異世界金策 一攫千金!〜初心者冒険者必見?転移おっさんの怪しい儲け話Readme.exe〜   作:raixip

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第80話 利益率

チャリン。

 

金貨は本物だった。

 

何度見ても。

 

どこから見ても。

 

本物だった。

 

ジョンは表を見た。

 

裏を見た。

 

もう一回表を見た。

 

噛んでみた。

 

固かった。

 

本物だった。

 

「おっさん」

 

「なんだ」

 

「金貨です」

 

「見れば分かる」

 

「金貨ですよ」

 

「だから見れば分かる」

 

二人とも少し興奮していた。

 

当然だった。

 

肉を食べた。

 

金貨が出た。

 

意味が分からない。

 

だが。

 

金貨は出た。

 

それだけは事実だった。

 

ジョンの頭の中で計算が始まる。

 

肉の値段。

 

金貨の価値。

 

利益率。

 

投資効率。

 

回転率。

 

最近銀行で聞いた単語まで飛び出してくる。

 

「待て待て待て」

 

ジョンは自分を落ち着かせる。

 

まだ早い。

 

たまたまかもしれない。

 

偶然かもしれない。

 

世の中そんなに甘くない。

 

中立共栄大金庫だってそうだった。

 

甘い話には裏がある。

 

だから確認が必要だ。

 

検証である。

 

「おっさん」

 

「嫌な予感しかしねぇ」

 

「実験しましょう」

 

「やっぱりな」

 

ジョンは残っていたパンくずを持つ。

 

小さい欠片。

 

食べ残しだ。

 

毛玉へ差し出す。

 

「キュ?」

 

毛玉が首を傾げる。

 

「食べろ」

 

「キュ」

 

パクッ。

 

一瞬だった。

 

そして。

 

何も起きない。

 

「……」

 

「……」

 

「失敗ですね」

 

「当たり前だろ」

 

ところが。

 

数秒後。

 

ポトン。

 

銅貨が落ちた。

 

「出たぁ!!」

 

ジョンが叫ぶ。

 

「落ち着け!」

 

おっさんも叫ぶ。

 

だが目が輝いていた。

 

完全に興味を持っている。

 

ジョンは銅貨を拾う。

 

本物だった。

 

また本物。

 

偶然ではない。

 

どうやら。

 

本当に。

 

食べると金が出る。

 

「すげぇ……」

 

ジョンの呼吸が荒くなる。

 

投資案件より夢がある。

 

いや。

 

比較にならない。

 

銀行は紙切れにサインさせた。

 

毛玉はパンを食うだけだ。

 

圧倒的に分かりやすい。

 

「キュ」

 

毛玉は満足そうだった。

 

すると。

 

おっさんが急に真面目な顔になる。

 

嫌な予感がした。

 

こういう顔の時のおっさんは。

 

ろくでもない。

 

「ジョン」

 

「はい」

 

「利益率を計算しよう」

 

やっぱりろくでもなかった。

 

二人は宿のメモ紙を広げる。

 

パン一欠片。

 

銅貨一枚。

 

肉一皿。

 

金貨一枚。

 

計算。

 

計算。

 

また計算。

 

そして。

 

「駄目だな」

 

おっさんが言う。

 

「え?」

 

「利益率が安定してねぇ」

 

確かに。

 

肉一皿で金貨一枚。

 

パンで銅貨一枚。

 

だが量と価値が合っていない。

 

法則が見えない。

 

ジョンも頷く。

 

その時だった。

 

コンコン。

 

扉が叩かれる。

 

二人は慌てて金貨を隠した。

 

反射だった。

 

「は、はい!」

 

扉が開く。

 

宿屋の主人だった。

 

「夕食はどうだ…… でしたか?」

 

「美味しかったです」

 

嘘ではない。

 

毛玉が全部食べたが。

 

主人は頷く。

 

そして。

 

テーブルを見る。

 

空っぽだった。

 

「全部食ったのか?」

 

「はい」

 

主人がジョンを見る。

 

ジョンを見る。

 

ジョンの体を見る。

 

細い。

 

どう見ても大食いではない。

 

「……」

 

主人が黙る。

 

毛玉を見る。

 

毛玉も見る。

 

「キュ」

 

主人の顔が引きつる。

 

嫌な汗が出ている。

 

すると。

 

毛玉が突然立ち上がった。

 

「キュ!」

 

主人を指差す。

 

短い前足で。

 

「え?」

 

主人も固まる。

 

次の瞬間。

 

巨大ゴブリンが宿の外で立ち上がった。

 

ズシン。

 

ズシン。

 

ズシン。

 

「なんで!?」

 

主人が叫ぶ。

 

ジョンも叫びたい。

 

巨大ゴブリンが宿へ向かって歩いてくる。

 

一直線に。

 

「止めろ!」

 

「僕じゃないです!」

 

「お前しかいないだろ!」

 

その通りだった。

 

そして。

 

巨大ゴブリンは窓の外まで来ると。

 

主人を見た。

 

じっと。

 

主人を見る。

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

数秒後。

 

巨大ゴブリンは懐から何かを取り出した。

 

そして。

 

主人へ差し出した。

 

果物だった。

 

どう見ても高級品だった。

 

主人は固まる。

 

ジョンも固まる。

 

巨大ゴブリンは満足そうに頷いた。

 

どうやら。

 

毛玉が指差した相手に。

 

贈り物をするらしい。

 

意味が分からなかった。

 

本当に。

 

意味が分からなかった。




【あとがき:現在のステータス】

【スキル】
■武器系
刀剣スキル 20
盾スキル 3
戦闘技術スキル 13

■生産系
料理スキル 13

■その他
鑑定スキル 0.3

【所持金】
2,171g(銀行預け金:11,250g(銀貨11枚、銅貨2枚、半銅貨5枚))

【所持アイテム】
・???のスクロール 6枚
・奴隷のマクダフの野郎
・武器破損した剣
・???の指輪(バンステ金策で入手)
・ゴブリン(テイム)
・ケムトレイル群
 立場:保護対象
 詳細:不明

【投資・契約】
・中立共栄大金庫投資案件(ポーシャ支店)
 元本:金貨10枚
 状態:運用中
 想定利回り:2倍〜5倍(説明ベース)
 詳細:非公開/高リスク

【装備品】
・骨護札の首かざり
・水トカゲの手袋(呪)
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