異世界金策 一攫千金!〜初心者冒険者必見?転移おっさんの怪しい儲け話Readme.exe〜 作:raixip
「……読めるのですね。」
支店長がぽつりとつぶやく。
「いやいや。」
俺は笑った。
「たまたまですよ。」
「きゅ。」
キュ太郎は紙を前足でぺちぺち叩いている。
何が楽しいんだか。
おっさんは抜き出された紙を手に取った。
「ほう。」
「何か書いてあります?」
「ジョン。」
おっさんが苦笑する。
「また一番大事なところだけ抜いてますぜ。」
「え?」
紙を見る。
難しい字が並んでいた。
俺にはよく分からない。
「簡単に言うと。」
おっさんが指を動かす。
「銀行が一方的に契約を終わらせられる、って内容です。」
「そんなことできるの?」
「契約に書いてあればできます。」
「へぇ。」
世の中、難しいな。
「ですが。」
支店長が慌てて口を開いた。
「こちらは通常、説明する項目でございます。」
「昨日は?」
「……。」
黙った。
「あ。」
俺は気付いた。
「説明してなかった。」
「……申し訳ございません。」
深々と頭を下げる。
昨日とは別人だ。
おっさんが腕を組む。
「支店長さん。」
「はい。」
「昨日までは、利益だけ考えてた。」
「……。」
「今日は違う。」
「……はい。」
「何があった。」
支店長は少しだけ迷った。
宿の中を見回す。
誰も聞いていないことを確認して、小声になる。
「王都から使者が参りました。」
「王都?」
「昨夜です。」
俺はパンをかじりながら聞く。
「何しに?」
「ある人物について、質問されました。」
「誰です?」
支店長は俺を見た。
「ジョン様でございます。」
「俺?」
パンを落としかけた。
「なんで?」
「それは私にも分かりません。」
「何を聞かれたの?」
「どのような人物か。」
「うん。」
「何を望んでいるか。」
「金。」
おっさんが即答した。
「間違ってません。」
俺もうなずく。
「あと儲かる仕事。」
支店長は苦笑した。
「私も、そのように答えました。」
「でしょうね。」
「ですが。」
支店長の表情が曇る。
「最後に、一つだけ言われました。」
宿の空気が少し静かになる。
「『刺激するな』と。」
「刺激?」
「はい。」
「誰を?」
「ジョン様を。」
「なんで?」
「……。」
また答えない。
本当に何なんだ。
王都は暇なのか。
俺なんか放っておけばいいのに。
その時だった。
「失礼します!」
宿の入口から若い兵士が飛び込んできた。
息を切らしている。
「あ!」
俺を見るなり一直線に走ってきた。
「ジョン殿!」
「はい?」
「領主様がお呼びです!」
またか。
最近よく呼ばれる。
「今度は何です?」
兵士は困ったような顔をした。
「それが……。」
「うん。」
「巨大ゴブリン同士が。」
嫌な予感しかしない。
「けんかでもした?」
「いえ。」
兵士は首を振る。
「町の外で。」
ごくり。
「整列しております。」
「……整列?」
「はい。」
「数百匹。」
「何のために?」
「分かりません。」
宿中が静まり返る。
支店長は顔面蒼白。
女将さんは口を押さえる。
兵士は震えている。
俺だけが状況を理解できない。
「行けば分かるか。」
俺は立ち上がった。
「やめとけ、ジョン!」
「見に行くだけだよ。」
「普通は見に行きません!」
「でも気になるし。」
「普通の相手じゃありません!」
確かに巨大ゴブリンだ。
でも。
あいつら最近、果物しか持ってこないし。
そんな危ない連中には見えない。
「きゅ。」
キュ太郎が懐から顔を出す。
町の外を向いて。
小さく鳴いた。
まるで。
誰かが待っていることを知っているように。
【あとがき:現在のステータス】
【スキル】
■武器系
刀剣スキル 20
盾スキル 3
戦闘技術スキル 13
■生産系
料理スキル 13
■その他
鑑定スキル 0.3
【所持金】
2,171g(銀行預け金:11,250g(銀貨11枚、銅貨2枚、半銅貨5枚))
【所持アイテム】
・???のスクロール 6枚
・奴隷のマクダフの野郎
・武器破損した剣
・???の指輪(バンステ金策で入手)
・ゴブリン(テイム)
・ケムトレイル群
立場:保護対象
詳細:不明
【投資・契約】
・中立共栄大金庫投資案件(ポーシャ支店)
元本:金貨10枚
状態:運用中
想定利回り:2倍〜5倍(説明ベース)
詳細:非公開/高リスク
【装備品】
・骨護札の首かざり
・水トカゲの手袋(呪)