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耐久力13.MP30.DB無し
職業 女優、モデル、ライバー、広告塔、その他諸々
職業技能
芸術[メイク]80変装65目星65写真術55信用60薬学55
趣味技能
制作[料理]50オカルト55精神分析60KASSEN50
クトゥルフ神話技能65
魔術[ ]魔術[無欠の投擲]魔術[被害を逸らす]
魔術[翻訳]魔術[使い魔の使役]魔術[治癒]魔術[ボロナスの炉]魔術[透明な触手の使役]
常時装甲+200(ナイア仕込み)
青い海、白い砂浜、曇天の空に、散乱する骸骨や漂流した木片に、槍や剣や盾の残骸。
2人のかぐや姫と彩葉、真実と芦花。
一同は全身を走る微弱な痛みに侵され、白い波が立つ海を座って眺めながら、思考を一致させる。
どうしてこうなった?と。
その答えの始まりは一ヶ月前だった。
──
「イギリス?」
「そう。ヤチヨの義体も完成して、その時に新しく組み込んだプログラムの発表。多分またノーベルだと思う。次は科学かな」
「君はいったい一人で何度歴史を更新するつもりなんだ?」
「正直、別にもういらないんだよね〜。ヤチヨもかぐやもいるし、隠居しよっかな」
「まだ二十代だろう」
「おい、女に歳の話は禁句だぞ」
「おっとすまない。うっかりだ」
酒寄研究所のプライベートルー厶で話す二人。
ここも発表していないながら、外部への100%の振動カット。つまり完璧な防音機構が備わっているため、魔術や金銭面、ヤチヨ関連の話をする時に愛用している。
「それで、何故私を呼んだか聞いても?」
「そう。今度海外で発表があるんだけど、かぐやがね、ついでに海外旅行行きたいって」
「それはまた可愛いらしいわがままだ。行ってきたら良いじゃないか」
「芦花と真実もだって」
その言葉の直後、コーヒーを啜っていた彼の手が止まり、連続して質問を始める。しかし、この流れはもはや彩葉の必勝。ナイアはこの手の形式じみた問答に弱い。
「…何日?」
「1週間かな」
「私は?」
「女子会旅行」
「……ま」
「魔術で変身も禁止。あと監視も」
「………芦花は」
「ナイア君が良いならって。ツクヨミで一応会えるし」
「……………芦花が…良いなら…」
「まーまー、お土産買ってくるからさ」
「くれぐれも、くれぐれも…本当に気をつけてくれ。魔道具は持たせるよ、それくらいなら良いだろう?あとオコジョ君もだ。それと…」
「分かってる、分かってるから。ていうか、芦花も私も魔術込みなら普通の人より強いんだから」
「…それは分かってるし…束縛もしたくないが…」
「使い魔常に忍ばせて定期的に所在特定しとるくせにどの口が言うとんねん」
「許可はもらってる!」
「受け入れる芦花も芦花だよホント。まぁ、気持ちは分かるけどさ」
人間の中でもかなり異質な彩葉、邪神の中でも一際異常なナイア。あらゆる事情が重なった二人はある意味最もフランクな友人であり、ナイアへの頼み事は大体彩葉か真実、特に芦花を通せば何とかなると言うのは定説である。
渋々ながらも了承したナイアはコーヒーを飲み干し、ふらふらとその場を後にする。
「さて…だってさ。ヤチヨ、かぐや」
備え付けられた大きなモニター。画面の奥から二人が満面の笑みを零して彩葉を称賛する。
「さっすが彩葉!宇宙いちぃ!」
「最強のトリックスターも形無しだねぇ〜」
「なんだかんだナイア君は頼み事聞いてくれるし。大したことじゃないよ」
「どのくらいまでなら聞いてくれるのかな?」
「芦花関連以外なら割と何でもでしょ。海割るくらい平気で了承するし」
「あれ面白かったね〜!またやろ!?」
「二度とやらんわ、生態系崩れかけたんだから。ほら、今日はオタ公さんとコラボ配信でしょ。準備準備」
「「は~い」」
──
「芦花…」
ソファで芦花の膝に頭を預けるナイア。先ほどまで仕事をしていたのか、書きかけの脚本と読み終えたであろう資料達。そしてまだ仄かに湯気が立つものの空のマグカップ。
「ごめんね。私、ナイアのお願いに弱いからさ。多分断っちゃうし、真実と相談して彩葉に頼んでもらったの」
「この間出張に行ったばかりなのに…今度は君が行ってしまうのか…」
グスグスとわざとらしく言葉にしながら呟く彼。さながら子供のようだと笑いながら頭を撫でて芦花はそれを宥める。
「お土産沢山持って帰るからさ、ね?」
「…はぁ、仕方ないと言っては失礼か。君達にも必要で大切な時間だ」
「ありがと、落ち着いたら二人でも行こうね」
「それにしても…ちゃんとした新婚旅行もまだなうちに、私以外と旅行に行かれるのは複雑だよ」
「それは本当にごめんてば」
「冗談だ。少し意地悪を言ってしまったね。私のことは気にしないで楽しんでおいで」
先程までの不服な表情を払拭し、起き上がったナイアは額にキスをして頬を撫でながら珈琲のおかわりを入れに台所へ向かう。
「あれ、いつもみたいに魔術でやらないの?誰も見てないけど」
「…実はね、今は星辰を崩すのに力を割いているから、少し節約してるんだ」
「魔力を節約するって…そんな事あるの?」
「無尽蔵ではないからね。私は回復も早いけど、流石に消費が早いと追いつけないこともある。この宇宙に直に関係するから1ヶ月以上時間をかけて慎重にやる予定だ。普段はこんな周期で揃わないんだけど、どこぞの愚か者が揃えようとしてるのかね…」
手を閉じたり開いたりしながらナイアは落ち込んだ様子で顔を下に向ける。
「もしかして、情けないとか思ってる?」
「……あぁ…」
「あのさぁ、ナイアの好きな所は魔術だけじゃないんですけど?」
「でも、君の前ではカッコよくいたいんだよ…」
「もう、変なところで相変わらず臆病なんだから」
呆れたように、彼女は笑った。
──1ヶ月後──
「飛行機でっかー!」
「ちょっとかぐや、走らないで!」
「もー、かぐやはおこちゃまだね〜。私みたいに落ち着…ぐぇっ!」
「ちょっ、またコケたん?」
「ヤチヨちゃんは私とお手々繋ごうね〜、私右で」
「じゃあ私左〜」
「ヨヨヨ〜、お言葉に甘えますー…」
空港内で飛行機を目の前にしてテンションが上がって走り出したかぐやを追いかける彩葉。まだ義体と現実に慣れきっておらずによろよろと歩くヤチヨ。その
「彩葉、フライト何時〜?」
「2時間後。大きな荷物はあらかじめホテルに送ってあるし、乗るだけ。もう乗る?」
「待って!日本を目に焼き付ける!」
「何アホなこと言ってんのアンタは」
いつも以上に走りまわるかぐやに付きっきりの彩葉と満足に動けないヤチヨは二人の手を借り、擬似的でありながらも肉眼で見るリアルの光景に感動する。
「あぁ…やっぱり彩葉は凄いなぁ…」
「ね、ヤチヨ。味覚の方も試さない?」
「え?」
「真実のオススメなら間違いないね」
「彩葉〜、かぐやちゃーん、こっち来て〜!」
5人はあらかじめリサーチしていた真実の先導で空港内の名店を観光していく。
眩く青い日々からおよそ8年。姿や環境こそ変わった三人ではあるものの、態度や言葉は変わらない。
心の底からかぐやとヤチヨが"今"を楽しんでいるのを嬉しく感じた彩葉も、自然と緩んだ表情を見せる。
「てか真実、子供大丈夫なの?」
「夫が育休取ってくれたから大丈夫。お義父さんとお義母さんも手伝ってくれるし」
「夫と言えば、ナイア君は?」
「楽しんでおいでって」
「あれ、そんだけ?」
「…先週の休み。前借りで丸一日立てなくなったかな〜…」
幸せを感じているのは前提として、ため息をついて遠い目をする芦花。
かぐやを除いて事情を察した3人は話題を変えようと旅先の話をする。
「そっ、そういえば発表は2日間でしょ?なんで1週間なの?」
「折角海外行くのに2日は勿体ないじゃん。あと、うちの職員達に休めって怒られちゃったから。これでも一日5時間は寝てるんだけどね」
「彩葉にはもっと休んで欲しいなぁ、ヤッチョは心配で夜も眠れないよ」
「でもヤチヨは50時間毎にしか寝ないじゃん」
「その身体なら人間と同じ生活習慣だし、五感もほぼ完全に再現出来てるからちゃんと疲れるよ」
「拘りすごっ」
「当然。本当の意味で人間にするって決めたんだから」
天才、超人、人類の財産、全オタクの代表。そう呼ばれた彼女の動機は最もシンプルで、最も複雑な感情。
愛、それ故である。
「さ、そろそろ飛行機の時間だね。行こっか」
彩葉が先導して、他の乗客達と違う入り口から案内される。かぐやとヤチヨは義体のため、少々複雑な手順を踏む。
「当然のようにファーストクラス…」
「そりゃあ、電子の歌姫とパリコレレベルのモデルとツクヨミのトップライバー乗せるからね」
「しかも彩葉は世界の頭脳…私浮いてない?」
「じゃあ宇宙最強の邪神が裸足で駆け出す説教した女って肩書入れとこうか」
「一番やばいやつ」
同性だけの気楽な旅行。親族や知人、職場には連絡をあらかじめ入れているため、余計な詮索や情報は入らない。
「うはーっ、機内食美味ぁ!」
「空港で食べたのに、よく食べられるねかぐやちゃん」
「芦花は食べないの?」
「今はちょっと絞ってるから」
「ヤッチョは彩葉にもっと食べてほしいな~。はい、あ~ん」
「あ~!ずるい!かぐやもやる!!」
「はいはい、順番ね」
目星【成功】
目星【成功】
はしゃぐ二人を宥めつつも楽しむ彩葉、アルコールを控えたドリンクを飲む芦花と真実は何の気なしに窓から外を見た。
天気予報によると今日は晴天。なのに、見下ろした一つの場所にだけ暗雲が立ち込めていた。
疑問と不安を覚えるものの、旅の雰囲気に浮かれた2人はどちらもそれを口にすることはなかった。
──
「到〜ッ着ぅ!!ユゥナイテッッド!Kingdom!」
何事もなく約13時間の旅を経て5人はイギリスへ降り立った。行き交う人の服装や街並みも見知ったものと違う様子に3人は呆気にとられて驚きつつも心を躍らせる。
「芦花ちゃんは〜…服装といいそのサングラスといい、すっごい…なんか、すっごいね!」
「"ガチ感"あるよね」
「これでも一応モデルですから〜。魔術使っても良いんだけど、こんなことに使うのもね」
珍しいヤチヨの拙い語彙力に何度か海外での仕事もこなしている芦花は慣れた様子で答えて身バレ防止のサングラスをつける。
「さて。ガイドは無しにしたけど、一カ所だけ付き合って。すぐだから」
「彩葉と一緒ならどこでも〜!」
「ヤッチョも〜!」
「「私たちも〜」」
予め手配しておいたタクシーで彩葉の用事がある場所へと向かう。
「博物館?」
「そ。ここの館長が多額の出資をしてくれた人なの。挨拶だけだから、皆好きに見てて、すぐ終わるからこの後お昼にしよ」
「「は〜い!」」
二人のかぐや姫が元気よく挨拶を返し、三人はヤチヨから離れないようにしながらも順路通りに見て回る。
「っていっても私達、何もわかんないよね〜」
「3人はまだいいじゃん。私なんて彩葉のくれた自動翻訳機無かったら文字すら分かんないんだよ?」
2人はインターネット下であれば当然のように、芦花はナイア仕込みで魔術抜きでもある程度英語が話せる。真実は彩葉の作ったリアルタイム自動翻訳機で解せるものの話すことは出来ない。
そうやってぼやいているとかぐやが気になるものを発見した。
目星【成功】
既に時を刻むことを辞め、中央には鋭利なものが突き刺さった痕跡のある懐中時計。
下に落とした目線の先。説明文には、英語でキルトゥハート(Quiltheart)家の時計と書かれていた。
1477年没。
「…う~ん?」
「どうかした、かぐや?」
「あ、ヤチヨ。いやぁ、なんか引っかかるなぁって、なんでだろ?」
アイデア【失敗】
「…普通の懐中時計でしょ?お値打ち物かな、昔の貴族様のだねぇ」
「う~ん…まいっか」
「二人共〜、次行くよ~」
まだ慣れないヤチヨの肩を貸しながら呼ばれた2人は後ろをついていく。事前の話通り、手早く挨拶を済ませた彩葉が合流し、昼食の為に真実が事前に調べていた店へと足を運ぶ。
「美味しーけど…」
「まぁ、かぐやちゃんやナイア君の料理を食べてる身としては、ちょっとだけ物足りないよね」
「こらこら、真実までそんな事言わない。充分美味しいでしょ。ヤチヨを見習いなさい」
「ヤチヨは何でも美味しくいただけるのです〜」
「…にんじんの付け合わせ残してるのは突っ込んだほうがいい?」
平和に食事を楽しんでいると、5人の卓上に頼んだ覚えのない食事が運ばれる。
疑問符を浮かべていると、スーツを着た老人が丁寧な日本語で語りかける。
「お嬢さん方、我が国は楽しんでいただけてるかな?」
「え、あっはい。これは…?」
「ここのオーナーと知り合いでね。私からのプレゼントだ。日本が好きで、つい嬉しくなって余計なことをしてしまった」
「いえそんな、ありがとうございます」
5人は先程までの言葉が聞こえたのかもしれないと慌てて頭を下げて好意に感謝する。
「旅行かな?もし次の行き先が決まっていないなら、海岸沿いで小さなフェスがあるんだ。行ってみたらどうかな?」
「えっ!?お祭り!?行きたい!」
「へぇ、そんなのやってるんだ」
「小規模なものだけれどね。ちょっとした出店や観光客向けの海上ボート体験もある…妻も好きだった」
ペンダントを優しく擦りながら感傷に浸る老人。
心中を察する一同は、その意を汲むわけではないが、折角だからと、次の行き先を決めたのだった。
それがシナリオの始まりとも知らずに。
海岸沿いで開かれた祭りに、真っ先に違和感を覚えたのは芦花。
神話技能【成功】
ナイアと同じ、微弱ながらも超常の気配。
止める前には既にテンションの上がりきったかぐや達は海上ボート体験を人数分申し込んで同じく乗る。
次に気づいたのはヤチヨ。
PC【成功】
ネット回線がギリギリ繋がっていたことで、辛うじて検索できた今日の天気は快晴。
だというのに、ボートは皆の意思とは反対に波に連れて行かれていた。
ここで初めて、全員の違和感が合致する。
「待って、ヤバくない?」
「ヤチヨ、救難申請出して。皆かぐやから離れないで!」
「え、何でかぐや!?」
「その身体には位置情報が埋めてある、近くにいれば取り敢えず研究所には何処にいるか分かるようになってるから!芦花!」
「うん、流石に…あれ?」
「…魔術、使えないわ」
「アクセスエラー…信号が飛ばせない!」
「やばいやばいやばい揺れ強くなってきてる!」
彩葉は的確にそれぞれに指示を出し、芦花と二人で安全を確保するために魔術を行使しようとする。しかし、転送しようとした魔術は不発、続いて命綱のインターネットも断絶。
真実が声を上げた瞬間、一同の視界はブラック・アウトした。
──
「と、これが今日の事の顛末。皆記憶ある?」
彩葉のまとめに総員が頷き、真っ先にかぐやが声をあげる。
「これってピンチ!?かぐや達遭難しちゃったの!?」
「かぐや姫ならぬ人魚姫になっちゃったってこと?」
「そんな呑気なこと言ってる場合じゃないでしょ」
「いやほら、多分結構言われるけど、無敵の邪神様がウチらにはついてるじゃん。ね、芦花」
「それがさ…連絡、取れないんだよね」
「「「「え」」」」
「さっきから虚空通して連絡してるんだけど、回線が繋がらない。オコジョ君は動けるけど、電池式みたいなものだからあんまり大きな魔術は使えないし…」
「え、ガチ遭難じゃん。しかも普通のじゃなくない?」
体育座りで落ち込む芦花をかぐやとヤチヨが宥め、周囲を見渡した真実が異常事態を改めて認識する。
しかし、この程度の窮地は既に乗り越えた2人が彩葉の腕を両側から取って声をあげる。
「ぜ~んぶまるっと大丈夫!我らが地球の叡智、酒寄彩葉がここにはいるんだから!」
「そうそう〜、不安になることないよ!皆ならきっと全部大丈夫!ヤッチョ達が保証しちゃう!」
楽観的。言い換えれば2人の前向きな言葉。
ふと、笑みがこぼれた3人の感情を奪い去るように、海を背にして手を合わせる彼女達の背後からソレは突然現れた。
ヌメヌメとした体表、ぎょろりとした目玉。
大柄な成人男性程の体長に、魚の顔をつけたような化け物が彼女達に牙を剥く。
45【成功】
24【成功】
78【失敗】
27【成功】
41【成功】
減少値【1.1.4.2.1】
削れたSAN値に上がる絶叫。
物語は、まだ導入を終えたばかり。
絶海の孤島に誘われた5人を待ち受ける残酷な結末。
シナリオ"絶海祭り"が始まった。
始まりました、シーズン2!
物語はまだ導入です、考察するに到れるパーツは少ないですが、しっかり伏線はあります。是非、お読みの皆様、彼女達の紡ぐシナリオの結末を見届けてください!
ちなみにダイス順は基本は名前の五十音です。