The Hypocrite's Archive   作:Xelphyr

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シャルウル

「さて、コレを使った戦闘なんて本当に久方振りだが……っ!」ウタハ

 

「ウタハ先輩、着弾三秒前!」ヒビキ

 

「了解だよッ!」ウタハ

 

 

降り注ぐ弾幕の中、白い上着を靡かせ駆けるウタハは手元の愛銃、マイスター・ゼロ(MAC11)。その銃口をアバンギャルド君へと向けながら駆ける。引き金を絞れば乾いた銃声と共に閃光が網膜を焼き、アバンギャルド君の装甲を弾丸が強かに叩く。

 

 

「二、一、着弾──今!」ヒビキ

 

 

後方で迫撃砲──ファンシーライト(LRM vz. 99 ANTOS)を構えたヒビキが叫び、直後に上空から三発の砲弾が順次降り注ぐ。街道に着弾した砲弾は炸裂し、爆音と爆炎を撒き散らしながらアバンギャルド君の機体を揺らす。

 

 

「至近弾!動きが止まった!」ヒビキ

 

「ミドリッ!突っ込め!」先生

 

「はい……ッ!」ミドリ

 

 

物陰に身を隠し、爆風より身を守っていた先生はミドリの視界に指示を飛ばす。フレッシュ・インスピレーション(G3 SG/1)を構え、スコープを覗き込んだミドリ。狙いは上半身右側、二本の腕を繋ぐ球体関節。

 

 

「撃ちますッ!」ミドリ

 

 

告げ、屈んだ姿勢から放たれる狙撃。弾丸は一条の光となって爆炎を穿ち、狙い通りアバンギャルド君の肩、球体関節部位に着弾、甲高い金属音を打ち鳴らした。

 

 

「関節──やはり、他と比べて装甲が若干薄いか」先生

 

「先程と比較して明らかに盾を構える速度、繊細さが欠けている、どうやら効果的な攻撃の様だね」ウタハ

 

「ヴェリタスの妨害、これに先生の支援が加われば……!」ヒビキ

 

「絶対に突破出来ます、私達なら!」コトリ

 

 

エンジニア部の三人が歓喜の声を漏らし、勇ましくアバンギャルド君へと立ち向かっていく。全員の視界、一斉に表示される攻撃前兆アラート。

 

 

「攻撃、来るぞ!」先生

 

「させませんッ!オーバークロック……ファイアッ!」コトリ

 

 

攻撃の予兆、しかし攻撃を行う瞬間というのは最も無防備なもの。コトリは愛銃であるミニガン、プロフェッサーK(M134D)を構えると勢い良く発射ボタンを押し込んだ。

 

 

「うぉ~ッ!燃え上がります!──あだっ、あ()ぁッ!は、破片がッ!」コトリ

 

「こ、コトリ、ガジェットが無いんだから無理をしないで……!」ヒビキ

 

「コトリにばっかり良い恰好はさせないよッ!私の怒りの弾丸を喰らえ~ッ!」モモイ

 

「──ユズ、今だッ!」先生

 

「……!」ユズ

 

 

ほんの一瞬、構えられていた盾が浮き、脚部を覆い隠していた障害が取り除かれる。ユズは先生の声に素早く応え、照準器を覗き込んだ。

 

 

「や、やったっ、直撃……ッ!」ユズ

 

「流石、ユズ!」モモイ

 

「ナイス、ユズちゃん!」ミドリ

 

「内部機構に直撃だ、これなら足回りは使えないだろう」先生

 

「アレは、暫く動けない破損だね──つまり」ウタハ

 

大技のチャンス、ですねッ!?」コトリ

 

「この時を待っていた、行くよ、エンジニア部!」ウタハ

 

「ラジャー!」コトリ

 

"アレ"を使うんだね、ウタハ先輩……!」ヒビキ

 

「えっ、あ、あの、あれって何の事!?」モモイ

 

 

「ふふッ、実は先生に渡したレーヴァテインの折、セミナーに直談判して秘密裏に予算を増額して貰ったんだ、『特別予算』という形でね、その増額予算を全て費やして試作した超高性能機……!」ウタハ

 

「私達エンジニア部、約三ヶ月分の予算をつぎ込んで作った最強の遠距離武器──」コトリ

 

 

「「「その名も──シャルウル!」」」エンジニア部

 

 

「流石に先生が常用する銃にチャージ機能は搭載出来てない。実際あの銃は半ばプロトタイプのままの状態だったから……」ウタハ

 

「こんな事もあろうかと、ですねッ!」コトリ

 

「……うん、やっぱりチャージ機能には浪漫あるよ」ヒビキ

 

「そ、そうなの……かな?」ユズ

 

「……ちょっと分かるかも」ミドリ

 

「ミドリ!?」モモイ

 

クッソ分かる」隆一

 

「先生!!??」モモイ

 

「さぁ、それでは発射しようじゃないか──!」ウタハ

 

「遂にこの瞬間がっ!」コトリ

 

「ずっと、使うシチュエーションを待っていたよ……!」ヒビキ

 

「本当なら先生に発射して貰いたかったけれど、これは発射の衝撃だけで並のキヴォトス人以外には衝撃と負担が発生するからね、申し訳ないけれど私が発射させて貰うよ……!」ウタハ

 

「まぁ構わねぇ、後で俺に撃たせてくれよ?」先生

 

「…も、もちろんだ!行くよ皆、準備はッ!?」ウタハ

 

「いつでも!」コトリ

 

「……うん!」ヒビキ

 

 

ウタハがシャルウルを掴み、大きく振り被る。地面を踏み締め、大きくスタンスを取ったウタハは前傾姿勢を形作る。シャルウルを握る指先に力が籠り、彼女の口元が緩む。シャルウルの先端に青白色のエネルギーが装填され、同じ青白色の稲妻をバチバチと放ち始め…

 

 

「エネルギー充填、15%…」ウタハ

 

「「「──発射ぁ!」」」エンジニア部三人

 

 

叫び──引き金を引く。放たれたエネルギーはアバンギャルド君が構えた盾と衝突──貫通。

 

 

「うわっ!?」モモイ

 

「ひぇッ!?」ミドリ

 

「せ、先生!」ユズ

 

 

一拍遅れて響く轟音、風圧、思わず全員が顔を背け、エンジニア部の三人は衝撃を殺しきれず三人纏めて後方へと吹き飛ぶ。あのあらゆる弾丸を弾き、防いだ鉄壁の盾を容易く穿ち抜き、アバンギャルド君胴体に衝撃の先頭が触れた瞬間、大爆発を巻き起こした。

 

 

「も、もの凄い速度だったし、おっきな爆発だったんだけれど……」モモイ

 

「あ、あんなの先生に渡しちゃ駄目でしょう……!?」ミドリ

 

 

「………欲しい」先生

 

 

「せ、先生、流石にそのレーヴァテインにあんな機能はつ、付いていないと、思いますよ……?」ユズ

 

「……まあ、やろうと思えばやれる、だろ?」先生

 

「──完璧だ」ウタハ

 

「す、素晴らしい威力です……!」コトリ

 

「最高の、一瞬──……」ヒビキ

 

「やっぱり創って良かった!」ウタハ

 

「はいッ!」コトリ

 

「うん……!」ヒビキ

 

「な、何だか良く分からないけれど──勝ったからヨシ!」モモイ*1

 

「い、一応、皆で勝ち取った勝利、だよね……?」ミドリ

 

「う、うん……多分」ユズ

 

「あぁ、皆で勝ち取った勝利だよ」先生

 

「……さて、これで当面の脅威は居なくなった、C&Cがトキを引き付けている間、私達は当初の予定通りアリス救出に向かう事が出来る筈だ」ウタハ

 

「中央タワーへは此処から一直線、10分も走れば到着する、何事もなければ、な。」先生

 

「も、もう少しでアリスちゃんの所に……!」ユズ

 

「なら、増援がやって来る前に急いで進むべき──という事だね、先生?」ウタハ

 

 

 

 

「そうだ……時間は待ってくれないからな

*1
現場猫モモイ( ΦωΦ)σ

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