異世界金策 一攫千金!〜初心者冒険者必見?転移おっさんの怪しい儲け話Readme.exe〜 作:raixip
「こ、これ全部やるのかよ、婆さん……?」
「ええ。これが一番早いんだよ」
――地獄か。
今日はやけに忙しい。
いや、“俺だけ”忙しい。
朝、先に起きた俺は御主人様を起こそうとしたが――起きない。
ギルドカードを握りしめて、幸せそうに寝てやがる。
仕方なく、俺は一人で露天市場へ向かった。
「おはよう、マクダフ」
トリポリオの旦那が声をかけてくる。
「今日はサンドパンの他に、スキル上げもやってもらう」
「……何を上げるんで?」
「薬調合だ」
(よりにもよって、それかよ……)
――正直、気が進まない。
だが逆らえない。
朝はいつも通りサンドパンを作る。
三十五個。多い。
その後、料理屋の手伝い。
だが今日は途中で抜ける。
向かった先は――あのガキの家。
「ここでスキル上げ……?」
案内された先には、あの婆さんがいた。
「やり方は古いけどねぇ……」
話を聞いてるのか聞いてないのか分からないまま、作業が始まる。
――小回復ポーション作り。
ただ、ひたすらに。
混ぜる。
待つ。
完成。
また混ぜる。
(つまらねぇ……)
狩りの方が何倍もマシだ。
だが続ける。
ひたすら。
昼前には、目の前に大量のポーションが積み上がっていた。
(ゴミみてぇな出来だな……)
質は低い。
だが数だけはある。
「もういいだろ、婆さん」
「まだだよ」
――終わらない。
さらに作る。
そして――
「ようやくだ」
薬調合スキルが10に上がった。
「次だな」
「その前にご飯だよ」
――マイペースすぎる。
昼飯を食い、再開。
「次は“逆さまポーション”だよ」
(ああ、あれか)
作れるのは知っている。
だが――
「まず、この瓶を逆さにする」
「……は?」
さらに。
「中身は全部捨てる」
「はぁ!?」
せっかく作ったポーションを、全部捨てる。
意味が分からない。
「なんでそんなことすんだよ!」
「頼まれたからだよ」
――トリポリオの旦那か。
(あの人、何考えてんだ……)
作り方自体は簡単だ。
だが――
“無駄”が多すぎる。
作っては捨て。
また作る。
精神が削られる。
「このやり方だとねぇ……効果時間が伸びるんだよ」
「……それ、意味あんのか?」
「さぁねぇ」
(使えねぇ……)
だが、手は止めない。
止めたら終わらない。
夕方まで続けて――
「はい、よくできました」
「やっとかよ!」
俺は即、家を出た。
これ以上いたら、また何かやらされる。
作ったポーションを抱えて、料理屋へ戻る。
――仕事が待っていた。
皿洗い。
掃除。
(俺、必要とされてんな……)
全部終わらせて、露天市場へ戻る。
そして。
久しぶりに御主人様を見た。
――ニヤけている。
(……また何かやらかしたな、あの人)
【あとがき:マクダフ様の現在のスキルステータス】
【スキル】
■武器系
刀剣スキル 16
槍スキル 36
盾スキル 21
戦闘技術スキル 20
■生産系
料理スキル 32
薬調合スキル 6
■その他
鑑定スキル 1
ギャンブル
■ 負債
負債:1,000,000g
王法違反及び軍規違反支払い金額 ※1
※1 支払いは金貨または白金貨のみとする