ナイア視点は本来前回で終わる構想だったので、気長にお待ちください!
あ、徒歩旅は昨日完走しました!
地元の方からも応援やお祝いのメッセージをいただきましたし、足も特に問題なく、あと数日で多分痛みは取れるくらい。
地元の友達と飲んだり趣味のバスケしたりわいわいしたり、お財布は空っぽだし身体も痛いけどやって良かったです(笑)
総距離428km、歩き切りました!
なので、心配ご無用!これからも投稿は続きますよ〜!
「断言するが辛いぞ、この先の展開は。今なら間に合うが、本当に見るのか?」
「うん、だって今に繋がるんでしょ?芦花のことは…こっちに来た時に聞いたし、さっきの見たからよく知ってる。だからじゃないけど、かぐやは大事な友達の人生を見届けたい」
芦花の手を後ろから握りしめて怯える彼とは違い、かぐやは真っ直ぐにナイアの目を見つめてはっきりと宣言する。
溜息をついたナイアは、心の底から尊敬の念を込めて笑う。
「…達観している。流石だ」
「へっへーん!逆にナイアは怯え過ぎだよ~ん」
彼の記憶を元にしているその映像。上着を被せられて静かに寝息を立てている芦花を見つめている映像から始まった。
「「この1時間でなにがあった!?」」
「しーっ…静かに。芦花が起きてしまう。彼女を任せていいかい?私は風呂場へ行くよ。話はそれからする」
かなり熱めのシャワーを浴びて頭を冷やそうとする。
なのに、感情が身体に追いついていないのをひしひしと感じる。
「……」
震えている。手も足も、心臓の高鳴りや、喉の渇きも癒えない。
だがそれは全て、マイナスな感情ではない。
不思議で、初めてだ。こんなにも自分の身体の制御が効かないことが嬉しいのは。
身体を乾かし、服を作ってリビングへ戻る。
怒られることも覚悟していたが、困惑や心配にも似た表情を先に向けられた。
「ナイア君、座って。医療品とか借りるよ」
「ちょっと台所借りるね」
諫山さんは器用で、私の頭や掌の傷を手早く手当てしていった。
〈今更だけど彼氏君なんて?〉
〈別に何も…てかナイア君のファンだよ〉
〈え"、初耳なんだけど〉
〈口では否定してるけどね。たまに真似して家で料理作ってくれるよ〉
〈…意外と世界は狭いものだね〉
〈ほんとにね〜〉
「これで全部かな、オッケ〜…で、なんでこんなことになってるの?」
「ありがとう、諫山さん。この身体ではまだ全力で運動したことがなくてね、色々ドジを踏んだんだ…芦花は?」
疲労のせいで部屋で寝ているらしい。あの公園は実はそれなりに距離があるからな。よっぽど夢中で走ったのだろう。
怪我だらけなのを直さないのは、私なりの矜持だ。
そして、誤解は解けたのかという問い。聡い彼女らなら既に気づいているはずの問いに、私は誠実に返す。
「解けたよ。プレゼントも渡せたし、気持ちはきっと通じ合った。改めて……本当にありがとう。このお礼はきっといつかする」
「じゃあ芦花をちゃんと幸せにして。それだけでいい」
「同じく〜」
私を睨む酒寄さんと、軽い言葉ながらも明確に私に圧をかける諫山さん。
自分よりも友達を優先できる、優しい人達だ。芦花は恵まれている…いや、彼女だからこそのこの二人なのだろう。
本当に、助けられた。
「ナイア君って友達いるの?」
痛いところでもないが、答えにくいことを聞かれる。
下僕や化身、そもそも同格がほぼいない私に友人がいるかなど。友人で言えば恐らく仲がいいのは黒鬼の二人と目の前の二人。
一応、利害の一致でドリームランドでじいさんと組んだことはあるが決して友好的ではないし、他の生物は隙あらば私を殺そうとするか私の姿をみて勝手に自滅するかの二択しかいない。
〈物騒な生活してんな…〉
〈死にかけたこととかある?〉
〈無いねぇ。私は数いる私達の中でもかなり強い方だし〉
〈月(実家)に襲撃してきた時ずっとポッケに手入れてボコってたもんね〉
〈何やってんの!?〉
〈挨拶に行ったら物騒な出迎えをされただけだ。反撃していないし、少し脅かしただけだよ…〉
〈アレを脅かして無力化するって…流石理外の神〉
〈かぐやの肝の座り方も豪胆だったがね。なんせ第一声が"何の用だ、自分は忙しい"だったからね〉
改めて邪神としての私に興味を持ったのだろう。
多次元空間理論、まだ人間が解き明かしていない方程式、理論や魂。そして、魔術。
力を使う方向を間違えれば取り返しのつかないものだ。
が、彼女なら問題ない少なくとも…孤独じゃない。
と、そんなことを話しているうちに諫山さんが眠った。
普段学校でもよく居眠りをするらしいし、放っても大丈夫だろう。
〈学校か…今更だが興味はある〉
〈だよね!?かぐやも行ってみたい!そうだ!ツクヨミでやろうよ〜!ライバー集めてさ、学校体験!!〉
〈ツクヨミで学校…悪くない、いや、良い。賛成だ。私も協力しよう〉
〈ヤチヨ、あれ本気だと思う?〉
〈やっちょは賛成〜久し振りに皆の制服見たいな〜!〉
〈私達もう26なんですけど〉
〈私なんて2児の母ですが?〉
〈芦花は映画の撮影で学生役最近やったじゃん〉
〈いやナイアと学生やるのは…普通に恥ずい〉
〈絶対やろう、予算は全て私が持つ〉
〈芦花絡みになると急にIQ下がるんだから〉
〈芦花が煽るから〜〉
〈私のせい!?〉
〈〈うん〉〉
話し込んでいるうちに時計の針は既に8時を示している。
彼女の予想が正しいのなら二人がそろそろ起きてくるはずだ、夕飯を作っておこう。
「あぁ、でもあまりカロリーの高いものは嫌だろうし…考えるのが面倒だな、色々作るか」
面倒になってしまった。一人暮らしもしている彼女の手を借りる。
この際、余計な探り合いももうやめにしてしまいたい。
「ところで、ヤチヨは私に何もないのかい?」
『あれあれ、気付いちゃってた?』
当然ついでにヤチヨの正体も暴き、このゲームは終わらせる。
あれこれと疑問の答え合わせを終える。
輪廻の破壊に関しても、私なら可能で力も貸すのはやぶさかではない。
「……やっぱり良いよ、大丈夫」
『そうだね。ヤチヨと彩葉は…自分達でハッピーエンドにするって決めたもんね、チートは良くない良くない!』
素敵だ。それでこそだ。
彼女達の歩む道は前人未到の領域であり茨の道、私はその行く末を見届けよう。
『あ、ていうかツクヨミに勝手に侵入してたのってもしかしてナイア君!?』
確かに侵入した、申し訳ない。
好奇心に任せた行動だったし、アラが出たのか。完璧に痕跡は消せたと思ったが月人を侮りすぎたな。
何者かが作ったオーバーテクノロジーなど私にとっては知能指数を測る玩具のようなものだ。指先で破壊できるし再現もできる。
「ナイア……」
寝起きの彼女は少しだけ反応が薄い。いわゆるポヤポヤとしている状態。本音が聞きやすかったりする。
後悔はないか、なんて未だに先ほどのことがを夢見ごとのように思っていた。彼女にかける心配こ言葉が、不安の表れになっていやしないか。
「……んふふ……夢じゃない……」
杞憂だった。少し火照った彼女の顔と普段とは違う溶けてしまいそうな柔い笑み、なにに例えるでもない、私の口から出た感想はシンプルだった。
「ナイア君、今すっっごいニヤけてるけど」
「仕方ないだろう…可愛かったし…」
「それには激しく同意」
鏡を見ずとも解る、私の顔は緩みきっている。指摘されなくとも解るということくらい彼女は知っているだろうに、意地が悪い。
夕食を終え、元々は彼女達三人がお泊りというのをする。寝間着に着替えた三人を部屋へと見送り、少しの騒がしさを後にする。
どれだけ人の身体を真似ても五感は元々良すぎるから三人の会話が筒抜けだ。
「聞こえてしまうのが良くないな…今日は虚空で過ごすか」
何もない、ただ真っ白な空間。この中では時間や温度、感覚でさえ無くなる。多次元干渉の術をもってして扱える私の魔術。
「……」
改めて確認しよう、私は芦花と付き合えたんだよな。
彼女の笑顔も涙も優しさも、独占…は出来ないまでも私が享受できる。彼女もまた私の愛情を受け止めてくれる。
そういう関係になれたことが、嬉しくて仕方ない。
「…ッ……ッ…ッ」
言葉が出ない、口に出す必要など皆無だ。だがそれでもこの震えと心臓の高鳴りを抑えられん。
「………」
〈何見せられてんのこれ〉
〈言うな、編集してないから飛ばせないんだ。今編集してるから少し待ってくれ…〉
〈人並みに悶えてるのウケんね〉
〈この時芦花も、クッション抱きしめて顔真っ赤にしてたよね〉
〈根掘り葉掘り聞いてきた二人がそれ言いますか〉
〈よし、出来た。飛ばすよ〉
翌朝。遅くまで語り合っていたのか三人が起きてきたのは10時ごろ。
揃いも揃って無防備な姿だが、邪神だが男だということを忘れないでほしいものだ。
芦花以外にそういう興味はないとはいえ気を遣う。
「じゃ!お幸せに!」
「泣かせたらマジパンチね!!」
「わかっているよ、二人共、ありがとう」
「あ、ありがとう…」
シンプルなトーストやサラダ等の朝食を人数分、元々彼女達の目的は私達の関係性の把握。終えたらそそくさと退散していった。
「な、ナイア!?」
「やっと行った…彼女らなりに早く帰ったつもりだろうが、私にとっては長すぎる」
芦花と付き合えたというのに、彼女を一番近くで感じられるようになったと言うのに、この十数時間は長すぎた。おかげで彼女を不安にさせてしまったじゃないか。
「芦花は今日休みだったね」
「う、うん…そうなんだけど…」
「ん?」
「ち、近くない?ナイアそんなキャラだっけ」
「君が嫌なら離れるが、これでも抑えていたんだ。これくらいは許してほしいんだが…駄目かい?」
「だ…めじゃないです…」
腕の中に収まる程小さく柔い。こんな小動物に対するような感想を抱くのはよくないと分かっているが、どうしても痛感してしまう。
「ふふ…可愛いね」
囁くだけで固まってしまう、それほど私を意識してくれている。あぁ駄目だな、片時でさえ離れたくない。
だが、生活に支障が出る上にせっかく得た信頼を崩しかねない。
「さて…スキンシップも程々に、お茶でも淹れよう。私は今日、午後のシフトだし、少し話さないか?」
「具体的には…?」
「ぐ、具体的には?」
二人によほど詰められたらしい。私と会話するのも身構えている。普段からかっているツケかな。
「ハハハッ…なんでもない、ただの平凡な話題だ。今日は何を食べよう、天気が良い、次の休日はどこに行こう。なんて、その程度のね」
「あ、なんだ…」
「ただ、君が望むなら私は私達のこれからについて話すのもやぶさかではないがね?」
座る彼女に目線を合わせて頬にキスをしながら悪戯に微笑んでみせる。また真っ赤になるが、とうとう言われてしまった。
「ねぇ~さっきからナイアおかしいって!」
「こんな私は嫌いかい?」
「〜ッ…その聞き方はずるい…」
「私も好きだよ、芦花」
「言ってない!」
〈バカップル…〉
〈ナイア君浮かれすぎでしょ〉
〈なんでカットしてないのここ?〉
〈別に恥じていない。人前でも私は構わん〉
〈芦花ちゃんは?〉
〈もう慣れちゃったし、皆も慣れたでしょ?現にさ、ナイアが私を膝に乗せてるのに誰も突っ込んでない〉
〈〈〈……〉〉〉
〈かぐやは気づいてたよ!なんで皆なにも言わないんだろうって思ってたよ!?〉
本当になんでもない話を続ける。からかい、たまに反撃され、触れ合い、愛して愛される。
過ぎ去る時間は無慈悲だと実感が湧いてしまう。
「ところで、この間の案件で家具の紹介をされてね、興味はなかったんだが、試さずに否定するのもバツが悪い。ということで、ソファを買いたいんだがいいかな?」
「リビングに?」
「あぁ、そこの空いてるスペースに何もないのもね。私なら搬入や模様替えも簡単にできるし、気に入らなかったら処分もすぐ。もちろん、君の意見を尊重するよ」
まぁ、案件など嘘なんだが。買ってほしいという売り込みがあっただけだから重要度は二の次だけれど、こういう時芦花が私の動画を追っていなくて助かる。
「ソファ…うん、私もちょっと欲しいかも。どういうの?」
「それは開けてみてのお楽しみだ。私個人の買い物だし、予算も気にしなくていいよ。少しだけ奮発するだけだ」
「じゃあ、お試しってことで…?」
一番高くてふわふわのやつにしよう。芦花に普段はかけたくないし、この空間に二人でいれるというのが重要だか。気に入ってもらわなければ困る。
〈あれすっげぇふっかふかだった!〉
〈実際いくらしたの?〉
〈80万くらいかな〉
〈はちっ…!?〉
翌日に運んだソファはサイズは比較的小さく素材に拘った。芦花も一度座って想像以上だったのだろう、気に入ってくれたようだ。
だから、こんな状態になっている。
学校から帰った彼女は私の膝で眠っている。
何度か見た彼女の寝顔だが、やはり端正で見るほど可愛い。これからも彼女を側で守りたい。
その為には…
「人間にならなければいけないな。神だなんて立場はいらん…彼女と同じ存在にならなければ…」
人を知り、この身を捨てれば彼女と今まで以上に近くにいれる。誰よりも、何よりも、大切な君の為に。
〈んぇ?でも今大分ファンタジーもりもりじゃん?〉
〈色々あるんだよここから。まぁ見ていろ〉
〈そういうナイアはずっと薄目にしてるじゃん〉
〈まぁまぁかぐや、もーちょっと見てれば分かるからさ。ここからはハードな展開!よそ見厳禁!☆〉
夏…本当に暑いですね
皆さん、本当にお身体だけはお気をつけて。
私も実家が農家だったりするので充分に気をつけていますが、どうしてもね悪い話は聞こえてきてしまうものなので。
私自身、今年来年が人生の転換点なので気をつけます。