異世界金策 一攫千金!〜初心者冒険者必見?転移おっさんの怪しい儲け話Readme.exe〜   作:raixip

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マーカット鉱山の統合契約を調べる中で、百二十年前のガレス家による保証契約が発見された。
ガレス家の現当主は契約の存在を知らず、内容を確認するための調査を開始。
ところが、第零坑道の古い作業記録に、当時の作業責任者として「ジョン」という名前が残っていた。
さらに、未完了の作業責任者の資格は後世に継承される可能性が判明する。
ジョンは自分が百二十年前の仕事を引き継ぐことになるのか、そして未払い賃金までもらえるのか気になっていた。


第180話 百二十年分の未払い賃金?

「ゼロ! 未払い賃金って、いくらあるの?」

 

僕は管理箱の前に座り込んだ。

 

ゼロは嫌そうな顔をしている。

 

「お前は本当に金の話になると反応が早いな」

 

「だって、百二十年前の給料だよ?」

 

「まだお前の給料だと決まっていない!」

 

おっさんが古い労務台帳を広げた。

 

「まずは記録を確認しよう。前に見つかった未払い賃金は金貨三枚だったな」

 

「金貨三枚!」

 

僕は思わず身を乗り出した。

 

マクダフもすぐに反応する。

 

「旦那ぁ! 百二十年分の利息が付けば、金貨三枚どころじゃありませんぜ!」

 

「だから利息が付く契約なのか分からないだろ」

 

「夢を見るくらいは自由ですぜ」

 

「お前の夢は、だいたい他人の財布でできているな」

 

ゼロが労務台帳を開いた。

 

「静かにしろ。記録を読み上げるぞ」

 

そこには、こう書かれていた。

 

『第零坑道・最終作業報酬』

 

『支給予定額:金貨三枚』

 

『受取人:ガレス家』

 

『支給条件:最終作業完了後』

 

僕は首を傾げた。

 

「あれ? 僕の名前じゃないよ?」

 

「そうだ。受取人はガレス家だ」

 

おっさんが説明する。

 

「つまり、百二十年前の作業責任者がジョンだったとしても、給料を受け取る人間は別ということだ」

 

「じゃあ、僕にはもらえないの?」

 

「今のところはな」

 

マクダフが残念そうに肩を落とした。

 

「なんと……あっしの計算が台無しですぜ」

 

「何を計算していたんだ」

 

「金貨三枚の分配です」

 

「お前は関係ないだろ!」

 

ゼロは台帳のページをめくった。

 

すると、次の記録が出てきた。

 

『作業責任者への特別報酬』

 

『支給条件:最終作業の完了、および作業責任者による確認』

 

「おお!」

 

僕は目を輝かせた。

 

「こっちは僕の報酬?」

 

「まだ分からん」

 

ゼロは文字を指でなぞった。

 

「報酬額の欄が空白になっている」

 

「空白?」

 

「金額が記録されていない」

 

マクダフがすかさず口を挟んだ。

 

「旦那ぁ! これは逆に大きな可能性がありますぜ!」

 

「どういう意味だ?」

 

「金額が書いていないということは、上限なし!」

 

「そんなわけあるか!」

 

おっさんが台帳の端を調べていた。

 

「待て。この空白、何か別の記録に繋がっているぞ」

 

ページの下に、小さな番号が記されていた。

 

『第零坑道・最終作業記録 追補資料0007』

 

ゼロの表情が変わる。

 

「追補資料だと?」

 

管理箱が反応した。

 

蓋が開き、中から薄い金属板が一枚浮かび上がった。

 

そこには、短い文章が刻まれていた。

 

『最終作業完了時、作業責任者には報酬として鉱山の成果配分権を付与する』

 

「成果配分権?」

 

僕はおっさんを見た。

 

「それって、お金がもらえるってこと?」

 

「現金とは限らない。鉱山から生まれる利益の一部を受け取る権利かもしれない」

 

「つまり、鉱山が儲かれば?」

 

「その可能性はある」

 

マクダフの目が輝いた。

 

「旦那ぁ! これは大変ですぜ! ジョンの旦那が鉱山の利益を受け取れるなら、あっしにも何か取り分が――」

 

「ない」

 

おっさんが即答した。

 

「まだ何も決まっていないだろ!」

 

「お前の取り分は、まず自分で働いて稼げ」

 

そのとき、管理箱に新しい文字が浮かんだ。

 

『作業責任者の照合に成功』

 

『現行候補者:ジョン』

 

『成果配分権の継承資格:確認可能』

 

そして、最後に表示された。

 

『注意:成果配分権には未完了作業に伴う責任が付随します』

 

「……責任?」

 

僕は文字を読み直した。

 

ゼロが深刻な顔で頷く。

 

「そうだ。利益だけ受け取れる仕組みではない」

 

おっさんが金属板を置いた。

 

「つまり、仕事を終わらせなければ報酬は確定しない。しかも、仕事の内容によっては大きな負担が発生する」

 

マクダフが少し考えた。

 

「旦那ぁ。これ、よくある話ですな」

 

「何がだ?」

 

「儲かる話の説明では利益ばかり大きく見せて、最後に小さく責任を書くんですぜ」

 

おっさんが苦笑した。

 

「お前が言うと説得力があるな」

 

「褒められましたかね?」

 

「褒めてない」

 

僕は金属板を見つめた。

 

百二十年前の作業責任者。

 

未払い賃金。

 

鉱山の成果配分権。

 

そして、まだ終わっていない仕事。

 

「ゼロ。その最終作業って、何をすれば終わるの?」

 

ゼロは答えなかった。

 

代わりに管理箱が動き、別の記録を表示した。

 

『第零坑道・最終作業』

 

『作業内容:採掘対象の回収』

 

『対象:未回収の鉱山中枢資産』

 

『所在:第零坑道、最深部』

 

僕はツルハシを握った。

 

「やっぱり、掘るんだね!」

 

おっさんが額を押さえた。

 

「まだ行くとは言ってない」

 

その直後、管理箱に警告が表示された。

 

『最深部への立入条件』

 

『ガレス家現当主の承認』

 

『現行作業責任者の承認』

 

『緊急保全管理者の同意』

 

僕はキュ太郎を見た。

 

キュ太郎は僕の肩の上で眠っている。

 

「キュ……」

 

「キュ太郎、起きて!」

 

しかし、返事はない。

 

ゼロが小さく呟いた。

 

「どうやら、また全員の承認が必要らしいな」

 

僕は思った。

 

鉱山を掘るだけなのに、どうしてこんなに書類が必要なんだろう。

 

しかも、まだ最深部に何があるのかすら分かっていない。

 

百二十年前の仕事は、どうやら想像以上に面倒なものらしい。




【あとがき:現在のステータス】
【投資・契約】

・鉱山権利・債務統合契約の原本を確認中
・キュ太郎が最後の同意者として同意
・統合契約は未実行
・ガレス家の百二十年前の保証契約が発見される
・ガレス家現当主は契約の存在を認識していない
・第零坑道の最終作業が保証契約に関係している可能性
・未払い賃金:金貨三枚
・受取人:ガレス家
・作業責任者への特別報酬として鉱山の成果配分権が記録されている
・成果配分権には未完了作業に伴う責任が付随
・第零坑道の最終作業内容は「未回収の鉱山中枢資産の回収」
・最深部への立入には三者の承認が必要

【今回の進展】

✅百二十年前の未払い賃金の記録を確認
✅作業責任者には別途、特別報酬が存在すると判明
✅特別報酬は鉱山の成果配分権
✅成果配分権には作業責任も付いてくる
✅ジョンが現行作業責任者の候補として照合される
✅第零坑道の最深部に未回収の鉱山中枢資産が存在すると判明
✅最深部への立入にはガレス家・ジョン・キュ太郎の承認が必要


【ジョンたちの反省会?】
ジョン「おっさん、鉱山の利益をもらえるなら、僕は働いてもいいよ!」
おっさん「まだ仕事の内容が分かってないだろ」
マクダフ「旦那ぁ! 利益配分なら、あっしにも少し権利を!」
ジョン「マクダフは何をするの?」
マクダフ「会計と利益計算ですぜ!」
おっさん「利益が出たときだけ働く気だろ」
マクダフ「いやですなぁ。損失が出たときも、計算だけはしますぜ」
ゼロ「計算だけするな! 働け!」
ジョン「ところで、金貨三枚は誰がもらうの?」
おっさん「ガレス家だ」
ジョン「じゃあ、僕の取り分は?」
ゼロ「まだ決まっていない!」
マクダフ「旦那ぁ。まずは鉱山の利益が出るようにしましょう。報酬の話はそれからですぜ」
おっさん「珍しくまともなことを言うじゃないか」
マクダフ「もちろん、利益が出たら手数料をいただきますが」
おっさん「やっぱりお前は黙ってろ」

【次回予告】
第181話 最深部への入場券
第零坑道の最深部に眠る鉱山中枢資産。
その回収には、ガレス家現当主、ジョン、そしてキュ太郎の三者承認が必要だった。
ガレス家は百二十年前の契約を調べ始め、ついに現当主がマーカット鉱山へ向かうことになる。
しかし、最深部への入場条件には、もう一つ不思議な項目があった。
『入場者は、鉱山の所有権を主張しないこと』
ジョンは首を傾げる。
「えっ? 僕、鉱山の管理者なのに入っちゃダメなの?」
ゼロは頭を抱えた。
そして、おっさんは嫌な予感を覚えた。
どうやら第零坑道には、まだ誰も知らない秘密が残っているらしい。
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