異世界金策 一攫千金!〜初心者冒険者必見?転移おっさんの怪しい儲け話Readme.exe〜   作:raixip

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第78話 宿泊拒否

巨大ゴブリンがついてくる。

 

それだけならまだよかった。

 

問題は。

 

目立つ。

 

とにかく目立つ。

 

ポーシャの町は今、大騒ぎだった。

 

そもそも巨大ゴブリンが出現した時点で大事件である。

 

避難した住民。

 

閉鎖された店。

 

逃げ出した観光客。

 

そこへ。

 

その巨大ゴブリンが。

 

大人しく子供の後ろを歩いている。

 

意味が分からない。

 

町の人たちも同じだった。

 

「おい……」

 

「見ろ……」

 

「あれジョンじゃないか……?」

 

「コロシアムの……」

 

「なんで巨大ゴブリンが従ってるんだ?」

 

「知らねぇよ!」

 

ジョンも知らない。

 

本当に知らない。

 

聞きたいくらいだった。

 

「おっさん」

 

「なんだ」

 

「逃げます?」

 

「無理だな」

 

即答だった。

 

ジョンが後ろを見る。

 

巨大ゴブリン。

 

後ろを見る。

 

赤黒いゴブリン。

 

屋根を見る。

 

赤黒いゴブリン。

 

煙突を見る。

 

赤黒いゴブリン。

 

「増えてません?」

 

「増えてるな」

 

明らかに増えていた。

 

護衛というより監視だった。

 

そんなことを話しているうちに宿が見えてきた。

 

見慣れた宿。

 

数日前まで泊まっていた場所。

 

ジョンは少し安心する。

 

ようやく帰れる。

 

ベッドで寝られる。

 

まともな飯も食える。

 

そう思った。

 

本当にそう思った。

 

宿屋の主人と目が合うまでは。

 

主人は固まった。

 

ジョンを見る。

 

巨大ゴブリンを見る。

 

ジョンを見る。

 

巨大ゴブリンを見る。

 

もう一回見る。

 

「おう坊主」

 

「ただいまです」

 

「質問していいか」

 

「どうぞ」

 

「後ろのはなんだ」

 

ジョンも聞きたかった。

 

「分かりません」

 

正直に答える。

 

主人は深く頷いた。

 

「俺も分からん」

 

意見が一致した。

 

だが。

 

問題はそこではなかった。

 

巨大ゴブリンが宿を見ている。

 

じっと。

 

宿を。

 

嫌な予感がした。

 

すると。

 

巨大ゴブリンが腰を下ろした。

 

ズシン。

 

宿の前で。

 

堂々と。

 

座った。

 

入口を塞いで。

 

「おいぃぃぃ!!」

 

主人が叫んだ。

 

「入口!入口!」

 

完全に塞がれている。

 

宿に入れない。

 

客も出られない。

 

巨大ゴブリンは無表情だった。

 

守っているつもりらしい。

 

「どけ!」

 

反応なし。

 

「どけぇ!」

 

反応なし。

 

「頼むからどいてくれ!」

 

反応なし。

 

宿屋の主人が泣きそうだった。

 

ジョンも泣きそうだった。

 

その時。

 

胸元から毛玉が顔を出した。

 

「キュ?」

 

そして。

 

巨大ゴブリンを見る。

 

「キュ」

 

短く鳴いた。

 

すると。

 

巨大ゴブリンが立ち上がった。

 

「おお!」

 

主人が喜ぶ。

 

ジョンも喜ぶ。

 

だが。

 

巨大ゴブリンは宿の入口から三歩下がっただけだった。

 

そして。

 

また座った。

 

ズシン。

 

「邪魔ぁぁぁぁ!!」

 

宿屋の主人が絶叫した。

 

三歩では意味がない。

 

入口の半分以上を塞いでいる。

 

むしろ前より邪魔だった。

 

「キュ」

 

毛玉は満足そうだった。

 

全然満足じゃない。

 

その後。

 

なんとか宿へ入る。

 

主人は疲れ切っていた。

 

ジョンも疲れていた。

 

おっさんも疲れていた。

 

そして。

 

宿泊手続きをしようとした時。

 

主人が帳簿を閉じた。

 

パタン。

 

嫌な音だった。

 

「坊主」

 

「はい」

 

「悪いが今日は満室だ」

 

ジョンは周囲を見る。

 

ガラガラだった。

 

客がいない。

 

避難している。

 

どう見ても空いている。

 

「いや、空いてますよね?」

 

「満室だ」

 

「いや空いてますよね?」

 

「俺の心は満室だ」

 

意味が分からない。

 

主人は真顔だった。

 

「頼む」

 

「はい」

 

「巨大ゴブリン付きのお客様は初めてなんだ」

 

「僕もですよ」

 

「対応マニュアルがない」

 

それはそうだった。

 

ジョンにもない。

 

すると。

 

胸元の毛玉がまた顔を出す。

 

「キュ」

 

主人を見る。

 

「キュキュ」

 

主人が固まる。

 

なぜか顔色が青くなった。

 

「……坊主」

 

「はい」

 

「特別室を使ってくれ」

 

「え?」

 

「もちろん無料で」

 

「え?」

 

「夕食もつける」

 

「え?」

 

さっきまで満室だった。

 

今は特別室らしい。

 

ジョンには意味が分からなかった。

 

だが。

 

宿屋の主人には何かが見えたらしい。

 

ジョンは知らなかった。

 

主人の鑑定スキルが。

 

さっきから。

 

ずっと。

 

毛玉を見た瞬間に。

 

『鑑定拒否』

 

『鑑定拒否』

 

『鑑定拒否』

 

を繰り返していたことを。

 

そして主人が。

 

人生で初めて。

 

「絶対に関わっちゃいけないやつだ」

 

そう確信していたことも。

 

知らなかった。




【あとがき:現在のステータス】

【スキル】
■武器系
刀剣スキル 20
盾スキル 3
戦闘技術スキル 13

■生産系
料理スキル 13

■その他
鑑定スキル 0.3

【所持金】
2,171g(銀行預け金:11,250g(銀貨11枚、銅貨2枚、半銅貨5枚))

【所持アイテム】
・???のスクロール 6枚
・奴隷のマクダフの野郎
・武器破損した剣
・???の指輪(バンステ金策で入手)
・ゴブリン(テイム)

【投資・契約】
・中立共栄大金庫投資案件(ポーシャ支店)
 元本:金貨10枚
 状態:運用中
 想定利回り:2倍〜5倍(説明ベース)
 詳細:非公開/高リスク

【装備品】
・骨護札の首かざり
・水トカゲの手袋(呪)
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