The Hypocrite's Archive 作:Xelphyr
誤字脱字報告も同じく励みになります
「と、とりあえず……アリスにはこれを渡さないとね。はい!」
モモイはアリスに一枚のカードを渡す。
「学生証……?」
「この学生証は、私たちの学校の生徒だっていう証明書。それにヴェリタスがハッキ……ゲフンゲフン、登録してくれたから、もうアリスも正式に私たちの仲間だよ!」モモイ
「……今、ハッキングって言いかけた?」ミドリ
「気のせい気のせい」モモイ
「そっか」ミドリ
「仲間……なるほど、理解しました……パンパカパーン、アリスが仲間として合流しました!」アリス
「話し方はもう大丈夫そうだね! ……あとは、武器かな」モモイ
「武器?」アリス
「よし。アリス、せっかくだから案内するよ」モモイ
「案内……?」アリス
「そう! 私たちの学校、ミレニアムを!」モモイ
モモイ達はアリスにミレニアムを案内することに決定、しかしその前にやるべことが一つ。アリスの武器についてだ。某氏曰く、『キヴォトスで武器を持っていない人は、裸で街を出歩く人よりも少ない』……らしい。
「キヴォトスの生徒は、みんなそれぞれ自分の武器を持ってるの。だから、アリスにも武器を見繕って貰わないとね」モモイ
「武器ね……」隆一
「調達する方法は色々あるけど、手っ取り早く手に入れるなら、……やっぱりエンジニア部かな」モモイ
エンジニア部ならアリスに合った武器を発明してくれるかもしれない、そう思ったモモイは先にエンジニア部へ向かうことに。ちょうど彼もそこに用があった。
「エンジニア部、俺も用あったからちょうどいい」隆一
「先生も何か頼んでたの?」モモイ
「頼んでたってわけじゃなくて、少し前、そのエンジニア部から連絡が来たんだ。『先生の武器を作ったから是非使ってくれ!』って」隆一
「成程……」モモイ
「その通り」隆一
「ちなみに何を作って貰ってるの?」モモイ
「武器」隆一
「武器?……先生に?」ミドリ
「モモイ、ミドリ、何かまずいのですか?」アリス
「先生はもう拳銃持ってるでしょ!!」*1
「受け取ってくれって言われて、断れなくて…」隆一
ゲーム開発部一行はエンジニア部の部室へと足を運び、二人の武器を受け取りに行った。
エンジニア部
ミレニアムサイエンススクールの部活の一つで、校内にある武器を制作・修理を行う部活である。
学園全体で数多くの実績を残すミレニアムの中でも抜きん出てトップクラスの実績を残す部活で、「マイスター」と呼ばれる機械絡みの天才が多く所属し、ハードソフト両面において極めて優秀な上、彼女たちの発明品はキヴォトスでも広く重宝されている。加えてミレニアム内に限らずキヴォトスの広域で機械施設の保守点検や修理も請け負っており、その影響力は校内校外を問わず大きい。
そしてそんなキヴォトスを技術面で牛耳ってると言っても過言ではないそんな部活には、
多種多様なすごいロボットを発明し続けている、ハードウェアの申し子。生真面目で責任感が強く、誠実な人柄の
専攻の機械工学に限らず、史学や天文学にも明るいなど、相当の知識量を誇る。その一方で、一度語り出すと止まらないおしゃべりな暴走癖を持つ
寡黙で無口だが、工学に関する頭脳は学園一のピカイチで様々な発明品を生み出した人物で、その格好はかなり露出の多い、派手な格好をしている
が主に属していた。
「広いな…」
流石はミレニアムのトップオブトップと言うべきか。工房と言うにはあまりにも規模がでかい。まるで工場だ。
そもそも広さがそこそこの企業の工場レベルで置いてある器具でそれも見た事が無い物ばかり、この部で作ったであろう兵器の数々は量もクオリティもツッコミどころも凄い物だらけ。
「前にも確かコールドスリープしようとして『未来でまた会おう』って言いながら冬眠装置を作って騒いだ挙句、皆して風邪引いてなかった?」モモイ
「それじゃ未来直行エクスプレスじゃなくて病院直行エクスプレスじゃねえか」隆一
「未来直行エクスプレスなら今でもよく使っているよ……まぁ冷蔵庫として、だがね。食べ物をもっと先の未来に送れるようになったから失敗ではないさ」ウタハ
「ただの冷蔵庫じゃねぇかって…そういや……アリスの武器は見つかったか?」隆一
「はい!アリスはあれがいいです!」アリス
アリスが指差した先にあるのは巨大な武器、それも人が持つような代物では無く、言うなれば戦艦や戦車につけるようなサイズの物。
「でっか」隆一
「エンジニア部は今、ヘリコプターや汎用作業ロボットに続いて宇宙戦艦の開発を目標としているのです!このレールガンはその最初の一歩で、大気圏外での戦闘を目的として開発された実弾兵器!これはミレニアム史上明らかに類を見ない試みです!」コトリ
「かっこいい…聞いただけでワクワクしてくる!」モモイ
「流石ミレニアムのエンジニア部!今回は上手く行ってるんだね!?」ミドリ
「ふっふっふっ、勿論です!…………と言いたい所なんですが、今は中断してまして」コトリ
「えええっ!?なんで!期待したのに!」モモイ
「いつもの事ながら技術者達の足を引っ張るのは何時の世も想像力や情熱の欠如では無く予算なんです……このレールガンを作るだけで下半期の予算の70%も掛かったのに宇宙戦艦そのものを作るには果たしてこの何千倍の予算が掛かる事やら……」コトリ
「そんなの計画段階で分かる事じゃん!どうしてこのレールガンの完成まで持って行っちゃったのさ!?」モモイ
「愚問だねモモイ……ビーム砲はロマンだからだよ」ウタハ
「その通りです!ビーム砲の魅力が分からないなんて、全くこれだからモモイは」コトリ
「バカだ!頭良いのにバカの集団がいる!」モモイ
そうモモイがツッコミを入れるがエンジニア部には響かない。
「そしてエンジニア部の情熱が注ぎ込まれたこの武器の正式名称は……光の剣:スーパーノヴァ!!」
「「おー」」モモミド
「ひ、光の剣!?」アリス
「あ、アリスの目が輝いてる!?」モモイ
「わぁ、うわぁ〜〜!」アリス
「アリスちゃんがこんなに興奮してるの初めて見たかも」ミドリ
「………これ、欲しいです」アリス
「……え?」ウタハ
「偉大なる鋼鉄の職人よ、あの龍の息吹が欲しいのだ」アリス
「うーん、そう言ってくれるのは嬉しいのだけど……」ウタハ
「申し訳無いのですがそれはちょっと出来ないご相談です!」コトリ
「何で!?この部屋にある物なら何でも持って行って良いって言ったじゃん!」モモイ
「やっぱり丹精込めて作った物だから人に渡すのはいや?」ミドリ
「いやぁそうでは無くて…」コトリ
「いや、お金云々の問題では無くてもっと単純な理由さ」ウタハ
「金より単純……?」隆一
「抑の話この武器は個人の携行火器として使うのは大きすぎる上に重過ぎるのさ」ウタハ
「なんと基本重量だけでも140kg以上!さらに光学照準器とバッテリーを足した上で砲撃を行うと瞬間的な反動は200kg超えです!」コトリ
「………つまり引くほど重いって事か?」隆一
「そうです!」コトリ
武器自体宇宙戦艦の艦砲として作られている、要するに人間が持つ前提で作られていないので、例えキヴォトス人であったとしても流石に持ち上げるのは不可能……
「確かに……
のはずだった。彼はスーパーノヴァを手を使う事なく、
「「……?」」*2
「…はい?」*3
「…え?」*4
「…????」*5
「アリス、持ってみる?」隆一
「はい!アリスは光の剣を先生から受け取り、装備します!」アリス
「え、待ってください!それは先生が簡単に持ち上げられただけでアリスちゃんは―」コトリ
「も、持てました!!」アリス
「140kgを持ち上げれる存在が……この場に二人もいるだなんて…」ウタハ
光の剣を持ちルンルン気分のアリス、まさかそんなことが…とウタハ達は驚いていた。
「……アリス、一度点検を行うからこちらに」ウタハ
「えーと…ボタンは」アリス
「待って、危ない!」ウタハ
アリスがスーパーノヴァのボタンを押した、その刹那
チュドォォォォォン!!
銃口から放たれた巨大なエネルギー弾は、天井を突き抜け遥か空の彼方へと飛んでいった。
幸いにも銃口は上を向いていたため、彼に直撃して粗挽き肉とトマトソースのミックスが工房に撒き散らされる最悪のシチュエーションこそ回避されたが、それでも天井に大穴を開ける威力に、その場にいた全員は戦慄する他なかった。
「気を取り直して……これが、先生の武器だ!」
台車で運ばれてきた巨大なプラスチック製の長持から、彼の武器が取り出される。
全長に渡って露出した一対の電磁加速レールと、重量感のある直線的なフレームを特徴とする大型火器。外装は暗い金属色で統一され、装飾性よりも機能性を重視した無骨なデザインとなっていた。
「スーパーノヴァで得たノウハウをもとに、小型化と軽量化、そして量産性に特化したエネルギーガン、『レーヴァテイン』です!」コトリ
「レーヴァテイン…」隆一
「瞬間的な反動が200kgを超えるスーパーノヴァのエネルギー機構を小型化し、反動も20kg前後になるように調整しておいた。ただ…」ウタハ
「ただ?」隆一
「デメリットがいくつかある。まず一つは、一度に五発以上の連射は出来ない上、冷却を含めると連射から次の発射まで最速でも5分、自然冷却だと1時間以上かかってしまうんだ」
「…というと?」隆一
「内部で核融合を行っている都合上、あまりにも高い負荷をかけすぎると、1億度を超える超高温のプラズマが発する熱に耐えきれずブランケットが融解してしまう。ブランケットがあるとはいえど、外部への熱伝導がゼロになるとは限らないから最悪触れただけで大火傷では済まなくなる可能性がある」
「諸刃の剣どころじゃねぇじゃんか」隆一
「勿論シャットダウンすればプラズマも無力化されるが、だからと言って金属に蓄積された熱が一瞬で零になるわけではない。だからこそ…」ウタハ
そう言いながら、ウタハは未来直行エクスプレスからジェリカンを取り出し、レーヴァテインのアッパーレシーバーの部分に開いていた給油口のような穴に漏斗のような器具を用いてジェリカンの中身を注ぎ込む。
「使用前・使用中・そして使用後の冷却は欠かせないものだ。」ウタハ
「…液体はなんでも良いのか?」隆一
「温度が低ければ大抵なんでも良い。氷水でも湧き水でも、なんなら自販機のジュースでも良いさ。ただガソリンはやめてくれ。沸点が低い上、体積が膨張して吹きこぼれたり、ガスが発生して熱で爆発する危険性もある」ウタハ
「…超危ない兵器じゃないか」隆一
「…そして二つ目のデメリットがある。それは、」ウタハ
「「「「それは…?」」」」ウタハ以外の一行
「…もはや銃である事を諦めてしまった威力になっている点だ。」ウタハ
「…はい?」隆一
「百聞一見、実際に見た方が早い」ウタハ
ウタハの案内で、エンジニア部・ゲーム開発部の一行は巨大なグラウンドに招かれた。
そしてウタハがボタンを操作すると、グラウンドの床が巨大なドアのように開き、四脚型の巨大な戦車が体育館に現れた。
「これが今回のターゲットだ」ウタハ
「ターゲットはターゲットでもガチの
なんでこんな重装備なんだ!!??」
「…念の為…ね。まだ試射もしてないし」
「しろよ」
「すまない」
試射に際し、彼には様々な耐熱装備が支給されている。こんなゴツい装備が必要な代物を、どうして俺に託したのかと疑問でしょうがない彼であった。
「…撃つぞ」
「構わん」ウタハ
「…撃つぞ!」
「…だから構わんと…」ウタハ
「絶対に撃つからな!」
こんな緊張した雰囲気であるにも関わらず、遺伝子単位で刷り込まれた某ダチョウ倶楽部精神には抗えない彼なのであった。
…余計な茶番はさておき、彼はレーヴァテインを構え、エネルギーの装填を始める。
引き金を引くと、先端にエネルギーが溜まっていく。二対の加速レールの先端から放たれたエネルギーは球状に収束し、そのエネルギーはまるで太陽のような輝きを見せる。
ウタハからレーヴァテインと共に支給されたスマートゴーグルに描かれたエネルギー値が、0.5、1、3と上がっていき、その度に、銃身から伝わる熱がどんどん強く、そして温度もどんどん高くなっていく。
暫くして、いきなり最高火力で撃つのはまずいと思ったのか、彼はエネルギー値が7.5を超えた辺りで引き金を引いた。
そして…
ズドォォォォォン!!
引き金を引いた刹那、エネルギーが急激に圧縮され、その反動で放たれたエネルギーはトリニティから廃品回収の名目で取り寄せたクルセイダー巡航戦車の重装甲をまるで熱したバターを切るように易々と貫通。装甲が
「……ああっ…」モモイ
「…嘘でしょ…」ミドリ
「…ちょっとやり過ぎたね…」ウタハ
「…10%以下でこの火力…とんでもねぇもん手に入れちまったな…」隆一
暫くして、散乱した装甲の破片を回収したが、どれも泡のように腫れ上がっており、その場にいた皆は改めてレーヴァテインの恐ろしさを思い知るのだった。
「パンパカパーン! アリスはバグ兵器を手に入れた!」
しかしアリスだけは、この状況でも嬉々としていたのだった。
レーヴァテインの発射描写はガトランティスの火焔直撃砲を参考にしています。