神に恋した芦の花   作:レガシィ

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いつの間にかUA数10000突破、ありがとう御座います!
クラファン、とんでもない伸びを見せましたね…。
超かぐや姫!の舞台って2030なんですが、あと5年でスマコン…は無理でも、SAОみたいなフルダイブ機能できたりしませんかね。40回くらい観てますが、やっぱり何度観ても楽しそうですね。お金も小遣い程度に稼げますし。
さて、お話がズレました。
第十五話、お楽しみください!


第十五話 貴方だけの神様

 ──

 

 ツクヨミ内、ヤチヨが用意した大きな城天守閣下の大広間に、チェインロッカーズ、黒鬼、フォックステイルが招待コードで呼ばれる。

 

「皆、よく来たね」

 

「なんとなく分かってはいるが……何から話すってか……」

 

「ん〜っと……」

 

「私のことだろう、ヤチヨ」

 

「それ以外何があるのよ」

 

「ハッハハ!さて……ならば話を円滑に進める為に、まずは私のことから話そうか」

 

 魔術的問題を全て解決し、芦花の隣から離れようとしないナイアは澄まし顔で話し始める。

 

「まずは大事な確認だが……私と芦花は正式に付き合っている」

 

「「最初の話はほなねぇやろうが!!」」

 

「わぁ、兄妹だ」

 

「あばばばばば???」

 

 58【失敗】

 

 減少値【6】

 

 アイデア【失敗】

 

 溜めた先の言葉がただの惚気だったナイアの発言に彩葉と帝の疑問の声が重なり、その様子を真実が笑う。

 

「だって阿久魔君が……痛たたた、芦花待って待って、普通にリアルは痛いから」

 

「いつまで根に持ってるの。もう決着はついてるんだから。機嫌直してよ」

 

「……はい……」

 

 現実のナイアの頬をつねっているのか、アバターのナイアが頬を抑えて引っ張られている様子を一同が察する。そんな中でコウガが話を進めようと口を開く。

 

「で、ナイア君ってなんなんすか?あ、リーダーは気にしないでください。多分話は聞けてるんで」 

 

「……では、嘘偽りのない真実を語るとしよう。私はナイア。狂気であり正気であり、この宇宙の無貌そのもの。這い寄る渾沌、ナイアーラトテップ。それが私だ」

 

 その言葉を皮切りに、理解の隙間を与えない彼の正体を淡々と語る。芦花と出逢い、価値観の相違と人間と邪神の違い。それを埋める為に過ごした1ヶ月半というひと時。絶句と疑問と、その度に入る彼を知る4人の補足と証明。それを数十分繰り返した頃には、彼の正体に疑問を持つ者はその場にいなくなっていた。

 

「お前が邪神なのは……まぁ分かった。でも、渾沌の邪神様がライバーやって、彩葉の話じゃバイトして、あげく人間の恋人を作ってる。何のつもりだ?」

 

「目的……ね。初めに言わせてもらうと、私は君達の味方だ。地球に降り立ったのは、言ってしまえば初めは気紛れだった。化身を通して見て話した君達がとても滑稽で、美しくて、愛おしく感じたのだろう」

 

 帝の刺すような質問。幾度となく化身を通して向けられた疑いのある目に、ナイアは遠くを見るような瞳で呟くように、人外の視点と半ば他人事のように語り始める。

 

「初めは……誰でも良かった気がするし、そうじゃなかった気もする。私自身、感情や欲望を持たない生物だったし、数千億年、世界の因果と輪廻と平行宇宙を見果てながら、お父様のメッセンジャーを続けていただけだからね」

 

「す、数千億年?ヤチヨのなん百倍……?」

 

「運命と呼ぶには、私の前では指の一振りで壊せる様な脆いものだし、気紛れと呼ぶには少々大きな賭けをした。だから……"好奇心"だ。この言葉に尽きるだろう」

 

「「「「…………」」」」

 

「偶然……恐らく偶然、芦花に出逢って、思いついた思案や興味のままに人間として活動していくうちに……自分でも驚くくらい、私は"人間"に近づけたと思う。幾千億の時を重ねてきたし、今から重ねるそれ以上の時を思っても、今以上はないと断言できる。だからこそ……この瞬き程の刹那の永遠を、君達と……芦花と生きていきたい」

 

「ナイア……」

 

 現実のナイアは耐えきれないといった様子で芦花を抱き寄せる。先程からの過剰な愛情表現に少し違和感を抱きながら、どこか物憂げな表情の彼を芦花は受け止める。

 

 心理学【成功】

 

「ねぇ、お兄ちゃん」

 

「……分かったよ、悪かったって。ちょっと警戒した。ヤチヨちゃん、エラーのやつ、ナイアじゃないんだよな?」

 

「うん。それはユーゴ君……正確には、ユーゴ君のアカウントにいるウィルス……って呼べばいいのかな」

 

「彼は私や他の神格の狂信者だ。KASSENで私が引きずり出したのはミ=ゴという宇宙生物。頭がいい侵略者と思えば良いよ」

 

「なんでツクヨミに?」

 

「奴らも基本は知的好奇心で動いているからね。地球の技術が詰まったツクヨミに興味を示したんだろう。私が登場したことで目的がすげ変わったのかもしれないが、まぁ、暫く彼らは動かないよ」

 

「なんでそう言い切れる?」

 

「あの時、ツクヨミ内からネットを、現実世界に化身を置いて魔力を、それぞれ逆探知して世界中の関係組織を潰した。少々荒っぽい手段を取ったけれど、大して影響は出ないはずだよ。何個か会社が倒産するくらいじゃないかな」

 

「そんなことしてたの!?」

 

「放置したら危ないだろう。それに……芦花に手を出そうとしたんだ。叶うことなら一人一人この手で壊してやりたいくらいだ」

 

 美人の怒り顔は恐い。などという話があるが、人間の範疇で測れない顔面偏差値の彼が見せた表情には明確な怒りが感じ取れる。

 

「でもそれは芦花がきっと望まないし……これでも我慢したんだ。人間は誰一人死んでいない。流石にアフターケアまでするつもりはないがね」

 

「世界中の精神科医が引っ張りだこだろうな」

 

「まさか、ユーゴがそんな奴だったとは……」

 

 事実を知って怪訝な表情を浮かべる一同。しかし、ロッカーズの二人には、さらにナイアから事実を知る権利ンを与えられる。

 

「……あー……ヨウガ君、コウガ君も、君達は真実を知りたいかい?」

 

「「?」」

 

「辛く残酷な真実と、少しビターな偽り……もし知りたいなら、君にかけられている魔術を解くんだが……」

 

「何ソレ。てかナイちゃんさっきから言葉選びムズカシーんですけど、俺帰っていい?」

 

「私もできれば帰りたい」

 

「おい、当事者が帰ろうとすんな」

 

 乃依とナイアが帰りたがる素振りを帝と芦花が止めるのを見せる中、ヨウガとコウガは話し合いを済ませたのかナイアの提案を飲み込む。

 

「……では」

 

 魔術【破魔】

 

 ナイアが二人のアバターの額に指を当て、かけられているという魔術を解く。額に六芒星が浮かび光る、瞬間、二人は膝から崩れ落ちる。

 

 78【失敗】

 

 減少値【4】

 

 55【成功】

 

 減少値【2】

 

「そうっスか……」

 

「薄々……お前の話を聞いてそうだろうなとは思ってた」

 

「強いな、君達は……だが、魂が磨耗している。ヤチヨ、二人はもう帰らせたほうがいい」

 

「……二人共、どうする?」

 

「……悪ぃ、そうさせてもらうわ」

 

「……俺もっス」

 

 二人は静かにログアウトし、ナイアは多くを語らず二人の精神を尊敬する。他のメンバーも踏み込まず、静かな時間が流れる。

 

 その沈黙を破るように、ナイアは話をきり出す。

 

「……さて、もう疑問点は無いかな。ならば、もう帰ってもいいだろうか?」

 

「お前意外と面倒くさがりなのな?」

 

「そういうわけではないさ。ただ、もうこんな時間だ。君達の負担が大きい。ヤチヨも、そろそろスリープの時間だろう?」

 

 そう言った瞬間、FUSHIがいつものように眠りの時間を知らせる。理解を超えた範疇の話も、VRが現存する現代、過去に僅かな相違あれど超常に出逢っている面々はそれを受け入れた。

 

 ──ー

 

 現実に戻ってきた二人。目を開けた芦花の横には、愛おしそうに優しい瞳で彼女を見つめるナイア。

 

「……お疲れ様、芦花」

 

「ナイアに比べたら全然だよ。……それより、皆に言えてよかった、流石に罪悪感あったからさ」

 

「すまないね、君に面倒をかけてしまった……」

 

「どうしたの〜、いつになくしおらしいじゃん。ほらよしよ〜し」

 

 芦花はいつも以上に声のトーンが低く、憂いを帯びたような紅い瞳のナイアを抱きしめて頭を撫でる。いつもならその役割はナイアで、芦花からの接触はのらりくらりと躱して甘えさせに来る彼が珍しく身を委ねるが、やがて起き上がって床につこうと部屋へ向かう。

 

「……そろそろ寝ようか。お互いに、明日は休みだったね」

 

 芦花も自室へ向かうが、扉を開けようとする時に立ち止まり、ナイアの手を掴む。

 

「ね、ナイア。今日は一緒に寝ようよ」

 

「………………ッ!?な、え、なんっ……」

 

 少し長めの沈黙、言われた言葉を理解して顔を真っ赤に、言葉に詰まる彼の手を芦花はしっかりと握り直す。

 

「疲れてるのはナイアだよ。魔術がどうとか私には分からないけど、そういうのは分かるよ」

 

「……少し、ほんの少しだけさ。私は邪神だよ?この程度の疲労なんて魔術で……」

 

「ナイアはナイアだよ。ちゃんと疲れるし、ちゃんと笑うし、強がったりする。格好いいけどさ、私の前でくらい、弱いところを見せてもいいんじゃない?」

 

 再びの沈黙のあと、目を背けながらボソリと呟く彼を部屋に少し強引に迎え入れる。

 

「……なら……甘えても、良いかい……?」

 

「ふふ、いらっしゃ~い」

 

 扉を開けると香る、普段の彼女のメイク用品や香水。

 

 少し前の彼なら恐らく揺れることもなかった表情が罪悪感と幸福感とで崩れる。

 

 鏡の前で早業でメイクを落とし、そのまま電気を消してベッドへ座る芦花は、立ち呆けているナイアに向けて両手を広げ、迎え入れる。

 

「……着替えなくて良いのかい?」

 

「えー、見たいの?エッチ〜」

 

「ちがっ!」

 

「冗談だって、私よりずっと歳上なのに初心だなぁ」

 

「か、からかわないでくれ……」

 

「ほら、おいで」

 

「…………」

 

 ポスッ……

 

「分かってたけどやっぱり大っきいね〜、大丈夫?狭くない?」

 

「……君が……近い」

 

 静かにシングルサイズのベッドに乗って芦花に体を預けるナイア。横になって微笑む彼女の心音すら聞こえてしまう距離に、彼の心臓は速く強く拍動する。その鼓動を確かめるように芦花は胸に強く耳を当て、少しだけ震える声で呟く

 

「……鼓動、速いね。ちゃんと……生きてる」

 

「…………」

 

 芦花の言葉を聞き、正直で真っ直ぐに、彼は言葉を漏らす。

 

「……怖かった。君を、失いそうで……」

 

「でも、護ってくれるんでしょ?」

 

「勿論だ……でも、君を不安にさせてしまった。……君に依存しているな、私は……君に頼ってほしいのに、不安にさせてばかりだ」

 

「……どんなに怖くてもナイアへの信頼は揺るがないし、ナイアのためなら、いくらでも私は拠り所になるよ」

 

 その言葉でナイアも震えが止まり、柔らかな微笑みと声に戻れる。

 

「ふふ……私の真似かい?」

 

「あはは、ナイアだけの神様?良いね、それ。縋ってよ、ずっと」

 

 頭の上から聞こえる鼻を啜った朧の声。意外と感情的で、芦花

 

 に対してだとさらに彼はそれが助長される。弱みを見せないようにするというのは、自分と似ているところだと彼女は少し笑う。

 

 芦花はナイアの顔の位置まで姿勢を変え、一目で惚れた好きな紅い瞳を正面から見つめる。

 

「泣かないで、大丈夫だから。私はどこにも行かないよ……ほら」

 

「大事に……してくれているんだね、嬉しいよ」

 

「大好きな人の初めてのプレゼントだよ、当たり前」

 

 右手に嵌められたクローバーの指輪。それを擦りながら小指を差し出し、"約束"の合図だと察したナイアは指を絡ませ、童歌を歌う。

 

「もう、君を手離せなくなってしまった……好きだ。芦花」

 

「うん……私も。好き、愛してる」

 

 歌い終わり、長い余白の後に改めて言葉にするナイア。二人は顔を見合わせて、手を強く握り合って薄く笑い合う。

 

「……良いよ」 

 

 一言の後、夜は更けていった。

 

 




マジのマジの最終章…かも?
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