神に恋した芦の花   作:レガシィ

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新幹線が止まってしまって時間が出来たので投稿します!
皆さんクラファンを見ましたでしょうか?後半の伸びヤバいですね!2943%夢じゃない!最後の最後まで私は貢献しますよ!
ということで、第十三話。がっつり戦闘の話です!
KASSENに関してはよくわからない部分が多いのでニュアンスで書いてます。そこはご了承ください(汗)
結構文字数が多いですけど、ダイスが大半なので体感はいつもと同じ感じだと思います!



第十三話 宇宙一のトリックスター

 初期位置からそれぞれがライドで櫓へと向かう。

 

 彩葉は空からカラス型、芦花は地上から鹿型、ナイアは独自にプログラムした見た目だけのシャンタク鳥でステージを駆けていく。

 

『ナイアさんは流石、人外系ライバーを徹底していますね、悍ましい姿のライドを使用して櫓へ向かっています』

 

 右翼側に向かい、途中ミニオン達の攻撃を受けて地上に降り立つ。

 

 電子体の侵入から再びスマコンのログインに切り替え、魔道具の使用は不許可だった為、見た目だけの武器を触手で操る。右腰には銀のショートソードを携え、ついに彼が戦闘を披露する。

 

『おぉっ!全くの未経験との話でしたが流石のナイア様、ノーダメで掃討、やや遅れながらも櫓へ到達ぅ!』

 

 しかし相手はミニオン(雑兵)、実力を推し量るには力不足。ウルトの為の得点稼ぎをしつつ最低限の動きで櫓前へと到達し、既に待ち構えていた2人と相対する。

 

「おや、牛鬼は倒さなくてよかったのかい?」

 

「ハッハァ!!俺達チェインロッカーズはよぉ、完全撃墜、完全勝利を掲げてるんだぜ……っていうか!お前をブチのめす為だけどなぁ!?」

 

「流石だぜリーダー!一生ついていくしかねぇなぁ!!」

 

 斧型のエレキギターがかき鳴らされ二人にバフが入る。

 

 同時に、特に効果はないものの彼らは自分達の音楽を口ずさみながらナイアに攻撃を仕掛ける。

 

 ガキィンッ!!

 

「「!?」」

 

 しかし、その一撃を即座に抜いた剣と尾の槍によるパーフェクトパリィでノックバックさせる。

 

『ククッ……小悪魔二匹では、少々私には役不足かな?』

 

 容易く防ぎきった2人の攻撃の後、追撃しないナイアは口を隠して嘲笑する。いきなりのスーパープレイと、悪戯な彼にしては珍しい嘲りに歓声が沸き立つ。

 

『うっ……うぉぉ!!?1F未満のパーフェクトパリィ!しかも二者同時!?』

 

『ッ!?いや……おかしい……っスね、流石に……!』

 

『……マジか、あいつ』

 

 オタ公はただただ観客を盛り上げる為に声を張り上げる、だが、ブラックオニキスや元プロゲーマー乙事照琴、その他のKASSENトップライバー達が彼の動きに戦慄する。

 

『1F未満のパーフェクトパリィ……連続じゃなくてほぼ偏差の二撃……まぐれと呼ぶより奇跡だな』

 

『ですが二人は歴戦の兵だ!すぐに立て直して果敢に攻めていくぅ!』

 

 本格的に始まる攻防戦。ユウガは両斧と完璧なカウントアップで継続的なバフを配り続け、コウガは複数の太鼓やシンバルを模した盾とスティック型の双棍棒でナイアに攻撃を仕掛ける。しかし彼の間合い管理、動体視力、何よりも知り尽くした人間の心理で弄ぶように戦闘をコントロールする。

 

 両斧【成功】【成功】

 

 回避【成功】【成功】

 

「当ったんねぇ……!!」

 

「呼吸が乱れているよ」

 

 投擲【成功】

 

 回避【成功】

 

 回避【失敗】

 

 ボボボォンッ!

 

 ナイアの今の主武器は触手の先端の武器ではなく、右腰の剣でもない。サイコロ型の爆弾と体術。しかし、要所に挟まれるパリィの技巧は玄人のそれを凌駕する。

 

「うぉっ、リーダー!!いま回復を……!」

 

「ダンス中にパートナーから目を離すとは、足を踏まれても文句は言えないよ」

 

 ドドドッドカァンッ!!

 

 MA【成功】【決定的成功/クリティカル】

 

 拳【成功】

 

 キック【成功】

 

 ダメージ【1D3+2D6=10】

 

 10HIT!!

 

「甘ぇ!」

 

 コンボを繋げてHIT数を重ねるが、コウガのアーマースキルで中断され、胸ぐらを掴まれる。しかし、合気の要領でさらにカウンターで投げ飛ばし、受け身を取られるが、その間に胸元に忍ばせたサイコロ爆弾が爆ぜることでコウガの台詞が中断される。

 

「ハハハ!!いたくも痒くもな──ぶべぇっ!?」

 

 ボォンッ!

 

「う~ん、いまいち火力にかけるねぇ……だが、仕事はできたかな」

 

 ボボボボォォンッ……!

 

「やるじゃんナイア君!行くよ芦花!」

 

「オッケ~!ウルトも準備万端!」

 

『あーっと!!この間にユーゴ選手脱落!いろP、ROKAペアが櫓を占拠ー!!天守閣に大将落としが現れたぁ!!』

 

『ま、まるで子供と戯れるかのように翻弄している!本当に初心者とは思えねぇ!!ナイアの掌の上ッスねぇ!!』

 

 ウルト発動【BD+2】 

 

 バフ効果【DB.2倍】

 

 バフ効果【クリティカルレンジ増加】

 

 両斧【決定的成功/クリティカル】

 

 両斧【決定的成功/クリティカル】

 

 ダメージ【6D8+2D6=53】

 

 53HIT!!

 

 ドガァァァンッ!!!ドゴドゴドコッ……!!

 

 二人の実況解説の直後、ナイアを出し抜き、ウルトを発動した阿久魔が牛鬼を真っ二つにして櫓を占拠する。

 

 しかし、納得がいかないといった表情なのは誰の目に見ても明らかで、役割の分担を果たして本気で勝ちに行く。彼の瞳の中の青く揺らめく焔のエフェクトが燃え上がる。

 

「おっと……櫓が取られてしまったね」

 

「よ、そ、みぃぃぃ!!!」

 

 ウルト発動 【回避不可】

 

 バフ効果  【DB.2倍】

 

 棍棒【成功】

 

 ダメージ【2D8+2D6=20】

 

 20HIT!!

 

「やるじゃないか、褒めてあげるよ」

 

「へっ、負け惜しみぃ!」

 

『あぁーっと!!僅かに遅れて阿久魔も櫓を占拠ぉ!!続けてナイアがコウガのウルトで沈んだァア!』

 

『この盤面はセオリー通り、互いに天守閣へ全力……じゃない!?なんとナイア、自陣の天守閣で防衛の構えです!!』

 

 残機を一つ消費して戦線へ復帰するナイアだが、天守閣の前を自陣のミニオンとともに固める。

 

 彩葉と、途中で一機減ってしまい攻撃が滞った芦花が合流し、天守閣を攻めていた隙に阿久魔達3人が集結する。

 

「おいおいおい……流石に素人丸出しじゃねぇのか?この状況、お前も天守閣に合流するのがセオリーだろ」

 

「ハッハハ。残念なことに、私は火力がないものでね。攻城では役に立たないんだ」

 

「だからって三人に時間稼ぎ挑むつもりっスか?」

 

「ハッハハ……!勘違いも甚だしい。私は勝つつもりさ、君達の魂、一口ずつ頂く腹づもりだ」

 

 ポケットに手を入れたままナイアは嗤って挑発する。それを皮切りに3人が同時にスキルを発動して攻撃を仕掛けるが、全ての攻撃を見切り手をポケットから抜かずにそれを全て回避する。

 

 さっきまでと同じようにバフをかけ、タンクとアタッカーに加えて狙撃も追加された完璧な布陣が完成する。

 

「いろP達じゃあ天守閣落とすのにまだ時間かかる!速攻で終わらせるぞ!!」

 

「応っス!!」

 

「扱いやすくて助かるね」

 

 目星【成功】

 

 両斧【成功】【成功】

 

 棍棒【成功】

 

 SR【成功】

 

 受け流し【成功】【成功】【成功】【成功】

 

『三人の残機を削ると宣言したナイア様!三人の猛攻を上手くいなしました!!いろPとROKAも着々と攻城している!』

 

 奇術師職の特徴として、スキルのリキャストと発動速度が速い上、他の職業(クラス)のスキルを利用できる為戦術の幅が広いというものがある。

 

 回避と受け流し、隠密スキルと幻影スキルの使用。

 

 ほぼ全てのスキルのクールタイムを覚えているヨウガも、奇術師のリキャスト短縮の割合までは覚えておらず、タイミングを掴みかねて翻弄される。

 

 両斧【成功】【成功】

 

 ドガァンッ!

 

「くっそ、また外れ……!」

 

 幻影スキルを使う際は必ず隠密スキルと併用、岩陰や爆炎で身を隠し、意思のないNPCに紛れて動くことで欠点をカバーすることで攻撃を誘発する。

 

 元々タンク寄りのコウガもナイアの手練手管に攻めきれず、ユーゴの狙撃も空を空振るばかり。

 

 これだけやってもなお、ナイアはまだ一つのスキルとウルトを隠し持っている。

 

 焦りの色が垣間見える瞬間、オタ公の解説が4人の耳に飛び込む。

 

『いろPのウルト発動!!ミニオン兵残り僅か!ROKAといろPが階段を駆け上がっていく〜!!』

 

「くっそ!コウガ走れ!ギリ間に合う!!」

 

「ここまでだね。それでは、御機嫌よう。シャンタク」

 

 ヨウガに速度特化のバフをかけられ、走り出そうとした瞬間、ナイアは保持しているサイコロ爆弾を全方位に投げてライドのシャンタクがナイアを足で掴み、天守閣まで飛び立つ。

 

「戻って自分を犠牲に守りを固めるつもりか!?」

 

「ッ……!!?」

 

 フリをする。隠密スキルと幻影スキルの同時使用。20秒間のミニマップからの消失と、自分と同じアバターを戦場の視界内に最大25秒間3体展開する。

 

 ライドに乗ったのは偽物のアバターで、視界から外れた瞬間、二人の隣へと隠していた瞬歩スキルで即座に移動し、二人に触手で剣を振るう。 

 

 ショートソード【成功】

 

 ショートソード【成功】

 

 回避【成功】

 

 受け流し【成功】

 

「うぉぉっ!!」 

 

「くっそ……!飛べコウガ!!」

 

 ボォンッ!

 

「やるぞ!」

 

「おおっりゃぁ!!」

 

 両斧【成功】

 

 両斧【成功】

 

 棍棒【決定的成功/クリティカル】

 

 回避【失敗】

 

 ダメージ【4D5+1D12=25】

 

 ドガァンッ!

 

 25HIT!!

 

「おっと……」

 

 余裕の顔が崩れ、ナイアは飛び退いて二人の前に再び立つ。今の一撃でナイアのHPバーは8割を切るが二人は6割以上残っている状態になる。膠着状態の中、阿久魔側の天守閣で鳴り響く戦闘音が時間が無いことを知らせた。

 

 三人はナイアの妨害ありきでのここからの逆転は不可能と判断し、警戒を解いてしまった。

 

『あぁっ!!やはり奇術師職は攻防が弱い!じわじわと蓄積していたダメージと今の連携攻撃でもうHPがギリだ!!しかし、天守閣陥落までもう秒読み!!勝負あったか〜!!?』

 

「……一戦目はくれてやる。頭も冷えた。これだけ時間を稼がれるとは思ってなかった。舐めてたよナイアさん。2戦目はもっと本気でぶっつぶす」 

 

「ぐぬぬぬッ!はぁ……残機が減ってないのが救いかぁ……」

 

「……」

 

「おや、それは光栄だ。でもすまないね、残機は貰っていくよ」

 

「「あ?」」

 

「!」

 

 突然、ナイアの身体が光る。ウルトが溜まった合図だ。

 

 ミニオンを倒したり、敵への攻撃が成立した時でしか溜まらない筈のポイント。

 

 停止した二人の頭の中を駆け巡る。ライドに乗せたアバターに握らせた、サイコロ爆弾。

 

「「さっきのライド!!?」」

 

「ご明察。花火は好きかい?私はまだ拳程のものしか見たことがないが、今度芦花と一緒に見に行く約束をしていてね……楽しみで仕方ないんだ」

 

 牙をむき出した不敵な笑みを浮かべたナイアはウルトを発動する。

 

 ナイアのウルトは唯一の直接攻撃スキルで超攻撃特化。奇術師の選べるウルトの中で最も火力が高く、最も当てにくく、どれだけ離れても僅かにだろうと確実に自分を巻き込むうえ、溜めるのに莫大なポイントを要する、超不人気ウルト。

 

 しかし、だからこそ、虚を突いた。

 

「……流石でございます……敬愛の君よ……」

 

 聞き耳【成功】

 

「……失せろ」

 

 ドゴォォンッ!!!

 

 ユーゴの恍惚とした表情から囁くような言葉を拾い、ナイアは舌打ちをして見下す。

 

 空中に生成された五芒星の中心から光の柱が広がる。超高速のスリップダメージが三人をまとめて屠り去った。

 

『さ、3キル〜!!?不遇、不人気、不思議クラスとスキルを駆使し!チェインロッカーズに致命的な一撃を叩き込んでみせたぁぁ!!!』

 

 しかし、このウルトの発動にはナイア本人がこの範囲内にいる必要があり、どれだけギリギリの範囲内にいてもダメージは例外ではない。

 

 全てを滅す浄化の光が足元まで辿り着き、彼を焦がす瞬間。

 

 ボボボォォンッ……!!

 

『天守閣に大将落としが打ち込まれた!!一戦目はフォックステイルの勝利!!二人が天守閣を落として無敵判定が出るのを見越したナイア様!!鮮やか……!どれだけの計算能力と信頼があればできる芸当でしょう!!流石、宇宙一のトリックスターだぁぁ!!』

 

 一戦目終了の合図で現在ステージ内にいるPL全員が無敵状態に移行、光の柱からピースサインと共に彼がライドで羽ばたいた。

 

 自陣に戻った三人は完璧な勝利に浸り、元気にハイタッチを交わす。

 

「本当、マジで凄いねナイア君」

 

「相手プロなのに、さっすが!」

 

「ありがとう、ゴールをすげ替えただけさ、ゲームの基本だよ。最も、最初から彼らは私が狙いだったから誘導しやすかったけど」

 

 そう言っている矢先、阿久魔達からモニターが繋がる。

 

 不愉快に感じたナイアと彩葉は芦花を背に隠して睨見つける。しかし、意外にもスッキリとした表情で阿久魔は称賛する。

 

『だぁ〜!!!一本どころか百本取られたぜナイアさん!!!いろPもROKAたんも想像の倍強ぇ!』

 

『……どうも』

 

『ハッハハ、余裕そうだね。絆されてあげるつもりはないなァ』

 

『まじでそんなつもりねぇって!1回目はしてやられたりだったけどよぉ、このままストレートで負けるわけにゃあいかねぇのよ。待っててくれよぉ、ROKAたん!必ず俺の──』

 

 バリンッ!!

 

「あ、しまった」

 

 阿久魔の言葉をうっかりと言った様子でウィンドウを砕き割って妨害してしまうナイア。

 

 感情が先行して動く様子に彩葉は呆れ返り、芦花は照れながらも少し諌める。

 

「……振り回されすぎ。ムカつくのも分かるけどさ」

 

「うぅん……ハッハハ。面白いくらい自分が制御できないな……さっさと終わらせよう。戦法はさっきと同じで行こうか、阿久魔がいる側を私が抑えよう」

 

 ──ー

 

『さぁ2戦目!フォックステイルは同じ陣形ですが、チェインロッカーズは若干の変更、コウガとユーゴの位置が変わっていますね』

 

『良い判断っスねぇ!いろPとROKAの突破力ではゴリゴリタンクのコウガを突破するのに時間がかかりますし、ナイアはさっきのウルトとトリッキーな動きにさえ気を付ければ持久戦で決着に持ち込めるでしょう!』

 

『そうこうしているうちに両者、櫓へ到達!』

 

 彩葉と芦花はどちらも瞬間火力に欠ける斥候職。プロゲーマーのタンクを相手にして時間を稼がつつも拮抗する

 

 一方ユーゴとコウガは的確な狙撃と元の知的なPSでナイアを追い詰めていく。

 

 両斧【成功】

 

 受け流し【成功】

 

 SR【成功】

 

 回避【成功】

 

「ふぅ……随分、やりにくくなった」

 

「分かってきた。リキャスト、お前の視界、動き……こっから先、アンタにとっちゃ地獄だぜ、トリックスター!」

 

『あーっと!ナイアが防戦一方でゴリゴリとHPが削られている!これが本来の悪魔王子、阿久魔ヨウガだぁ!』

 

『得意のイカサマや心理誘導の隙さえ与えない連撃!ブラックオニキスに迫る実力なだけはあります!』

 

 二人の息つく間もない猛攻、ナイアはついに抜いた腰の剣と触手を使って防戦に集中し、多数の武器と剣一本で火力特化の攻撃と鍔迫り合う。

 

「やっと本気になったか!?」

 

 両斧【成功】

 

 両斧【成功】

 

 ショートソード【成功】

 

 ガギィンッ!!

 

「お陰様でね。中々疲れるんだぞ、この姿で触手動かすの」

 

「知らねぇよ!!」

 

 SR【失敗】

 

 両斧【成功】

 

 両斧【成功】

 

 ドゴォンっ!ギィ゙ンッ!!

 

 キック【成功】

 

 バフ効果【DB.2倍】

 

 回避【失敗】

 

 ダメージ【1D6+2D6=7】

 

 7HIT!

 

 幻影スキルを自分に僅かにずらして重ね、照準をずらして飛び退き回避する。直後に地面を叩き割り、足元が揺れたナイアのショートソードを弾いてノックバック効果のある体術のコンボで蹴り飛ばす。

 

「くっ……」

 

『ROKAたんはなぁ、俺の人生を華やかに彩ってくれる天使なんだ』

 

『……天使?』

 

『煽られた時とかボロクソに負けた時とか仕事上手くいかねぇ時とか、ROKAたんが俺に言うんだぜ。笑顔は』 

 

『一番の化粧。だろう?』

 

『……よく分かってんじゃねえか。俺の一番お気に入りの配信の言葉だ。違う場面だったら抱きしめてたぜ』

 

『お断りさせてもらうよ。私の腕の中は芦花の特等席なんだ』

 

『アァ"ァ"!!??』

 

 頭が冷え、先程まで冷静だったヨウガは隙を見せてしまった。勝利が見えたことで油断し、言葉を交わしてしまう。その隙を見逃さないナイアはここぞとばかりに煽り出す。

 

『芦花は芦花だ。天使などという別物の傀儡に例える時点で、君には彼女が見えていない』

 

『じゃあテメェはROKAたんの何を見てんだよ!!』

 

 両斧【失敗】

 

 両斧【失敗】

 

 動揺で上手く振り抜けず、ナイアにやすやすと回避され、ナイアは質問に応答する。

 

『……デートで食事を共にした際の、黄昏を映す宝石のような瞳。小さな花火を見た時の無邪気な笑顔、ご飯を作るのを失敗した時の気まずそうな困り顔や、寝起きのぽやっとした表情……あ、これ言ってもいいのか?』

 

『なっ……えっ……?寝起き……??も、もしかして……どどどっど……同、棲……?』

 

『……ククッ、君の想像にお任せしよう』

 

 78【失敗】

 

 減少値【4】

 

『絶ってぇぇ!!ぶっ〇してやるぅぅぅぅぅ!!!!』

 

 ナイアの小馬鹿にしたような笑みは阿久魔の心を壊しかけながら絶叫させる。幸いにも怒りの方向に舵が切られたのか、発狂しなかったが戦闘IQの著しい低下を感じる。

 

 観客席でも同様に絶叫と称賛の声が鳴り響き、2度目の地獄が作り出される。

 

『見事……?と呼んでいいのか分かりませんが、盤外戦術で阿久魔の心を乱すことに成功しましたね』

 

『いやぁ、ヨウガの悪いところですね。意外と戦ってる時熱くなりやすいのはこれまでの傾向で分かってはいましたが、ROKAが絡むとここまでとは』

 

『見ろよナイアの顔。おちょくるのが楽しくて仕方ないって嗤いだぜアレは』

 

『それ以上に見るべきはROKAちゃんじゃありませんこと〜?全体チャットのせいで味方に凄い飛び火しちゃって、あらまびっくりメンダコ状態!』

 

 ヤチヨの誘導で大画面には真っ赤な顔を両手で覆いながら逃げ惑うROKAとそれを援護する彩葉。ツクヨミでは分からないが、現実ではナイアの頬をずっとつねって肩に頭突きしている。

 

「なんで言っちゃうのなんで言っちゃうのなんで言っちゃうの!!」

 

「痛たた、まだ確定していないし。配信のコメント欄では祝福してくれているじゃないか」

 

「うぅっ……ん〜!!」

 

「ハハハ!照れた顔の君も愛しい。でもね……私以外の男が君に色情を向ける……私の嫉妬も理解しておくれ」

 

「……心配しなくても、私はナイアから離れてなんていかないから」

 

 現実で話していると、芦花の言葉にナイアは胸を打たれて左胸を抑えて動揺する。

 

『〇ねぇぇぇ!!!』

 

 両斧【成功】

 

 両斧【成功】

 

 受け流し【成功】

 

 ドゴォンっ!

 

 咄嗟に横に転がりながら触手を弾いて飛び、受け流した斧が地面を叩き割って砂塵が舞うが、ナイアは笑顔を作って立ち上がる。

 

『こほん。すまないね、続けようか』

 

『俺の天使を返せぇぇええ!!』

 

『やれやれ、憧れや崇拝ばかりの思想か……』

 

 ナイアの脳裏をよぎるかつての狂信者達の顔。

 

 常に見返りを求め、同種排他を顧みず、人間性を失った、"つまらない生物"。紅い瞳が映し出し、身体に存在する数多の口が同時に紡いだ言葉。

 

『『『……実に冒涜的で、傲慢だ』』』

 

 パチンッ!

 

 指を鳴らし、隠密スキルが発動する。視界の端で捉えていたミニマップからナイアの姿が消え、先に発動させておいた幻影スキルの分身達を一気に三方向に展開させて阿久魔に向けて走っていく。

 

『初の幻影スキルによるアバター2体展開!リキャスト倍増!勝負はここか!?』

 

 ナイアは基本、2体より先はリキャスト時間が倍増するデメリットを加味して幻影スキルを使う時は1体だけ展開すしていた。それを2体展開、決め所はここかとオタ公が声を上げる。

 

 スキル発動【全体攻撃】 

 

 バフ効果【DB.2倍】

 

 両斧【成功】

 

 ダメージ【1D8+2D6=15】

 

 15HIT!!

 

 隠密スキルと先程までのナイアのNPCへの擬態の巧妙さを加味し、本体が分からない阿久魔はギター型の両斧を鎖で繋げ、ダメージを減らしながらも振り回し全体攻撃を行う。

 

 ボフフフンッ……!

 

「!?」

 

 しかし、攻撃は全て空を切り3体同時に幻影アバターが消える。いつから全て幻影アバターだったのか、リキャストの時間を逆算して思考を最高速度で回し、気づく。

 

 アイデア【成功】

 

「……ッ!?あの時か!!」

 

 アイデア【致命的失敗/ファンブル】

 

 阿久魔が気付いた瞬間、ライドのシャンタクが空を翔ぶ。奇襲の2文字がよぎった彼の視線は、上空に奪われた。

 

 それが、致命的なミスだと気づくのに時間はいらなかった。

 

 ウルト発動【全体攻撃】

 

 ダメージ【10D10+10=65】

 

 65HIT!!

 

「くっそ……全部計算づくかよ」

 

 地面に浮かび上がる五芒星。直後に光の柱が立ち上がり、両者の体力を大幅に削る。

 

 掘った地面から飛び出して姿を現したナイアは阿久魔の前に立つ。

 

「最終ラウンドかぁ……!?」

 

「いいや、ただの仕上げだとも」

 

「あぁ!そうかい!!」

 

 両斧【成功】

 

 受け流し【成功】

 

「使ったな!!殺った!!」

 

 ウルト発動【必中】

 

 スキル発動【BD+1】

 

 SG【成功】

 

 ダメージ【4D6=17】

 

 17HIT!!

 

 受け流した片斧、トドメに残していたもう片斧を振り下ろす瞬間、ネイル型の遠距離攻撃が阿久魔の背後から奇襲する。

 

 ミニマップを見るのを完全に失念していた彼はそれに気づけず直撃。攻撃に意識が逸れた瞬間を見逃さず、彼の懐に、渾沌が這い寄った。

 

 ショートソード【成功】

 

 ダメージ【2D4+1D3=8】

 

 8HIT!

 

 ザンッ!!

 

 僅かなダメージで致命傷を負う体力、正面から斬られた彼は、花びらを散らすようにポリゴン体となって消え去った。

 

『激熱だぁぁぁあああ!!!光の柱に紛れて救難サインを飛ばし!ROKAがナイアのピンチに駆けつけ、トドメに繋がったぁぁ!!』

 

『愛の力っスねぇ~!戦うお姫様、かっけぇ!』

 

「ナイア!」

 

「流石だよ、芦花」

 

 駆け寄った芦花を抱き上げてくるくると回り、降ろしてナイアは芦花の額に自分の手を挟んでキスをする。熱が上がった二人はそのまま彩葉に合図を出す。

 

「行こう、ナイア!」

 

 ミニオン達を蹴散らし、櫓を息の合ったコンビで瞬く間に占拠する。

 

「アンタの相手はまた今度っ!」

 

「うぇぇっ!?どっ。どっちだ!?櫓とりゃ良いのか!?リーダァー!!」

 

 その直前、意図を簡潔に察した彩葉も櫓を取り合っていたコウガを放置し、ワイヤーとライドを使用して天守閣へと最速で向かう。

 

 大将落としが現れた天守閣へ3人が集う中、イレギュラーが発生する。

 

「ᚨᛒYᛋᛋᚢᛗ ᛁᚱᛖᚾᛏ ᚨᚾᛏᛖ ᚢᛟᛋ, ᚾᛟᚾ ᛖᛋᛏ ᛁᛚᛚᛁᚲ.千の顔を持つ無貌の主よ。幾万の屍を弄ぶ無貌の影よ。幾億の狂気を貪る這い寄る渾沌よ。日満ちぬ仮想の地へ降り立ち給え……我が敬愛の君、ナイアーラトテップ!!!」

 

 一人で二人分の言葉を同時に紡ぎ、流れ始める冒涜の音、地面に光るツクヨミに存在しないテクスチャーの魔法陣。

 

 ドクンッ……!!

 

「……ナイア?」

 

 現実のナイアの姿が、ワイヤレスイヤホンとスマコンを残して消える。

 

 同時に、芦花と天守閣へ走っていたナイアのアバターが現実の姿に変化する。

 

「ナイア!?」

 

「喚ばれた……?ッ!芦花、抱えるよ」

 

 チート【データ破壊&BD+4】

 

 ウルト発動【必中】

 

 SR【6D6=36】

 

 ドチュンッ!!ボタタッ……!!

 

「……!!」

 

 身を挺して芦花を護ったナイアの右腕が、本来出るはずのない鮮血と共に宙を舞い、狂気的な嗤いがステージ内に響いた。




KASSEN
ナイアの職業(クラス)
器術師
特性
スキル所持数が他クラスより二つ多い。
他のクラスからスキルを獲得できる。
スキルのリキャスト、必要ポイントが他クラスより30%少ない。
近接戦闘における弱、強攻撃のダメージ倍率が0.8%
所持武器の特性ダメージが0.7%
新幹線止まったのでかぐやちのウェルカムアナウンス聞けません、特典も貰えるかわかりません。仕事の日程的に次はありません。……………はぁ。
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