異世界金策 一攫千金!〜初心者冒険者必見?転移おっさんの怪しい儲け話Readme.exe〜 作:raixip
第97話 M資金
「採掘には金がいる」
宿へ戻るなり、おっさんが机へ地図を広げた。
山には赤い丸。
「ここだ」
「鉱山?」
「昔は掘ってたらしい。今は放置だ」
僕は目を輝かせた。
「宝石?」
「鉄、銅、魔石。掘れりゃ十分儲かる」
「じゃあ掘ろう!」
「道具は?」
「……ない」
「人は?」
「……いない」
「資金は?」
「……ない」
全部なかった。
僕は頭を抱えた。
「またお金かぁ」
おっさんはため息をつく。
「だから最初に金を集める」
「銀行から借りる?」
「手数料地獄だ」
それは嫌だった。
僕は銀行を思い出して顔をしかめる。
預けても手数料。
引き出しても手数料。
相談しても手数料。
息をしても請求されそうだった。
「じゃあどうするの?」
おっさんは紙を一枚取り出した。
「出資者を集める」
「しゅっし?」
「みんなで少しずつ金を出してもらう」
「みんなで鉱山を作るんだ!」
「そういうことだ」
それならいい。
一人じゃ無理でも、百人ならできる。
千人ならもっと早い。
「僕、それ好き!」
僕は勢いよく紙へ書き始めた。
M資金券
一口 百G
鉱山を掘る資金になります。
採掘できたら利益を分けます。
みんなで夢を掘ろう!
「どう?」
おっさんは紙を見る。
「名前が悪い」
「え?」
「M資金なんて怪しい」
「Mining資金だからMだよ?」
「世の中はそう受け取らない」
「じゃあ鉱山資金?」
「長い」
結局、そのままになった。
僕は町へ出た。
広場の机に紙を貼る。
「鉱山を掘りませんかー!」
誰も来ない。
やっぱり駄目か。
そう思ったときだった。
「百Gなら出せるぞ」
初心者冒険者だった。
「俺も」
「私もやる」
子どもまで小銭を握って並び始めた。
「宝探しみたい!」
「夢がある!」
「鉱山見てみたい!」
あっという間に十人。
二十人。
僕は一枚ずつ券を書いて渡した。
番号を書いて。
判子を押す。
「ありがとう!」
「絶対掘ろうね!」
みんな笑顔だった。
僕も嬉しかった。
その様子を商人が見ていた。
「……その紙」
「はい?」
「それ、後で私が受け取ってもいいか?」
「え?」
「百Gの代わりに、この券を渡してもらう」
意味が分からない。
「なんでです?」
「軽いから」
商人は銀貨を持ち上げる。
「重い」
次に紙を持つ。
「軽い」
「……なるほど?」
「荷馬車に銀貨を積むより楽だ」
「でも鉱山券ですよ?」
「関係ない」
関係ないの?
さらに別の商人が口を開く。
「私も欲しい」
「うちも」
「大量に」
僕は困った。
「そんなに鉱山を掘りたいんですか?」
「いや」
全員が首を振った。
「決済用だ」
「……けっさい?」
また知らない言葉だった。
その頃。
中立共栄大金庫ポーシャ支店。
支店長は一枚の紙を受け取っていた。
「……M資金?」
部下が頷く。
「町で流通が始まりました」
「発行者は」
「ジョンです」
支店長の顔色が変わる。
「またあの少年か」
部下は券を机へ置く。
「既に商人同士で受け渡しされています」
「貨幣代わり?」
「そのようです」
支店長は静かに立ち上がった。
「回収しろ」
「ですが理由が」
「理由?」
支店長は笑う。
「銀行以外が信用を発行していいはずがない」
一方その頃。
マクダフは酒場の隅で耳をそばだてていた。
「M資金券が飛ぶように売れてるらしいぞ」
「紙切れなのにな」
「儲かる匂いしかしねぇ」
マクダフの口元がゆっくり歪む。
「旦那ぁ……これは一枚噛ませてもらいますぜ」
懐から紙を取り出す。
真っ白だった。
「裏M資金……作れば二倍儲かるじゃねぇか」
その瞬間。
酒場の奥で黒服の男たちが一斉に振り向いた。
「今、面白い話をしたな?」
マクダフは笑顔のまま固まった。
「……へ?」
どうやら。
また余計なことを聞かれてしまったらしい。
【あとがき:現在のステータス】
【スキル】
■武器系
刀剣スキル 20
盾スキル 3
戦闘技術スキル 13
■生産系
料理スキル 13
■その他
鑑定スキル 0.3
【所持金】
171g(銀行預け金:250g(銅貨2枚、半銅貨5枚))
財布の中身を見るたびにため息が出る。
採掘資金はまだまだ足りない。
【所持アイテム】
・???のスクロール 6枚
・奴隷のマクダフの野郎
・武器破損した剣
・???の指輪(バンステ金策で入手)
・ゴブリン(テイム)
・ケムトレイル群
立場:保護対象
詳細:不明
・キュ太郎
(今日も懐の中で丸くなっていた。)
【投資・契約】
・中立共栄大金庫投資案件(ポーシャ支店)
元本:金貨10枚
状態:運用中
想定利回り:2倍〜5倍(説明ベース)
詳細:非公開/高リスク
ジョン
「増えてるかな?」
銀行
「手数料は増えております。」
ジョン
「そこは順調なんだ……。」
【M資金】
名称:Mining資金(略してM資金)
目的:鉱山採掘資金の募集
一口:100G
現在の参加者:初心者冒険者、町人、子どもたち
商人
「軽いから便利。」
ジョン
「鉱山を掘るためなんだけど?」
おっさん
「もう誰もそこを見てない。」
【装備品】
・骨護札の首かざり
・水トカゲの手袋(呪)
【本日の収支】
収入
M資金出資金 +2,000g(管理資金)
支出
なし
※出資金は採掘専用のため、ジョンのお小遣いではありません。
ジョンの一言
「みんなで掘れば、きっとすごい鉱山になるぞ!」