異世界金策 一攫千金!〜初心者冒険者必見?転移おっさんの怪しい儲け話Readme.exe〜 作:raixip
今、僕は料理屋の屋台の一角を借りて、ひたすらフライパンを振っている。
理由は単純だ。
料理スキルを上げるためだ。
「そのまま焼き続けろ。蛇肉だけで料理スキルは10まで上がる」
おっさんはそう言いながら、アイテムボックスから次々と蛇肉を取り出していく。
積み上がる蛇肉。
終わりは見えない。
……焼く。
ひたすら焼く。
焼いた蛇肉は、店主の計らいで料理の“おまけ”として客に配られていた。
「最初は何事かと思ったが……こりゃすげぇな」
店主は笑いながら言う。
「こんな量の蛇肉、普通じゃ集まらねぇ」
そのおかげか、今日は客も多い。
店主も上機嫌だ。
だが僕は——それどころじゃなかった。
腕が、限界だ。
720個の蛇肉を焼き終えた頃には、
もう自分の腕がフライパンになった気がした。
後半は数えるのもやめて、
まとめてばら撒くように配っていた。
それでも余った分は、
おっさんがスラム街の人たちに配っていた。
……もう蛇肉は見たくない。
そう思いながらステータスを確認する。
――スキル――
刀剣 4
盾 3
戦闘技術 2
料理 3
鑑定 0.1
確かに上がっている。
特に料理スキルは、一気に伸びていた。
今日一番うれしかったことは鑑定スキルが僕も取得できたことだ。
まさか僕も鑑定スキルを使える時がこんなにも早くくるとは思わかなった。
戦うより、右腕になったフライパンを振り続けているこっちの方が向いているんじゃないかと僕は思った。おっさんは僕に料理スキル上げなんかさせてどうするつもりなのだろうか。
一瞬、そんな考えがよぎる。
だが——
「ジョン、明日もやるぞ」
おっさんの一言で現実に引き戻された。
おっさんが今日言ったように、料理スキルを10
鑑定スキルを1まで上げるのが当分の目標だ。
翌日から、僕の蛇肉を焼く作業は続いた。
僕の無限野蛇フライパン作業だ。
二日目だけおっさんは僕と昨日来た森の入り口付近までは付いてきてくれたが、三日目からは僕一人であの狩り場に行き蛇肉を集めるようになった。
ある程度時間が過ぎるとおっさんがやってきてドロップ品の蛇肉を一緒に持って帰ってくれる。
二日目。
蛇肉を焼く。
三日目。
蛇肉を焼く。蛇肉を焼く。
四日目。
僕はサボった。
五日目。
また焼く。蛇肉を焼く。蛇肉を焼く。
六日目。
ようやく終わりが見えてきた。
六日目にもなると僕は蛇肉人と呼ばれていた。あまりうれしくはなかったが、僕は蛇肉マンになった気もした。
料理スキルは9。
今日中に10に届くはずだ。
ただ一つ問題があった。
鑑定スキル。
???のスクロールは思ったより出ない。
ここまでで42枚。
鑑定は0.3止まり。
まだ遠い。
「そんなもんだ」
おっさんは軽く言った。
「気にするな」
……僕は気にするが。
夕暮れ。
最後の蛇肉を焼きに入る。
そして——
「……あ」
気づいた時には、料理スキルが10になっていた。
「おっさん! 10になった!蛇肉人は終わりだ!」
「よし、蛇肉マン終わりだ」
あっさりだった。
「もうここから先は蛇肉じゃ上がらん。やる意味はない」
そう言って、おっさんは残りを全部店主に押し付けていた。明日の算段を何か話していた。
「……じゃあなジョン。明日から金策再開だ。今日はもう帰って寝ろ。明日も朝は早いぞ。しっかり眠ってくれ……」
そう言って去っていく。
僕はその場に残され、冷めた蛇肉を食べる。
六日間。僕の稼ぎはゼロだ。
おっさんに出会った初日にドネタンがドロップしなかったらとっくに僕は宿無しのスラム街の住民になっていただろう。
あの欲しかった武器屋防具を買うのもまだまだ先だ。
【あとがき:現在のステータス】
【スキル】
■武器系
刀剣スキル 4(前回 3 → 今回は 1上昇)
盾スキル 3
戦闘技術スキル 2(前回 1 → 今回は 1上昇)
■生産系
料理スキル 10(前回0 → 今回は 10上昇)
■その他
鑑定スキル 0.3(前回 0.1 → 今回は 0.2 上昇)
【所持金】
1,875g
【所持アイテム】
・蛇肉(大量)
・???のスクロール 42枚