、ガレス家当主が緊急確認を開始しました』
その下には、さらに一文。
『当家には、そのような保証契約は存在しないと認識しております』
「存在しない?」
僕は首を傾げた。
ゼロが目を細める。
「予想どおりの反応だな」
「どういうこと?」
「百二十年前の契約を、現在の当主が知らないんだろう」
おっさんが頷いた。
「だが、契約書の原本がある。知らないから無効、という話にはならない」
すると、箱から次の文章が表示された。
『原本の写しを送付してください』
「写し?」
「原本を渡す必要はない。まずは内容を確認したいということだろう」
おっさんがそう説明すると、ゼロが小さな指を鳴らした。
契約書の文字が光り、同じ内容が別の紙へ転写されていく。
ところが、その途中で箱が止まった。
『警告』
『保証契約の一部に閲覧制限があります』
「え?」
僕は紙を覗き込んだ。
確かに、保証内容の一部分だけが黒く塗りつぶされたようになっている。
「ゼロ、これって何?」
「古い契約の保護機能だ。特定の条件を満たさないと読めない」
「条件って?」
「保証人本人、または正式な継承者による確認だ」
マクダフが目を輝かせた。
「つまり、ガレス家の人間を連れてくればいいんですな!」
「そう簡単にはいかない」
ゼロは紙を指差した。
「この契約には、もう一つ問題がある」
『保証人の資格:ガレス家当主』
『保証人の代理資格:第零坑道作業責任者』
僕は文字を読み直した。
「作業責任者?」
「そうだ。ガレス家の当主だけでなく、第零坑道の作業責任者にも確認権限がある」
おっさんが古い作業記録を取り出した。
「第零坑道の最終作業記録……これに名前が残っているかもしれないな」
ゼロが記録を受け取る。
そして、ページをめくった。
「……あった」
そこには、百二十年前の作業責任者の名前が記されていた。
だが、その名前を見たゼロの顔が険しくなる。
「どうしたの?」
「この人物は、ガレス家の人間ではない」
「じゃあ、誰なの?」
ゼロは記録を僕たちに見せた。
そこに書かれていたのは――。
『第零坑道・最終作業責任者』
『ジョン』
「……え?」
僕は自分の名前を指差した。
「僕?」
おっさんが黙り込む。
マクダフは帳簿を落とした。
「旦那ぁ……百二十年前から旦那の名前があったんですかい?」
「そんなわけないだろ!」
ゼロが慌てて記録を確認する。
「待て! 同姓同名の可能性がある!」
僕は少し安心した。
しかし、記録の下には小さな追記があった。
『作業責任者の資格は、未完了のまま継承される』
おっさんがゆっくりと僕を見た。
「ジョン。お前、また面倒なものを引き当てたな」
「僕、まだ何もしてないよ!」
マクダフが帳簿を拾い上げる。
「旦那ぁ。これは大変ですぜ。百二十年前の仕事を、今の旦那が引き継ぐことになるかもしれません」
「だから、僕は旦那じゃない!」
「いや、ジョンの旦那ですぜ」
「そういう意味じゃない!」
ゼロは記録を握りしめた。
「……ガレス家に、もう一度連絡する必要がある」
そのとき、管理箱に新しい文字が浮かんだ。
『作業責任者の照合を開始します』
『照合対象:ジョン』
『照合結果:一致』
そして最後に。
『未完了作業の継承者として登録しますか?』
僕は思わず一歩下がった。
鉱山を再開したいだけなのに。
どうして百二十年前の仕事まで、僕が引き継ぐことになっているんだろう。
【あとがき:現在のステータス】
【投資・契約】
・鉱山権利・債務統合契約の原本を確認中
・全権利者の同意が必要
・キュ太郎が最後の同意者として同意
・統合契約は未実行
・ガレス家の百二十年前の保証署名が発見される
・ガレス家現当主への連絡を開始
・ガレス家は保証契約の存在を認識していない
・保証契約の一部に閲覧制限あり
・保証人または正式な継承者による確認が必要
・第零坑道の作業責任者にも確認権限がある
・百二十年前の作業責任者は「ジョン」と記録されている
・未完了作業の資格は継承される可能性あり
・管理箱が現在のジョンとの照合を開始
【所有者選定】
現在の立場:
✅ジョンはマーカット鉱山の暫定管理者
✅旧権利者への説明と契約確認を継続中
✅キュ太郎が最後の同意者として同意
✅ガレス家現当主への連絡を開始
✅第零坑道の作業責任者に関する古い記録を発見
✅ジョンと百二十年前の作業責任者の名前が一致
【今回の進展】
✅ガレス家から最初の返答が届く
✅現当主は保証契約の存在を知らなかった
✅保証契約には閲覧制限があると判明
✅第零坑道の作業責任者にも確認権限があると判明
✅百二十年前の作業責任者の名前が「ジョン」だった
✅未完了作業の継承者として現在のジョンが照合対象になる
【ジョンたちの反省会?】
ジョン「おっさん、僕って百二十年前にもいたの?」
おっさん「普通に考えれば、同姓同名だろ」
マクダフ「旦那ぁ! 百二十年前から鉱山で働いていたとは、さすがですぜ!」
ジョン「だから僕じゃないって!」
ゼロ「まだ照合結果が出ただけだ! 勝手に決めつけるな!」
マクダフ「しかし、百二十年前の仕事を引き継げるなら、報酬も百二十年分ですかね?」
おっさん「未払い賃金があるかもしれないな」
ジョン「えっ! それなら僕、働いたことになるの?」
ゼロ「働いていないだろ!」
マクダフ「旦那ぁ! これは大発見ですぜ! 働かずに百二十年分の給料を――」
おっさん「そんな都合のいい話があるか!」
ジョン「でも、給料がもらえるなら確認してみたいな」
ゼロ「お前ら、契約を何だと思っているんだ!」
【次回予告】
第180話 百二十年分の未払い賃金?
百二十年前の作業責任者と同じ名前だったジョン。
管理箱は、現在のジョンを未完了作業の継承者として登録しようとしている。
一方、ガレス家の現当主も、この奇妙な記録に強い関心を示し始めた。
そして、古い労務台帳に残されていた未払い賃金の記録。
そこには、受取人の名前と、現在まで支払われていない理由が記されていた。
ジョンは期待する。
「もしかして、百二十年分のお給料がもらえるのかな?」
しかし、おっさんは嫌な予感がしていた。
未払い賃金の裏側には、まだ誰も知らない契約が眠っていた。