異世界金策 一攫千金!〜初心者冒険者必見?転移おっさんの怪しい儲け話Readme.exe〜 作:raixip
「では最後の質問です」
王都特別調査局の男が言った。
どうやら事情聴取も終わりらしい。
ジョンは少し安心した。
正直疲れた。
質問の内容が難しい。
答えはほとんど同じだった。
知らない。
分からない。
気づいたらそうなっていた。
本当なのだから仕方がない。
「ジョン殿」
「はい」
「この生物について、他に分かっていることはありますか?」
男が膝の上を見る。
キュ太郎は寝ていた。
幸せそうに。
「あります」
ジョンが答える。
男の目が少し真剣になる。
初めて有力な情報かもしれない。
領主も身を乗り出す。
宿屋の主人も聞いている。
「食べます」
沈黙。
「……食べる」
「はい」
「何を?」
「色々です」
「例えば」
ジョンは指を折る。
「肉」
男が書く。
「パン」
男が書く。
「野菜」
男が書く。
「果物」
男が書く。
「あと」
ジョンは少し考えた。
「お金も好きそうです」
男のペンが止まった。
「お金」
「はい」
「貨幣ですか」
「はい」
男は何も言わなかった。
だが。
頭痛が悪化した顔をしていた。
すると。
キュ太郎が起きた。
「キュ」
伸びをする。
そして。
男の胸ポケットを見る。
じっと。
見ている。
嫌な予感がした。
ジョンにも。
おっさんにも。
男本人にも。
次の瞬間。
キュ太郎が飛んだ。
「キュ!」
一直線。
胸ポケットへ。
「あっ」
男が初めて焦った声を出す。
遅かった。
キュ太郎は何かを咥えていた。
銀貨だった。
「それ僕のだ」
男が初めて敬語をやめた。
よほど大事だったらしい。
だが。
キュ太郎は。
パクッ。
食べた。
部屋が静まり返る。
男も。
領主も。
主人も。
ジョンも。
全員見ていた。
数秒後。
チャリン。
金貨が落ちた。
「……」
「……」
「……」
ジョンが金貨を見る。
銀貨を見る。
もうない。
消えた。
代わりに金貨がある。
おっさんが小声で呟く。
「両替か?」
ジョンもそう思った。
すると。
男がゆっくり金貨を拾う。
確認する。
本物だった。
「……」
無言。
そして。
手帳を開いた。
書く。
ものすごい勢いで書く。
ジョンには見えない。
だが。
内容はだいたい想像できた。
たぶん。
【キュ太郎は銀貨を金貨へ変換可能】
とかだろう。
事実だし。
すると。
男が立ち上がる。
「本日の聴取は終了です」
急に終わった。
「え?」
「帰ります」
「早くないですか?」
「十分です」
十分らしい。
男は本気だった。
その顔を見れば分かる。
これ以上いると。
もっと面倒なことが起きる。
そう判断した顔だった。
男は出口へ向かう。
そして。
振り返る。
「ジョン殿」
「はい」
「しばらくポーシャから出ないでください」
嫌な予感しかしない。
「なんでですか?」
男は少し考えた。
それから。
「私も知りたい」
本音だった。
男は去った。
ものすごい速さで。
逃げるように。
部屋には沈黙だけが残る。
しばらくして。
領主が口を開いた。
「坊主」
「はい」
「キュ太郎を見世物にせんか?」
即座におっさんが答えた。
「やめとけ」
珍しく即答だった。
ジョンも頷く。
なんとなく。
それだけは駄目な気がした。
すると。
キュ太郎がジョンの肩へ戻る。
そして。
ポケットから何かを落とした。
ポトリ。
小さな紙切れだった。
ジョンは拾う。
見覚えがある。
どこかで見た。
いや。
最近見た。
そして思い出した。
中立共栄大金庫。
投資契約書だった。
「……」
ジョンが固まる。
なぜ。
キュ太郎が持っている?
おっさんも固まる。
嫌な予感しかしなかった。
【あとがき:現在のステータス】
【スキル】
■武器系
刀剣スキル 20
盾スキル 3
戦闘技術スキル 13
■生産系
料理スキル 13
■その他
鑑定スキル 0.3
【所持金】
2,171g(銀行預け金:11,250g(銀貨11枚、銅貨2枚、半銅貨5枚))
【所持アイテム】
・???のスクロール 6枚
・奴隷のマクダフの野郎
・武器破損した剣
・???の指輪(バンステ金策で入手)
・ゴブリン(テイム)
・ケムトレイル群
立場:保護対象
詳細:不明
【投資・契約】
・中立共栄大金庫投資案件(ポーシャ支店)
元本:金貨10枚
状態:運用中
想定利回り:2倍〜5倍(説明ベース)
詳細:非公開/高リスク
【装備品】
・骨護札の首かざり
・水トカゲの手袋(呪)