異世界金策 一攫千金!〜初心者冒険者必見?転移おっさんの怪しい儲け話Readme.exe〜   作:raixip

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第85話 事情聴取

王都特別調査局。

 

嫌な名前だった。

 

ジョンは知らない。

 

だが。

 

周囲の反応を見れば分かる。

 

関わりたくない連中だ。

 

領主は黙った。

 

宿屋の主人も黙った。

 

おっさんまで黙っている。

 

「おっさん」

 

「なんだ」

 

「偉い人ですか?」

 

「かなりな」

 

短かった。

 

だが。

 

十分だった。

 

ジョンは少し緊張する。

 

男は無表情だった。

 

感情が見えない。

 

まるで銀行員みたいだ。

 

それだけでジョンの警戒心が上がった。

 

「ジョン殿」

 

「はい」

 

「座ったままで結構です」

 

すでに座っている。

 

立っていたら逆に不自然だった。

 

男も椅子へ腰掛ける。

 

音がしない。

 

不気味だった。

 

「いくつか質問があります」

 

「はい」

 

「率直に答えてください」

 

「はい」

 

男は紙を取り出した。

 

何枚も。

 

嫌な予感しかしない。

 

「まず」

 

紙を見る。

 

「巨大ゴブリンとの関係について」

 

ジョンは即答した。

 

「分かりません」

 

男のペンが止まった。

 

「分からない?」

 

「はい」

 

「巨大ゴブリンが護衛していますが」

 

「してますね」

 

「理由は?」

 

「分かりません」

 

男が黙る。

 

領主も黙る。

 

主人も黙る。

 

全員黙る。

 

ジョンだけが普通だった。

 

本当に分からないのだから仕方ない。

 

男は咳払いした。

 

「では別の質問を」

 

紙をめくる。

 

「赤黒い変異ゴブリン集団」

 

嫌な単語だった。

 

「心当たりは?」

 

「あります」

 

男の目が細くなる。

 

領主も身を乗り出す。

 

主人まで聞いている。

 

「どのような?」

 

ジョンは答えた。

 

「たまについてきます」

 

男のペンが止まった。

 

また止まった。

 

「ついてくる?」

 

「はい」

 

「なぜ?」

 

「分かりません」

 

ペンが置かれた。

 

完全に置かれた。

 

男は天井を見た。

 

たぶん。

 

頭痛だった。

 

ジョンは少し申し訳なくなる。

 

だが。

 

本当に分からない。

 

すると。

 

キュ太郎が目を覚ました。

 

「キュ」

 

調査局の男を見る。

 

男も見る。

 

数秒。

 

見つめ合う。

 

そして。

 

キュ太郎が前足を伸ばした。

 

ポン。

 

男の膝に乗った。

 

部屋が凍る。

 

ジョンは固まる。

 

領主は固まる。

 

主人は固まる。

 

おっさんだけが目を閉じた。

 

諦めていた。

 

男は動かない。

 

全く動かない。

 

キュ太郎は膝の上で丸くなった。

 

「キュ〜」

 

寝始めた。

 

完全に寝た。

 

男は無表情だった。

 

だが。

 

額に汗が出ている。

 

ジョンは初めて見た。

 

この人も焦るんだな。

 

すると。

 

男が静かに口を開く。

 

「ジョン殿」

 

「はい」

 

「この生物の名前は?」

 

ジョンは少し誇らしく答えた。

 

「キュ太郎です」

 

領主が吹き出した。

 

ブフッ。

 

慌てて口を押さえる。

 

調査局の男は固まっていた。

 

「……キュ太郎」

 

「はい」

 

「そうですか」

 

男は手帳に書いた。

 

【キュ太郎】

 

王都特別調査局の極秘資料に。

 

キュ太郎。

 

その五文字が記録された瞬間だった。

 

ジョンは満足そうだった。

 

だが。

 

調査局の男は悩んでいた。

 

目の前の少年。

 

嘘を言っているようには見えない。

 

だが。

 

状況は異常だ。

 

巨大ゴブリン。

 

変異種の群れ。

 

騎士団撤退。

 

そして。

 

膝の上で寝ている謎生物。

 

どれも事実。

 

報告書に書かねばならない。

 

しかし。

 

どう書く?

 

男は本気で悩んでいた。

 

その頃。

 

遠く離れた森では。

 

「旦那ぁぁぁぁ!!」

 

マクダフが走っていた。

 

全力で。

 

後ろからは変異猪。

 

前からは竜騎士団。

 

横からは変異狼。

 

「なんで全部来るんだよぉぉぉ!!」

 

泣いていた。

 

ジョンが特別室で朝食を食べている頃。

 

マクダフは人生最大級の修羅場だった。

 

だが。

 

まだ知らない。

 

そのジョンが。

 

王都から事情聴取を受けながら。

 

毛玉に名前を付けていたことを。




【あとがき:現在のステータス】

【スキル】
■武器系
刀剣スキル 20
盾スキル 3
戦闘技術スキル 13

■生産系
料理スキル 13

■その他
鑑定スキル 0.3

【所持金】
2,171g(銀行預け金:11,250g(銀貨11枚、銅貨2枚、半銅貨5枚))

【所持アイテム】
・???のスクロール 6枚
・奴隷のマクダフの野郎
・武器破損した剣
・???の指輪(バンステ金策で入手)
・ゴブリン(テイム)
・ケムトレイル群
 立場:保護対象
 詳細:不明

【投資・契約】
・中立共栄大金庫投資案件(ポーシャ支店)
 元本:金貨10枚
 状態:運用中
 想定利回り:2倍〜5倍(説明ベース)
 詳細:非公開/高リスク

【装備品】
・骨護札の首かざり
・水トカゲの手袋(呪)
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