異世界金策 一攫千金!〜初心者冒険者必見?転移おっさんの怪しい儲け話Readme.exe〜 作:raixip
「超高級魔鉱石?」
僕は袋の中をのぞき込んだ。
真っ黒な石が、ごろごろ入っている。
見た目はその辺に転がっていそうな石だ。
「これがですか?」
「ああ。」
領主が重々しくうなずく。
「一つで家が建つ。」
「……。」
「……。」
「すごい。」
「反応が薄いな!」
「だって石ですし。」
「そこじゃない!」
僕は石を一つ持ち上げた。
重い。
すごく重い。
「これ売ったら、いくらになります?」
「ジョン。」
横から、おっさんが口を挟んだ。
「そういう話は後だ。」
「でも。」
「後だ。」
珍しく真面目な顔だった。
その時。
「グゥ……。」
お腹の鳴る音が聞こえた。
前を見る。
一番大きな巨大ゴブリンが、お腹を押さえていた。
「あ。」
「どうした?」
「お腹減ってるみたいです。」
「……は?」
領主が固まる。
僕は巨大ゴブリンへ近付いた。
兵士たちが悲鳴を上げる。
「ジョン君!」
「危険です!」
「大丈夫ですよ。」
巨大ゴブリンは逃げない。
じっと僕を見ている。
「これ。」
僕は袋を持ち上げた。
「これ、ご飯代ですか?」
巨大ゴブリンは静かにうなずいた。
「やっぱり。」
「分かるのか!?」
領主が叫ぶ。
「だって、お腹減ってますし。」
そんなことより。
商売だ。
僕は町へ走った。
しばらくして戻ってくる。
荷車いっぱいのパン。
果物。
干し肉。
野菜。
買えるだけ買ってきた。
「ほら。」
荷車を止める。
「好きなの食べてください。」
巨大ゴブリンたちは動かない。
族長らしき一匹だけが僕を見る。
「どうしたんです?」
「ジョン。」
おっさんが苦笑した。
「たぶん、許可待ちだ。」
「許可?」
「王様の。」
「王様なんていませんよ。」
「……。」
おっさんは何も言わなかった。
キュ太郎が僕の肩から、ぴょこんと飛び降りる。
「きゅ。」
小さく鳴いた。
その瞬間。
巨大ゴブリンたちが、一斉に食べ始めた。
「うわ。」
「本当だった……。」
僕もびっくりした。
「きゅ。」
キュ太郎は得意そうだ。
「なるほど。」
僕は袋の魔鉱石を見る。
巨大ゴブリンを見る。
「これ。」
おっさんを見る。
「儲かりますよ。」
「もう嫌な予感しかしねぇ。」
「ご飯と交換ですよ。」
「まぁ、向こうが納得するならな。」
「毎日来てもらえば。」
「毎日は来ねぇだろ。」
「いや、来ますよ。」
「なんで分かる。」
「だって。」
巨大ゴブリンたち。
すごく美味しそうに食べている。
「また食べたくなりますよ。」
「……。」
おっさんは頭をかいた。
「まぁ、商売としては間違っちゃいねぇか。」
「ですよね!」
思わず笑った。
その時だった。
「失礼する。」
後ろから調査官の声がした。
王都特別調査局。
昨日の真面目な人だ。
「ジョン君。」
「はい?」
「その魔鉱石は、一時的に王都で預からせてもらう。」
「え?」
「危険性の調査が終わるまで返却できない。」
「えぇっ!?」
「あと。」
調査官は続ける。
「巨大ゴブリンとの取引も禁止だ。」
「なんでです!?」
「国家安全保障上の問題だ。」
「そんなぁ!」
「悪く思わないでくれ。」
「僕、まだ一回しか商売してませんよ!」
「一回でも十分だ。」
「これからだったのに……。」
肩を落とす。
荷車は空っぽ。
魔鉱石は回収。
儲けはゼロ。
「だから言ったろ。」
おっさんが笑う。
「世の中、儲け話ってのは儲からねぇようにできてる。」
「そんなのおかしいですよ。」
「おかしい。」
「じゃあ。」
「でも、それが大人だ。」
僕はため息をついた。
……次の儲け話を探そう。
その様子を見ていた領主は、小さくつぶやいた。
「商売を止めても、また始めるのか……。」
調査官も苦い顔をする。
「だから危険なのだ。」
二人とも。
僕が何を危険だと思われているのか。
さっぱり分からなかった。
【あとがき:現在のステータス】
【スキル】
■武器系
刀剣スキル 20
盾スキル 3
戦闘技術スキル 13
■生産系
料理スキル 13
■その他
鑑定スキル 0.3
【所持金】
2,171g(銀行預け金:11,250g(銀貨11枚、銅貨2枚、半銅貨5枚))
【所持アイテム】
・???のスクロール 6枚
・奴隷のマクダフの野郎
・武器破損した剣
・???の指輪(バンステ金策で入手)
・ゴブリン(テイム)
・ケムトレイル群
立場:保護対象
詳細:不明
【投資・契約】
・中立共栄大金庫投資案件(ポーシャ支店)
元本:金貨10枚
状態:運用中
想定利回り:2倍〜5倍(説明ベース)
詳細:非公開/高リスク
【装備品】
・骨護札の首かざり
・水トカゲの手袋(呪)