異世界金策 一攫千金!〜初心者冒険者必見?転移おっさんの怪しい儲け話Readme.exe〜   作:raixip

37 / 81
第37話 見えない原因と、再利用される武器

ゴーレム戦でコロシアムの一部が破壊されたため、その影響で第三試合は中止になった。

 

翌日。

 

僕は、机の上に積まれた金貨を見ていた。

 

――15枚。

 

「すげぇ……」

 

思わず声が漏れる。

 

こんな金、見たこともない。

 

「だから言っただろ」

 

おっさんが笑う。

 

「勝つ側に乗れば、こうなる」

 

コロシアムで僕が勝つことに賭けていたらしい。

その分け前が、これだ。

 

「これ全部、僕のか……?」

 

「取り分だな」

 

その瞬間、嬉しさが一気に込み上げた。

 

「やった! やったぞ!!」

 

思わず飛び跳ねる。

 

手の中の金貨が、じゃらじゃらと音を立てた。

 

――その時だった。

 

「おいジョン」

 

マクダフが声をかけてくる。

 

「その持ち方、やめとけ」

 

「え?」

 

「金貨ってのはな、“枚数が多いほど損する”」

 

「……損?」

 

聞き返すと、マクダフは小さくため息をついた。

 

「旦那ぁ……まだ分かってねぇっすね」

 

呆れたような口調。

 

「この町、ギャンブルの町ですよ旦那ぁ。数えるだけでも手数料がかかるんでさ」

 

「えっ、そうなのか!?」

 

「当たり前ですって。だからみんなまとめるんですよ」

 

そう言って、僕の手の中の金貨を指で弾いた。

 

「ほら見なさい。バラバラだと管理もできねぇ」

 

「あんな銀行に預けるのもリスクがあるでしょう旦那ぁ」

 

「う、うん……」

 

確かに、数えるのも大変そうだ。

それに、大金を預けても安全とは限らない気もする。

 

「しかも子供がそんなに持ち歩いてみろ」

 

声を落とす。

 

「確実に狙われますぜ」

 

「……!」

 

思わず周囲を見回す。

 

「いいですか旦那ぁ、金は“見せない・分ける・預ける”が基本でさ」

 

やけに説得力があった。

 

「ここは御主人様の奴隷である俺がまとめますよ」

 

自然な流れで言う。

 

「端数は俺が持っときます。どうせまた使うでしょうし」

 

「端数……?」

 

「5枚ですね。細かいのは回しづらいし、分かれてると余計に面倒です」

 

即答だった。

 

迷いがない。

 

「それに――」

 

マクダフは少しだけ笑う。

 

「旦那ぁ、一気に使うタイプでしょう?」

 

「……」

 

否定できなかった。

 

「だったら持たない方がいいんですよ、そういう人は」

 

完全に正論に聞こえた。

 

「必要な時に俺が出しますよ。子供が大金を持っているより安全ですぜ」

 

「……そっか」

 

自然とそう口にしていた。

 

言われるままに、金貨を渡す。

 

5枚。

 

ほんの少し減っただけのはずなのに――

 

なぜか、整理された気がした。

 

15枚は一度に扱うには多いが、10枚であれば持ちやすく、枚数も把握しやすい。

 

「よし」

 

マクダフは満足そうにうなずく。

 

「これで無駄が減りましたぜ旦那ぁ」

 

そして何事もなかったように懐へ入れた。

 

「じゃ、俺は行ってきます」

 

軽く手を振る。

 

向かう先は、言わなくても分かる。

 

ギャンブル施設だ。

 

(……ちゃんとしてるんだな、マクダフ)

 

なぜか、そんな感想が浮かんだ。

 

(あれ……なんか……まあ、いいか……)

 

まだ10枚もある。

 

それだけで十分すごい。

 

「じゃあ、僕も今日は好きにしていいんだよね」

 

「今日は休みだジョン。ゆっくりしてくれ」

 

おっさんはそれだけ言って去っていった。

 

完全に自由だ。

 

――急に暇になった。

 

とりあえず、持ち物を整理することにした。

 

袋の中には、使わなくなった物が山ほどある。

 

蛇肉のステーキを作るために狩りまくった腐りかけの蛇肉。

ボロボロになった木剣。

 

「これ、どうするんだ……?」

 

町の処分場を思い出す。

 

「お金がかかる」

 

そう言っていた。

 

(もったいないな)

 

少し考え、すぐに結論が出る。

 

(バレなきゃいい)

 

町の中で処分すれば金がかかる。

だが町の外なら無料だ。

 

僕は森へ向かった。

 

人気のない場所まで来て立ち止まる。

 

「ここなら……」

 

誰もいない。

 

見られていない。

 

袋を開ける。

 

腐った臭いが一気に広がった。

 

「うっ……くさ……」

 

顔をしかめながら蛇肉を地面に放る。

 

ぐちゃり、と嫌な音がする。

 

木剣は遠くへ投げ捨てた。

 

「よし……これで終わりだ」

 

金もかからない。

怒られることもない。

 

完璧だ。

 

――そう思った。

 

ガサッ

 

背後で音がした。

 

「……?」

 

振り返る。

 

森の奥で、何かが動いた気がした。

 

だが、よく分からない。

 

「気のせいか……」

 

不安を抱えながら、その場を離れた。

 

数時間後。

 

森の様子は明らかに変わっていた。

 

腐肉に群がる影。

 

一体、二体ではない。

 

ゴブリン。

 

さらに別の魔物も集まっている。

 

普段より、明らかに多い。

 

「魔物の数が異常だ!」

「周辺を調査しろ!」

 

竜騎士団が動き出していた。

 

だが――

 

「ほらっ!ケムトレイルの影響だ!」

「そうだ!上空散布が原因だ!」

 

原因は別の方向へと向かっていく。

 

本当の原因は、森に捨てられた腐肉だ。

 

だが、誰も気づかない。

 

もちろん――僕も知らなかった。

 

その頃。

 

森の中。

 

一体のゴブリンが、地面に落ちていた木剣を拾い上げていた。

 

それは先ほど捨てられたもの。

 

握る。

 

振る。

 

ぎこちないが、確かに武器として使っている。

 

その光景を、少し離れた場所から見ている影があった。

 

ジョンだ。

 

「……あれ?」

 

見覚えのある木剣だ。

 

間違いない。

 

自分が捨てたものだ。

 

それを――ゴブリンが使っている。

冒険者たちを見様見真似で壊れかけの木剣と新品の木剣扱っている。

二刀流だ。

 

「なんで……」

 

ただ拾っただけではない。

 

構え、狙い、動きがある。

 

「……」

 

背筋に、わずかな寒気が走った。

 

懐に違和感がある。

 

指輪が、じん、と熱を帯びていた。




【あとがき:現在のステータス】

【スキル】
■武器系
刀剣スキル 20
盾スキル 3
戦闘技術スキル 13

■生産系
料理スキル 13

■その他
鑑定スキル 0.3

【所持金】
2,171g(銀行預け金:11,250g(銀貨11枚、銅貨2枚、半銅貨5枚))

【所持アイテム】
・???のスクロール 6枚
・奴隷のマクダフの野郎
・武器破損した剣
・???の指輪(バンステ金策で入手)
・ゴブリン(テイム)

【装備品】
・骨護札の首かざり
・水トカゲの手袋(呪)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。