異世界金策 一攫千金!〜初心者冒険者必見?転移おっさんの怪しい儲け話Readme.exe〜   作:raixip

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第98話 裏M資金

翌朝。

 

僕は机の上へ銅貨を並べていた。

 

「百、二百、三百……」

 

思ったより集まっている。

 

これならツルハシも買える。

 

荷車も借りられるかもしれない。

 

「あと百人くらい集まれば掘れるかな」

 

「ジョン」

 

おっさんが頭を押さえた。

 

「その前に聞きたい」

 

「なに?」

 

「集まった金はどこに置いてる」

 

「袋!」

 

「盗まれたら?」

 

「……」

 

考えてなかった。

 

「銀行?」

 

「預けた瞬間、手数料を取られる」

 

「うーん」

 

金策は難しい。

 

そのとき。

 

宿屋の主人が走ってきた。

 

「ジョン坊!」

 

「はい?」

 

「パン屋がこれで払うって言ってるぞ!」

 

一枚の紙を見せられた。

 

M資金券だった。

 

「パン十個」

 

「え?」

 

「銀貨が足りないから、この券で払うそうだ」

 

「でも、それ鉱山のお金ですよ?」

 

「だから?」

 

「いや……だから……」

 

主人も首をかしげる。

 

「町のみんな普通に使ってるぞ」

 

僕は急いで外へ出た。

 

肉屋。

 

八百屋。

 

道具屋。

 

どこへ行っても同じだった。

 

「銀貨三枚です」

 

「じゃあM資金券で」

 

「毎度」

 

普通に受け取っている。

 

「なんで!?」

 

僕は叫んだ。

 

肉屋のおじさんが笑う。

 

「便利だからさ」

 

「でも掘らないと」

 

「そのうち掘るんだろ?」

 

「うん」

 

「じゃあいい」

 

よくない気がする。

 

でも誰も困っていない。

 

僕だけが困っていた。

 

その頃。

 

町外れ。

 

古びた倉庫。

 

「親分」

 

「なんだ」

 

「例のM資金です」

 

大きな机の向こう。

 

太った男が茶をすすっていた。

 

裏社会を束ねる親分。

 

しかし威厳はない。

 

茶菓子を落として慌てて拾っている。

 

「お、おう」

 

「こちらが券です」

 

部下が差し出した紙を見る。

 

「……ただの紙じゃねぇか」

 

「はい」

 

「偽物作れそうだな」

 

「既に作ろうとしている男を捕まえました」

 

「仕事が早ぇ」

 

「連れてきます」

 

奥からマクダフが引きずられてきた。

 

「旦那ぁぁぁぁ!」

 

「ここ旦那いませんよ」

 

「違った!」

 

縄でぐるぐる巻き。

 

「親分」

 

「なんだ」

 

「こいつです」

 

親分はマクダフを見る。

 

「お前か」

 

「へへ……」

 

「偽物を作るのか?」

 

「いえ、裏M資金です」

 

「名前変えただけじゃねぇか」

 

部下が冷静に言う。

 

「同じです」

 

「ですよね」

 

マクダフも納得した。

 

親分は頭をかく。

 

「殺すほどでもねぇな」

 

「はい」

 

「でも放すと他所でやる」

 

「やりますね」

 

「やります」

 

マクダフは素直だった。

 

親分は腕を組む。

 

「じゃあ雇うか」

 

「え?」

 

「うちで働け」

 

「はい?」

 

「才能あるぞ」

 

「あります?」

 

「悪知恵だけは」

 

褒められた気がしない。

 

一方。

 

中立共栄大金庫。

 

支店長は大量のM資金券を机へ並べていた。

 

「回収状況は」

 

「芳しくありません」

 

「なぜだ」

 

「受け取った商人が売りません」

 

「価格を上げろ」

 

「上げても売りません」

 

支店長は眉をひそめる。

 

「理由は」

 

部下が静かに答える。

 

「軽いからです」

 

「……は?」

 

「銀貨より軽いので」

 

「そんな理由で」

 

「荷馬車一台分の銀貨より、紙一枚の方が人気です」

 

支店長は頭を抱えた。

 

「馬鹿な……」

 

部下はさらに報告書を差し出す。

 

「しかも」

 

「まだあるのか」

 

「町の子供たちが、お小遣いとして使い始めました」

 

「……」

 

「パン屋、菓子屋、おもちゃ屋も受け取っています」

 

支店長は天井を見上げた。

 

「貨幣じゃない」

 

「はい」

 

「なのに貨幣になっている」

 

その言葉に、部屋は静まり返った。

 

夕方。

 

僕は広場で新しい券を書いていた。

 

「はい、一口百Gです」

 

「ありがとう!」

 

今日だけで五十人。

 

明日には百人を超える。

 

「これなら鉱山が掘れる!」

 

僕は笑った。

 

その後ろで。

 

キュ太郎が懐から顔を出す。

 

「きゅ」

 

小さく鳴いた。

 

その瞬間。

 

新しく書いたM資金券の片隅に、一瞬だけ黒い紋様が浮かぶ。

 

誰も気付かなかった。

 

キュ太郎だけが、それをじっと見つめていた。

 

そして王都では。

 

「至急」

 

「ポーシャ町を調査せよ」

 

一通の命令書が、特別調査局から各機関へ送られていた。

 

件名は、たった一行。

 

『M資金券による信用創造の件』

 

僕はまだ知らない。

 

鉱山を掘ろうと思って始めた紙切れが。

 

国を動かし始めていることを。




【あとがき:現在のステータス】

【スキル】
■武器系
刀剣スキル 20
盾スキル 3
戦闘技術スキル 13

■生産系
料理スキル 13

■その他
鑑定スキル 0.3

【所持金】

171g(銀行預け金:250g(銅貨2枚、半銅貨5枚))
M資金への出資金は別管理。
財布は相変わらず寒い。

ジョン
「紙は増えた!」
おっさん
「現金は増えてない。」

【所持アイテム】
・???のスクロール 6枚
・奴隷のマクダフの野郎(現在行方不明)
・武器破損した剣
・???の指輪(バンステ金策で入手)
・ゴブリン(テイム)
・ケムトレイル群
 立場:保護対象
 詳細:不明
・キュ太郎
(最近M資金券をじっと見ている)

【投資・契約】
・中立共栄大金庫投資案件(ポーシャ支店)
元本:金貨10枚
状態:運用中
想定利回り:2倍〜5倍(説明ベース)
詳細:非公開/高リスク
ジョン
「そろそろ増えてる?」
銀行
「本日も手数料の計算は順調です。」
ジョン
「そこじゃない。」

【M資金】
発行枚数:150口(予定)
参加者:初心者冒険者・町人・商人など増加中
現在の用途
・ジョン:採掘資金
・商人:決済手段

ジョン
「みんな鉱山が好きなんだね。」
おっさん
「誰も鉱山の話してない。」

【装備品】
・骨護札の首かざり
・水トカゲの手袋(呪)

【本日の収支】
収入
M資金出資 +5,000g(管理資金)

支出
なし

※ジョン個人の財布は増えていません。

ジョンの一言
「これだけ集まれば、すぐ掘れるぞ!」
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