異世界金策 一攫千金!〜初心者冒険者必見?転移おっさんの怪しい儲け話Readme.exe〜 作:raixip
ポーシャの町は、昼を過ぎたあたりから一部が騒がしい。
何も知らずに日常を送る者。
昨日から走り回っている者。
同じ町に、二つの空気があった。
「それで――ケムトレイルとは何だ!」
竜騎士団の隊長が机を叩く。
「たった一夜で村が壊滅だぞ!」
「そ、それが……不明です」
部下は答えられない。
生き残りの村人は、同じ言葉しか口にしない。
「ケム…トレイル……」
それだけだ。
目の焦点も合っていない。
会話にならない。
誰も知らない。
聞いたこともない。
どうやらこいつらに一体何があったのか、また何か聞くことは難しいようだ。
「今すぐに!いや…今日中に正体を掴め!」
「は、はい!」
隊員たちは散った。
当てもなく。
――分からない、は許されない。
それが竜騎士団だ。
でもそんな竜騎士団を私は誇りに思っている。
なぜなら、私はそんなみんなが憧れる竜騎士団の一員だからだ。
「……また面倒なことになったな」
私もその一人だ。
情報が必要だ。
なら、酒場だ。
昼だが関係ない。
飲まなければ、逆に怪しまれる。
席に着く。
周囲を観察する。
「やってられねぇよ……」
酔った声。
どうやら格好からしてこの町の門番の兵士のようだ。
「ケムトレが何だってんだ……俺は知らねぇんだよ……」
……引っかかった。
「ケムトレ?……」
近づく。
肩を掴む。
「おい、それはケムトレイルのことか?」
「や、やめろ……吐く……」
床に吐き戻す。
構わず聞く。
「詳しく教えろ」
「……ああ……あれだ……」
「村の連中が騒いでんだよ……」
「竜騎士団の竜のせいだってな……」
竜?
「続けろ」
「空を飛ぶだろ……竜が……」
「そのあとに白い筋が残る……」
「あれがケムトレだってよ……」
……なるほど。
「それが原因だと?」
「そう言ってたな……」
十分だ。
情報は――使える。
酒代は経費だな。
「助かった。ここは私が払う」
「お、俺はもう飲みたくねぇ……」
席を立つ。
急ぐ。
隊長のもとへ。
――その前に。
今日の酒代として払った。
これは経費として落として回収しておく必要がある。
扉の前で呼吸を整える。
表情を作る。
焦った部下。
成果を持ち帰った部下。
それを演じる。
扉を開ける。
「た、隊長!ケ、ケムトレイルの正体が判明しました!」
隊長が顔を上げる。
手には軽食。
サンドイッチのようにも思える。
間の抜けた顔だ。
「……で、何だそれは!」
「我が竜騎士団の竜が飛行した後に残る、白い筋状の雲です!」
沈黙。
「……つまり」
隊長がゆっくり口を開く。
「俺たちの竜が、その村を壊滅させたと?」
【あとがき:竜騎士団のとある隊員の現在のステータス】
【所持金】
銀貨13枚
【所持アイテム】
・ケムトレイルについての情報
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【情報提供料処理書】
項目:情報提供料(接待費扱い)
支払先:門番兵士(任意協力者)
内容:酒類提供による会話誘導
金額:銅貨13枚
備考
・情報は偶発的に取得されたもの
・対価性は認められない
・あくまで善意の交流の範囲内
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