The Hypocrite's Archive   作:Xelphyr

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呑気者

「先生…狙撃手のカリンの捕縛に成功した。ただ…」ウタハ

 

「おお感謝感謝…って、ただ?なんかあったのか?」隆一

 

「それがどうも…気が狂ってしまってたようなんだ」ウタハ

 

「…気が?」隆一

 

「聞いても聞いても『モンスターに喰われる』だの『異形の化け物が〜』だの叫んでばかりで、それに…」ウタハ

 

「それに?」隆一

 

「目の焦点が合わないんだ。まるで幻覚(ユメ)でも見ているかのように」ウタハ

 

「…なるほど。D.U.の総合病院を手配しよう。あそこなら利き手の精神科医がいるかもしれん」隆一

 

「尽力感謝するよ、先生」ウタハ

 

そう言い、ウタハは電話を切った。

 

(キヴォトス人には霊波攻撃はオーバーキルなのか…覚えておこ)

 

 


 

 

「先生、誰からだった?」

 

「ウタハだ。どうやらさっきの狙撃の犯人、カリンとかいう奴だっただったみたいだ」隆一

 

「カリン先輩か…通りであんなピンポイントで先生の腕を撃ち抜いたんだね!」モモイ

 

「…腕利きなのか?」隆一

 

「うん…それこそ、ミレニアムの狙撃手と言えば一番に名前が上がるぐらい」ミドリ

 

「そ、そうなのか…(の割には呆気なかったな)」隆一

 

とかこいつはほざいてますが、こいつが人型のモンスターなだけで実際のカリンは強いです。はい。

 

そして保管庫へ向かうその途中、

 

「ん?電話?誰だ?」隆一

 

「先生!」???

 

「うおっどうしたヒビキ!?なんだ!?」隆一

 

「先生、気をつけ──」ヒビキ

 

 

 

ドガァァァァァァン!!

 

 

 

ヒビキから電話がかかってきたその刹那、耳を擘く爆発音が建物を揺るがす。

 

「えええッ!?なになに、地震!?」モモイ

 

「急いで……アカネが爆弾で強引に封鎖を突破した」ヒビキ

 

「あっヒビキちゃん…?分かった!」ミドリ

 

 

三人は一路を急ぐ。

 

 


 

 

ヒビキの報告通り閉じ込められていたアカネは自分が所持していた爆弾を使い、強引にその場から抜け出した。アカネの近くには封鎖を担っていたロボットが爆破の衝撃と彼女の攻撃に耐え切れずボロボロになっていた。

 

 

 

 

「ふぅ、あまり学校の施設を壊したくないのですが……ユウカ、申し訳ないですが、シャッターは無理矢理破壊しました。あとでちゃんと弁償しますので…ゲーム開発部の現在の位置は?」

 

「セミナー本部ビルとは言われたけど、詳しい場所はわからない。生憎カリンも倒されたし」

 

「その様子だと……カリンが負けたのですか?」

 

「ええ…それに精神攻撃を受けたみたいで、エンジニア部の一行が会敵した時には、錯乱していて戦いどころじゃなかったみたいね。その前後の状況を吟味すると、恐らく先生が持つ能力の一部だろうね…」

 

「(物理攻撃のみならず、精神攻撃まで…本当に、末恐ろしい存在ですね…)」

 

「現在地は分からないけど、今は鏡を守っている差押品保管所の方に向かっていると思うわ………お願い、なんとかして」

 

 

 

「投げやりすぎませんか?精神攻撃の件を聞いてなんとか出来るとは─」

 

その刹那だった。

 

 

パッ!

 

 

 

 

彼女の居るフロアの全ての明かりが消え、挙げ句の果てにはユウカと繋いでいた電話まで切れた。

 

 

 

「あれ、ユウカ?ユウカ!」

 

 

 

アカネが呼びかけるが、返答はない。電波ごと切断されたのだろう。

 

 

 

「(ヴェリタス、まさか電力と電波を遮断して……!?)」

 

 

 

その回答に思い至ったアカネはさらに焦り始める。

 

 

 

「(まさか……ここまでするとは、ヴェリタス…!……それに先生も、こんな状況を楽しむほどの愉快な人間……どうしてこういう大事な時に限って()()()はいないんでしょう!)」

 

 

肝心な時に限ってここにいないリーダーに対し、アカネは一人心の中で愚痴っていた。

 

 


 

 

「さっきの停電ってウタハ先輩とヒビキの策が成功したって事だよね?」モモイ

 

「うん、そのはず……確か、このポイントを抜ければ……」ミドリ

 

「あ!やっと来たね!!」???

 

「「「!!?」」」モモミド、隆一

 

 

 

 

目の前に現れたのは一人の女性、アッシュグレーの長髪に青瞳の吊り目、常に明るい笑顔、目を引くダイナマイトボディと左胸のほくろが特徴的な生徒。

 

メイド部・コールサイン01・一之瀬(いちのせ)アスナ

 

 

 

「遅かったね~、だいぶ待ってたよ~。ようこそ、ゲーム開発部の子達!それから先生!」

 

そう無邪気に笑う彼女に若干の恐怖を覚えた才羽姉妹に対し彼は…

 

「…名前は?」

 

平然と名前を尋ねる。

 

「なんで!?」

 

「敵云々以前に生徒だから、最低限名前を聞いた方が良いかな…なんて」

 

「でも…」ミドリ

 

「私は一之瀬アスナ17歳ミレニアムサイエンススクールの3年生、誕生日は3月24日!」

 

「あっ普通に喋った!」モモイ

 

「んじゃ交渉成立だ。俺は天音隆一、呼び名は…まあ『先生』でも『隆一』でも構わんが…独立連邦捜査部顧問、誕生日は4月12日…といった具合かな」

 

((なんか普通に成立しちゃってる〜!))モモミド

 

 

 

「た・だ・し、」隆一

 

「ただし?」アスナ

 

「生憎今は敵同士だ。お愉しみはまた後でだ」隆一

 

「そっか…じゃあ始めよっか!」アスナ

 

念の為邪魔にならないように、モモイとミドリは下がる。こうして、アスナと隆一のタイマンが幕を開けた。

 

 


 

 

 

 

先手必勝〜〜!

 

 

 

 

 

まず動いたのはアスナだった、まず明後日の方向に向かって愛銃「サプライズパーティー」の銃弾を放って彼の注意を逸らし、自分はその隙に前進。

 

 

 

 

遅くも陽動に気づいた彼は少しバランスを崩しつつ千鳥足状態で攻撃を右に左に避け、向かってくるアスナに対しては防戦一方になる。

 

 

 

 

「先生、大丈夫かな…」モモイ

 

「カリン先輩を倒したんだから、大丈夫だよ…()()()」ミドリ

 

「含みがある言い方やめてよミドリ〜」モモイ

 

 

 

 

そして防戦一方の彼の背後に回り、銃口を突き付ける、これで決めるとアスナは引き金に指を置くが。

 

 

 

 

 

 

 

髦イ蠕。菴懷虚

 

「えっ!?」アスナ

 

突然ノイズのような音が辺りに響いたその刹那。ほんの0.2秒にも満たないその時間。

 

彼の周りを薄黒い霧が纏い、その瞬間…アスナの銃「サプライズパーティー」の銃口はまるで花のように裂け、使い物にならなくなってしまった。

 

 

 

「仕方ない!せめて……あれ?」

 

 

 

アスナは握り潰そうとしている手を逆に捕え、彼を後方へと投げようと力を入れたが、バランスを取り戻した彼をその場から動かすことはできず尚且つ彼に腕を掴まれ、持ち上げられて地面から足が離れてしまった

 

「(思ってたより力も強い…まずい!逆に引っ張られて…)」

 

彼はアスナの足が地面から離れたその刹那、チャンスだと思い、アスナに遠心力をかけつつ、自身もアスナを重心に回転を始める。

 

 

 

あ〜〜〜〜〜〜れ〜〜〜〜〜〜〜!!??

 

ラ〜ンナウェ〜〜〜〜〜〜⤴︎⤴︎⤴︎⤴︎イ!!!

 

 

 

アスナが混乱してる事と対照的に、彼は随分とまあハイテンションを維持し、辺り一体にそこそこの風を引き起こすスピードでアスナを振り回し、また自身もアスナを重心に回転する。

 

 

 

「えぇ…(どういう状況?これ)」ミドリ

 

「えぇ…(ごめん。私でもよく分からない)」モモイ

 

「(やばい!めっちゃ目が回ってる!どうしよう!)」アスナ

 

振り回し続け、彼はアスナの体力並びに平衡感覚を奪い続ける。

 

 

 

そして漸く振り回しを止め、再び戦いを始めるが、今度は彼のターン。

 

彼もリボルバーを取り出し、2丁持ちで攻撃を始めるが…

 

「よっと、それ!」アスナ

 

「せ…先生の攻撃を、避けてる!?」モモイ

 

「まるで未来予知かのように、先生の行動を先読みして次々に避けていってる」ミドリ

 

「アッハハ!未来予知なんてそんな凄いもの持ってないよー」アスナ

 

しかし未来予知を持っていないとはいえど、彼の攻撃を直前のわずかな動作で見切り、目が回っているとはいえどそれを回避する。

 

「…つまりは直感という事か」隆一

 

「うん!それ!そんな感じ!ハァ…ハァ…」アスナ

 

そう。アスナ自身身体能力はC&Cである以上かなり高い方。しかし彼女の強さはそれだけではない。恐ろしいのはその直感

 

直感的に次の攻撃は右手の拳銃から放たれる予感がしたから避け、じゃあ今度は左手の銃かなと思い避けた、ただ単純にアスナはそれを行った。

 

「…じゃあ、そんな優れた直感を以てして、俺に勝つ事は出来るかな?

 

「ぜ〜んぜん、余裕…ハァ…ハッ…ハァ…(あれ?どうしてこんなに息が上がって…心臓も早くなってるし…目が…回ってる…)」アスナ

 

「あれ…アスナ先輩…おかしくない?」モモイ

 

「うん…(いや……そういう事か!)」ミドリ

 

 

彼は、アスナが強いのを前提に戦っていた。だからこそ、彼はそれを利用し、アスナの強さ()()である体力を直接殺ぎ落とす戦法で戦った。そしてそれは見事に刺さった。彼女の目は回り、平衡感覚の回復に体力を注いだアスナは明らかに疲れ、まるで徒競走で全力疾走した後のように息も上がり、そして確実に、『勝利(Victory)』は彼に近づき、彼女から遠ざかっていった。

 

 

「んじゃ終わらせるか…」隆一

 

そういうと、彼は両腰のホルスターに銃をしまい、急激にアスナへ接近する。

 

「(やばい、避けられな…)」アスナ

 

彼女の腕を掴み、その腕を体全体の力で引っ張り、地面に叩きつけた。

 

 

 

 

ドン!

 

 

 

 

「手荒ですまん。ただ、俺達は前へ進まなければならん」隆一

 

「(──すごいな〜…先生は)……いいよ、悔しいけど負けちゃった。もう全然動けないや……先生?また会った時は、敵じゃなくて……友達として、遊んでも良い?」アスナ

 

「…構わない」隆一

 

「うん、約束だよ?………いいよね?()()()!」アスナ

 

「………なるほど」隆一

 

 

 

カチャ

 

ドアが開く音が、フロア一帯に響く。

 

 

 

 

「ええ、勿論、みんなです……先生」

 

 

 

 

モモイとミドリ、そして龍一の三人が居たフロアちょうどそこに……銃を構えたユウカとアカネ、そして大量の保安部の生徒たちが到着した。

 

 

 

 

「時間稼ぎ──やられたぁぁぁ!!」モモイ

 

「本当はダウンさせるつもりだったんだけど……ごめん!無理だった」アスナ

 

「いえ…アスナ先輩。時間稼ぎ、よくやってくれました」アカネ

 

「チェックメイトですよ、先生!!」ユウカ

 

「武器を下ろして投降しろ!」保安部生徒

 

 

 

 

漸く敵を倒したとと喜んだ矢先、全てセミナーの仕組んだ「罠」に過ぎなかったという大どんでん返し。

 

 

一行の運命や如何に…

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