The Hypocrite's Archive   作:Xelphyr

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馬鹿者(エゴイスト)

エンジニア部から二人の武器を調達し帰ってきたゲーム開発部一行。部室へと戻ってきた彼女たちは……

 

 

 

「さてっ、もう廃部の危機は免れたんだし、安心してゲーム三昧できるね!」モモイ

 

「いやダメでしょ。それにユウカちゃんに何かいうんじゃなかったの?」ミドリ

 

「もちろん言ったよ!今日の午後にアリスの資格審査に来るってさ」モモイ

 

「資格審査?」隆一

 

「いやいやいや、初めて聞いたんだけど!? 資格検査って何!?」ミドリ

 

「うーん、私もよく分かんないけど、大丈夫でしょ! アリスの準備についてはもう完璧なんだし」アリス

 

「………ほんとに大丈夫か?」隆一

 

 

 

 

何かを準備したモモイ曰く、ハッキングで生徒登録は済ませたみたいだが……モモイがモモイである以上若干の不安を感じていた隆一。

 

 

 

 

「アリス、自己紹介を!」モモイ

 

「私の名前はアリス・ザ・ブルーアイ、ドワーフ族の槍騎士。使用武器はガンランス『火竜の牙』、出身地は……」アリス

 

「いや、ゲーム内アバターのプロフィールじゃなくて、アリス自身の!」モモイ

 

「あ、間違えました。……私の名前はアリス、ミレニアムサイエンススクールの1年生。最近転校してきたばかりで受講申請のタイミングを逃してしまったため、まだ授業の登録ができていない状態なのですが、来月から正式に授業へ参加する予定です」アリス

 

「おおそれっぽい!」モモイ

 

「た、たしかに大丈夫そうだけど……」ミドリ

 

「完璧じゃん! これならいけるって!」モモイ

 

「ううっ、本当に大丈夫かな……」ミドリ

 

「…と、噂をすればやってきたな」隆一

 

 

 

 

廊下から響き渡る足音、一行はすぐにユウカが来たであろう事に気づいた。

 

 

 

 

「……あり得ないわ。ゲーム開発部に新入部員が入ったなんて、あり得ない……」ユウカ

 

「ふっふっふ、残念だけど、事実だよ!」

 

「……?」アリス

 

「あなたが噂のアリスちゃんね。ゲーム開発部に入った、4人目のメンバー」ユウカ

 

「……」

 

「……ふーん、ミレニアムの生徒ならほぼ全員把握してると思ってたけど……」

 

「全員…流石は()()()()()()()()だな」隆一

 

 

 

 

ユウカは訝しげな顔でアリスの事をじっとみる。

 

 

 

 

「……私がこんなに可愛い子のことを知らなかったなんて、ちょっと信じられないわね」

 

 

 

 

「ユウカ、なんか基準変じゃね……?(お前、さては■リコンだな…?)」

 

 

「……??? ……よ」アリス

 

「よ?」ユウカ

 

 

 

 

妖怪が出現しました……!

 

 

 

 

「妖怪!?い…今この子、私のことを妖怪って言ったわよね!?」ユウカ

 

「か、勘違いだよ!妖精って言ったのを聞き間違えたんでしょ、もう、アリスは嘘がつけないんだから!」モモイ

 

「くっ……悪役には慣れてるとはいえ、まさか初対面の子に妖怪扱いされるだなんて。……良い度胸してるじゃない」ユウカ

 

「まあユウカ落ち着けって」隆一

 

 

 

 

何とかしてユウカを落ち着かせた後、ユウカがンンッ!と咳払いする。

 

 

 

 

「と、兎も角!これで部の規定人数は満たしたし、ゲーム開発部は存続ってことでOKだよね?」モモイ

 

「存続……。確かにそうね……この子が本当に、自分の意志でここに来た部員だったら!……の話だけどね。本来は部員の加入を申告すれば、それだけでよかったのだけれど……ゲーム開発部の都合上脅して無理やり加入させていると言う可能性もある」ユウカ

 

「人聞き悪いよ!私達はそんなことしてないもん!」モモイ

 

「そーだそーだ!」ミドリ

 

「……取り敢えず、アリスちゃんには簡単な取り調べ……あら、思ってもない言葉が……じゃあ、いくつか簡単な質問をするわね。安心して。そんなに時間はかからないわ」ユウカ

 

「………せ、選択肢によっては、バッドエンドになることもありますか?」アリス

 

「バッドエンド……まぁ、そういうこともあるかもね。それじゃあ……アリスちゃん……――質問を、始めるわ」

 

 

 

 

辺りに緊張が走る。

 

 

 

 

「アリスちゃん、あなたがゲーム開発部に来たきっかけは何?」ユウカ

 

「え、えーと……えっと、『スーパーマニラブラザーズ』がやりたくって……それで、ゲーム開発部の存在を知って……」アリス

 

「…なるほど」ユウカ

 

「(よし、このまま行けば大丈夫だな)」隆一

 

 

「でもここはレトロゲーム愛好会じゃない、あくまでもゲーム開発部。……つまり、あなたもゲーム作りに参加するということよね? 何を担当するの?」ユウカ

 

「タンク兼光属性アタッカー……じゃなくて!プログラマーです!」アリス

 

 

 

 

「ふーん、プログラマーねぇ……すごく難しい役割だと聞くけれど」ユウカ

 

「はい、そ、そうです。プログラマーは大変です。過労で意識を失ったりもします」

 

「な、なんですって!?」ユウカ

 

「それでも大丈夫です!」アリス

 

「いや、大丈夫じゃないでしょ……ちゃんと休みなさいよ!」ユウカ

 

「問題ありません!宿屋で一晩寝れば…」アリス

 

「そんなわけないじゃん……いえ、もういいわ」ユウカ

 

「そうですか……?」アリス

 

「アリスちゃん、あなたのことについては概ね理解できたわ……」ユウカ

 

「(もうダメだぁ…)」モモイ

 

「(おしまいだぁ……)」ミドリ

 

「ちょっとまだ怪しいところはあるけれど、……ゲームが好きだってことは十分伝わったわ」ユウカ

 

「ということは?」アリス

 

「……そうね、認めましょう。ゲーム開発部の4人目のメンバー……」ユウカ

 

「え……?」アリス

 

「っていうことは……!」モモイ

 

「規定人数を満たしているので、ゲーム開発部を正式な部活として認定するわ……」ユウカ

 

「やったぁ!」モモイ

 

「良かったぁっ!」ミドリ

 

「そ、そしたら部費も貰えるし、このまま部室を使ってもいいんだよね!?」モモイ

 

 

「……そうね、()()()()()は、ね」

 

 

「……え?」モモイ

 

「な、な、なんで!?」ミドリ

 

「それと、()()()()()部費なんて出る訳ないじゃない」ユウカ

 

「……話が違うぞユウカ。自分が言ってる事を理解して…」

 

 

 

「あら、そう言えば伝えてなかったけど、部活の存続は規定人数だけじゃなく、()()()部としての成果を証明しないといけないのよ。その期間は()()()()()!結果を出せない部活は、たとえ4人だろうが400人だろうが、廃部になるのよ」

 

 

 

ユウカの声はあまりにも冷徹で、そしてあまりにも無慈悲極まりなかった。

 

「嘘だ、あり得ない!」ミドリ

 

「あり得るの!この間、セミナーで可決された内容なんだから!」ユウカ

 

「…嘘っ…」モモイ

 

 

 

 

ここまでの話をまとめるとユウカの話によると、現在は部の存続の条件として成果の証明をしなければいけなくなったらしい。

 

では何故それをゲーム開発部が知らなかったというと、セミナー内部での密室会議で決議された内容であり、ゲーム開発部はおろか、しっかり実績を上げている他の部活にさえも、報連相のいずれもされていないと言う有様だったからだ。謂わばステルス改訂。ゲーム開発部以外の他のペーパークラブをも、半強制的に潰せるようにする無慈悲というより強権的な改正であった

 

 

 

 

「……正直なところ、アリスちゃんの正体も怪しいし、本当ならすぐに退去を要請しようかとも思っていたのだけれど……正体はさておき、ゲームが好きだっていうのは分かったわ。猶予を与えたのは、その気持ちが本物だと思ったからよ――モモイ、あなた言ったわよね? ミレニアムプライスで、びっくりするぐらいの結果を出して見せるって」ユウカ

 

「そ、それはそうだけど……」モモイ

 

「新しいメンバーも増えたことだし、それなら前よりもちゃんと面白いゲームが作れるんでしょうね?」ユウカ

 

「つ、作れる……はず…です」モモイ

 

「それじゃあ、楽しみにしてるわよ」ユウカ

 

 

 

 

ユウカは詰問、と言うより恐喝じみた声でそう言って部屋から出て行こうとドアに手をかける、すると出ていく寸前で振り返り、彼にこう言う。

 

 

 

 

「先生、ゲーム開発部は今まで成果を出さず……ゲーム開発部という看板を掲げながらもゲームを殆ど作らず、引き篭もってゲームをしてるだけだったんです」

 

「………」

 

「その日々の行いが招いた結果が今のこの状況です……先生、今一度……独立連邦捜査部、基貴方に与えられたその広範且つ強大な権限を、こんな怠惰を極めたダメ人間の延命の為に使うべきではありません。先生には、近々締結される予定のエデン条約の混乱の収拾や、単純にシャーレとしての仕事…その他にも解決を依頼されている様々な資料など、他の仕事も山積しています。いい加減、息抜きと称してこんなところで時間と金銭を浪費しないで下さい…それでは」

 

 

ユウカはそう言ってその場を去った、残ったメンバー達の顔は暗くなり、彼もまた、難しそうな顔をしていたが…

 

「…やれやれ」隆一

 

……先生…」モモイ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…馬鹿者が

 

「「「「!?」」」」ゲーム開発部

 

「…せ…先生…?」モモイ

 

モモイはいち早く、彼の風貌の変化に気づいた。自称二十代の面影はそこにはなく、目に光も感情もなく憤るその姿はモモイ達ゲーム開発部一行にとって、まるでゲームのラスボスのような印象を与える。

 

「…セミナーのエリート気取りの功利主義者は随分とまあ、甘い汁吸ってぬくぬく生きてるようだな……ククッ…クククッ…」隆一?

 

「先生…様子が変…」ミドリ

 

「…まあ良い。独立連邦捜査部(シャーレ)に楯突く自称エリートのゴミクズがどうなるか、目に物見せてやるよ…」隆一?

 

セミナーを、そしてユウカを()()()()()()()と、挙げ句の果てには人前で()()()()と罵るほどの彼の感情の変化に、ゲーム開発部は震える事しか出来なかった。

 

そして、心の中である事を決意する彼なのであった。

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