異世界金策 一攫千金!〜初心者冒険者必見?転移おっさんの怪しい儲け話Readme.exe〜 作:raixip
「それでは。」
王都特別調査局の調査官は、兵士へ目配せした。
「運べ。」
「はっ!」
兵士たちが袋を抱える。
「待ってください!」
僕は慌てて前へ出た。
「それ僕のです!」
「現在は証拠品だ。」
「さっきまで魔鉱石って言ってたじゃないですか!」
「今は証拠品だ。」
「証拠って何のです!」
「それは調査中だ。」
「ずるい!」
調査官は真顔のままだ。
「異議は受け付ける。」
「じゃあ異議あります!」
「却下だ。」
「早い!」
横でおっさんが吹き出した。
「言ったろ。」
「笑い事じゃないですよ!」
「いや、笑うしかねぇだろ。」
兵士たちは、どんどん袋を荷馬車へ積んでいく。
巨大ゴブリンたちは、その様子をじっと見ていた。
「グル……。」
少し不満そうだ。
「ほら。」
僕は族長へ手を振る。
「大丈夫です。」
「グ?」
「また今度、食べ物持ってきますから。」
族長はキュ太郎を見る。
「きゅ。」
キュ太郎が小さく鳴くと、族長は静かにうなずいた。
そのまま巨大ゴブリンたちは列を作り、森へ帰っていく。
「帰った……。」
兵士の一人が、その場にへたり込んだ。
「生きてる……。」
「奇跡だ……。」
領主も大きく息を吐く。
「町が無事でよかった。」
「僕のお金は無事じゃないです。」
領主は聞こえないふりをした。
ずるい。
宿へ戻る途中。
僕はずっとため息をついていた。
「せっかく儲かると思ったのに。」
「まぁ、そう落ち込むな。」
おっさんは頭をかきながら歩く。
「でも、惜しかったですよ。」
「惜しい話ほど儲からねぇんだ。」
「そんなもんですか?」
「そんなもんだ。」
納得できない。
あんなにたくさんあったのに。
「それに。」
おっさんが少し笑う。
「ジョン。」
「はい?」
「お前、一番大事なこと忘れてる。」
「何です?」
「食い物代。」
「……あ。」
そうだった。
パンも。
果物も。
干し肉も。
全部。
僕が買った。
「…………。」
「全部、自腹だな。」
「えぇぇぇっ!?」
思わず立ち止まった。
「赤字だ!」
「大赤字だ。」
「なんでですか!」
「お前が全部おごったからだ。」
「そんなぁ……。」
頭を抱える。
計算するまでもない。
完全に損してる。
「だから商売は難しい。」
おっさんは笑った。
「まず仕入れ値を考えろ。」
「勉強になります……。」
全然うれしくない。
その時だった。
「旦那ぁーーーっ!」
遠くから聞き慣れた声が響いた。
「ん?」
振り向く。
土煙を上げながら走ってくる男がいた。
マクダフだ。
「旦那ぁ!」
「マクダフ!」
「やっと見つけやした!」
息を切らしながら飛び込んでくる。
服はぼろぼろ。
泥だらけ。
頭には葉っぱが刺さっていた。
「何してたんです?」
「聞いてくださいよ!」
「聞く。」
「もう大変で!」
マクダフは肩で息をしながら、おっさんを見た。
「トリポリオの旦那!」
「なんだ。」
「死ぬかと思いやした!」
「生きてるじゃねぇか。」
「そこは心配してくださいよ!」
「で、何があった。」
マクダフは周りを見回した。
誰もいないことを確認する。
そして。
小声になった。
「旦那。」
「うん?」
「金になります。」
僕の耳がぴくっと動く。
「本当です!」
「またか。」
おっさんは冷めた目をした。
「今度は何だ。」
「変異した魔物じゃありません。」
「ほう。」
「もっとヤバいです。」
「ヤバい?」
マクダフはごくりと唾を飲み込む。
「森の奥で。」
「うん。」
「鉱山を見つけやした。」
「鉱山?」
「誰も知らねぇ鉱山です。」
僕はおっさんを見た。
おっさんも僕を見た。
二人同時に口を開く。
「儲かる。」
「儲からねぇ。」
見事に意見が割れた。
マクダフはにやりと笑う。
「旦那ぁ。」
「なんです?」
「夢がありますぜ。」
その言葉に。
僕の胸はまた少しだけ高鳴ってしまった。
【あとがき:現在のステータス】
【スキル】
■武器系
刀剣スキル 20
盾スキル 3
戦闘技術スキル 13
■生産系
料理スキル 13
■その他
鑑定スキル 0.3
【所持金】
171g(銀行預け金:250g(銅貨2枚、半銅貨5枚))
【所持アイテム】
・???のスクロール 6枚
・奴隷のマクダフの野郎
・武器破損した剣
・???の指輪(バンステ金策で入手)
・ゴブリン(テイム)
・ケムトレイル群
立場:保護対象
詳細:不明
【投資・契約】
・中立共栄大金庫投資案件(ポーシャ支店)
元本:金貨10枚
状態:運用中
想定利回り:2倍〜5倍(説明ベース)
詳細:非公開/高リスク
【装備品】
・骨護札の首かざり
・水トカゲの手袋(呪)