side渡我被身子
放課後。用事があったので保健室に行ったあと、教室に帰ってくると教室にお茶子ちゃんが居た。
「……」
どこを見てるんでしょうか。……窓?空?
私に気が付かないほど見入るものがあるんでしょうか?
「お茶子ちゃん?どうしました?」
「うひゃぁ!?えっ!?被身子ちゃん!?どどどっどうしたの!?」
「そんなにびっくりします?ちょっと流水さんに会いに行ってました。」
「あ……傷原先生に?そっか。」
また頬杖を着いて窓に目をやるお茶子ちゃん。
私も窓を見てみるが、何の変哲もない空。これといって面白いものは何もありません。
「……あのね。被身子ちゃん。」
「はい。」
「進路決めた?」
「はい。私はこれから医大と教員免許を取ってきます。」
「…………すごいねぇ。」
「勉強に困ってることは今のところ無いので。」
「…………。」
お茶子ちゃんは窓から目を離さない。まるで何かを探してるような……
「私ね。目標がないんだ。」
「目標ですか?」
「うん。やりたいことがないんだ。」
「……。」
「あのね、みんなはヒーローになるのは当たり前として、多分どんなヒーローになりたいか。どうすればいいかとかぜーんぶ頭に入ってると思うんだよね。」
「はい。」
「…………私は無くて。障子くんの異形差別に苦しむ人たちを救うってのもすごいし、飯田くんみたいな兄の事務所を引き継ぐってのもすごい。被身子ちゃんだって傷原先生みたいなヒーローになるんでしょ?すごいよ。」
「そうですか?……嫌な気持ちはしませんね。」
「ふふ。……だからさ。どうすればいいのかわかんなくなっちゃって。本も読んだし、色んな人から話を聞いたし……でも見つからなかったんだ……。」
「……。」
「……ごめんね?なんか被身子ちゃんなら言いやすくてさ。何処となく傷原先生みたいだからかな?」
今お茶子ちゃんが無理して笑ってるのは相手が流水さんじゃなくてもわかる。きっと私に縋ってる。解決策を求めてる。そのうえで諦めてる。
このままふわふわな状態で行っても多分お茶子ちゃんは要領がいいから成功する。
……でもそれが絶対楽しくないことなのもわかる。
……だったら。私が行かなかった道を示してあげるのも……いいのかもしれませんね?
「ね。お茶子ちゃん。」
「ん〜?」
「クラスの皆がやってないことやるのはどうです?プロヒーローのやってることをやってみるってのは。」
「……やってないこと?やってること?」
「はい♪……例えば流水さんのやってる事……とか。」
「…………えぇ!?私が公安に!?」
「いえいえ。そっちじゃなくて。個性で悩んでる人を救ってみませんか?」
「……え?」
「お茶子ちゃんは他人に理解を示せる人です。それが爆豪くんでも、緑谷くんでも。私はどちらもあまり好きじゃないんですけど……あなたは彼らを受け入れようとしたでしょう?」
「いや……まぁ……っていうかそれが友達じゃない?」
「私には出来ないことですので。すぐ態度と顔に出ちゃうんですよね。」
自分のほっぺをぷにぷに。……あれ?少し太りましたか?私。
「そうだね。」
「ね。お茶子ちゃん。あなたしか出来ないことじゃないかもしれません……が、きっとあなたにも出来る事です。流水さんに掛け合ってみるので色々聞いてみません?」
「…………いいの?」
「はい。嫌だと思ったら辞めればいいので。……っていうかこのクラスの人達は流水さんを頼らなすぎます。私のお嫁さんだからって遠慮してるんですか?」
「いや!……だって……人のお嫁さんに手を出すのは……」
「狙ってるんですか?……違いますよね。昔はジェラシー感じてましたけど……今は別にその程度で崩れる関係じゃないので。それに私は流水さんを信じてるので。だからといってアプローチしちゃ嫌ですよ?」
「……そっか。」
「はい。……お茶子ちゃんも信頼できる人が出来たらいいですね。」
「え?」
お茶子ちゃんの耳元に顔を寄せる。
「緑谷くん。……そろそろ卒業しちゃいますよ?」
ボッ
「なっなななななな!?!?」
一気に顔が真っ赤になったお茶子ちゃんを尻目に、カバンを持って教室の出入口に。
「ふふ♪それでは外に流水さん待たしてるのでさようなら。また明日お話しましょうね?」
「……まって!被身子ちゃ……」
何か聞こえた気がしましたけど、そのままスイスイと教室を、学校を後にする。
校門前で、私の愛しい後ろ姿を発見しました。
「流水さん。お待たせしました。」
「お、じゃあ帰ろっか。」
「はい♪……流水さん。私太りました?」
「え?世界的に被身子ちゃんの体積が増えるのはいいことじゃないの?」
「そういうことじゃ……まぁいいです。」
「??」