ちゃんと2人の恋に問題はないですから(汗)
超かぐや姫早く劇場でもっかい見たいよ〜!!
友人に布教したらハマりました。やったぜ!
いつか家にシアタールーム作って無限に超かぐや姫流すのが夢なんだ…。
夜の食卓。自分を人外だと認め、彼女の横に立つのに相応しくないと認めて尚、諦めきれない。
醜いこの感情の行き先が分からない。
「今日は、忙しいのか…」
帝君主催の大会、それの参加券を得るために最近芦花はツクヨミにずっと潜っている。
ノックをしても返事がないから、忙しいのだろう。そう、きっとそうだと思いたい。身体が心配だ。少しずつ暑くなってきたし、何故か彼女は節約しようとする癖がある。また倒れてしまわないか不安だ。
「…ゲリラの配信でもするか」
溜息しか出てこない。味気ない食事と食卓は、つまらないものだ。芦花の分はラップしてテーブルに置いておこう。
『…いあいあ〜、ナイアだよ』
いつも通りにパソコンを起動し、配信を始める。
突発にも関わらず、数百人がすぐに集まり、僅かに孤独や退屈を埋めてくれる。
『今日は特に何かあるわけではないんだ。ただ、う~ん…退屈だったんだ。だから、何となくだよ』
〈あら珍しい〉
〈最近だと何かしらの企画はあったのに〉
〈じゃあ今日はお悩み相談ってわけでもない感じ?〉
『そうだね。雑談かな、いつも通りだ』
特に目的がなくても、暇を持て余している人間は幾らでもいる。大抵は雑談から悩み相談へ移るものだし、千差万別だから飽きることもない。
〈だからよぉ!たけのこ派は滅べ!〉
〈おまっ、この野郎!キノコのクッキーのサクサク感をさては知らねぇなぁ!?〉
〈ナイアはどっち派?〉
『え、普通にどっちも好きなように食べればいいんじゃないかな。調理法も違うし、秋の味覚…ん?クッキー?』
〈ナイア様、さてはお菓子を全く食べない人?〉
〈いや食べるよ。ケーキとかタルトとか〉
〈あーダメですダメです。コンビニお菓子を知らないなんてダメですねぇ!〉
〈2000。お菓子代だ、今すぐ近場のコンビニで買ってきな〉
『え、あ、わかった。ちょっと待っててね』
5分ほど配信をつけっぱなしにして席を外し、近場のコンビニから皆の言うお菓子を買ってくる。
『取り敢えず、色々買ってみたけど。コンビニって凄いね、初めて行ったけどあれが24時間もやってるんだ?』
〈コンビニ初めてかぁ…〉
〈店員さんびっくりしただろうなぁ〉
『取り敢えず、キノコとたけのこ。あと、ポテトチップスと、期間限定のとか買ってみたよ』
〈ぴったり2千円で草〉
〈本当にスパチャをそのまま使う配信者っているんだ〉
『あ、折角だからお菓子のレビューしようか。どれから食べればいい?』
〈タケノコ!!〉
〈キノコ!!〉
〈ぶれねぇなコイツら…〉
やっぱり、人と話しているといくぶんか心が安らぐ。
落ち着いていると、お菓子の味も分かる。でも、何を食べてもやっぱり彼女の顔が浮かぶ。好きそうな味、食べていそうな味、どっち派か。なんて。
『…はぁ…』
〈どした。胃もたれ?〉
〈あんだけ食えばそりゃそうだろ〉
〈コーラは!?コーラ無いの!?〉
〈ナイア様を太らせるなよ。体重100キロとかなったらどうしてくれんだ〉
『体重なら100キロ以上あるよ?』
〈…え?〉
〈いや待て、実写の配信でそんなにデカかったか?〉
〈うわ、公式ホームページにマジで書いてんぞ。108kgだって〉
〈じゃあ筋密度がとんでもなく高いのか?〉
仕方ないだろう。筋肉の組成なんて本でしか見たことがないんだから。骨も大分密度を高く仕上げたから見た目に影響は薄いはずだ。
〈え、ナイア君そんな重いの?〉
〈ナイア結構軽いけど…あ、魔術か〉
〈なんで芦花知ってんの?〉
〈も、黙秘…で、お願いします…〉
〈…私がよく膝枕をせがむだけだよ〉
別に体重など些末な問題だ。
魔術が無くてもある程度肉体的に強く仕上げているだけの話。見た目に問題はない。
そんな雑談とその場の企画を続けていると、一つの質問が目に入った。
〈ナイアは恋愛経験あるの?〉
今、その質問が来るか。いつもなら無いと一蹴してしまえるし、見えなかったことにしてもいいし、この質問者も迷っているのかも知れない。
でも、正直に言葉にする気分にはなれないんだ。すまない。
『おや、難しい質問だ。……簡潔に言うと、分からないかな。知っての通り、私は君達を知りたくてここにいるからね。まだそういった感情に解を持てていないんだ』
〈最近好きな人に振られました。とても苦しいです。ナイアはそういう経験ありますか?〉
辛い。分かるよ、痛いほどに。君も迷っているのか。顔も声も知らない誰かに、勝手に同じ感情を覚えるのは無粋だ。そんなことは知っている。
気休めにもならない言葉で、私自身が落ち着けない言葉で、ほんの少しだけでも君の心が救われることを願う。
『……そうか、大丈夫だよ。その感情は恥じるものでも、捨てるべきものでもない。凄く辛いだろうが受け止めて、また次に進めるはずだ。必ずしも、その人だけが幸せへの道とは限らないよ』
コメントでいくらか言われる。私自身の内容だなんて、恥じるなと言いつつ私自身が一番隠したがっている。
『…いや、この間見た映画の内容だよ。友人と結末で意見が食い違ったが、私はそういうエンディングもありだと思っただけだ。むしろ、現実にはそういう終わりのほうがずっと多い』
乾いた声、柄にもない緊張で喉が渇いた。
さっきコンビニで買っておいたコーヒーを飲んで落ちつこうとした。
〈ROKAは?〉
ガタガタタンッ!!
待て、違う。というか誤解はこの間解消したはず、その前になぜその名前を、いや、待て、今のは違う。
目まぐるしくコメント欄が荒れていく。
『彼女とは……ただの友人だよ……それ以上でもそれ以下でも無いし、なれないよ。…私はなんといっても……邪神なのだから』
現実と設定の混同。私からすれば一言一句違わぬ現実だ。人間(君達)に理解しろなんて言わない、私の抱えるものが理解出来るわけないのだから。
『あー、もうやめやめ、しつこいぞ君達。スパチャはありがたいけどそういうのじゃない!今日の配信は終わりだ。もう寝なさい。じゃあね、いあいあ〜』
適当に配信を切って終わらせる。また誤解を生んでしまうかも知れないな。あとでフォローするのが面倒だが、まぁ仕方ない。
芦花にはご飯はテーブルに置いてあることは伝えた。
一日の終わりに彼女の顔が見れないのは不安で切ない。
早く終わりにしてしまいたい気持ちと、いつまでも続けばいいという葛藤で揺れている。
情けないことこの上ない。
椅子に座っていつも通りに目だけ瞑る。睡眠の機能はあるが、肉体の詳しい成分や栄養は度外視しているから滅多に眠くならないし疲れない。そのせいで余計な思考ばかりが頭の中でから回る。
何度も何度も何度も何度も。彼女の隣にいるにはどうしたらいいかを考えてしまう。悠久を生きる私にとって、元々彼女と過ごす100年弱なんて刹那の一時。それが少し短くなっただけだ。この記憶だって最後に燃やしてしまえばいい。私の生の億分の一にも満たないような、そんな一瞬だ。
「無理だな、耐えられん…チッ、何の用だ」
不意に現れた目の前の彼の為、部屋を異界と繋げ、完全に途絶した空間を作る魔術を展開する。
「何の用とは。私が私の様子を見に来るのに不思議が?」
「人様の家に土足で上がり込むなと言っている」
「人様の人生を土足で踏み荒らした貴方が言えることではないでしょうに」
ニャルラトホテプ。私の化身の一体で、随分生意気な態度をとる。大体全員こんな感じだが、特に生意気だ。
「様子をみたならさっさと帰れ。私の心中は穏やかじゃない」
「人間の真似事をして楽しいですか?」
「…楽しいよ、心の底から」
「でも、同時に辛いと」
「君に私の心を読めるような魔術は与えた覚えはない
「その端正な顔を見れば分かりますよ」
顔のない無貌の生物。しかしながら、それぞれに自分を冠する何かを持っていたりする。"チクタクマン"。時間関係の魔術を与えてみた、私の作った化身でも古参の部類にはいる。
「欲しいのなら奪えばいいでしょうに。ニャルラトホテプなら出来るでしょう」
「…それは私の愛した芦花じゃなくなる」
「何か問題が?人間だって心のわからない犬やら猫やら虫やら爬虫類やら育てているじゃないですか。それは自分が上だからと理解しているから。私達のほうが遥かに生物として完成していて格上でしょう」
やっぱり化身達は苦手だ。なぜ私から作られたのに、人間を尊べと命令を与えたのにそんな傲慢を言葉にできる。数百数千年、それだけ人と接していれば自然とそうなるのか?
「私達に明確な時間の概念があるわけではない。だが、無限に続く退屈に、彼女は居場所をくれたんだ。ただいまとか、不味いオムライスとか、濡れないように傘を傾ける愛おしさとか。そんな日常を彼女はくれた」
「別にあの人間じゃなくても出来るでしょそんなの。今から雨降らしてやってあげましょうか?」
「黙れ殺すぞ」
「貴方そんな言葉使えるんですね…」
「…んんっ。とにかく、彼女の周りには何もするな。というかもう百年は大人しくしていろ。出なければ消す」
「おぉ怖っ。ま、邪神に惚れる物好きな人間もいれば、人間に惚れる物好きな邪神もいるものですね」
「さっさと失せろ」
過去に前例があったのか…詳しく聞きたい気もするが、それは何か癪だ。腹が立つ。時間と途絶された空間だったせいですっかり朝だ。私も芦花も休日とはいえ、健康的ではない、早く朝食を用意しなければ。
〈あの時計頭の言ってる邪神と人間ってどう考えても芦花達だよね〉
〈うっわ皮肉〜。人の心無い方がよく見えてるんだ〉
〈なんか、だんだんムカついてきちゃった〉
〈す、すまない芦花。この時の私はネガティブで、ちょっと自暴自棄と言うか…〉
〈良いよ〜、解ってるから〉
今日は大分起きてくるのが遅いな。早く起きるだけで元々朝は強いほうじゃないのかも知れないが。
どうせもう昼時だ、休日だし私の甘い物が好きという設定も少しは見せておかなければいけないだろう。
そうやって、フレンチトーストを焼いていた。
バァンッ!
「なんで朝からなの!?」
「うゎっと、びっくりした。フレンチトーストは重かったかい?一応、もう11時くらいだけど」
「違う!えっと、ナイア今日休み!?」
「まぁ、そうだよ。何処かに行くのかい?」
「あぁ、えっと……!魔術!魔術でこの部屋からナイアの痕跡全部消せる!?」
心理学【失敗】
88【失敗】
減少値【3】
待て…待ってくれ。なんでだ、急に。
いや、急じゃないのか?腹にため込むものがあったのか?やっぱり人外と生活を共にするのは辛かったのか?
こんなに急に終わらせないでくれ、昨夜のアイツの言葉をそのまま行動に移してしまいたく──
「ご、ごめん。そうじゃないの!ナイアは好きだよ、違うくて、彩葉と真実が今から家に来るって!」
〈え、告ってね?〉
〈見返してみて驚いたよ。なんで私はこれを聞き逃したのか…〉
〈芦花顔真っ赤っか〜〉
〈だっ、だって、私、知らなくて…〉
〈鈍感色ボケバカップル〜〉
そういうことか。うっかり心臓を止めてしまった。
順序立てて説明してくれないと解らないじゃないか。
友人二人が家に来るというなら、私は居なくならなければならない。
「芦花〜、開けろ〜!!」
聞き馴染みのある声。仕方ない、虚空に全て放り込んで私も姿を消す。
だというのに、事前のリサーチは完璧だったのだろう。既に逃げ場はなかった。
「…二人共、ホームズもびっくりの推理力だね…」
あっという間に2人分の痕跡を探し出され、観念して出ることになってしまった。
疑るようにこちらの言葉と顔を伺いながら彼女達は私達の関係を探ってくる。
「くっ…流石、手強いね」
芦花が相手じゃないんだ、そう簡単にボロなど出すものか。
いたたまれなくなったのだろう、芦花がお昼にしようと逃げ道を作る。この状況について私も丁度彼女と話したいところだし、台所へ二人で立つ。
しかし…久し振りのこの距離感。どうにも心臓がうるさい。高鳴る鼓動が言うことを聞いてくれない。
あぁ、もう話してる内容も正直どうでもいいかな。
まだこの距離でいてくれることに感謝しなければ。
〈男子高校生か〉
〈結構この時真剣な話ししてたんだけど?〉
〈いや、だって…うん…〉
〈わかってたけど、やっぱり思考と身体の動きって完全に別にできるんだね〉
〈マルチタスクの究極系だ。結構便利だよ〉
〈ヤチヨも出来るよこれ〜〉
諫山さんリクエストの料理と、ついでに映えるような小料理も複数作って卓上に並べる。
順当に嵐が去りかけている。そう考えていた。
芦花の勧めるいろPとやらの歌。何処かで聴いたことがある。どこか悲しくて、一緒にいたいと思っているような歌。諦めきれないと否定しようとする歌。誰か2人の気持ちが籠もったような、人を知った歌。
「思い出した、月だ」
私の一言に三人が固まる。
それもそうだろう、もう隠す必要も無くなった。
月人、かぐや姫、月見ヤチヨ。私の中で全て繋がった。
人間が月まで、あのような別次元まで良くも追いついたものだ。
そうか…酒寄彩葉、君は月に会いたい人がいるのか。
芦花が好きな君は、芦花を幸せにするつもりは無いんだな。芦花とはただの友人なのに、芦花はそれを知っているのに、いつまでも君へ片思うのだな。
受け止めていたはずなのに、受け止めきれていなかった。心の何処かでもしかしてがあったんだ。
だが、その可能性がたった今全て消えた。
ありがとう、皮肉でもなんでもなく、心の底から感謝している。
さようならだ。この感情とは。私はこれで、彼女と一生ただの友人で、血など通わぬ神でいられる。
〈〈〈〈〈……〉〉〉〉〉
〈…さ、ラストスパートだ。大丈夫だよ芦花。そんなに強く私の手を握らなくても、私は何処にも行かないしこんなことを考えていないから〉
3日連続の投稿で、このままナイア視点は終わらせちゃいます!
芦花視点も続けて投稿しまして、その後も何かしら書き続けます。
皆さん、ぜひ応援よろしくお願いします!
目標は赤で評価のバーを埋めたいです!